こんにちは「中川ひろじ」です。

みんなのお困りごとが私のしごと

20231208 11月定例県議会 一般質問その3 介護保険制度について

2023-12-14 22:36:01 | 長野県議会

【中川】次に介護保険制度について、お伺いします。

 2000年からスタートした介護保険制度は、国・県・市町村においては3年ごとの見直しを行い、現在来年からの第9期介護保険事業計画の策定を行っているところと承知しています。

 最近の新聞報道で、訪問介護事業所が廃止をしていることや、訪問介護員が不足していると感じている事業者が9割に達していることなどが報道されています。また、介護疲れから子どもが親を殺すというような悲惨な事件が続いています。介護職の離職とともに、介護をする家族の離職者も後を絶ちません。

(1)そこで、介護保険制度の課題についてお伺いします。最初に介護労働者の処遇改善についてです。私が調査した松本市社会福祉協議会の訪問介護事業所では、常勤職員が37人、パート職員が36人の計73人体制です。このうち20代はゼロ、50代、60代が50人58.5%、パートの70代が9人12.3%という状況です。訪問介護員の不足から、朝夕の利用が必要な時間帯に要望に応えらない時があるそうです。ケアマネージャーさんからは、「これまで使っていた訪問事業所がバタバタなくなっている。危機的な状況だ。介護の仕事がきついというイメージだけが伝わっていて若い人から敬遠されている。介護も医療と同じように人間の尊厳を守る仕事として社会から認知してほしい」と訴えられました。

 そこで、お伺いします。

①ここ5年間で長野県内の訪問介護事業所の廃止数、および新規指定者数はどのような状況でしょうか。

②県内の訪問介護員数の推移及び給与の状況はいかがですか。

③外国人人材の介護職場における就業の状況はどうなっていますか。

④訪問介護員の処遇を改善するためには、介護報酬の引き上げが必要ですが、県としてどのような取り組みをしてきましたか。

⑤県は訪問介護員の資格取得を支援しているところですが、そもそも資格を持っている人が辞めている現状があります。訪問介護員の処遇改善に向け、ケアマネージャーや訪問介護員の有資格者にアンケートを実施したらどうかと思いますがいかがですか。

 以上健康福祉部長にお伺いします。

【健康福祉部長】介護保険制度について御質問を頂戴しております。

まず訪問介護員の処遇改善について5項目お尋ねいただいております。

最初に訪問介護事業所の廃止数と新規指定数でございますが、令和5年4月1日から過去5年間で、廃止事業所が111事業所、新規指定した事業所が110事業所でございます。

次に県内訪問介護職員の給与と人数でございます。

令和4年度介護労働実態調査によれば、訪問介護員の月額賃金は241,997円となっております。

なお、県内の訪問介護員数は令和4年度末で5,879人であり、ここ数年は概ね横ばいで推移をしております。

 次に外国人人材の就業状況でございますが、長野労働局の「外国人雇用状況」によると、令和4年10月末現在、県内の社会保険・社会福祉・介護事業において、外国人を雇用している事業所数は178事業所であり、外国人労働者数は677人でございます。

次に、県として、介護報酬引き上げにどのような取組みをしてきたかというご質問でございますが、介護職員の処遇改善のためには、まずは、国において十分な介護報酬が設定されることが必要でございまして、これまでも、介護報酬の増額改定など必要な制度の改善を強く要望してきたところでございます。

また、県としては、介護職員の方により高い賃金が支払われるよう事業所に対して集団講習会や専門的な相談員の派遣などを通じて、より上位の処遇改善加算を取得していただくための支援を行い、積極的に働きかけを行ってきたところでございます。

有資格者にアンケートを実施してはどうかといったご質問でございます。

既存の調査としては、介護労働安定センターの介護労働実態調査や県の介護事業所サービス調査がございまして、これらの調査結果によりますと、賃金の問題もさることながら、離職の主な理由として職場の人間関係などが挙げられておられまして、職場の環境改善が必要なことが伺えると考えております。

