2021年9月17日におこなわれた福井県議会総務教育常任委員会の教育委員会関係部分の佐藤正雄委員の質疑を紹介します。
9月議会会期中に辻一憲議員が不慮の事故で急逝されました。辻議員の最後の質疑の一部も紹介し、ご冥福をお祈りします。
◯西本(正)分科会長 審査は、分科会、次に委員会の順序で行うので、了承願う。
まず、分科会の審査に入る。予算議案のうち、第64号議案の教育委員会関係分について、各委員より発言を願う。
◯辻委員 予算についてなのだけれども、予算案説明資料の3ページにある県立学校施設リフレッシュ事業なのだけれども、これは令和4年度だと思うのだが、それを前倒しでやっていくということなのかもしれないが、具体的にはどこなのだろうか。
◯教育政策課長 こちらについては、武生商工高校の本館、いわゆる管理棟、普通教棟を対象としている。
◯辻委員 予算案説明資料の4ページの地域の普通科系高校の魅力向上支援事業なのだけれども、教育長とか副部長の話をいろいろ聞いていると、新学科の新設だとか、それから高校の魅力化ということで、かなり力を入れていく状況だと思うが、ここで上がっているのは、探究ルームの整備だとかそういった話なのである。武生商工高校のキャンパス整備はかなり力を入れていると思うのだけれども、もう少しハード整備やソフトの予算が必要なのではないかと思う。現段階ではこの程度で、ここから増えていくのかどうか、その辺りを教えてほしい。
◯副部長(高校教育) 今取り組んでいる魅力化についてであるが、今回予算として上げさせていただいた学校のほかに、魅力化についてはほかの学校においても順次取り組んでいるところである。予算が必要なものもあるし、予算がなくても魅力化が図れるような取組もあるので、今後また各学校といろいろ協議をする中で、必要なものについてはまた検討していきたいと考えている。
◯辻委員 もう一点、魅力化を進めていく上で、新学科だとかコースを新設していくとか、並行させていく中で、カリキュラム作りも含めて多分相当なエネルギーがかかってくるのではないかなと思うのであるが、そういった部分についての県の支援というのは各学校に対してあるのだろうか。
◯副部長(高校教育) それぞれの学校で事情は違うかもしれないけれども、そうしたプログラムの開発であるとか、カリキュラム開発、新しい取組があるので、必要な学校においては、外部の専門家、指導者を入れるような形でやっている学校もある。
◯辻委員 教育委員会としても力を入れていくことだと思うので、予算のほうも必要なものはきちっと付けていくべきではないかなと思っているので、これは要望にしておく。
◯佐藤委員 関連であるけれども、予算を付ける場合には付けるし、予算がなくてもやることはやってもらうというような答弁だったと思うのだが、その辺の考え方で、予算を付ける場合と予算を付けないけれども自助努力で頑張るようにという区分けはどうやるのか。高校によってそれを差別化するのか、あるいは校長の意向によって変わるのか。
◯副部長(高校教育) そのことについては、今それぞれの学校と教育委員会のほうでいろいろな話合いを継続的に行ってきていて、どうしても予算が必要で学校から要望として出てくる場合には、今回のように予算化させていただいている。いろいろなカリキュラム開発があるけれども、予算がなくとも十分取り組んでいけるものについては、校長の判断の下で話合いの結果、予算を付けずに取り組んでいるようなところもあるので、教育委員会として一方的に差別化することは決してないのである。
◯教育長 今回の予算は特に今年度内に整備しておかないと来年度から事業ができないという面を考慮して、9月補正をさせていただいている。ほかの学校のいろんな魅力化の取組については、当初予算でまた上げさせていただきたいと思っている。
◯佐藤委員 ホワイトボードを設置してどうなるのかと思ったので、実際に予算の考え方がどうなのか質問した。教育長おっしゃるとおりであれば、これからも積極的に対応をお願いしたいと思う。
最後、予算案説明資料7ページの公立小・中学校再編成事業は従来からあったのかどうかということと、従来からあるのであれば、これまでスクールバス支援というのは県内で県として何台ぐらい支援しているのか教えてほしい。
