読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

堂場瞬一の『ラスト・コード』

2019年10月06日 | 読書

◇『ラスト・コード

          著者:堂場 瞬一2015.11 中央公論新社 刊(中公文庫)

  

  帯にある通り堂場瞬一にしてはやや異色のエンタメ小説である。
  登場人物の多くは警視庁の警視総監、刑事部長、公安部長、参事官、捜査一課長、所轄
 の刑事課長等々、警察の要人オンパレードで、主人公もちょっとした過去のある一刑事筒
 井明良。然しここに殺人の被害者の娘、14歳の天才少女一柳美咲が絡んでくることによっ
 て俄然ハードボイルドっぽいエンタメ冒険小説に変身する。正義感で一途な筒井と、少女
 らしからぬ怜悧な観察眼で筒井と世の中を見ている美咲とのやり取りが面白い。

  医療用ナノマシン開発研究会社のトップ研究者であった一柳正起が殺された。裏にはス
 パイ疑惑もあるらしい。外務省、経産省、政界などが絡み簡単に事件化できないまま、
 「殺しの仕切りは警視庁」と張り切る筒井。アメリカに留学している美咲を呼び戻したも
 のの、二人は得体のしれない一味に狙われることになる。
  この間上のポジションにあるキャリアの面々は、筒井のコントロールとこの事案が表沙
 汰にならないようどう捌くか、戦々恐々の状況にある。
  結局警察内部とは一線を画した女性探偵の小野寺冴や鳴沢了らの助けがあって、満身創
 痍になりながらも自分なりの結果を得る。
                               (以上この項終わり)

        

   

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