いずれにいたしましても、ご指摘のとおり介護現場で働く訪問介護員の声を聞くことは大変重要でございますので、県としても様々な機会をとらえて把握に努めてまいります。

【中川】続いて、地域包括ケアシステムについてお伺いします。地域包括ケアシステムは、団塊の世代が後期高齢者になる2025年を目指して主に在宅の強化を目指してきました。しかし、実際は75歳の方は、まだまだお元気な方が多く、現在は2040年に介護需要がピークになると想定されています。

厚生労働省の資料によると在宅サービスの利用者数は2000年97万人から2020年384万人と4倍に増え利用率は65.1%から83.1%に増えています。一方施設サービスは特養の入居条件が原則要介護3以上となったことから2000年52万人から2020年95万人に1.8倍に増えていますが、施設サービスの利用率は地域密着型を入れても34.9%から16.9%へと半減しています。

病院においては、地域包括ケア病棟が設置され、患者が早期に地域包括ケア病棟から出ることで診療報酬が加算されるという制度も入りました。結果として、老健だけでなく病院でも3か月ごとに行き先を探さなければならないという苦労が増えました。

 国は、この地域包括ケアシステムの深化(深める)と言っていますが、これまでの総括が必要だと思います。そんな観点から以下質問をいたします。

①医療における訪問診療、看取りの数は増えてきたのでしょうか。

②地域包括ケアシステムの状況が見えづらいという課題がある中で、県としてどのように取り組んできましたか。

③在宅の伸び率の要因は、特別養護老人ホームの受け入れが要介護3以上になったことと、サービス付き高齢者向け住宅が在宅扱いとなっていることだと考えられますが、県の認識はいかがですか。

④2015年から要支援1,2を総合事業で行うこととなりました。かねてから小規模町村で受け入れできる条件があるのか心配されてきましたが、状況はどうでしょうか。また、多様なサービスの提供ができるようになりましたが、県内における緩和型、住民主体型、短期集中型のサービス提供状況はいかがでしょうか。

⑤今後、地域包括ケアシステムを深化させていくためには、「地域内移動」「緊急通報システム」「医療と介護の連携強化」「遠隔地医療」「男女が共に担う介護」「フレイル予防」「人材確保支援」「地域共生」などの課題が浮かび上がっています。9期の計画に向けて、県としての支援が必要と考えますが、いかがでしょうか。以上健康福祉部長にお伺いします。

【健康福祉部長】次に、地域包括ケアシステムのこれまでの総括について、5項目ご質問をいただいております。

まず、訪問診療及び看取りの件数でございますが、平成28年度と令和3年度を比較いたしますと、訪問診療は約21万1千件から、約23万9千件へ、看取りの件数は約3千3百件から約5千1百件へといずれも増加をしているところでございます。

次に、地域包括ケア体制の構築状況の「見える化」に向けた取組でございます。

令和3年度から、健康寿命の延伸や在宅死亡率など、明確な成果指標を掲げ、ロジックモデルを使って分かりやすく「見える化」を図ったところでございます。

成果指標の状況について申し上げますと、例えば、健康寿命は男性で平成30年の81.0歳から令和3年には81.4歳、女性では同じく84.9歳から85.1歳と改善をしておりまして、令和3年はいずれも全国1位となっております。

次に、在宅サービスの利用者割合が増加した要因についてのご質問でございます。

介護保険制度が開始されてから20年以上を経過し、要介護の方が増加する中で、在宅サービスの充実が図られ、それを利用しながら住み慣れた地域で暮らしていくという意識が浸透したことが主な要因であると考えております。また、施設サービスは、今後、高齢者人口がピークを迎えますので、その時期を見据え、近年の整備数は以前よりは控えめになっております。

なお、ご指摘の特養の入所が介護度の高い方に限定されるようになったり、あるいは、制度開始当初はなかったサービス付き高齢者向け住宅が充実し、入居者が在宅サービスを利用される方も多いといった点も、そういった流れを定着させるうえで影響しているものであろうと考えております。

次に、総合事業のサービス利用や提供状況でございます。

介護予防・日常生活支援総合事業が開始される前の平成27年3月には、介護予防訪問介護及び通所介護の利用者は14,099名でございましたが、令和5年4月に、総合事業の従前相当サービスを利用した者は14,142名とわずかながら増加しており、提供体制としては維持できているものと認識をしております。

