前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

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福井豪雨から20年。福井市内では各種の展示企画も。しかし、足羽川堤防決壊にいたる行政責任に触れるものがないのはなぜか?あの時は大変だったね、の思い出話だけでは教訓を活かすことにならないのではないか。

2024年07月18日 | 福井県政

 福井豪雨から20年。マスコミでの報道。福井市内では各種の展示企画も。しかし、足羽川堤防決壊にいたる行政責任に触れるものがないのはなぜか❓あの時は大変だったね、ボランティアも頑張ったね、との思い出話だけでは教訓を活かすことにならないのではないか。

福井市内各地で行政などが行なっている展示より

 

 

 

 

 

 

 

 

■福井の科学者 2024年1月号より

 

足羽川ダム事業費倍増。2004年福井豪雨を振り返って

①2004年7月福井豪雨はその直後の関西電力美浜3号機での11名死傷事故(8月)とともに忘れられません。いくつか特徴的なことがありますが列挙すれば以下の点があります。

⚫️全国各地の共産党や労働組合、市民団体から毎日のように駆けつけていただいたボランティア。
ボランティアセンターをたちあげ、福井県庁のボランティアバスなどとも連携しながら民家の泥出しなどに取り組みました。
また、全国の共産党から救援募金が共産党本部によせられ、美山町や今立町などをはじめ被災自治体にお届けしました。
⚫️発災日は福井市と美山町は道路が寸断され通行できませんでした。
事務局の山岡剛さんとともに大野市経由で入りました。越美北線は鉄橋がすべて落ちズタズタでした。
JR西日本の鉄道部にたちより、口頭で鉄道復旧と代替バス運行を申し入れました。
美山町役場と周辺地域も大きな被災でした。町長にお見舞いを申し上げ、緊急要望をお聞きしました。
その後町長は、たくさんの政治家が来たが、佐藤さんが一番最初にかけつけてくれた、と言っていただきました。
翌日には、高橋千鶴子衆議院議員とともに、被災地調査。高橋議員が国会で被災地救援を取り上げ、鉄道局長から、JRに越美北線復旧を指導する、との答弁を引き出し、県庁幹部からも喜ばれました。
⚫️当時の西川知事も決断し、住宅復旧のための支援制度がつくられました。
⚫️足羽川堤防が決壊し、福井市木田地域などが大きく被災しました。
ダムがないからだ、との議論が急速に広がり、いまの足羽川ダム建設容認につながっています。
 私は国土問題研究会に調査を依頼。河川工学の専門家らの調査により、決壊の大きな要因は当時足羽川内で連続して出水期に行われていた工事、と判明し、議会内外で県の河川管理の責任を追及しました。
 緊急にダムに頼らず、河川掘削など関連工事がおこなわれ、福井豪雨なみの水量でも安全な足羽川となりました。もっと早くやられていれば、堤防決壊は防げたでしょう。

詳細は「福井の科学者」2006年10月号に掲載されていますのでご参照ください。

 

②福井豪雨から10年後の2014年6月県議会で私は次のように指摘しました。

「福井豪雨から10年ということで質問をいたします。
 未曾有の豪雨により、福井市足羽川での堤防決壊を初め、福井市内各地、池田、美山、鯖江、今立など、県内広域に甚大な被害がもたらされました。足羽川ダムが着工しましたが、このダムによってこれら地域の被害を一律に軽減できるわけではなく、地域地域の河川整備を初めとした対応を着実に進めていかなくてはなりません。
 振り返れば、足羽川堤防の決壊という重大事態に際し、当時調査を行った専門家集団である国土問題研究会の調査報告が、次のように述べておりました。
 すなわち、「幸橋の工事、仮設迂回路、JR橋について見てきたが、河川管理者である福井県が、河川工作物の設置許可に当たって一番考慮しなければならない災害防止、流通阻害の防止という視点で工事工程、工事内容を十分把握した上で許可をしたとは考えられない。足羽川の破堤をきっかけにしてダム設置の必要性が福井県当局から語られるようになっているようであるが、適切な河川管理をしていれば、堤防からの越水は起こらず、破堤を起こさなくて済んだ可能性がある」。
 実に、ここまで福井県の河川管理責任に踏み込んだ分析は他にありません。しかし、福井県はあの巨大な被害に対して、みずからの責任を認めることはありませんでした。また、ダム計画に一方的に頼り過ぎることなく、もっとふだんから足羽川のしゅんせつや堤防強化など管理を怠らなければ、堤防決壊を防ぐことができたことも明らかでしょう。

