ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

趣味(落語と本)の話と大好きなうどんを中心に、ごまめになってもいちょかみで幅広くお届け

未来のサイズ~俵万智

2020-11-29 07:07:07 | 本の少し

 

 

短歌は、日々の心の揺れから生まれる。どんなに小さくても「あっ」と心が揺れたとき、立ち止まって味わいなおす。その時間は、とても豊かだ。歌を詠むとは、日常を丁寧に生きることなのだと。・・・

あとがきに、書かれているが、そして続けて、2020年に、突然日常が失われたと。2013年から2020年までの、足かけ八年の第六歌集である。

気に入った歌をあげときます(2020年の今年が生々しくて多いです)

2020年

トランプの絵札のように集まって我ら画面に密を楽しむ

外出というにあらねど化粧してメガネをはずすパソコンの前

帰宅するまでが旅ならキャンセル料発生する日が旅のはじまり

カギカッコはずしてやれば日が暮れてあの街この街みんな夜の街(「夜の街」という街はない)

2013年~2016年

無し

2016年~2019年

制服は未来のサイズ入学のどの子もどの子も未来着ている

ふいうちでくる涙あり小学生下校の群れとすれ違うとき

レシピにも行間がある揚げたてのアジを浸せば鳴く三杯酢

ふいうちの「好き」を投げればストライク「ずるい」と言われることにも慣れて

好きすぎてどこが好きかはわからない付箋だらけの歌集のように

 

クッキーのように焼かれている心みんな「いいね」に型抜きされて

大豆から味噌を作るは忙しいことかゆとりかボーっと生きたし

地球にやさしい地球にやさしいって言うじゃない? やさしくないのは人間ですから

レシピ通りの恋愛なんてつまらないぐつぐつ煮えるエビのアヒージョ

みつからぬためではなくて見つかるという喜びのためかくれんぼ

ストライプ交わることのなき夜をストロベリーのカクテルを飲む

 

歌を詠むとは、日常を丁寧に生きること・・・・・。

日常を丁寧に生きて、歌を詠まなければ・・・・・。

 

 


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