「多様なサービス」につきましては、63の介護保険者のうち、基準緩和型が56保険者、住民主体が18保険者、短期集中は30保険者で提供されている状況でございます。

最後に、様々な課題について県の支援が必要ではないかというご質問でございます。

現在策定中の第9期長野県高齢者プランでは、「地域包括ケア体制の深化・推進による健康寿命の延伸」、あるいは「介護人材の確保・介護現場の生産性向上」などを重点施策として掲げる予定でございます。ご指摘のとおり、地域包括ケア体制の深化は重要な課題でございまして、そのためには医療と介護の連携強化をはじめとして、様々な問題がございます。県として、取組が進むよう、市町村を支援してまいります。以上でございます。

【中川】介護保険制度の導入時、介護の社会化が目指されてきましたが、保険制度がゆえに必要な施設整備や介護報酬の改定が行われれば保険料の引き上げにつながるため、持続可能な制度としていくため様々な改正が行われてきました。現在、国においては、介護職の賃上げを来年2月から月6千円上げることのほか、介護施設の相部屋代の個人負担、介護サービス利用費の2割負担の対象拡大などについて検討が行われています。

一方で、要介護1,2も総合事業に加えることや、ケアプランの有料化などについては、介護の現場から「要介護1,2であっても認知症の方への対応は総合事業では厳しいのではないか」「介護サービスの利用控えにつながる」「有料化に対する利用者からの反発」といった意見が出され、次期見直しまで議論が持ち越されています。

介護事業の直接の担い手は市町村ですが、持続可能な制度と高齢者にとって必要な介護のはざまを埋めることが県の役割ではないでしょうか。

⑥そこで、知事にお伺いします。介護の現場を担う皆さんが誇りをもって働き続けることができるように、そして高齢者が安心して老後を過ごせるような長野県にしていかなければならないと考えますが所見を伺います。

【知事】私には、介護現場を担う方々が、誇りをもって働き続けることができるように、そして高齢者が安心して老後を過ごせるような長野県にしていかなければならないと考えるが、所見を伺うというご質問をいただきました。

まず、介護現場で日々ご尽力されている皆さま方に、心から敬意を表したいと思います。

介護職員の皆さま方の処遇改善が図られ、そのことによって必要な介護人材が確保されるということが現時点において最も重要だと考えております。
 そのため、県としては、介護報酬の増額を国に強く要望するとともに、介護事業所が処遇改善加算を取得できるよう、積極的に支援していくほか、介護ロボット・ICTの導入支援などによる、介護現場の生産性向上を促していきたいと考えております。

また、高齢者が安心して地域で暮らし続けるためには、地域包括ケア体制の一層の充実が必要だと考えております。
 これまでの取組で、例えば、身近な生活支援サービスを実施する市町村が増え、訪問診療や看取りの件数も増加してきたところでございます。

現在策定している第9期高齢者プランでは、こうした方向性をより推し進め、高齢者の方々が安心して暮らせる長野県となるよう取組んでまいります。

【中川】介護保険制度についてですが、松本市は、9期の計画をたてるにあたって、実態調査を行っています。現在居宅要介護・要支援認定者のうち5割の方が施設などへの入所を希望していません。希望している方でも、その理由は「家族に迷惑をかけたくない」「自宅では急な容態変化や介護者の都合など緊急時の対応の面で不安がある」という理由です。

一方、家族を介護されている方は2割の方が「今後も働きながら介護・介助を続けていくことが難しい」と回答、また「認知症への対応」「夜間の排泄」「外出の付添」に不安を感じているそうです。

あらためて原点にかえって、介護の社会化ということを考えるべきではないかということを最後にお訴えします。

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20231208 11月定例県議会 一般質問その2 自転車の通行方法について

2023-12-14 22:33:07 | 長野県議会

【中川】次に自転車の通行方法について、お伺いします。

 自転車を利用している県民の方から自転車の通行方法について問い合わせがあり、即答できませんでした。自転車の安全な通行については道路整備が必要ですが、歩道の確保プラス自転車道を確保するためには、かなりの道路の拡幅が必要となります。