 そこで、10年目の節目に改めて質問します。
 足羽川堤防決壊という河川管理者としては最も避けなければならない災害を引き起こした教訓をどのように整理し、この10年間生かしてきたのか。また、今後生かそうとしているのか、お尋ねいたします。
 さて、足羽川ダム着工、河内川ダム本体工事着工など、ダム建設が本格的に進められる中でも、各流域の河川整備計画を着実に進めなければ、県民全体の安全の向上に責任を果たすことはできません。そこで、この間の予算の推移を見てみます。河川事業関係予算は、平成10年度が261億円、福井豪雨直前の平成15年度が147億円と、ほぼ半減されておりました。その後を見ても、平成20年度が103億円、平成25年度が90億円と下がっております。そのうち、県の単独事業は、同じ年度で見ますと、34億円、15億円、11億円、10億円と減っております。つまり、福井豪雨災害後の応急的な工事で一時的に手当てはされたでしょうが、災害に常に備えていくという点では、極めて不十分ではないでしょうか。しかも、平成20年度はダム関係費が48億円ですから、半分はダムに使われています。平成25年度もダム関係は27億円ですから、3分の1がダムであります。
 現状でも、このような状況で、今後巨大ダム工事が本格的に進捗していく中で、本当に県内全域の河川整備計画の予算を確保できるのか、その見通しをお尋ねいたします。
 このことは、砂防関係の事業でも同じ傾向であります。平成10年度予算が183億円であったものが、福井豪雨時には78億円と半減されていました。豪雨後の応急復旧事業が終われば、平成20年度は42億円、平成25年度は21億円と大きな減りです。
 河川にしても砂防にしても、県民の身近な暮らしを守る公共事業が手薄になっているではありませんか。こういう状況のままで不要不急の足羽川ダムや新幹線建設などに巨額の財政を振り向けることは、結果的に県民に重大な損害を与えかねないことを厳しく指摘し、私の質問を終わります。」

 

③足羽川ダムの事業費が2023年、2倍に膨らみました。8月16日付の福井新聞論説でも「池田町で建設を進めている足羽川ダムの完成が3年遅れ2029年度にずれ込み、事業費も約1200億円増の約2500億円に膨らんだ。国土交通省は工程や事業費の想定の甘さについて、真剣に受け止める必要がある。足羽川ダムの今回の事業費増額に伴う県の実質負担は約160億円。20年の北陸新幹線金沢―敦賀の開業遅れに伴う追加建設費の実質負担より大きい。県は国交省に対し、国土強靱(きょうじん)化予算の活用などできる限りの地元負担軽減を求めているが、中央要請まで行った新幹線の事業費増額時と比べるとあっさりとした印象だ。県議会の議論も活発だったとは言えない。県民の安全につながる事業であり、コストを削減すればいいというわけではないだろう。ただ、あらゆる手段を使い地元負担の軽減に努めるべきだ。これ以上の完成遅れや事業費増額がないよう、工事の進捗(しんちょく)管理の徹底も求められる」と指摘されました。

 福井県もオール与党の福井県議会も「あっさり」事業費倍増を容認したことを皮肉っています。

 