◯義務教育課長 この制度は従来からあって、小中学校が統廃合を行った際、子どもたちが通学するためのスクールバスの購入費を国が2分の1、県が2分の1補助しているものである。
今回は、南越前町の3中学校が統廃合を行う際に必要になるバスを支援させていただくものである。直近の実績で申し上げると、令和2年度に大野市に支援をしている。
議案審査 学科再編
◯佐藤委員 第69号議案であるが、仕組みを教えていただきたい。こういうことをすることによって、例えば教員の加配がどれぐらい増えてくるのか、あるいは国からのいろんな支援制度がどれぐらい増えてくるのか。いわゆる福井県にとってのメリットは数字で言うとどういうことなのか、教えてほしい。
◯副部長(高校教育) まず、この条例改正についてであるけれども、学科を普通科から専門学科に変えるということになるわけである。専門学科にすることの一番のメリットは、まず普通科の場合であると、学習指導のルールの中で、国語、数学いろいろあると思うのだけれども、必ず履修しなければならない科目というのが、かなりがちがちに組まれている。
ところが、専門学科に移行すると、その専門の教科を多く履修するのは当然であるけれども、その一方でそのほかの教科の履修を緩やかにし、専門学科と抱き合わせるとか、柔軟性も持てるようなルールになっている。
したがって、例えば理科と数学、普通科であるとそれぞれ決められている単位数の中でやっていくことになるのだけれども、専門学科になると例えば理科と数学を合わせた理数数学といった新しい科目を設定することで、学校のオリジナル性を出していくことが可能になっていく。今それぞれの高校が魅力化で進めようとしているので、専門学科に移行することによって、その学校ならではの時間割が作られるようになっていく。カリキュラムの面で魅力化が強く出せるというふうなメリットがある。それがまず一番のメリットになるかと思う。
◯佐藤委員 そうすると、国からの人的配置の問題とか財政的な支援とか全く変わらないということであるか。
◯副部長(高校教育) 今、具体の数字は手元に資料がないけれども、専門学科に移行することによって、加配が若干あるのは間違いない。
◯佐藤委員 要するに今の話だと、例えば理科の教員と数学の教員がいたのを、科目を1つにすることによって教員を1人に減らすことができるというような発想にも聞こえるのである。加配も認められるという辺りをもう少し丁寧に説明しないと、学校の教員の合理化になるのか、一体どうなるのかと。カリキュラムは柔軟に組めるけれども、スタッフとかがどうなるのか。全体像をもう少し示していただけたらと思うのである。
◯副部長(高校教育) 委員のおっしゃったとおり、決して合理化するということではなくて、専門学科に移行することによって、学校オリジナルの科目を学校設定科目という言い方をするのだけれども、そういう科目を作っていくことが可能になる。そうすると、当然その授業は新しい授業ということになるので、いろいろな先生方で研究をしながら進めていくことになるため、そういう意味では合理化ということは決してなくて、むしろ先生方の知恵を出して、探究的な学びであるとか、そういった新しい学びを作っていくということを目指しているところである。
であるので、数まで掌握していないけれども、加配はそこに付くことになっているので、そういったものを最大に活用しながら、新しい学びというものをその学校オリジナルで作っていきたいと考えている。
教員免許偽造
◯佐藤委員 教育長の報告の冒頭で、教員免許の偽造のことがあって、ほかの教員は全部調べたけれどそういうことはないということであった。そもそもなぜこういうことが起こったのかということで、経緯を明らかにしているか。
◯教職員課長 この問題の元講師なのだけれども、今年度の採用試験を希望していた。採用試験を希望する場合、志願書を出していただく。志願書の記載の中に、免許に関し所有している、あるいは所有見込みである免許の情報を書く欄がある。提出された書類をチェックする中で、有効期限等で疑義を感じた部分があり、実際に免許を発行している他県の教育委員会に問い合わせたところ、そのような事実はないというふうなことが分かり、その後本人のほうにも確認をして、発覚していったという経緯である。
◯佐藤委員 そもそも、なぜそういう偽造免許状で2年以上にわたって福井県の教壇に立てたのかということなのである。
