前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

前福井県議会議員・さとう正雄の活動日誌。ご意見・情報は smmasao.sato@gmail.com までお願いします。

新型コロナ PCR検査を福祉施設などで徹底を。和敬学園について。小林化工について。高齢者医療費負担増中止を求める請願審査。

2021年02月21日 | 福井県政
2020年12月11日 福井県議会厚生常任委員会 健康福祉部関係での佐藤正雄委員の質疑です。

◯田中(宏)委員長  次に、委員会の審査に入る。
 初めに付託議案、次に所管事務の調査の順序で行うので了承願う。
 それでは、付託議案について審査をする。
 第109号議案及び118号議案の2件について、各委員より発言を願う。

◯佐藤委員  第109号議案であるが、ふぐ処理登録の申請事項である氏名、性別及び生年月日から性別を取るということで、性的少数者の人権尊重の一環と書いてある。これはいいことだと思うが、この条例だけ特化して出すというのは、ほかの条例には性別規定がないということか。

◯人権室長  今回調査をした中で、条例についてはこれだけである。残りは規則や各課で定める要領で決めたものばかりである。

◯佐藤委員  そうすると、議会は関わらないかもしれないが、今後規則などの見直しをかけていくということでよろしいか。

◯人権室長  そうである。今月中に全て見直す予定で進んでいる。


第8期福井県高齢者福祉・介護保険事業支援計画骨子案について

◯佐藤委員  今コロナ禍での介護ということで、この計画の重点項目案の中にも社会を支える介護人材の確保・育成という項目がある。今回、変則的な形で通所系サービスについて、サービスをしている以上の支払いを請求できるということで、利用者負担に転化できることになっていると思う。これは筋違いで、本来は介護報酬をアップすべきだと思う。これは国も見直すという報道があり、それはそれでいいと思うが、報酬アップについて国への要望とか取組状況について、つかんでいる情報があったら教えてほしい。

◯長寿福祉課長  来年4月からの介護報酬の改定であるが、現在、国の審議会の部会で検討されているという状況である。今日の報道でも、前回並みの報酬アップが想定されるとあった。今回の報酬の改定では、感染対策をどう考慮するのか、介護人材の確保に関しての評価といったことがポイントとされていると伺っている。
 通所介護の特例に関しては、報道では、廃止されて新たな方策で通所介護の減収に対応していくということも考えているようである。

◯佐藤委員  生活支援ということで、老老介護とか多重介護などの問題を抱えている介護者への早期対応ということが書かれている。これは福井県内でも老老介護で殺人事件にまで及ぶというのが複数件出ている関係から、こういうことも考えられているのだろうが、具体的にはどういう取組をされていくのか。

◯長寿福祉課長  福井県で痛ましい事件があったことを踏まえて、その取組を進めていきたいと思っている。こういったことは家庭の中で抱え込んで、しかるべき相談機関につながっていないのではないかと、そこがまずスタートかなと思っており、今年度からそこの状況を把握して、ケアマネジャーとか地域の見守りの方の協力を得て、地域包括支援センターなどの相談機関につなぐということを進めている。あとはその方にどういった対応を取るかということがポイントかなと思っている。これに関して、いろいろ話をお伺いすると、その問題というのは介護だけではないというか、生活全般の話もあるということで、そこをどう支えていくか、介護者の疲れということをレスパイトという形で緊急避難的に対応できるような機能を整えていくといったことを、今後進めていきたいと考えている。


新型コロナ対策について

◯佐藤委員  PCR検査、抗原検査の対象を充実させるということで、民間の医療機関での抗原検査も約4,000件と増えているということであった。それ自体は前進だと思うが、本当は陽性であるが陰性で出てしまう、本当は陰性であるが陽性で出てしまうという、偽陽性や偽陰性が起こりやすいという面も指摘されている。PCR検査だとほぼ100%区分けがつくが、唾液の抗原検査だと陽性者一致率は76%というデータが出ている。福井県内で偽陰性とか偽陽性が出たケースはあるのか。

◯副部長(保健予防)  ここで件数について申し上げるのは控えたいと思うが、偽陽性、いわゆる陽性らしい反応が出ているといったところに対しては、医師から写真を送っていただいて、県がPCRで確認をして、その上で陽性であったものに対して陽性の最終判定を下して入院していただくというような2ステップで判断をしているので、今のところ偽陽性で後から取り下げになったというものは一例もない。
 偽陰性については、確かに検査のタイミングが早過ぎたというようなことがあれば、後々陽性が遅れて発見されるといったことが懸念されたわけであるが、今のところ一例もない。PCR検査での確認も併せて行っている先生も多いわけで、今のところ偽陰性、偽陽性によって入院等に混乱が生じたといったところは、県でこういうシステムを取っていることで回避できていると考えている。

◯佐藤委員  今言われたように偽陰性だと感染が広がるし、逆に偽陽性だと混乱が広がるため、どちらも極力防がないといけないということで努力されており、今2ステップチェックというのは聞いたが、そういうことで万全を期すというのは大事だと思っている。
 それで、民間の検査機関を公表している県は幾つもあると思うが、福井県は公表していない。これはそこに集中するとまずいとか、医療機関側の要望とかいろいろ理由はあると思う。12月中旬に、年末年始も検査体制を取るということを県の対策本部会議で決められた。例えば通常の年末年始の場合、ここの病院が開いているという当番医みたいなのを公表して、お子さんの具合が悪くなったときはこの日はここへというようにアナウンスをするわけであるが、今回抗原検査、PCR検査を含めてそのアナウンスはどうされるのか。

◯副部長(地域医療)  今年の年末年始に関しても当番医ということで、どの病院、あるいはどの診療所が開いているというようなお知らせはさせていただく。ただ、その中で、どこがコロナの検査をするかということについては非公表という扱いとさせていただき、医療機関の間でどこどこの診療所、病院に行っていただきたいと、そのような案内をしたいと考えている。

