前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

前福井県議会議員・さとう正雄の活動日誌。ご意見・情報は smmasao.sato@gmail.com までお願いします。

住民運動と連携し、県政を動かしチェックしてきた20年 ――― 栗田、西川、杉本各氏、3人の知事との論戦を振り返って

2024年04月28日 | 福井県政

 昨日は県政学習懇談会が党県委員会主催で開催され、私がお話しし、参加された皆さんとの意見交換もおこなわれました。

 日本科学者会議福井支部の機関誌「福井の科学者」1月号に20年間の議会論戦などを振り返って書いたものなどにもとづいてお話ししました。また、最近の問題として、杉本知事提案の予算案に全議員が賛成して事実上のオール与党県議会となったこと。新幹線敦賀以西延伸反対は変わらないが敦賀まで開業したのであり費用対効果の最大化と利用者の利便性改善を求める立場であること。原発使用済み核燃料乾式貯蔵は期限が問題ではなく、いったん利用がはじまれば際限ない再稼働の裏付けとなること。などを補足しました。

 参加された皆さんからは、能登半島地震と液状化した地盤改良支援策、水道管耐震化と井戸の活用、志賀原発と福井県の原子力防災、税金投入での他県民への旅行支援のあり方、福井市でのアリーナ計画、人口減少と「消滅自治体」問題をどう考えるか、などなどさまざまな意見、質問がだされました。引き続き課題解決にともに頑張っていきたいと思います❣️

 

参考に。福井の科学者1月号からの転載です。

 

 

 

「 住民運動と連携し、県政を動かしチェックしてきた20年

   ――― 栗田、西川、杉本各氏、3人の知事との論戦を振り返って」

 

                                                         前福井県議会議員(日本共産党)   佐藤正雄

 

 これは私の県議会議員の活動を紹介しながらおもな県政・県議会の問題点・課題などについて2022年秋に雑誌(「議会と自治体」日本共産党)のために書いたものをベースにしたものです。私は6期目をめざす2023年4月の県議選福井市選挙区で49票差で議席を失い、県議会から野党議席はなくなりました。野党議席がなくなった、と言明するのは、2023年11月28日の福井県議会本会議において、杉本県政の昨年度決算認定議案が全議員賛成で可決されたからです。

 

1,福井県政と日本共産党

 

私は、栗田幸雄・西川一誠・杉本達治各氏の3代の知事と論戦をしてきました。

栗田県政(私の1期目)では1000億円ともいわれた福井空港拡張計画の無駄遣い中止を日本共産党議員団(当時私と敦賀市選挙区の奥山裕二氏の2名)だけが主張し、見通しのない計画、地元住民切り崩しを狙い公金での飲ませ食わせなどの問題を、空港建設反対同盟や考える会のみなさんなど住民運動とも連携して追及し、計画断念に追い込みました。

 西川県政(私の2~4期目)では原発「もんじゅ」再稼働の動きとむすびつけた北陸本線第三セクターとセットの新幹線建設計画に私だけが反対。結局、ナトリウム火災事故を起こして止まったままだった高速増殖炉「もんじゅ」は1兆円超す国民の税金投入の挙句、開発中止に追い込まれました。

 杉本県政(私の5期目)は4年前の知事選で自民党会派や経済界・保守分裂、現職の西川氏と元副知事の杉本氏が争う激烈な選挙を経て誕生しました。

 杉本県政は、コロナ対策で「マスク券配布」「臨時病床100床」などで当初は注目を集めました。しかし、新幹線推進や原発推進姿勢はこれまでの県政と変わりません。オール与党県政の中で日本共産党の私がただ一人、県民世論とともに県政の問題点を追及してきました。

 

2,県民運動とむすんで提案・実現

■新幹線は敦賀駅どまり、在来線特急存続求めて世論と運動起こす

 ・・・70年以上つづく北陸-関西間の速達列車の寸断は問題

 

北陸新幹線は金沢から敦賀までの開業が工事の遅れにより2024年3月の開業となりました。

当初は大阪・京都から現在は金沢までの往復運転している特急「サンダーバード」、名古屋から金沢までの往復運転している特急「しらさぎ」の代わりに新幹線軌道と在来線軌道の両方を走行できるフリーゲージトレイン導入により、現在の利便性が維持される計画もあり国土交通省が認可した経緯があります。

 しかし、JR西日本が技術的困難からフリーゲージトレインの導入を断念したことから敦賀駅で特急など利用者全員の乗り換えが必要となるという、関西と北陸の間で70年間以上つづく速達列車の運行が始まって以来の「事件」が起こることになります。