 現状の中で歩行者の安全を確保するとともに、自転車利用者の安全通行について3点警察本部長に質問をします。

自転車は軽車両で原則車道左側、端に寄って走ることとなっています。しかし除雪作業により積雪した雪などで通行困難な場合などもあります。自転車が歩道を通行できるのはどんな場合があるのか教えて下さい。

【警察本部長】自転車の通行方法について、3点ご質問いただいた。

 始めに、自転車が歩道を通行できる場合についてお答えする。

 道路交通法により、自転車は車道を通行することが定められているが、例外として歩道を通行できる場合が3つ規定されている。

 1つ目は、普通自動車が歩道を通行できる道路標識が設置されている場合。

 2つ目は、運転者が13歳未満の子供、70歳以上の高齢者、身体の障害により車道通行に支障がある方の場合。

 3つ目は、道路工事等で車道の左側部分を通行することが困難な場合、自転車の通行の安全を確保するために、歩道を通行することがやむを得ないと認められる場合である。

 除雪等のため車道の左側部分を通行することが困難であり、自転車の通行の安全を確保するためであれば、歩道を通行することができるもの。

【中川】スクランブル交差点などで歩行者用の信号機にしたがって走行している自転車を見かけます。自転車は軽車両であることから自動車用の信号機にしたがって走行すべきものではないかと思いますがご見解をお伺いします。

【警察本部長】次に自転車が従う信号機についてお答えする。

 道路交通法では自転車が従う信号については、2灯式の歩行者用信号機に「歩行者・自転車専用」の標示板が付いている場合は、歩行者用信号機に従わなければならない。

 また、歩行者用の信号機に標示板が設置されていない場合で、自転車が車道を通行している場合は車両信号機に従い、歩道等を通行して横断歩道を横断する場合は歩行者用信号機に従うこととなる。

 これは、歩車分離式信号のスクランブル交差点を通行する場合も同様である。

【中川】自転車の安全な通行方法について知らないことが多いように思います。自転車の通行方法について、さらに周知に努めるべきではないかと思いますがいかがでしょうか。

【警察本部長】最後に自転車の通行方法の周知についてお答えする。

 自転車に乗り始める子供に対しては、学校や関係機関・団体と連携して自転車安全教室を行ったところ。

 また、自転車の交通ルールの周知については、内閣府で自転車の基本的なルールを定めた「自転車安全利用五則」を長野県警察のホームページ等で発信するとともに関係機関・団体と連携し、自転車安全教室や各種啓発等において周知を進めているところ。

 今後とも、自転車の交通ルールの周知に努めてまいる。

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20231208 11月定例会県議会 一般質問その1 高速バス「長野-松本線」廃止について

2023-12-14 22:30:07 | 長野県議会

【中川】最初に、高速バス「長野-松本線」廃止についてお伺いします。

 初日の一般質問で、寺沢議員から高速バス「長野-松本線」廃止について質問がありました。私からも確認の意味でお伺いします。

最初に総務部長にお伺いします。高速バス「長野-松本線」廃止に伴って、職員に対して、通勤手当に駐車場代を加えて支給し、パークアンドライドを推進するとのことですが、同路線利用者に対して、JRの利用の可否や住宅の必要性、駐車場の有無といったことも含め、意向調査を行う必要があると思いますが、いかがでしょうか。

【総務部長】高速バス長野-松本線を利用して通勤する職員への対応についてのお尋ねでございます。

職員の通勤方法は、個々の職員の事情等を踏まえまして、職員自身が決定をしておりますが、高速バス長野-松本線の開始によりまして、同線を利用する職員にとっては、これまでの通勤の選択肢がなくなる中で、別の通勤方法を考える必要がございます。

県としましては、長野-松本線の廃止を契機としまして、パークアンドライドによる通勤方法選択肢としていただくため、公共交通機関と自家用車等を併用する職員に対して、駐車場代を通勤手当として新たに支給することを検討しております。