◯佐藤委員  発熱しているが、うちでは検査できないという場合にはこちらの医療機関に行ってというように案内をすると、今のシステムと基本的には一緒である。ここにこだわる理由は何なのか。公表しても今の福井県の感染状況で大混乱が起こる、例えば特定の医師に患者や検査を求める人が30人とか殺到するという状況ではないと思う。ふだんから地域の住民が安心できる体制を整えておくというのも、福井県の場合は大阪府や旭川市のようにまだひどくないので、こういうときにそういう体制も徐々につくって、年末年始も乗り越えていくというほうがいいのではないか。

◯副部長(地域医療)  市中でやっていただいている検査機関の意見として、まず医師会からの意見であるが、やはり風評被害を心配するという声が先生方にはある。今でも診療所の半分以上が参画されているので、どこかの時点で公表ということについて判断しなければならないと、そういう意見を頂いているが、現時点ではまだ全ての診療所の先生方の同意、了解が取れていないということである。

◯佐藤委員  年末年始も医師、看護師を含めた医療従事者が、それぞれのところでそういう体制に組み込まれていくわけで、そういう点では頑張っていただいていることも含めてアピールするということにもなると思うので、検討をお願いしたいと思っている。
 それから、ちょっとしつこいかもしれないが、コロナによる死者を出さない、抑えるためには高齢者感染をいかに防ぐかと、これは全国のケースを見ても非常に大事だと思う。かねがね要望しているが、高齢者施設の入所者やそこの職員、あるいは高齢者が病院へ入院した場合に、そこで検査をするということを前向きに検討いただきたいと思う。それによって検査件数自体は増えるが、今の福井県の状況だからこそ、ある意味ではそういうステップに踏み出しやすいという面もあると思う。例えば妊娠されている方は出産ということになれば検査するわけである。それは妊娠されている女性のことを考えるということももちろんあるが、副次的には医療スタッフ、医師や看護師が出産の対応をすることによる感染リスクをなくすというためにやるわけである。それと同じ理屈で言えば、高齢者施設の新規入所者とか、そういう人にやることによってより安心感が上がると思うが、いかがか。

◯副部長(保健予防)  妊婦や手術をする方については、その後の医療行為自体が院内感染を起こし得るリスクが高いといったところでスクリーニングをかけて検査をさせていただいているといった現状がある。
 福祉施設全般というところで、今回患者発生に伴っていろんな福祉施設で検査をしたが、ほとんどは職員の濃厚接触者から1人、2人見つかるといった感じであり、1回の検査の陰性が何を保証するのかといったところは、かなりのコストと手間をかけることを考慮すると、今の段階ではまだ少ないのかなと。ただし、大阪や東京といったような10万人当たり10を超えるような蔓延状況になってきたり、ある地区で集中して発生しているといった場合には今の提案の検査も考えていかなくてはいけなくなる時期が来るのかなというふうには思っている。
 今の体制の中で、患者が発生したときには積極的にほぼ全職員の検査をやっているので、そうした体制で追いつかなくなるような事態になったときには、そういう新たなスクリーニングの方法といったことも検討したいと思っている。今の時点ですぐ始めるというのは、今の県の発生状況の中ではあまり効率的ではないかなというふうに思っているし、それに見合うだけのエビデンスというのも今のところもあまりなく、何も示されていないので、今の時点では積極的に検討するといった材料に欠けているということを認識として示させていただきたいと思う。

◯佐藤委員  それに取り組む材料に欠けているということであるが、高齢者の人が入ってくると、老人保健施設にしろ、特別養護ホームや病院にしろ、迎え入れる側は緊張するわけである。例えば入って熱が出るということがあるわけで、そういう点では何よりも感染防止ということもあるし、医療従事者や介護従事者の安心・安全という気持ちのプラスにもなると思うので、そこはぜひ検討していただきたいと思う。
 それから、県内の福祉事業所や医療機関では経営がなかなか大変という面があるということで、これもこの間話をしてきたが、全国的には介護事業所が経営難で潰れるというケースも出てきている。福井県内で医療機関とか介護事業所がコロナの下で経営難により事業を停止するとか、そういうところはあるのか。

◯副部長(地域医療)  医療機関についてお答えすると、現時点においてはコロナが原因、あるいは受診控えを原因として閉院に追い込まれたということはない。

◯長寿福祉課長  介護事業所についても、現時点でコロナの影響によって事業を廃止したということはない。

◯佐藤委員  それなら本当にいいことで、今このときに経営を支えるということが非常に大事だと思う。実際は減収になっているわけであり、借金をしているところも多いと聞く。専門のところから借りると5年間は据置きだとお聞きしたこともあるが、5年たてばコロナも回復はするのであろうが、それでも何億円単位で借金したのを返していくのはなかなか大変なことだと思っている。
 9月議会で県議会から意見書も出したが、国として具体的に真水の経営支援というのはまだ本格的にはなっていない。県にも是非という声もあると思うが、医療機関や福祉事業所に対する経営支援ということでの真水の財政支援、これをどのように国に対して要請されているのか。また、県としては今後、考える気持ちはあるのか、その辺をお聞きする。

◯健康福祉部長  これは基本的にはオールジャパンの問題だと思われる。福井県だけに限った話ではないので、国がこの状況をしっかり把握して、それに対する対策を立てていただくのが筋であろうと思う。
 そういった中でも、私どもとしてこれまで国が対応してこなかった保育士への慰労金の支給とか、危険手当であるとか、そういったことをやってきた。いずれも対処している皆さんの状況をお伺いして必要と判断してさせていただいているところがあるので、その可能性は決して否定はしないが、基本的には年末の予算編成も見ていきたいと思う。その後も予備費、補正予算等でも可能性があると思うが、全国の医療機関や施設等の状況を見て、必要な措置は本来国が取るべきだと思っているので、我々としてはその状況を国に伝えていく、それから必要な要望をしていくということで対応していきたいと思う。