 そこで私は、現行の在来線特急も何本かは残して、「乗り換えなしで」関西・中京と北陸間を往復できる利便性を確保すべき、巨額の税金負担で新幹線整備しながら、現行の利便性が失われることは許されない、と提起してきました。

 この現行の利便性維持のために特急「サンダーバード」「しらさぎ」存続を、との私の提起は、「新幹線福井延伸と在来線を考える会」の住民運動の取り組みともあいまって県民の中に共感が広がりました。鯖江市などでは当時の牧野百男市長先頭に運動が取り組まれました。一度は県議会でも特急存続求める意見書が全会一致で採択もされました(2017年3月議会)。

 しかし、県はJR西と交渉してきたが同意を得られなかった、などと特急存続を諦めてしまいました。

国土交通省も「敦賀駅には乗り換え利便性確保のために動く歩道など整備する」などと乗客の利便性維持に背を向ける姿勢だったことは重大です。

交通政策では「つなぐ」ということが重要なのに逆行する事態は異常です。

 関西・中京から敦賀駅まで来た特急列車を何本かは現在の線路を使い、敦賀駅からは第三セクター鉄道となる「ハピラインふくい」の運転によって福井駅・芦原温泉駅などまで運行することが技術的にはなんら問題なく可能であり、実現すべきでしょう。

 

 

■子ども医療費助成制度の拡充

  ―― 窓口無料化、市町とともに高校卒業まで

 

 私が5期目の時、県としての子ども医療費助成対象を中学卒業までに拡大し、償還払い方式だったのを窓口無料へと前進させることができました(2020年9月から)。

 これまで県は小学3年までを支援し、4年生から中学卒業までは福井市や坂井市など市町が独自に無料化をおこなっていました。
 私が「市町と折半して県も負担すべき」とせまっても西川前知事は消極的でした。杉本知事に替わり、私の質問に知事が「市町からも要望を聞いている。検討したい」と前向き答弁になりました。長い道のりでしたが、窓口無料化・負担軽減を喜んでいただいたお父さんお母さん、祖父母のみなさんからの声、そして新婦人の会や社会保障推進協議会など市民運動のみなさん、県内各地で奮闘し議会で取り上げてきた市会議員・町会議員の皆さん方との連携のたまものだと思います。
 県がこれまで市町独自で負担してきた小学4年から中学3年までの医療費の半額を負担することにより、市町はさらに子育て支援に踏み出す財源を得て、池田町を除き、すべて高校卒業までかそれ以上に制度が拡充されました。

ただ一部負担金制度は県として残しておりこれの撤廃、完全無料が必要です。(10市町は独自に撤廃)。

 

 

■大雪時の訪問ヘルパー車両などへの駐車場支援

2021年の大雪は福井県内でも大きな被害をもたらしました。北陸道や国道の1,500台を超える閉じ込めの問題も、健康と命に関わる大問題です。同様に、高齢者の独り暮らし、高齢者世帯、障がい者世帯などでは生き死にに関わってきます。近くに家族や訪ねてお世話してくれる人などがいなければ買物にも行けません。私は、訪問ヘルパーさんが利用者宅に行こうにも車を止める場所がない、とのお話をお聞きし、災害時の高齢者や障がい者宅へのヘルパーによる訪問介護、訪問看護、配食サービスなどの車の駐車場所の確保、を提案しました。

県は、公共施設利用とともに、コンビニなど県内全域に店舗を有するような事業者との間で、災害発生時の在宅看護とか在宅介護の訪問等のための臨時的な駐車場利用の協力協定締結、をすすめることを明らかにしました。

2021年12月から2022年2月までで、33事業者で67回の利用があった、とのことです。

災害時の介護サービスなどライフライン確保は高齢者世帯増加の中で重要な問題と位置付けての取り組みが求められます。

 

 

3,日本初の老朽原発再稼働。反対請願の紹介議員は私だけ。

 

 2021年4月、全国初となる40年超の老朽原発再稼働計画(関西電力高浜原発1,2号機、美浜原発3号機)をめぐり、県議会には県内外から59件もの反対請願が届けられました。これらの請願の紹介議員を私しか引き受けませんでした。日本共産党の議席なかりせば、老朽原発再稼働反対という多くの国民県民の声が県議会に届けられなかったのです。(福井県議会では陳情書は配布されるが、議会審査にはかからないように改悪されました)。

