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最果さんの対談集。
前書きで、「言葉を愛しています。言葉を書くことに喜びを感じています。
今回、言葉とともに生きることについて、私の尊敬する人たちと話をしました」
松本隆、大森靖子、二階堂ふみ、青柳いづみ、谷川俊太郎、穂村弘、石黒正数、志磨遼平、さんの8名。
気になったところを抜き出すと、
松本・「書くことで、テクニックは、一回得たなと思ったら捨てること。
老子が「空っぽの器が大事」だって言っているでしょ。物がいっぱいだったらそれ以上入らない。心も一緒なんだよ。」
松本・「論理はね、防御には使えるけど、攻撃には使えない」
最果・「ものを作るときも、読んでいる人の内側にあるものをポッと弾いて出してあげる、みたいなことがわたしにとって理想です。だから、わたしの話はしたくもないし、する必要も今後もないと思っています。」
最果・「誌を書くときは、たくさんいる人たちのなかに、ポンと刺せる穴を見つける感じなんです。わたしはそこには理由がない方が面白いなと思っていて。考えて作られたものは考えて読んでしまうから。まさに魔法とか催眠術なんですよね。」
「自分のことを詩人だと思いますか」と聞く最果さんに、
谷川・「そう思わなくてはいけない、と思っている」と。
谷川・「どんなに美しい絵や芸術作品でも、自然にはかなわない。」
最果・「最近は伝わりやすさ、わかりやすさが重視されて、曖昧な部分、言葉にできない部分が無視されつつあると思うんです。でもそこがその人のいちばんその人らしい部分で、そういう部分を呼吸させてあげるのが詩を読む行為にあるのかなと。」
対談によって、最果さんの日ごろの思いが、ようやく言葉になってポロリポロリとでてくる。
言葉を愛するがゆえに会話をしながらもすべてが伝わることも、すべてが共感や賛同に変わることもありえないまま、通じ合わないまま、それでも、だからその人が話す言葉を追いかける。・・・
凄いですよね、対談しながら、敢えて相手との共感など、理解など、必要ないまま、つきすすむなんて。
言葉を愛してるという、自負のもとに、頑なに言葉を大切に共に生きる、最果さんです。
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