読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

小池真理子の『ソナチネ』

2019年07月10日 | 読書

ソナチネ

           著者:小池真理子  2014.4 文芸春秋社


 
 
  月刊誌「オール読み物」掲載の短篇作品7作を収録している。
 <鍵/木陰の家/終の伴侶/ソナチネ/千年萬年/交感/美代や>

 小池真理子は女の怖さを巧みに描く作家と思っていたが、この7編の作品
にはあまり怖い女は出てこない。しかし女の身中に潜む女の性(さが)、
を作品の主軸においてストーリーを構築している点<千年萬年・美代や>
ではさすがに短篇スリラーの名手と言っても良いかもしれない。
 表題作<ソナチネ>は少し舞台設定に無理が多くいただけない。亡くな
った夫にはない男らしさを持つ手塚から蠱惑的な視線を送られた周子が、
夫が浮氣相手と会っていた部屋の鍵(遺品の中にあった)を、手塚を見つ
めながら意味ありげに
捨てたとき、手塚に向けた期待が彼女にとって吉と
出るか凶と出るか、あとは読者に任せる手口が憎い<鍵>。
 <交感>はストーリーに盛り上がりがなく退屈である。
                       (以上この項終わり)
  


  

コメント
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