  2021年4月23日に本会議でつぎのように問題点を指摘しました。
①県全体で907台のバスを確保しているというが、コロナと原子力災害の同時事故では避難することも、避難所運営も、医療機関も深刻な事態に拍車をかけることは明白。いま大阪では医療崩壊で入院できないことによる在宅死がでている、兵庫や京都でも深刻になりつつある、福井県でも陽性者急増のもとで、このまま推移すれば入院できなくなる事態も想定される。こういう時期に県議会がリスクを大きくする判断をすべきでない。
福井の原発で被災地となりかねない地元住民、周辺自治体住民の声は、頼りにならない避難計画の中では再稼働しないで!が多数。

②福島原発事故の教訓を忘れてはいけない
 福島県の公式発表でも、いまだに県外避難28372人、県内避難7093人。
 本州で原発を動かしているのは福井だけ。40年超原発の60年運転にすすもうとするのは全国初。福井が第二の福島にむかいつつあるとの懸念が県民の中に広がる。
 さらに、平成16年の美浜3号機配管破裂事故で11名が死傷したことも忘れてはならない。全協でも資源エネルギー庁に指摘したが、配管そのものが検査されていなかった問題とともに、定期検査短縮で利益をあげようとした関西電力が運転中に下請け作業員に準備作業させたがために死傷者がでた。今回、国が検査のあり方を検討する中で、運転しながら検査をおこない検査期間の短縮を検討、などとでていたが、老朽原発の60年間延長、さらには80年間運転延長の画策までされている。福井県民がどこへ連れていかれるか、大変な議論がはじまっているなかで、ここで議会として老朽原発再稼働を止める判断が必要だ。

③福井県としての県民説明会開催をおこなうべき
 県主催での説明会開催は西川県政ではなかったことであり評価するが、県民がもっとも聞きたいのは、知事をはじめ県庁からの説明である。安全性や避難計画などの問題で県が説明する県民説明会を開催すべき。
 知事、櫻本副知事は、たくさんの請願や要望をされている県民運動団体との面談を拒否したが、国や関西電力など推進側とは繰り返し話をするが、苦言を呈する県民団体とは一度も面談すらしないのはあからさまな推進のとりこに陥った、と言わざるを得ない。
④基準地震動の問題
 2020年12月4日、大阪地裁は大飯原発3,4号機の設置許可を取り消す判決。その内容にしたがえば、「ばらつきの考慮」をすれば、美浜3号機は現行基準地震動993ガルが約1330ガルに、高浜1,2号機では現行700ガルが1100ガルに跳ね上がり、原子力発電所機能に重大な損傷が生じかねない。
県民説明会でも規制委員会の説明者は、繰り返しの強振動は検証していない、などと答えたが、まさに耐震設計された機能が最初の地震動でダメージを受ければ、その後の複数回の強い揺れによって安全機能が喪失する恐れがあることは明らかです。
⑤行き場のない使用済み核燃料増大
 使用済み核燃料の中間貯蔵施設について関西電力は2021年3月時点で11900回の説明を電力消費地中心におこなった、と説明しているがめどはたっていない。大事なことは、県外でも県内にしても数百年以上の長期にわたり管理し続けなければならない使用ずみ核燃料を増やし続ける原子力発電を将来世代の負担を考えれば止めることではないか。
⑥関西電力の信用は回復されたのか
・金品受領問題も自民議員の指摘にもあるようにまだくすぶっている。
・2021年8月に発生した大飯原発3号機の加圧器スプレー系配管のひびわれ問題では取り換えずに運転再開しようとしたが、規制委員会会合で安全性の証明ができず、結局配管を取り換えることに。不誠実な態度。
・私が県議会全協で関電にただした美浜3号機の竜巻対策の安全工事の溶接不備の問題でもまだ不透明な部分が残る
⑦原子力規制の信頼性も揺らいでいる
 原子炉容器の脆性劣化についての評価のもととなる元データを確認せず、関西電力の評価結果だけで認可している。
とくに、高浜1号機では脆性遷移温度が99℃と最も高く、美浜3号機でも57℃まで高くなっている。原子炉容器は交換できない。現状の関電説明うのみのままでの規制審査では県民は信用できないことは明らかです。
 