和敬学園について

◯佐藤委員  福井市の清水地区にある和敬学園についてお尋ねする。来年度から和敬学園で市立の小中学校をつくるという話があって、これ自体はいい話だと思うが、全国でも残っていたのは福井県と福島県だけということで、何でこんなに遅れたのかということがあると思う。
 頂いた資料によると、県としては20年以上前の平成10年から当時の清水町とも協議をしたが不調に終わったと。合併した福井市とも協議したが不調に終わって、ようやく今日に至ったということで、県の努力も分かるが、資料のところどころに出てくる部分で、県の施設だから県立の学校をつくれないのかと清水町や福井市から投げかけがあったわけである。やはり子どもたちに教育を受けてもらう、受ける権利を保障する点では、経過から見れば努力はされたが、結果としては問題が多いのではないかと思うが、いかがか。

◯副部長(子ども家庭)  和敬学園の学校導入については、佐藤委員にも説明をさせていただいたが、平成10年の法律改正以来、県の子ども家庭課と県の教育庁とが当時の清水町の教育委員会、または福井市の教育委員会と何回も協議を重ねている。
 関係者としては、早くきちんとした学校教育を子どもたちが受けられる体制を整えたいという合意まではいくが、20年前の和敬学園の子どもたちの様子というのが、地域の方にかなり迷惑をおかけするような子もいたということで、地域の方の感情としてなかなか同意が難しいだろう、理解をいただくのが難しいだろうということがずっとあった。実際に学校を設置するという中身の協議を進めても、最終的に地元の様子からいってまだ早いのではないかということで、ここまできてしまったというのが実情である。少しでも早くという中でここまでかかってしまい、その辺りはもっといろいろやり方があったのかもしれないが、福井市もここにきて非常に前向きで、いい学校をつくろうということで、今一緒に計画を進めているところである。

◯佐藤委員  経過はそういうことで指摘をさせていただいた。いろんな環境の子どもたちがここにいるわけであるから、教育の保障というのが大事な学校になると思うので、きちんとやっていただきたい。県の施設の中に学校をつくるということであるから、福井市とも連携してやっていただきたいと要望しておく。



小林化工について

 もう一点、マスコミの報道の範囲であるので教えてほしいが、あわら市の製薬会社の小林化工の薬の製造過程にミスがあったと。睡眠導入剤みたいなものが混入して被害が大きくなっているという報道があった。県が調査をしたという報道もあるが、具体的な事案の内容と県の調査結果、なぜこういうことになっているのか説明をお願いできるか。

◯医薬食品・衛生課長  小林化工というあわらの会社が、薬品の名称はイトラコナゾールという抗真菌剤で、適用としては水虫の飲み薬というのが一般的に多いかなと思うが、その薬の中に睡眠導入剤が混入してしまったという事案である。
 ちょうど1週間前に連絡があって、そのときには既に健康被害が把握されていたので、健康被害を最小限に食い止めることがまず重要であるということで、医療機関や患者に服用中止を伝えることを指導した。県として週明けの9日水曜日に立入検査を行っている。
 原因は報道のとおりで、詳細は控えさせていただきたいが、本来の水虫の主成分の薬、その大部分は入っているが、追加で入れる工程があって、そこの部分で睡眠導入剤を入れてしまったというヒューマンエラーであった。そこのところは立入検査でも確認をしているという状況である。
 ただ、医薬品であるので、ヒューマンエラーであってもそういうことが起きてはいけない。管理体制をきちんとしていかないといけないので、そういったところが十分だったのか、そこを引き続き報告を求めたり、立入検査をしたり、調査していきたいと思っている。

◯佐藤委員  まだ調査中だと思うが、1週間前に連絡があって、これはすぐに医療機関とかには県を通じてなのか、会社が何かの仕組みを使ったのか分からないが、普通の薬局ではなく多くは医療機関で処方される薬であるから、処方箋の記録を見れば、どの患者にこの薬を投与したかとはすぐに分かるわけである。そういう点では全ての医療機関にすぐに周知すれば、被害を最小限に食い止めることはできるわけであるが、それをしたがこの結果ということであるのか。

◯医薬食品・衛生課長  医療機関あるいは薬局に連絡すれば食い止められるということで、それ以上の拡大はそんなになかったように思うが、その時点で服用されていて、1週間前だが副作用が出た方が12名という報告があった。報道を受けて、どんどん増えて、今報道されている人数であると128名まで増えていることが分かってきたという状況である。

◯佐藤委員  医療機関や薬局とかに問い合わせて、投与された方は何名ぐらいいるのか。

◯医薬食品・衛生課長  364名の方に投与されたことが分かっている。
 本日報告を受けたが、投与された方を小林化工が特定して、そちらのほうに全て連絡はいっているという状況である。

◯佐藤委員  マスコミの報道を見ても重大な事案だということで、医薬品の信頼が損なわれることは大変なことだと思う。県としても今後調査、指導等を強めていただいきたい。ジェネリック医薬品という点では本来、地域に貢献している会社だと思うので、しっかりと正すべきところは正していただきたいと思うのでよろしくお願いする。


請願第21号、75歳以上の医療費窓口負担2割化の検討中止を求める意見書を国に提出することを求める請願についての審査

◯田中(宏)委員長 
 これより、今回付託を受けた請願1件の審査に入る。
 請願第21号、75歳以上の医療費窓口負担2割化の検討中止を求める意見書を国に提出することを求める請願を議題とする。
 本件に対し、各委員より発言を願う。

◯兼井委員  後期高齢者の医療費窓口負担のあり方については、県は制度設計者である国の責任において、必要な医療への受診抑制につながることがないよう、特に低所得者に十分に配慮した制度のあり方を検討するよう全国知事会を通じて要望しているところである。
 また、全世代型社会保障検討会議で近く最終報告がまとめられる見込みということであり、その推移を見守るべきではないかと考える。よって本請願は不採択でお願いする。

◯佐藤委員  県からの説明資料にも詳しく書いてあるが、影響が大きいわけである。与党で合意した年収200万円以上ということになると、約2万5,000人の福井県民の医療費が倍になるという、簡単に言えばそういうことになるわけである。
 今コロナで大変で、しかも消費税を社会保障のために10%上げた、その上さらに医療費を上げるというのは全く筋が通らないということで、採択でお願いする。