足羽川ダムは、もともとの計画地は現在の池田町ではなく、当時の美山町でした。200軒もの移転を伴う計画でもあり県議会、福井市議会でも日本共産党だけが一貫して反対。美山町でも住民の皆さんの反対運動が粘り強く続けられ、当時の建設省が美山での計画を見直すよう求めたのです。

 当時のダム計画には福井市の水道用水や県の工業用水の計画も含まれていました。しかしその後の人口推計などにもとづき、県も福井市も利水計画から撤退を決めました。その結果治水専用ダムと変わり、福井市は足羽川ダム建設の負担金はなくなったのです。今回の大幅な事業費上振れが福井市財政に影響を与えることもありません。

 おかしな公共事業にチェックをかけ、異議をとなえ反対つらぬく住民とともに日本共産党が頑張って、ダム建設事業費の巨額負担を福井市が免れた、と言っても過言ではないでしょう。

 

■福井豪雨10年での私の県議会予算特別委員会質疑より

 

◯佐藤委員  一般質問の続きであるが、福井豪雨、関西電力美浜原発事故から10年ということで、再び尋ねたいと思うのであるが、足羽川はなぜ長期間河川改修やしゅんせつが行われず破堤を招いたのか。改修やしゅんせつが適切に行われていれば、県都の中心部での破堤という事態を避けられたことは、豪雨の後の激特事業の成果で明瞭ではないかというふうに思うわけである。
 そこで、その激特事業の成果を、まずお答え願いたい。あわせて、激特事業について、何年間かかったのか。それから、総事業費は幾らだったのか。費用対効果はどういう数字なのかということを尋ねる。


◯土木部長  足羽川については、昭和49年から河川改修に着手していた。日野川合流点から木田橋の約4.5キロメートルの区間について、工事実施基本計画に基づいて、低水護岸、それから花月橋とか九十九橋、桜橋の橋梁のかけかえなどを進めてきたところである。事業費として約80億円かけて改修を進めてきた。
 なお、福井豪雨災害については、足羽川洪水災害調査対策検討会において、6時間雨量は戦後最大となり、かつ、雨量確率で約1000分の1を示す大規模な雨によるものと認識している。河川改修やしゅんせつが適切に行われなかったという事実はなく、それらが要因ではないと結論づけられている。
 2問目であるが、足羽川の激特事業の事業期間、総事業費、費用対効果についての質問である。足羽川河川激甚災害対策特別緊急事業、略して激特事業であるが、事業期間については平成16年度から平成20年度であって、総事業費は166億5,000万円となっている。費用対効果であるが、改修前10年に一度の確率規模、毎秒約1,300立法メートル流れていたが、それが30年に一度の確率規模の流下能力に向上した。毎秒約1,800立法メートル流れる。さらに国が進めている足羽川ダムが完成することで、80年に一度の確率規模の流下能力、毎秒2,400立法メートルの流下能力となって、福井豪雨と同程度の豪雨にも対応できるということになる。


◯佐藤委員  きょう、お昼のニュースを見ていたら、九州は大変な大雨で、河川災害というよりは土砂災害の報道があった。端的に尋ねるが、福井豪雨が、例えば来週でも今週でも構わないが、同じような雨が降ったとなったら、また破堤するのか。


◯土木部長  破堤しない。


◯佐藤委員  それはやはり激特事業の成果だと思う。ただ、ダムがなくても破堤しないようにできたわけである。なぜそれができなかったかというと、やはりダムの計画がずっと何十年も不透明だった。だから、結局ダムの計画が決まらないと河川の計画も決まらない。こういうような仕組みがあって、結局、河川の改修にもきちんと本格的には着手できなかった。今回、ようやく足羽ダムの計画が決まったということももちろんあるし、それから、もともと破堤したという大問題があるから、そういう激特事業という緊急の応急対策でやられた。そして、福井豪雨規模の豪雨が流れてきても破堤しない川に生まれかわったということは事実であるから、そこはしっかり見ておいていただきたいというように思う。