そのため現在、実際に公共交通機関と自家用車を併用する職員に対し、駐車場代の負担状況につきまして調査を行っているところでございます。

議員ご指摘のとおり、別の通勤方法の検討にあたって、JRの利用可否や駐車場の有無等、様々な課題が考えられますので、対象の職員に対しましては、人事面談等を通じまして、課題等について確認をしてまいりたいと考えております。

【中川】次に交通政策局長にお伺いします。「長野-松本線の廃止はやむなしと判断した」という答弁でしたが、存続に向けて県としてはどのような努力を行ってきたのでしょうか。様々課題はあると思いますが運行再開の可能性まで否定したものではないと思いますがご認識をお伺いします。

【交通政策局長】県では、これまで数次にわたる会合を開催し、対策を検討した上で、利用者の増加や事業者の経営改善を図るため、高速バス路線の利用促進キャンペーンや広報に対する支援のほか、コロナ禍により厳しい経営環境にあったバス事業者に対し、感染防止対策や車両維持に要する経費を支援してきたところ。

 また、高速バス「長野―松本線」はJR篠ノ井線と競合関係にあるものの、事業者であるアルピコ交通は、令和3年4月に運賃の引上げを実施したところ。

 運行再開に向けては、今般の路線廃止の大きな要因である運転手不足が解消されることが必要と考える。

 通勤時間帯などの特定の便については、一定程度の需要があることから、人手不足がある程度緩和される状況になれば、運行再開の可能性も出てくるものと考える。

【中川】総務部長に申し上げますが、アルピコ交通に、仮に松本合庁-県庁間に貸し切りバスを走らせるとすると、いくらかかるか問い合わせました。条件によって異なりますが、最低で77000円だそうです。50人で割ると一人1540円、高速代を加えて約1600円で、現在の高速バス運賃と同じになります。県職員のために補助をしてバスを動かすという考え方ではなく、円滑な人事異動ということも含めて、費用対効果の面からも様々な検討をする必要があると思います。

【総務部長】先ほど私どもの方で人事面談を通じて課題を確認したいというふうに申し上げましたが、確認をさせていただく中で問題・課題等があれば、様々な方策について、対応について検討してまいりたいと考えております。

【中川】交通策局長に申し上げますが、この高速バスを利用している県職員以外の2割の方の意向について、活性化協議会として意向調査をすべきと思います。

【交通政策局長】近く、活性化協議会を開催する。事業者で抱えている問題が多くあると思う。人材不足の問題は、どの事業者においても極めて深刻になっている状況。今回の件も含め、議題に挙げて議論を深めてまいりたい。

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20231004危機管理建設委員会 危機管理部審査

2023-10-05 08:35:14 | 長野県議会

危機管理建設委員会会議録

(10月4日 危機管理部関係)

1,新型コロナの総括について

○   中川委員 最初に新型コロナの関係ですが、今度機構改革も含めて部署が変わるのですけれども、いわゆる危機管理上のリスクというのが少なくなったということが一番の原因だと理解をしています。

     したがって、この間のコロナに3年以上対応してきた経験を、次の新型感染症への対応へどう生かしていくのかというのは、引き続き危機管理上の問題として課題はあるのかなと思うので、そんな点について、ぜひ総括を含めて、次のために生かすという対応をしておく必要があると思いますが、いかがですか。

○  髙野新型コロナウイルス感染症対策室長 新型コロナの3年間に及んだ対応の振り返り、それからそれをどう生かしていくかというお尋ねでございます。

     国のほうでは、新型インフルエンザの行動計画の見直しに着手したところでございます。県におきましても、これから説明会等実施されるというふうに聞いておりますが、それを受けた形で、新たな行動計画を改定に向け作業を進めていくという予定でおります。