◯渡辺委員  この件は新聞でも報じられており、年収の幅が200万円程度で落ち着くような話になっているが、それでどれくらいの影響があるのか、詳しいことはまだはっきりと分かっていないので、継続審査でお願いする。

◯田中(宏)委員長  ほかにないか。

      〔「なし」と呼ぶ者あり〕

◯田中(宏)委員長  ないようであるので、本件に対する質疑、討論は終結する。
 本件については継続審査を求める意見があるので、まず、継続審査についてお諮りをする。
 本件を継続審査とすることに賛成の方は挙手願う。

      〔賛成者挙手〕

◯田中(宏)委員長  賛成少数である。よって本件を継続審査することは否決された。
 それでは、採決に入る。
 本件を採択と決定することに賛成の方は挙手願う。

      〔賛成者挙手〕

◯田中(宏)委員長  賛成少数である。よって本件は不採択と決定した。
 以上で請願の審査を終了する。







使用済み核燃料中間貯蔵地問題、大阪地裁判決について

2021年02月21日 | 福井県政
2020年12月11日 福井県議会厚生常任委員会 安全環境部審査での佐藤正雄議員の質疑です。

指定管理議案について

◯田中(宏)委員長  次に、委員会の審査に入る。
 初めに付託議案、次に所管事務の調査の順序で行うので了承願う。
 それでは、付託議案について審査をする。
 第116号議案及び第117号議案の2件について、各委員より発言を求める。

◯佐藤委員  それぞれ応募は何件あって、どういう審査が行われたのか。

◯副部長  公募を8月11日から10月9日までの60日間行い、2つの指定管理者については、それぞれ1団体から応募があった。それらについて10月20日の指定管理者の選定委員会において審査をして、それぞれ指定管理者にふさわしいということで選定をしたところである。

◯佐藤委員  現状の指定管理者にそのまま指定されるということで、それが悪いわけではないが、そもそも指定管理者制度を導入した趣旨から言えば競争性の観点、それから実際に1団体しか応募がないということで言うと、業務の適正のチェックという点では課題はあるのかないのか、お尋ねする。

◯副部長  今回、選定した2つの指定管理者については、それぞれキャンプ場設立以降、継続的に委託管理を担っていただいている。
 例えば越前三国オートキャンプ場においては、隣接して休暇村越前三国のホテルがあり、こういったものと一体的に運営管理をする。ふるさと海浜公園についても、隣接するおおい町のあかぐり苑地と一体的な管理をすることで効率的な運営もなされている。さらには隣接する施設との連携したイベントの実施により、誘客も図られていることが選定の理由だと考えている。

◯佐藤委員  この2つの指定管理者について、県から課題があるから注文をつけたとか、そういうことはないということか。

◯副部長  県から指定管理の選定において、特段、何か要請をするということではないが、運営に当たっては効率的に行うように申し上げている。利便性を向上することについては指定管理者とともに、県としても検討していきたいと考えている。


福井県廃棄物処理計画骨子案について

◯佐藤委員  計画で災害廃棄物のことも触れられているが、東日本大震災とか福井豪雨とか、そういう大きな災害のときには災害廃棄物が発生する。陸上にある廃棄物というのは目に見えるから時間がかかっても処理されていくのであろうが、例えば福井豪雨のときのように、川にごみが流され、海へ流れてしまう場合の海底のごみは、どのような位置づけになるか。

◯副部長(循環社会推進)  災害廃棄物処理計画については市町が定めることになるので、海底のところまでは入っていない。海底ごみについては、海岸漂着物の対策事業の補助対象になるので、必要があれば、それを使って回収することは可能となっている。

◯佐藤委員  もう一点であるが、産業廃棄物については、昨年度から福井市が中核市になった関係で、いろんな事務手続は福井市に移管している。県からすれば仕事は福井市ということになっていると思うが、産業廃棄物分野の県と福井市との連携は大事だと思う。その辺はどのようにされるのか。

◯副部長(循環社会推進)  福井市が中核市になる前後に職員の派遣ということで支援をしているし、その後もしっかり情報交換をしている。県全体の廃棄物の状況というのは、福井市の部分が3分の1あるので、これを含めて情報共有しているところである。




使用済み核燃料中間貯蔵地問題、大阪地裁判決について

◯佐藤委員  先ほど中間貯蔵問題と先日の大阪地裁の判決について議論があったので、関連で質問する。
 使用済核燃料は先ほどもあったように、このまま5年たつと美浜原発で89%、高浜原発で98%、大飯原発で93%ということで、使用済燃料プールがほぼいっぱいになる。何とかしないといけないという議論が当然あると思う。これは再稼働をしようとするからそういう議論になるので、少なくない県民は再稼働しないでほしいと望んでいるわけであるから、再稼働しなければこういう矛盾にも至らないということは最初に申し上げておきたいと思う。
 それで、今回の中間貯蔵施設の問題で、昨日の朝日新聞の報道、今日の各社の報道もあったが、先ほどの答弁では県はそういう情報は全く関知していない、知らないということであった。これは間違いないか。

◯廃炉・新電源対策室長  先ほど答弁させていただいたとおり、報道内容は承知しているが、県としては何も聞いていない状況である。

◯佐藤委員  資源エネルギー庁は使用済燃料対策推進協議会を開いている。2018年11月20日に開いて、直近では2020年7月2日に開いている。その内容はホームページでも公開されている。ホームページで公開されている資料を見ると、7月2日に電気事業連合会が使用済燃料貯蔵対策への対応状況についてという文書をまとめて発表している。この文書の関西電力のところだけ何と書いてあるかというと、福井県外における中間貯蔵について共同、連携を含むあらゆる可能性を検討、対応していくと書いてあるわけである。公にされている文書の中で、共同、連携を含むあらゆる可能性を検討、対応していくというのは、福井県はどのように解釈していたのか。

◯廃炉・新電源対策室長  県としては、経済産業省に対して事業者任せにせずに、国が責任を持って対応するよう求めているところである。今指摘の7月2日の使用済燃料対策協議会においては、梶山大臣の発言として、使用済燃料については事業者共通の課題であるということを認識して、業界内で連携、協力して課題の解決に取り組むことというような指示をしているので、それを受け止めているものかと認識している。