◯教職員課長 これは、採用時に教員免許状の原本を確認するということになっているのだけれども、この方の場合、年度の途中ということもあって、大学のほうから発行が遅れているということを聞いていた。台風等の関係で卒業式が延期になったということで、学校長がその話を聞いて、後日提出をしてほしいということになった。後日提出されたのだけれども、その際チェックが甘くて、そのまま採用になってしまったという経緯である。
◯佐藤委員 いろんな背景があるのだろうが、先ほどの議論の中でもやっぱり現場の教員、例えば産休代替とかいろんな教員を探すのが大変だという声がずっと議会の中でも出されていて、教育委員会も努力はされているのだけれど、結局は現場任せで校長の責任で探してくれと、教育委員会は手配できないというようなこともあったりするとお聞きしている。
であるから、きちんと正規の教員を確保しつつ、臨時の採用についても、とにかく人が要るのだということで焦ってしまって、そういうチェック漏れということが起こったのではないかというようなことも考えられると思う。もちろん特殊なケースだと思うけれども、1件だけでも教育長が言われたように重大な問題だということであるので、現場の責任で臨時教員を探す、あるいは産休の代替を探すということになってくると、再任用教員とかがだんだん増えて枠が小さくなってくる。年金とかの関係で退職時期が伸びていけば、もう辞める頃には肉体的にも精神的にもかなわないという教員が増えて、現場の校長先生も代わりを探すのが大変だと思うのである。今後そういう問題がさらに深刻化する。教員の手配がいろいろ大変な状況になるだろうから、そういうことが起きないように、きちんとしていくことが必要ではないかという趣旨も含めて質問させてもらっているので、もう一回答弁をお願いする。
◯教職員課長 教職員の確保のことについては、本当に委員おっしゃるように苦労していることである。こちらも現場任せというわけではなくて、もちろん県のほうでも人を探しながら、学校の校長先生をはじめ、学校の方とも一緒になりながらもやっていかないと人がいないというのも現状である。
今回の偽造が発覚できなかったことは県教育委員会の責任であるので、人的なものを確保しながら、こういうことがないように努めていきたいと思う。
強度行動障害児への対応
◯佐藤委員 よろしくお願いする。
それから、一般質問でたしか辻議員だったと思うが、いろいろ障がい児対応のことを質問された中で、強度行動障がいのことを教育長が答弁されていた。そもそも、小学校、中学校、高校で何人ぐらいこういう児童生徒さんがおられるのかということ。今後こういう児童生徒さんに対応するため研修も強化していくという答弁だったと思うのだが、それは具体的にどういうことを考えておられるのかをお尋ねする。
◯特別支援教育室長 強度行動障がいのお子さんについてだが、具体的な数というのはこちらのほうでは把握はできていないが、お子さんの様子というと、情緒が不安定でパニックを起こして、自分を傷つけたり、物に当たったり、それから他人を傷つけたりというような形で行動障がいが現れてくるお子さんである。
◯佐藤委員 研修をやるとかいろいろ答弁あったと思う。今後の対応、具体的にはどういうことをやるのか。
◯特別支援教育室長 強度行動障がいについては、今いろいろな検証が進んでいる障がいで、発達障がいの一つであり、通常の学校にもそういうお子さんもいらっしゃると思う。通常学級とか特別支援学級を担当する先生方に対し、特別支援教育センターの専門研修を県としても実施していきたいと思っている。
◯佐藤委員 人数的には何百人もいらっしゃるわけではないと思うのだが、ただこういうケースは教員の手が非常にかかることになると思うのである。
それで、高校生ぐらいのときにかなり発症するというか、重くなるというか、そういう行動が出る場合が多いとお聞きしているのである。学校の現場の先生もそうであるし、関連する障がい者施設などの声もお聞きすると、転勤など異動もあり学校の先生だけでその子を何年間にわたって見続けることは難しい場合もあると。専門の福祉施設の職員が一緒に入って、この子はこういうようにやっていくと気持ちが落ち着くよとか、そういうサポート体制を構築すると、現場の教員にとっても非常にいい面もあるのではないかという声もお聞きしている。ただ外部の施設の人が学校現場に入ってというのはなかなか今の制度でどうなのかということもあるのだけれども、しかし勉強を教える講師を呼び入れたりしているわけであるから、考え方によっては実践の講師を呼び入れることもあり得るのかなと思っているのだが、その辺はどうだろうか。