     それに当たりまして、委員御指摘のこの3年間の振り返りというものを実施してまいりたいと考えております。

2,火山防災について

○  中川委員 ありがとうございました。続いて火山防災について、私からも質問をいたします。

     報道によると、火山防災の専門家を新たに配置するという話がありますけれども、そのことについて御説明をお願いします。

○  渡邉危機管理防災課長 火山防災人材についてのお問合せでございます。

     火山防災につきましては、なかなか火山につきましては、我々もそうですけれども、日本全国の中で知見がなかなか乏しいということがございます。実際背景を申し上げますと、我々は行政職員スタッフでやっておりますが、日本全国で火山研究、火山観測に携わっている方は、これは国の資料でございますけれども、令和2年度時点で大学等で五十数名、国関係機関でも六十何名しかいないと。日本国全体で人材が少ないというのがございます。

     我々長野県としますと、今回御嶽噴火災害もございましたが、浅間山、焼岳、乗鞍、活火山が非常に多うございます。そうした中で、確かに火山災害というのは風水害よりもさらに長いスパンで見なければいけない災害ということもあって、なかなか自分事にできないということと、先ほど申し上げましたように、なかなか知見が、我々がずっとやっていても得られないということがございます。

     そうした中で行きますと、国全体でまず人を育てていただくという全体はありますけれども、そういった人材をこの長野県においても何とか活用できないかということで、過日知事等も会見等で申し上げたところです。今現在は、そういった人材にどのような形で県のほうに関わっていただけるのが一番我々にとって、またお越しいただく方にとってもよいのかという観点で、検討を進めているところでございます。

○  中川委員 あわせて、やはり気象庁との連携というのがこの御嶽の課題だったと思います。以降、気象庁との連携をどのように強化されているか教えてください。

○  渡邉危機管理防災課長 御嶽に関する気象庁との関係でございます。

     気象庁につきましては、あの災害の後、気象庁もそうですけれども、各観測機関、大学も含めて、大分観測地点が御嶽山については充実してきております。また、あの災害以後、御嶽山に対する観測体制も気象庁でも強化をされておりまして、実はこの7月の慰霊登山と調査に入った際も、気象庁の本省にも十分バックアップをいただきながらやっていきました。そういった日々のお付き合いもそうですし、またそういった情報、何しろ噴火災害について速やかに情報をいただいてそれを伝えるということが何よりも大事だと思っています。

     そうした観点から行きますと、やまテラス、麓のところにもそういったものを気象庁の発令が出た瞬間に表示できるような体制を取っておりますし、そういった形で、よりよい改善がないかということで、長野気象台もそうですし、気象庁のほうでも常に連携を取りながら進めているところでございます。

○  中川委員 もう一つ、岐阜県側でもシェルターを造ったという記事が中日新聞に出ていましたけれども、御嶽山でいうと、岐阜県側との連携・連絡、そして浅間山については群馬県などと連携・連絡ということが必要だと思いますが、現在どのようになっていますか。

○  渡邉危機管理防災課長 他県との火山の連携についてでございます。

     どうしても火山は県境をまたぎますので、火山協議会というものを設置しております。御嶽山でいきますと岐阜県のほうと、木曽の地域振興局が協議会の事務局になりますけれども、そこが事務局となって協議会というものを開催しておりまして、こう言っては何ですけれども、今年はいろいろと行事もあったり観測もありましたので、都度打合せはしております。こちらから行ったりしてやっております。

     また、浅間山のほうでも群馬県と、県だけではなくてそれぞれ国の関係機関等も入りながらやっているのですけれども、あちらのほうの広域の避難計画等含めて、連携を密にして実施しているところでございます。

3,避難場所について

○  中川委員 ちょっと課題を変えますけれども、実は建設部の中でも指摘をさせてもらったんですが、建設部所管の流域治水の中で、避難場所となっている学校校庭が雨水貯留施設となっていることが見つかりました。このことについて危機管理部は承知しているでしょうか。

○  渡邉危機管理防災課長 学校の校庭等が雨水貯留施設となっていることを知っているかというお問合せです。

たしか建設委員会のほうで、長野市の事例だったと思いますが、県内の市町村でそういったグラウンドが貯留施設になっているところの校舎を避難施設に指定しているところがあるというのは承知をしております。

○  中川委員 浸水区域に避難場所があるところもまだ残っていますし、台風18号災害のときに、坂城町で避難場所が浸水区域になっているので、そこの地域の住民の皆さんが8月に避難訓練をしていたので、坂城高校に避難場所を移したということがありました。