◯佐藤委員  ほかの電力会社の使用済燃料対策にはない表現が関西電力のところだけ書かれており、そのことを質問したのである。ほかの電力会社ではこのような表現はないわけである。今も言ったように、国のエネルギー基本計画やアクションプランに沿って事業者間の共同、連携など、あらゆる可能性について検討、対応していくと、事業者間の共同、連携とはっきり書いてある。きちんと答弁していただきたい。

◯廃炉・新電源対策室長  経済産業大臣は業界内で連携、協力して課題解決に取り組むとしているので、それを受けたものと認識している。

◯佐藤委員  そうすると最初の答弁が本当なのかと疑いが出るわけである。全くそういうことは承知していないというのが本当の答弁なのかと。つまり7月2日の国の使用済核燃料の対策会議で、事業者間の連携についてもあらゆる可能性について検討するとはっきりうたわれている。当然、事業者間の連携というと、関西電力と他の電力会社である。今回表面化したのは、東京電力と日本原電の施設を利用させていただけないか、共用しようかというのが一つの提案として電事連が模索していると報道されたわけである。そういう態度は、議会に対して正直に答弁しているのかどうかも疑わしい。

◯廃炉・新電源対策室長  関西電力は、2年前に計画地点を示せなかったとき、今後の調整とか交渉の支障になりかねないとして、具体的な候補地は示していないことについては、県も認識はしている。

◯佐藤委員  では、この資料で書かれた事業者間の共同、連携などあらゆる可能性について検討、対応していくというのは、福井県はどのように解釈したのか。

◯安全環境部長  使用済燃料対策協議会は、もともと高浜3、4号機の再稼働等の際に、使用済燃料の対策は重要だからということで、我々が国にしっかりと事業者に対して指導、監督するように申入れを行って、その結果、数年前にできたものである。当然、年に1度ほどこの会議をしていることは知っている。7月の会議でそういう資料が出ていることも承知している。それは先ほども申し上げているように、我々は関西電力に対して、年末までにしっかりと回答をしていただきたいということは繰り返し申し上げているところであり、事業者として様々なことは考えておられるのだろうとは思う。7月の使用済燃料対策協議会で様々考えているということを我々は承知しているというものであって、それ以上のことについて了知しているというものではない。

◯佐藤委員  一般質問のときにも、知事は県外へと言っているが、こういう中間貯蔵施設問題とかを含めて事務レベルできちんと交渉というか、情報収集を含めてやっているのかということで、そういう文書はどうなっているか、文書が正式に議会とか議員に提供されていないということがいかがなものかと質問した際に、知事からはちゃんと報告を受けている、電話も含めていろいろ対応は進めているというような答弁であった。この、国の会議に傍聴に行かれたのかどうかは別として、いろいろ情報収集をされてきたと思う。今回あのような報道があって、皆さんも初めて知ったと、もちろん議員も初めて知った。先ほどの笹岡委員の質問や私の質問にもつながっているが、福井県は本当にこういうことに対してゼロ情報だったのかというと、必ずしもそうではないと思うから、こういう質問をしているわけである。これは機微に触れる問題であるから、どこまで議員に対して情報提供するか、議会で答弁するかはいろいろあるとは思うが、さっきの笹岡委員や私への答弁を聞いても、全く知らなかったと言い切ってしまう答弁はいかがなものかと思う。こういうことで事業者間の連携を模索しているというのは、7月の国の資料でも強調されているわけであるから、例えば見守っていたとか、注視していたとかぐらいの答弁があってもしかるべきではないか。

◯安全環境部長  7月の使用済燃料対策協議会は、経済産業大臣が各電気事業者の社長を集めてする会議である。当然、事前に何月何日にあるということで、その中身についても資料として公表されているものである。先ほど担当室長が申し上げたように、当時の大臣がこういうふうに述べて、それに対して資料としてはこういうふうに出てきているということで、そこで公にされている情報は我々としても当然了知しているというのが実態である。

◯佐藤委員  私が言いたいのは、議会の質問に対して、県も初めて知ったと、全然そういう動きは知らなかったという答弁だけではちょっといかがなものかということで、こういう質問をさせてもらった。関西電力しか事業者間の連携とか、こういうくだりを書いておらず、ほかの電力会社にはないわけであるから、そこはもうちょっと誠実に議会への対応、答弁というのは考えていただきたいと思う。
 むつ市の施設は、東京電力と日本原電が出資して造って、そこに関西電力が入るのはむつ市長の立場から言えば困るということが報道されている。日本原電がここの株を売却した。これはどういう経過でどこへ売却したか、つかんでいるのか。

◯廃炉・新電源対策室長  リサイクル燃料貯蔵株式会社の出資だと思うが、これは東京電力が24億円、日本原電が6億円、合わせて30億円ということである。

◯佐藤委員  日本原電がその株を売却したのではないか。

◯廃炉・新電源対策室長  今申し上げたとおり、24億円、6億円ということである。

◯佐藤委員  では、売却する前は幾らだったのか。

◯廃炉・新電源対策室長  同額だと認識している。

◯佐藤委員  株を売却しても全く変わらないということか。

◯廃炉・新電源対策室長  今言われているのは、六ヶ所施設の売却ではないかと思われる。

◯佐藤委員  失礼した、六ヶ所施設の株を売却したということで、ここは引き続き日本原電が6億円ということか、わかった。
 それで、東京電力と日本原電の施設に関西電力が単独で割り込むのは難しいから、電事連として取りまとめてという動きになっているわけであるが、こういう動きを県としてはどのように評価されるのか。

◯廃炉・新電源対策室長  県としては関西電力から、この点について報告を受けていないので、承知していない状況である。

◯佐藤委員  報道の範囲では、どのように評価されるのか。

◯廃炉・新電源対策室長  報道にも、出資の割合とかはなかったのではないかと認識している。

◯佐藤委員  出資の話ではなくて、電事連が仲介してというか、関西電力の使用済核燃料をそこに運び込む、そういう仕組みをつくろうという報道については、どのように評価されているか。