◯特別支援教育室長 強度行動障がいについては、発達障がいをお持ちのお子さんに不適切な関わりをした結果としての二次障がいという形で出てくる場合も多い症状である。なので、学校の教員に発達障がいに対するお子さんに対して、正しい支援の仕方というか、専門性をつけていただいて、将来的に強度行動障がいという形で現れてきてしまわないように努めていきたいと思っている。
◯佐藤委員 その教員の専門性をつけるということは、もちろん大事なことだと思うが、今言ったように、先生方は転勤があるので、やはり日常的に施設や専門家の方と連携されて、現場で勉強していくということもぜひ検討をお願いしたいと思っている。
それからもう一つは、来年の入試についてなのだが、これは要綱の発表とか具体的な選抜方式とか、いつ具体的に発表されて何か変更点とかはあるのだろうか。
◯副部長(高校教育) 入学者選抜試験については、日程を例年からひと月前倒しして、2月の中旬に実施することは既に広く周知させていただいている。その詳細や要綱等については、例年どおりの日程で10月末をめどに出していく方向で準備をさせていただいているところである。
また、コロナ感染症への対応についても、昨年度は緊急の対応をさせていただいたが、今年度についても検討を進めているところである。
◯佐藤委員 選抜方式での在り方とか、そういうのは従来どおりということなのか。それとも新たな点も考えているのか、その点どうなのか。
◯副部長(高校教育) 選抜方式については、大きな内容面での変更というのは特に考えていない。推薦入試制度、特色選抜入試制度、一般入試という大きな3つの分類で考えている。
高校生県議会・・・定時制教科書の無償化復活要求
◯佐藤委員 最後であるけれども、高校生県議会を私も傍聴して、各議員の皆さんも今回議会でもたくさん取り上げられたけれど、私も道守高校のところに参加して最初から最後まで聞かせていただいた。
それで、教育長の本会議での答弁に関してなのだが、そのときに女性の高校生が言っておられた、1時間バイトで働いても教科書1冊買えないのであるというようなことも言っておられて、他県のような教科書無償制度、定時制の無償制度を復活してほしいというお話であった。本会議で問われた教育長は、そういう枠があるという答弁をされたと思うのだが、具体的にそういう枠がありながら現場で使われていないようであれば、予算があっても持ち腐れだと思うのだが、その辺はなぜそういうことになったのだろうか。
◯副部長(高校教育) 学校のほうでは、年度当初に、例えば入学してきた生徒さん、もしくはその保護者の方に対して、奨学金制度の周知というのを必ずしている。これはどこの学校でもそういう形を取っている。
また、年度途中に新しく出てくるようなものについても、チラシ等をお配りしながら周知をしているところであるが、結果として今そういう話であるので、今後いかに正確に確実に保護者の方に情報が伝わっていくかということも検討していて、例えば各学校が持つホームページ上にそういう情報を集約するようなページを設けるであるとか、県教育委員会としても学校任せではなくて、県のホームページのほうで何かそういうことができないかといったことも検討しているところである。
知らなかったということがあるので、生徒並びに、特に保護者の方にいかに情報をお伝えするかというところで検討をさらに進めていきたいと思っている。
◯佐藤委員 今、ホームページとかでというけれど、もうそこに生徒が入学しているし、家庭の状況についても、独り親で大変だとか難病を抱えて大変だとかを把握されているわけであるから、一人一人の状況を一番つかんでいる学校現場で無償化だとか対応できるように考えたほうがいいのではないだろうか。お答え願う。
◯副部長(高校教育) あくまでも生徒に接するのは担任であるので、まずは担任がその情報をちゃんと正確に把握していることが大前提である。その辺りも含めて再度、周知徹底ということについて、委員おっしゃるようなことも含めて検討はしていきたいと思っている。