     そういう観点から、浸水区域にある避難場所の見直し、今言ったような雨水貯留施設になっている場所の避難場所の見直しということを、ぜひ建設部などとも連携して、見直しを進めたほうがいいと思いますので、各市町村とぜひ連携を取ってほしいと、これは要望しておきます。

4、広域受援計画について

     もう一つだけすみません。長野県広域受援計画がつくられていますけれども、令和4年度末で77市町村のうち74が策定済みとなっていますが、残りの状況はどうなっているでしょうか。

○  渡邉危機管理防災課長 77のうちの残りはどういう状況かということです。ちょっとだけお時間をいただければと思います。すみません。

5,信州防災アプリについて

○  中川委員 では、後ほどよろしくお願いします。

     これは要望です。信州防災アプリ、私も入れてやっているのですが、日々入ってくる情報はNTTだとかそういったところからの情報がピコピコ入ってくるぐらいなので、防災アプリの使い方みたいなところがまだまだ周知されていないので、ぜひそんな点も周知をしてほしいということと、一つだけ質問しますが、信州防災アプリの登録状況はどのぐらいですか。

○  渡邉危機管理防災課長 登録状況でございます。少し古いものになりますけれども、昨年度末の時点で2万5,000……、すみません、最新のものが参りました。8月31日時点で3万267ダウンロードになります。

○  中川委員 ありがとうございます。以上です。

○  渡邉危機管理防災課長 先ほどは失礼しました。市町村の受援計画の関係でございますけれども、現在74で残りの三つはいかがかという話でございます。

現在、朝日村、坂城町、立科町、こちらのほうが未策定という状況になっております。私どもとすれば、災害はいつ起こるか分からないということがございますので、実際市町村を回らせていただくキャラバン隊というものもございます。そういった形で、市町村もお忙しいのでなかなか手が回らないと思うのですけれども、我々とするとプッシュ型ででも、そういったものを策定するように働きかけてまいりたいと考えております。

○  中川委員 分かりました。

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20231002 危機管理建設委員会建設部審査

2023-10-02 08:26:32 | 長野県議会

1,土井尻川事故について

○  中川委員 よろしくお願いします。

     まず、土尻川の関係ですけれども、冒頭、説明がありましたが、結局、仮設撤去を業者がしなかった原因というところについて、これは責任は業者にあるということの整理、そしてまた集中審議の中でも今後の対策を検討していくという説明だったわけです。

     ただ、部長が監督責任を果たしていかなければならないと最終的に集中審議のときにおっしゃっていたわけで、そういう意味で言うと、今後こうした事業者の判断ミスが起きないようにするために、いわゆる県としての監督責任というものをどのように果たしていかなければならないのかという点について、お考えをお聞かせください。

○  川上河川課長 まず、先ほど御説明をさせていただいたように、雨の関係についてのやりとりが当日なかったという状況でございましたけれども、委員が言われたように、その前に施工計画書というものが実は提出をされておりまして、その施工計画書の中で、緊急時の連絡体制の対応とか、それらの状況を事前に決めて施工計画書の中に書いてあるという状況でございまして、今回もそれは書いてあったんですけれども、委員がおっしゃられたように、当日、ちょっと混乱しているという状況もあってか、現場からそういう連絡がうまくできなかったと。

     お互いそういうことができなかったので、そこを考えますと、前回の閉会中審議でも御説明をしたんですけれども、施工の条件の中で、そういった出水期内の河川工事を行う場合には、施工計画書にその計画の明示をしっかりして提出することということを施工条件の中で明示をするということと、それから、まさに施工計画の中でうたわれているものに対して、連絡体制、それから現場管理の体制等、治水上の安全対策等を確認をして、受注者と共有をして、発注者と受注者の間で連絡を密にして、適切な情報共有に努めていくことが大事かというふうに考えております。

○  中川委員 もう一度確認しますけれども、連絡体制が十分できていなかったということは一つあったなと思うんです。もう一つは、施工業者の判断ミスがなぜ生じたのかという原因のところに対する監督責任というものについては、どのように考えていますか。