  しかし、議会では自民、公明などの議員が反対し不採択となり、2021年4月28日、杉本知事は老朽原発再稼働に同意した。2023年9月15日には高浜2号機が再稼働し、美浜3号、高浜1号、と40年超の関西電力3基すべてが再稼働した。全国で40年超の老朽原発再稼働は福井県だけ、本州での原発再稼働は福井県だけです。岸田政権のバックアップをうけて全国でも異常な原発推進が福井県を舞台にすすめられています。

 

 

<資源エネルギー庁が繰り返し福井県に110回も。党議員へ偽りの資料提供の疑いも>

 

私が全員協議会で資源エネルギー庁にただしたことだが、コロナ禍での頻繁な来県による「工作」「地ならし」がおこなわれ、2019年4月から2022年2月までになんと110回も来福していました。
 私の質問に、最初、エネ庁は「数回」などととぼけた。実は、藤野保史衆議院議員室(当時)から提供された新潟県と福井県の資料を比べると、新潟県の「面談あるいは意見交換の相手」には頻繁に県議会議員、が登場します。
 ところが福井県の資料には県議会議員はゼロ。当然私はそうだと思い、議会に臨んでいました。
 その後の新聞報道では福井県議会議員とも面談、意見交換していたことが明らかに。なぜ新潟県への出張資料と、福井県への出張資料と国会議員への提出資料の「作り方」を変えたのだろうか?
 関西電力老朽原発再稼働直前にして、「無用な」波風を立てたくない思いがあったのでないか?との疑い濃厚です。
 国会議員にまで「偽装資料」とは、どこまでも信頼できない原子力行政に怒りは収まりません。

 

4,言論の自由・民主主義の課題として高校演劇「明日のハナコ」、統一協会問題に取り組む

 

■高校演劇「明日のハナコ」

 2021年9月18日から20日に開催された県内高校演劇部の大会ともいえる高校演劇祭は、コロナ禍のため無観客で開催され、例年どおり福井ケーブルテレビでの録画放映が予定されていました。しかし、福井農林高校演劇部の「明日のハナコ」だけが放映から除外されることになりました。経過を不服とした福井農林高校演劇部の外部指導員であった玉村徹氏らは、「福井の高校演劇から表現の自由を奪わないで!「明日のハナコ」の排除を撤回し、基本的人権の侵害を止めていただくための署名にご協力ください」とのネット署名などのページを立ち上げ、著名な小説家や演劇人をはじめ短期間に1.1万人を超える賛同署名が集まるなど、全国的にも関心と賛同が広がりました。これは、原発誘致に関して当時の敦賀市長の差別用語をふくむ講演での発言をそのまま劇中に使ったことで「明日のハナコ」だけが事実上排除されることになったという、表現の自由の侵害の問題だからです。

ここが失われていくと演劇をはじめ表現の自由が奪われていくという時代の危機感があるわけです。

 私は「暗闇に隠すような態度は改めるべきです。堂々と県民の前で議論しなければ、高校演劇史上未曽有の関心と注目を集めている問題である「明日のハナコ」問題が、今度は教育行政史上、不名誉な事案として記録されることになりかねません」と議会で指摘しました。県内地元紙だけでなく全国紙などでも大きく取り上げられた問題ですが、議会で取り上げたのは私だけでした。

 

■統一協会問題で議長申し入れ、知事へ質問

 安倍元総理の銃撃事件から背景に安倍元総理はじめ自民党などの多数の政治家が統一協会・関連団体と関係があることが国民県民の関心と怒りを集めています。

 2022年9月県議会では開会日に大森県議会議長に緊急申し入れを次の4項目でおこないました。

  • 県議会として、会派および議員個人の統一協会及び関係団体との関係を調査し県民に公表する措置をとってください。
  • 統一協会およびその関係団体の活動や出版物への政務活動費からの支出がないか調査し、ある場合には返還を求めるなどの措置を講じてください。

③本県でも議員提案で制定された家庭教育支援条例は全国的に統一協会および関連団体が制定を後押ししてきたものです。県民からも疑念の目が県議会に対して向けられることになりかねません。実態を精査し、改廃含む検討をおこなってください。

  • 会派・議員が統一協会・関連団体の活動支援や「広告塔」となり、あるいは選挙などで支援をうけることなどにより結果として県民への霊感商法(開運商法)などの被害拡大につながることがないように、統一協会・関連団体との関係の清算、今後の注意喚起など必要な措置について議長名などで発出してください。

 