◯廃炉・新電源対策室長  報道では使用料を払うか、この会社に出資をするかというような記事があったかと思う。

◯佐藤委員  だから、そういう動きについてどのように評価されているのか。

◯廃炉・新電源対策室長  評価というか、私どもは報道で内容を知っているという状況である。関西電力からまだ何も報告を受けていないという状況である。

◯佐藤委員  いずれにしても、年内に関西電力からしかるべき報告があるというように知事も部長も答弁されている。冒頭でも言ったが、この問題は使用済核燃料をどうかしないと行き詰まりになってしまうというところから出てきているわけで、そういう点では県外に福井で造られた核のごみを持ち出すのは本当にいいことなのかどうか、あるいは40年を超えて原発を再稼働し続けるのがどうなのかという点では、県民の意見が大きく分かれているように思う。
 先日の大阪地裁の判決でも、そこが一つ問われたと思う。判決を聞いて思ったのは、かつて原子力規制委員会の委員長をされていた島崎邦彦先生が、実は大飯原発3号機、4号機の基準地震動の審査には誤りがあると。平たく言えば、当時審査をした当事者の規制委員会の委員長が大飯原発の審査は間違っていたということを証言されて、これは当時大きな衝撃を与えた。その後、規制委員会は島崎元委員長の見解は間違っているということで、今の原子力規制委員会が前の原子力規制委員長の主張に反論すると、そういういきさつがあったのは御存じのとおりだと思う。ただ、島崎先生自身も熊本地震など国内で起こる新たな地震を受けて、改めて学者の立場で再検討してみたらやはり過小評価だということで言われていたと思う。今回の裁判所の判決は島崎先生の論説に基づいての判決ではないが、原子力規制委員会の基準に照らしてもおかしいのではないかという判決だと思う。こういう一連の流れ、元原子力規制委員会の委員長が大飯原発の基準地震動の審査には誤りがあったというようなことを、別の裁判ではあるが証言されている。今回は大阪地裁で原子力規制委員会の規制基準そのものに照らしても問題があるというような判決を下したということは、どのように見ているか。

◯原子力安全対策課長  今回の裁判の争点は、原子力規制委員会が基準地震動を策定するために、内規として審査ガイドというのを持っているが、その中のいわゆる地震の規模を算定するための経験式について書かれている文書の解釈についてが、争点になっていると認識している。今委員がおっしゃられた島崎先生が指摘されたというものは、入倉三宅式そのものの式自体がどうなのかという議論であったかと思う。
 今回争点となったところ以外にも、この裁判では幾つか原告側からの指摘があった。その中の一つに、入倉三宅式など経験式については合理的なのかというような論点もあって、それについては合理的だというようなことで、原告の主張が退けられているというふうに理解している。

◯佐藤委員  今課長が言われたことはそのとおりだと思うが、内規というか、規制委員会が審査する際のガイドそのものに基づいて裁判所は判断して、設置変更許可を取り消した。今回規制委員会の会合が開かれて、ガイドそのものに誤解を生むような解釈の余地というか、そういう表現があったので、ガイドそのものを見直すということも検討しようというふうになったと報道されている。これは県に情報は入っているのか。

◯原子力安全対策課長  規制委員会の会合が、水曜日に公開で行われたことは承知している。その中で規制委員会としての見解を取りまとめるというような話が出ていたというふうに思っており、それについてはしっかりとどのようなものかという説明をしていただく必要がある。一般の方々も含めて国民への説明など責任を持って対応していただく必要があると考えている。

◯佐藤委員  ガイドそのものを間違っていたから修正するという意味ではなく、分かりにくかったから修正するということなのであるが、修正するというのが規制委員会の一つの方向だというふうに報道されている。そうすると、変な話であるが、そういう解釈の余地があるものを使って審査してきたのかということにもなる。スポーツに例えると失礼かもしれないが、向こうに点を取られたからルールをちょっと変えようかと、こういう話にもなるわけである。だから、一般の人からすると、規制委員会はずさんだと、規制基準がずさんだと、規制審査がずさんだと、こういうことになるわけであるが、違うか。

◯原子力安全対策課長  裁判においてどういうことが両方主張されたかということを、新聞等を基に私なりにまとめてみたところでは、経験式によって、断層の面積というものを入力して地震の規模を算定するというふうになっているが、原告側はそれに上乗せして地震規模を設定すべきという主張をされていたようである。被告側については、ガイドに書かれていることは経験式、これはもともと今まで起きた地震を基にして最小二乗法等によってフィッティングをした式になるが、そういう経験式を適用することが、適用範囲がしっかりと問題ないかどうかということの確認する際の留意点であるというような主張をされていて、先ほども答弁させていただいたが、解釈という点での違いが両者にあったということかと思う。

◯佐藤委員  要するに、そういう解釈の違いを生むようなガイドを規制委員会がつくって、それで規制審査をしてきたからこのような判決が出たという側面もあるという答弁だと思う。だから規制委員会もガイドそのものをちょっと書き直そうかと、こうなっているわけである。それでは、これまでの規制審査は何だったのかと、ちょっと大ざっぱな議論であるが、一般の市民から見ると何だと、裁判で負けたから規制基準審査のガイドを見直すのかと、こうなるわけである。そういうことではますます規制委員会の権威というのはなくなると思う。前の委員長が規制審査の誤りを認める、そして今度は裁判で負けたら規制審査のガイドそのものを見直す、こういう規制委員会の審査そのものが問題だと思うが、いかがか。

◯安全環境部長  島崎さんは副委員長で、その当時は田中さんという方が委員長であったので、島崎さんが副委員長を辞められた後、その当時の委員会として、その当時の島崎さんの意見に対しては、委員会としてはこう思うということがきちんと整理されている。そこはそことしても、今ほどの話、先ほどの笹岡委員の話もあるが、今回の判決について、なかなか一般の方に分かりにくいと。特に県内には様々なプラント・サイトがある。今されている安全審査というものが、大飯のことは仮処分ではないので、これから国が控訴すればその効力はすぐに発生しないとはいえども、ほかのプラントの安全審査にも影響するのかどうか、これについては先日の会見では、委員長は影響しないというふうなことはおっしゃっておられるが、そこも含めてどういうふうに考えているのかということを、一般の方に分かりやすく説明いただくということも国の責任だと思う。その責任を、責任ある国の立場でしっかりと説明をしていただきたいというふうに申し上げており、国としてしっかり説明をいただきたいと考えている。