9月議会会期中に辻一憲議員が不慮の事故で急逝されました。辻議員の最後の質疑の一部も紹介し、ご冥福をお祈りします。
◯西本(正)分科会長 審査は、分科会、次に委員会の順序で行うので、了承願う。
まず、分科会の審査に入る。予算議案のうち、第64号議案の教育委員会関係分について、各委員より発言を願う。
◯辻委員 予算についてなのだけれども、予算案説明資料の3ページにある県立学校施設リフレッシュ事業なのだけれども、これは令和4年度だと思うのだが、それを前倒しでやっていくということなのかもしれないが、具体的にはどこなのだろうか。
◯教育政策課長 こちらについては、武生商工高校の本館、いわゆる管理棟、普通教棟を対象としている。
◯辻委員 予算案説明資料の4ページの地域の普通科系高校の魅力向上支援事業なのだけれども、教育長とか副部長の話をいろいろ聞いていると、新学科の新設だとか、それから高校の魅力化ということで、かなり力を入れていく状況だと思うが、ここで上がっているのは、探究ルームの整備だとかそういった話なのである。武生商工高校のキャンパス整備はかなり力を入れていると思うのだけれども、もう少しハード整備やソフトの予算が必要なのではないかと思う。現段階ではこの程度で、ここから増えていくのかどうか、その辺りを教えてほしい。
◯副部長(高校教育) 今取り組んでいる魅力化についてであるが、今回予算として上げさせていただいた学校のほかに、魅力化についてはほかの学校においても順次取り組んでいるところである。予算が必要なものもあるし、予算がなくても魅力化が図れるような取組もあるので、今後また各学校といろいろ協議をする中で、必要なものについてはまた検討していきたいと考えている。
◯辻委員 もう一点、魅力化を進めていく上で、新学科だとかコースを新設していくとか、並行させていく中で、カリキュラム作りも含めて多分相当なエネルギーがかかってくるのではないかなと思うのであるが、そういった部分についての県の支援というのは各学校に対してあるのだろうか。
◯副部長(高校教育) それぞれの学校で事情は違うかもしれないけれども、そうしたプログラムの開発であるとか、カリキュラム開発、新しい取組があるので、必要な学校においては、外部の専門家、指導者を入れるような形でやっている学校もある。
◯辻委員 教育委員会としても力を入れていくことだと思うので、予算のほうも必要なものはきちっと付けていくべきではないかなと思っているので、これは要望にしておく。
◯佐藤委員 関連であるけれども、予算を付ける場合には付けるし、予算がなくてもやることはやってもらうというような答弁だったと思うのだが、その辺の考え方で、予算を付ける場合と予算を付けないけれども自助努力で頑張るようにという区分けはどうやるのか。高校によってそれを差別化するのか、あるいは校長の意向によって変わるのか。
◯副部長(高校教育) そのことについては、今それぞれの学校と教育委員会のほうでいろいろな話合いを継続的に行ってきていて、どうしても予算が必要で学校から要望として出てくる場合には、今回のように予算化させていただいている。いろいろなカリキュラム開発があるけれども、予算がなくとも十分取り組んでいけるものについては、校長の判断の下で話合いの結果、予算を付けずに取り組んでいるようなところもあるので、教育委員会として一方的に差別化することは決してないのである。
◯教育長 今回の予算は特に今年度内に整備しておかないと来年度から事業ができないという面を考慮して、9月補正をさせていただいている。ほかの学校のいろんな魅力化の取組については、当初予算でまた上げさせていただきたいと思っている。
◯佐藤委員 ホワイトボードを設置してどうなるのかと思ったので、実際に予算の考え方がどうなのか質問した。教育長おっしゃるとおりであれば、これからも積極的に対応をお願いしたいと思う。
最後、予算案説明資料7ページの公立小・中学校再編成事業は従来からあったのかどうかということと、従来からあるのであれば、これまでスクールバス支援というのは県内で県として何台ぐらい支援しているのか教えてほしい。
◯義務教育課長 この制度は従来からあって、小中学校が統廃合を行った際、子どもたちが通学するためのスクールバスの購入費を国が2分の1、県が2分の1補助しているものである。