また、一般質問では、知事当選の年に関連団体の集会に祝電を送っていた杉本知事に統一協会との関係を質問。知事は「今後関係はもたない」と答弁しました。また、消費生活センターへの統一協会関連含む開運商法相談で、この10年間で契約額がわかるもので116件約1億円の被害となっていることが明らかとなりました。さらに消費生活センターに統一協会関係者が接近している事態も明らかになりました。彼らの策動と被害は続いており、政党政治家との癒着を断ち切り、被害者救済に取り組むことが求められています。

 

5,足羽川ダム事業費倍増。2004年福井豪雨を振り返って

①2004年7月福井豪雨はその直後の関西電力美浜3号機での11名死傷事故(8月)とともに忘れられません。いくつか特徴的なことがありますが列挙すれば以下の点があります。

⚫️全国各地の共産党や労働組合、市民団体から毎日のように駆けつけていただいたボランティア。
ボランティアセンターをたちあげ、福井県庁のボランティアバスなどとも連携しながら民家の泥出しなどに取り組みました。
また、全国の共産党から救援募金が共産党本部によせられ、美山町や今立町などをはじめ被災自治体にお届けしました。
⚫️発災日は福井市と美山町は道路が寸断され通行できませんでした。
事務局の山岡剛さんとともに大野市経由で入りました。越美北線は鉄橋がすべて落ちズタズタでした。
JR西日本の鉄道部にたちより、口頭で鉄道復旧と代替バス運行を申し入れました。
美山町役場と周辺地域も大きな被災でした。町長にお見舞いを申し上げ、緊急要望をお聞きしました。
その後町長は、たくさんの政治家が来たが、佐藤さんが一番最初にかけつけてくれた、と言っていただきました。
翌日には、高橋千鶴子衆議院議員とともに、被災地調査。高橋議員が国会で被災地救援を取り上げ、鉄道局長から、JRに越美北線復旧を指導する、との答弁を引き出し、県庁幹部からも喜ばれました。
⚫️当時の西川知事も決断し、住宅復旧のための支援制度がつくられました。
⚫️足羽川堤防が決壊し、福井市木田地域などが大きく被災しました。
ダムがないからだ、との議論が急速に広がり、いまの足羽川ダム建設容認につながっています。
 私は国土問題研究会に調査を依頼。河川工学の専門家らの調査により、決壊の大きな要因は当時足羽川内で連続して出水期に行われていた工事、と判明し、議会内外で県の河川管理の責任を追及しました。
 緊急にダムに頼らず、河川掘削など関連工事がおこなわれ、福井豪雨なみの水量でも安全な足羽川となりました。もっと早くやられていれば、堤防決壊は防げたでしょう。

詳細は「福井の科学者」2006年10月号に掲載されていますのでご参照ください。

 

②福井豪雨から10年後の2014年6月県議会で私は次のように指摘しました。

「福井豪雨から10年ということで質問をいたします。
 未曾有の豪雨により、福井市足羽川での堤防決壊を初め、福井市内各地、池田、美山、鯖江、今立など、県内広域に甚大な被害がもたらされました。足羽川ダムが着工しましたが、このダムによってこれら地域の被害を一律に軽減できるわけではなく、地域地域の河川整備を初めとした対応を着実に進めていかなくてはなりません。
 振り返れば、足羽川堤防の決壊という重大事態に際し、当時調査を行った専門家集団である国土問題研究会の調査報告が、次のように述べておりました。
 すなわち、「幸橋の工事、仮設迂回路、JR橋について見てきたが、河川管理者である福井県が、河川工作物の設置許可に当たって一番考慮しなければならない災害防止、流通阻害の防止という視点で工事工程、工事内容を十分把握した上で許可をしたとは考えられない。足羽川の破堤をきっかけにしてダム設置の必要性が福井県当局から語られるようになっているようであるが、適切な河川管理をしていれば、堤防からの越水は起こらず、破堤を起こさなくて済んだ可能性がある」。
 実に、ここまで福井県の河川管理責任に踏み込んだ分析は他にありません。しかし、福井県はあの巨大な被害に対して、みずからの責任を認めることはありませんでした。また、ダム計画に一方的に頼り過ぎることなく、もっとふだんから足羽川のしゅんせつや堤防強化など管理を怠らなければ、堤防決壊を防ぐことができたことも明らかでしょう。