◯佐藤委員  先ほどの議論にもあったが、こういう判決が出て、ほかの原発も同じ規制基準で審査しているわけであるから、当然ほかの原発にも影響が出るということになるわけである。今部長が言われたけど、控訴すれば効力は生じないというのは司法の話であるが、県民理解が必要であり、国が責任持って県民理解や国民理解を進めないといけないという県の立場からすれば、そういうことだけ言っていても駄目だと思う。やはりもう少し裁判の経過も見ながら再稼働の判断をするとか、そういうことも必要になってくるのではないか。

◯安全環境部長  繰り返しの答弁にはなるが、先ほど専門的な話は担当課長から説明したが、一般の方に裁判の専門的なところはなかなか分かりにくい世界でもある。今回の判決に対して国は控訴するかしないかも含めて今検討しているところだろうとは思うが、どんな考え方でこれまで許認可の審査をやってきて、今回の判決がほかの発電所の審査に関わる影響というものがあるのかないのかも含めて、しっかり説明をしていただく必要があると思う。そこは我々としても、どういうふうな形で一般の方にきちんと分かるように説明がなされるのかを、また確認もしていきたいと思っている。

◯佐藤委員  再稼働の判断にどういう影響を与えるのかという質問である。

◯安全環境部長  判決に関わる部分というのは基準地震動のことであるので、基準地震動そのほか、いわゆる40年超運転ということについて言うと、これまで様々な技術的な審査というようなものが行われてきたかということがあると思う。その一つが基準地震動だろうと思うので、これまでも県の立場で言うと、県の原子力安全専門委員会で専門家の方からはいろいろ評価をいただいた。それ以外でも地元の市町では住民説明会なども行われているが、一般の方にどういうふうな形でこれから規制委員会が説明していくのか、また県議会でもその見解を聞いていただくような場面もこれからあるかもしれない。そこも含めて、どういうふうに説明していくのかということはまた国とも協議していかなければと考えている。



美浜、高浜発電所の津波対策

◯佐藤委員  美浜発電所の安全対策工事がもろもろ進んで、今こういう計画もできたのであるが、この計画と直接関係するかどうか分からないが、津波対策で防潮堤を造っていると思う。
 例えばの話であるが、この部屋の窓から津波というか、水が浸水して1メートルぐらいの水深になるとする。仮に建物の半分を防護して、向こう側に同じ量の水が入ってくれば、単純に言えば2メートルの水深になると思う。美浜発電所が自分たちの発電施設を守るために防潮堤を造った場合、その近くの集落の津波の高さはどれくらいになるのか。

◯危機対策・防災課長  申し訳ない、詳しいデータは今こちらでは把握していない。

◯佐藤委員  さっきの原子力規制基準も発電所を守ることがメインであり、周辺の住民を守るための基準というのはないわけである。今は津波の話をしたが、要するに発電所に津波が入ってこないようにきちんと防護するがために、周辺地域の津波の高さがその分高くなるということがあり得るというのは、一般論としてはある。

◯危機対策監  課長が申し上げたように、今細部のデータを持っていないが、当然津波防災に関する法に基づいて、シミュレーションで津波の高さはどうかというのは確認をし、我々防災サイドとしても、発電所はもとより各近傍の地域の安全がどうかというのは確認させていただいている。各4サイトあるが、ここに直接的に影響があるということは確認していない。

◯佐藤委員  そういうデータがあれば、提示願いたいと思う。
 高浜発電所の場合、地すべり津波の評価はどうなっているのか。

◯原子力安全対策課長  警報が発表されない津波ということであろうか。それに対しては、関西電力が設置変更許可申請を出していたのが今月2日に許可になった。警報が発表されない津波に対しては、発電所にある潮位計で観測しており、ある時間の間で上がったり下がったりしたことを検知して、水門を閉じるということで許可は下りている。それに基づいて、さらに運転等の手順などを定めている原子炉保安規定の審査が進められている状況である。

◯佐藤委員  高浜発電所の保安規定については一般質問でもあったと思うが、この保安規定の改定に伴って要員はどの程度増えることになるのか。

◯原子力安全対策課長  細かい数字は今手元にはないが、緊急時の対応の要員は保安規定に定められている。ただ、海水を取るというような設備などの違いがあるので、一概に2倍ということではないと思う。

◯佐藤委員  一概に2倍とはならないが、一定数増えるということで、県としてはその増員体制の確認は、今後どのようにするのか。

◯原子力安全対策課長  高浜1、2号機のことについては、県の専門委員会でハード、ソフトの両面から確認を行っているところであり、その中で事故時のそういう緊急時の対応がどうなっているのかも確認することになると思う。







日本学術会議の任命拒否を撤回し105名全員の任命を求める意見書を求める請願、高齢者医療費負担増中止求める請願不採択に反対討論

2021年02月21日 | 福井県政
2020年12月22日、福井県議会本会議での討論です。
日本学術会議の任命拒否を撤回し105名全員の任命を求める意見書を求める請願不採択には、細川県議も反対討論をおこないましたので、あわせて紹介します。

◯28番(佐藤正雄君) 日本共産党の佐藤正雄です。
 第99号議案令和2年度福井県一般会計補正予算をはじめ第101号議案、102号議案、103号議案、104号議案、105号議案の6議案は、いずれも県職員の期末手当引下げを含む議案であり、反対であります。既に先般、内容はここで討論しているとおりでありますが、コロナ禍で奮闘されている県職員、教職員、警察職員の頑張りを激励すべきであり、期末手当削減はそれに逆行するものであります。