今回は、南越前町の3中学校が統廃合を行う際に必要になるバスを支援させていただくものである。直近の実績で申し上げると、令和2年度に大野市に支援をしている。
議案審査 学科再編
◯佐藤委員 第69号議案であるが、仕組みを教えていただきたい。こういうことをすることによって、例えば教員の加配がどれぐらい増えてくるのか、あるいは国からのいろんな支援制度がどれぐらい増えてくるのか。いわゆる福井県にとってのメリットは数字で言うとどういうことなのか、教えてほしい。
◯副部長(高校教育) まず、この条例改正についてであるけれども、学科を普通科から専門学科に変えるということになるわけである。専門学科にすることの一番のメリットは、まず普通科の場合であると、学習指導のルールの中で、国語、数学いろいろあると思うのだけれども、必ず履修しなければならない科目というのが、かなりがちがちに組まれている。
ところが、専門学科に移行すると、その専門の教科を多く履修するのは当然であるけれども、その一方でそのほかの教科の履修を緩やかにし、専門学科と抱き合わせるとか、柔軟性も持てるようなルールになっている。
したがって、例えば理科と数学、普通科であるとそれぞれ決められている単位数の中でやっていくことになるのだけれども、専門学科になると例えば理科と数学を合わせた理数数学といった新しい科目を設定することで、学校のオリジナル性を出していくことが可能になっていく。今それぞれの高校が魅力化で進めようとしているので、専門学科に移行することによって、その学校ならではの時間割が作られるようになっていく。カリキュラムの面で魅力化が強く出せるというふうなメリットがある。それがまず一番のメリットになるかと思う。
◯佐藤委員 そうすると、国からの人的配置の問題とか財政的な支援とか全く変わらないということであるか。
◯副部長(高校教育) 今、具体の数字は手元に資料がないけれども、専門学科に移行することによって、加配が若干あるのは間違いない。
◯佐藤委員 要するに今の話だと、例えば理科の教員と数学の教員がいたのを、科目を1つにすることによって教員を1人に減らすことができるというような発想にも聞こえるのである。加配も認められるという辺りをもう少し丁寧に説明しないと、学校の教員の合理化になるのか、一体どうなるのかと。カリキュラムは柔軟に組めるけれども、スタッフとかがどうなるのか。全体像をもう少し示していただけたらと思うのである。
◯副部長(高校教育) 委員のおっしゃったとおり、決して合理化するということではなくて、専門学科に移行することによって、学校オリジナルの科目を学校設定科目という言い方をするのだけれども、そういう科目を作っていくことが可能になる。そうすると、当然その授業は新しい授業ということになるので、いろいろな先生方で研究をしながら進めていくことになるため、そういう意味では合理化ということは決してなくて、むしろ先生方の知恵を出して、探究的な学びであるとか、そういった新しい学びを作っていくということを目指しているところである。
であるので、数まで掌握していないけれども、加配はそこに付くことになっているので、そういったものを最大に活用しながら、新しい学びというものをその学校オリジナルで作っていきたいと考えている。
教員免許偽造
◯佐藤委員 教育長の報告の冒頭で、教員免許の偽造のことがあって、ほかの教員は全部調べたけれどそういうことはないということであった。そもそもなぜこういうことが起こったのかということで、経緯を明らかにしているか。
◯教職員課長 この問題の元講師なのだけれども、今年度の採用試験を希望していた。採用試験を希望する場合、志願書を出していただく。志願書の記載の中に、免許に関し所有している、あるいは所有見込みである免許の情報を書く欄がある。提出された書類をチェックする中で、有効期限等で疑義を感じた部分があり、実際に免許を発行している他県の教育委員会に問い合わせたところ、そのような事実はないというふうなことが分かり、その後本人のほうにも確認をして、発覚していったという経緯である。
◯佐藤委員 そもそも、なぜそういう偽造免許状で2年以上にわたって福井県の教壇に立てたのかということなのである。