 そこで、10年目の節目に改めて質問します。
 足羽川堤防決壊という河川管理者としては最も避けなければならない災害を引き起こした教訓をどのように整理し、この10年間生かしてきたのか。また、今後生かそうとしているのか、お尋ねいたします。
 さて、足羽川ダム着工、河内川ダム本体工事着工など、ダム建設が本格的に進められる中でも、各流域の河川整備計画を着実に進めなければ、県民全体の安全の向上に責任を果たすことはできません。そこで、この間の予算の推移を見てみます。河川事業関係予算は、平成10年度が261億円、福井豪雨直前の平成15年度が147億円と、ほぼ半減されておりました。その後を見ても、平成20年度が103億円、平成25年度が90億円と下がっております。そのうち、県の単独事業は、同じ年度で見ますと、34億円、15億円、11億円、10億円と減っております。つまり、福井豪雨災害後の応急的な工事で一時的に手当てはされたでしょうが、災害に常に備えていくという点では、極めて不十分ではないでしょうか。しかも、平成20年度はダム関係費が48億円ですから、半分はダムに使われています。平成25年度もダム関係は27億円ですから、3分の1がダムであります。
 現状でも、このような状況で、今後巨大ダム工事が本格的に進捗していく中で、本当に県内全域の河川整備計画の予算を確保できるのか、その見通しをお尋ねいたします。
 このことは、砂防関係の事業でも同じ傾向であります。平成10年度予算が183億円であったものが、福井豪雨時には78億円と半減されていました。豪雨後の応急復旧事業が終われば、平成20年度は42億円、平成25年度は21億円と大きな減りです。
 河川にしても砂防にしても、県民の身近な暮らしを守る公共事業が手薄になっているではありませんか。こういう状況のままで不要不急の足羽川ダムや新幹線建設などに巨額の財政を振り向けることは、結果的に県民に重大な損害を与えかねないことを厳しく指摘し、私の質問を終わります。」

 

③足羽川ダムの事業費が2023年、2倍に膨らみました。8月16日付の福井新聞論説でも「池田町で建設を進めている足羽川ダムの完成が3年遅れ2029年度にずれ込み、事業費も約1200億円増の約2500億円に膨らんだ。国土交通省は工程や事業費の想定の甘さについて、真剣に受け止める必要がある。足羽川ダムの今回の事業費増額に伴う県の実質負担は約160億円。20年の北陸新幹線金沢―敦賀の開業遅れに伴う追加建設費の実質負担より大きい。県は国交省に対し、国土強靱(きょうじん)化予算の活用などできる限りの地元負担軽減を求めているが、中央要請まで行った新幹線の事業費増額時と比べるとあっさりとした印象だ。県議会の議論も活発だったとは言えない。県民の安全につながる事業であり、コストを削減すればいいというわけではないだろう。ただ、あらゆる手段を使い地元負担の軽減に努めるべきだ。これ以上の完成遅れや事業費増額がないよう、工事の進捗(しんちょく)管理の徹底も求められる」と指摘されました。

 福井県もオール与党の福井県議会も「あっさり」事業費倍増を容認したことを皮肉っています。

 

足羽川ダムは、もともとの計画地は現在の池田町ではなく、当時の美山町でした。200軒もの移転を伴う計画でもあり県議会、福井市議会でも日本共産党だけが一貫して反対。美山町でも住民の皆さんの反対運動が粘り強く続けられ、当時の建設省が美山での計画を見直すよう求めたのです。

 当時のダム計画には福井市の水道用水や県の工業用水の計画も含まれていました。しかしその後の人口推計などにもとづき、県も福井市も利水計画から撤退を決めました。その結果治水専用ダムと変わり、福井市は足羽川ダム建設の負担金はなくなったのです。今回の大幅な事業費上振れが福井市財政に影響を与えることもありません。

 おかしな公共事業にチェックをかけ、異議をとなえ反対つらぬく住民とともに日本共産党が頑張って、ダム建設事業費の巨額負担を福井市が免れた、と言っても過言ではないでしょう。

 

6,今後もとめられる県民による県政・県議会チェック

 

 2023年9月、福井県警は「飲酒運転根絶」などと称して、「会社の同僚などが出勤してきた際に酒くさかったら、直接県警にメールで通報を」などの取り組みをはじめました。もちろん酒気帯び運転は許されません。しかし、県民同士を相互監視させ、県警に通報させる仕組み導入、とは驚きです。戦争も国民の相互監視システムが特高警察の取り締まりと連動していました。こんな県警の手法は全国でも多くありません。

日本共産党県議会議員による県政や県議会へのチェックがなくなると、なにが行われるかわかりません。科学者会議はじめ市民団体の皆さんによる県政、議会への県民のチェックを強めることがますます求められています。