 次に、請願の委員長報告に反対の理由を述べます。請願第20号は、日本学術会議の任命拒否を撤回し105名全員の任命を求める意見書を求めるものであり、採択すべきであります。私は一般質問でも、全国900を超える学協会などから抗議の声明、見解などが出されていることを紹介し、これは学者・研究者だけの問題ではなく、政府の意向に背く研究は認めないことにつながり、憲法で保障された思想信条の自由、学問の自由への重大な侵犯にほかなりませんと指摘をいたしました。総理が全ての公務員の任免権を持つかのように菅総理は答弁しますが、それなら大学の学長や裁判官の任命も拒否できる理屈になり、独裁政治になります。主権者国民から公務員の選定、罷免権を奪い取るものです。
 そもそも科学は政治のしもべではありません。政治は少数意見も尊重しながら議論を尽くし、最後は多数決の原理が働きます。しかし科学は多数決ではなく、真理かどうかで値打ちが決まります。学問の自由や科学者コミュニティの自立性は、科学の本質が求めているのであります。加えて、任命拒否された中に福井県庁も大変お世話になった東京大学社会科学研究所副所長の宇野重規先生が含まれていることも、福井県庁と福井県議会としては看過できないのではないでしょうか。宇野先生は福井県行政の分析や計画にも深く関わられ、「ローカルからの再出発 日本と福井のガバナンス」などの著書も公刊されておられます。このような先生ですら排除していくのが菅政権の恐ろしいところであります。知事や議員が我関せずではなく、おかしいと声を上げるべきではありませんか。

 最後に、請願第21号は、75歳以上の医療費窓口負担2割化の検討中止を求める意見書を国に提出することを求めるものであり、採択を求めます。そもそも高齢者の医療費に占める国の負担分は、1983年の45%から35%に減っています。公費負担を減らすために75歳以上の年齢差別の後期高齢者医療制度をつくった害悪はますます明白です。若い世代の負担を云々言う前に少なくとも国の負担を元に戻し、国の公的役割を発揮すべきであります。消費税は安倍政権で2倍の10%に増税しながら、年金は削減、医療費負担は倍増では、国民、県民生活に与える影響は計り知れません。
 窓口負担が増えれば、具合が悪くても医療機関にかかれない方々が増えてきます。福井県民では2万5,000人もの県民が負担倍増の対象となります。もともと高齢者は加齢により受診回数などが増え、年収に対する負担割合は、40代から50代に比べると2倍から6倍の負担割合になるというのが実態です。だから、日本医師会も高齢者に追い討ちをかけるべきではないなどと反対しております。県内でも越前市議会や永平寺町議会では、住民の命と健康を守る立場からこの請願を採択しているではありませんか。国の言いなりに負担増賛成なら地方議会の値打ちはありません。コロナ禍の中で医療負担を増やすのではなく、安心してかかることができる医療政策こそ必要だと国に意見を出すことこそ地方議会の役割ではないでしょうか。
 以上、議員の皆様の良心に賛同を呼びかけて反対討論といたします。

◯議長(畑 孝幸君) 細川君。
    〔細川かをり君登壇〕


◯5番(細川かをり君) 細川かをりです。
 請願第20号の否決に反対します。
 日本学術会議の会員任命は、優れた研究、業績により日本学術会議が推薦し、その推薦に基づいて内閣総理大臣が任命するとされています。
 今回、任命拒否された6名の中に、私が直接存じ上げている東京大学教授の宇野重規先生がおられます。宇野先生は19世紀フランスの思想家トクヴィルの研究で知られ、日本を代表する政治思想史の学者のお一人で、「保守主義とは何か」、「民主主義のつくり方」などの御著書も多数、サントリー学術賞などを受賞しておられます。お父様は、国際政治学者で元成蹊大学学長並びに島根県立大学の創立に尽力され初代学長に就任された宇野重昭氏、お母様は教育学者でフェリス女学院大学名誉教授の宇野美恵子氏です。
 私が宇野先生にお会いしたのは、新宿にある「市川房枝記念会女性と政治センター」で宇野先生の講演を拝聴したのがきっかけです。民主主義についてきちんとしたお話、とても腑に落ちるお話をされる方で、その後何度かお話をさせていただきましたが、お人柄は温厚で思慮深く、でもユーモアもある方とお見受けしています。福井では日刊県民福井の「視座」というコラムの執筆者の一人ですから、それで先生の考えに触れられる方も多いと思いますし、何より福井の長期ビジョンを策定するに当たり、希望学の学びなどで県がお世話になった方です。
 例えば今年の1月23日、国際交流会館で行われた長期ビジョンの特別公開討論会で「地域の秘密が未来をつくる~鍵を握るKNT(小ネタ)理論とは~」と題して、東京大学社会学研究所の玄田教授、中村教授と共に、高志中学校の生徒たちと福井のこれからを考える上での地域の見方、考え方を討論されていました。私も参加しましたが、大変すばらしかったです。県はこうしたセミナーを、2040年までの大きな環境変化を見通し各分野の知見を深めるための第一人者による講演会としています。つまり、先生を第一人者として評価し、締めのセミナーをお願いしたということです。そんな方が任命拒否されたというのは驚きであり、大きな疑問です。
 宇野先生のような見識の高い方を拒否するならば、どういった業績の方が任命されるというのでしょうか。市川房枝記念会の方に伺うと、「すばらしいから外されたのよ」と笑い飛ばすように述べられていますし、宇野先生もさらっと受け流されているような印象です。でも、今回の請願を受け賛否を問われるならば、理由も言わないような任命拒否はよくない、ちゃんと任命すべきと私は考えます。
 以上が私の反対の弁です。

福井県、水道用水料金引き下げへ。これに伴い、越前市は料金引き下げ

2021年02月21日 | 福井県政
 開会した福井県議会に、県の坂井地区、日野川地区の水道用水料金引き下げの議案が提案されました。
これに伴い、越前市は料金引き下げが提案されました。
 私も昨年10月の決算議会審査で引き下げの余力がある、と指摘し引き下げを提案していました。
 引き続き、県民の暮らしを守る提案で頑張ります❗️





昨日の福井新聞より