◯教職員課長 これは、採用時に教員免許状の原本を確認するということになっているのだけれども、この方の場合、年度の途中ということもあって、大学のほうから発行が遅れているということを聞いていた。台風等の関係で卒業式が延期になったということで、学校長がその話を聞いて、後日提出をしてほしいということになった。後日提出されたのだけれども、その際チェックが甘くて、そのまま採用になってしまったという経緯である。
◯佐藤委員 いろんな背景があるのだろうが、先ほどの議論の中でもやっぱり現場の教員、例えば産休代替とかいろんな教員を探すのが大変だという声がずっと議会の中でも出されていて、教育委員会も努力はされているのだけれど、結局は現場任せで校長の責任で探してくれと、教育委員会は手配できないというようなこともあったりするとお聞きしている。
であるから、きちんと正規の教員を確保しつつ、臨時の採用についても、とにかく人が要るのだということで焦ってしまって、そういうチェック漏れということが起こったのではないかというようなことも考えられると思う。もちろん特殊なケースだと思うけれども、1件だけでも教育長が言われたように重大な問題だということであるので、現場の責任で臨時教員を探す、あるいは産休の代替を探すということになってくると、再任用教員とかがだんだん増えて枠が小さくなってくる。年金とかの関係で退職時期が伸びていけば、もう辞める頃には肉体的にも精神的にもかなわないという教員が増えて、現場の校長先生も代わりを探すのが大変だと思うのである。今後そういう問題がさらに深刻化する。教員の手配がいろいろ大変な状況になるだろうから、そういうことが起きないように、きちんとしていくことが必要ではないかという趣旨も含めて質問させてもらっているので、もう一回答弁をお願いする。
◯教職員課長 教職員の確保のことについては、本当に委員おっしゃるように苦労していることである。こちらも現場任せというわけではなくて、もちろん県のほうでも人を探しながら、学校の校長先生をはじめ、学校の方とも一緒になりながらもやっていかないと人がいないというのも現状である。
今回の偽造が発覚できなかったことは県教育委員会の責任であるので、人的なものを確保しながら、こういうことがないように努めていきたいと思う。
強度行動障害児への対応
◯佐藤委員 よろしくお願いする。
それから、一般質問でたしか辻議員だったと思うが、いろいろ障がい児対応のことを質問された中で、強度行動障がいのことを教育長が答弁されていた。そもそも、小学校、中学校、高校で何人ぐらいこういう児童生徒さんがおられるのかということ。今後こういう児童生徒さんに対応するため研修も強化していくという答弁だったと思うのだが、それは具体的にどういうことを考えておられるのかをお尋ねする。
◯特別支援教育室長 強度行動障がいのお子さんについてだが、具体的な数というのはこちらのほうでは把握はできていないが、お子さんの様子というと、情緒が不安定でパニックを起こして、自分を傷つけたり、物に当たったり、それから他人を傷つけたりというような形で行動障がいが現れてくるお子さんである。
◯佐藤委員 研修をやるとかいろいろ答弁あったと思う。今後の対応、具体的にはどういうことをやるのか。
◯特別支援教育室長 強度行動障がいについては、今いろいろな検証が進んでいる障がいで、発達障がいの一つであり、通常の学校にもそういうお子さんもいらっしゃると思う。通常学級とか特別支援学級を担当する先生方に対し、特別支援教育センターの専門研修を県としても実施していきたいと思っている。
◯佐藤委員 人数的には何百人もいらっしゃるわけではないと思うのだが、ただこういうケースは教員の手が非常にかかることになると思うのである。
それで、高校生ぐらいのときにかなり発症するというか、重くなるというか、そういう行動が出る場合が多いとお聞きしているのである。学校の現場の先生もそうであるし、関連する障がい者施設などの声もお聞きすると、転勤など異動もあり学校の先生だけでその子を何年間にわたって見続けることは難しい場合もあると。専門の福祉施設の職員が一緒に入って、この子はこういうようにやっていくと気持ちが落ち着くよとか、そういうサポート体制を構築すると、現場の教員にとっても非常にいい面もあるのではないかという声もお聞きしている。ただ外部の施設の人が学校現場に入ってというのはなかなか今の制度でどうなのかということもあるのだけれども、しかし勉強を教える講師を呼び入れたりしているわけであるから、考え方によっては実践の講師を呼び入れることもあり得るのかなと思っているのだが、その辺はどうだろうか。
◯特別支援教育室長 強度行動障がいについては、発達障がいをお持ちのお子さんに不適切な関わりをした結果としての二次障がいという形で出てくる場合も多い症状である。なので、学校の教員に発達障がいに対するお子さんに対して、正しい支援の仕方というか、専門性をつけていただいて、将来的に強度行動障がいという形で現れてきてしまわないように努めていきたいと思っている。
◯佐藤委員 その教員の専門性をつけるということは、もちろん大事なことだと思うが、今言ったように、先生方は転勤があるので、やはり日常的に施設や専門家の方と連携されて、現場で勉強していくということもぜひ検討をお願いしたいと思っている。
それからもう一つは、来年の入試についてなのだが、これは要綱の発表とか具体的な選抜方式とか、いつ具体的に発表されて何か変更点とかはあるのだろうか。
◯副部長(高校教育) 入学者選抜試験については、日程を例年からひと月前倒しして、2月の中旬に実施することは既に広く周知させていただいている。その詳細や要綱等については、例年どおりの日程で10月末をめどに出していく方向で準備をさせていただいているところである。
また、コロナ感染症への対応についても、昨年度は緊急の対応をさせていただいたが、今年度についても検討を進めているところである。
◯佐藤委員 選抜方式での在り方とか、そういうのは従来どおりということなのか。それとも新たな点も考えているのか、その点どうなのか。
◯副部長(高校教育) 選抜方式については、大きな内容面での変更というのは特に考えていない。推薦入試制度、特色選抜入試制度、一般入試という大きな3つの分類で考えている。
高校生県議会・・・定時制教科書の無償化復活要求
◯佐藤委員 最後であるけれども、高校生県議会を私も傍聴して、各議員の皆さんも今回議会でもたくさん取り上げられたけれど、私も道守高校のところに参加して最初から最後まで聞かせていただいた。
それで、教育長の本会議での答弁に関してなのだが、そのときに女性の高校生が言っておられた、1時間バイトで働いても教科書1冊買えないのであるというようなことも言っておられて、他県のような教科書無償制度、定時制の無償制度を復活してほしいというお話であった。本会議で問われた教育長は、そういう枠があるという答弁をされたと思うのだが、具体的にそういう枠がありながら現場で使われていないようであれば、予算があっても持ち腐れだと思うのだが、その辺はなぜそういうことになったのだろうか。
◯副部長(高校教育) 学校のほうでは、年度当初に、例えば入学してきた生徒さん、もしくはその保護者の方に対して、奨学金制度の周知というのを必ずしている。これはどこの学校でもそういう形を取っている。
また、年度途中に新しく出てくるようなものについても、チラシ等をお配りしながら周知をしているところであるが、結果として今そういう話であるので、今後いかに正確に確実に保護者の方に情報が伝わっていくかということも検討していて、例えば各学校が持つホームページ上にそういう情報を集約するようなページを設けるであるとか、県教育委員会としても学校任せではなくて、県のホームページのほうで何かそういうことができないかといったことも検討しているところである。
知らなかったということがあるので、生徒並びに、特に保護者の方にいかに情報をお伝えするかというところで検討をさらに進めていきたいと思っている。
◯佐藤委員 今、ホームページとかでというけれど、もうそこに生徒が入学しているし、家庭の状況についても、独り親で大変だとか難病を抱えて大変だとかを把握されているわけであるから、一人一人の状況を一番つかんでいる学校現場で無償化だとか対応できるように考えたほうがいいのではないだろうか。お答え願う。
◯副部長(高校教育) あくまでも生徒に接するのは担任であるので、まずは担任がその情報をちゃんと正確に把握していることが大前提である。その辺りも含めて再度、周知徹底ということについて、委員おっしゃるようなことも含めて検討はしていきたいと思っている。