○  川上河川課長 委員会の閉会中審議の中でも少し御説明をさせていただいておりますけれども、出水期の安全の対策の考え方でございますが、これは現場において、それぞれ個々に出水の特性、例えば上流とか下流とかで特性が異なっておりますので、一定のものというものはなかなか難しいかとは思いますけれども、今後、やむを得ず出水期に河道内で行う場合には、各現場で撤去する基準等、その際の基本的な考え方とか、それから安全確保のための留意点など、そういったことについて専門家の意見も伺いながら検討をしていきたいというふうに考えております。

○  中川委員 確認みたいな質問だったんですけれども、やはり県としての監督責任というものをどう果たしていくのかという観点は必要かなと思います。

2,現地機関の欠員状況について

    それからもう一つだけ、直接関連しているわけではないですが、聞くところによると現地機関の職員の欠員が、特に建設事務所なんかは結構あるというお話を聞いています。それらが原因だということにはもちろんならないですが、やはりこれだけの大規模な、様々な工事現場を抱えている現地機関のことですので、十分な人員体制で臨むことが必要だなと思います。現段階での欠員状況、そしてまた対応状況についてお話をしてください。

○  笠原建設政策課長 現地機関における欠員の状況等についてのお尋ねでございます。

     採用が思うようにいかなかったり、それから思わぬ早期退職等ございまして、配置すべき職員が必ずしも配置されていないというのは委員おっしゃるとおりでございます。そういうところに対しましては、私ども、任期付の職員を補充するなりしまして、できるだけの手当をして埋めるようにしております。

     ただ、それらをしても、まだ埋まり切っていないところが10月1日現在で11ございます。それが現状でございます。これらに対しましては、まず、切り口は二つあるかなというに考えておりまして、一つ目は、やはり職員確保に向けた取組ということで、今年度、採用試験の内容を変更いたしまして、民間企業との併願を容易にするなどの対応をしております。

     昨年度、30人の採用予定に対しまして受験の申込みは73名でございました。今年度は40名の採用予定に対しまして受験の申込みは130名いただいております。これが、最終的に来年4月1日の採用人数がどこまで行くかというのは、これから未定なところはございますけれども、そういったことによりまして、できるだけ職員の確保をしっかりしていきたいというふうに考えております。

     それからもう一つの面といたしましては、今いる職員の事務の効率化といいますか、効率的な事務の執行によりまして何とか少ない人数でもカバーしていきたいというふうに考えております。例えば、今年度になりまして用地事務の外部委託を進めていくための財源の確保ですとか、あと、設計・積算業務の効率的なやり方につきまして、所長会議等の場も使いまして、どんなことができるか検討を進めてきて、一部できるところから実行に移しているところでございます。

     こういった両面で、私どもしっかり現場の仕事がうまく何とか回ってくようにしていきたいというふうに考えております。

○  中川委員 ありがとうございました。新年度の県職員の採用試験の実施状況を見ると、県職員の大学卒業程度で総合土木の関係で、これはちょっと私よく分からないで聞いているんですけれども、試験区分でアピール方式で第1回目が30名程度の募集、それから2回目が20名程度、3回目はまだこれからかなと、済んだのかちょっと分からないんですが。

     申込者が、第1回と第2回の合計で93人の申込みがあった。そのうち受験者は53人で合格者が35人という数字をもらってはいるんですけれども、これでも実際退職されていく方の人数と比較したときに足りないのではないかなというふうに思うんですが、最終的に3月末までに県の職員になるよという意思表示をしてもらわなければ実際にならないんですけれども、ちょっとそこら辺が私の認識とは違うのかどうか分からないのですが、説明してもらっていいですか。

○  笠原建設政策課長 採用試験につきましては、今、委員がおっしゃられました大卒程度につきましては、3回目の試験を今、行っているところでございます。ここで何人合格が出るかというのはまだこれからでございますが、それがまだございます。

     それから、高校卒業程度の方も募集をしておりまして、今年度、申込みは8名いただいております。一次試験が9月の末に行ったところでございますので、こちらも様子を見ていきたいと思っております。それから、社会人採用もございます。これが今年度になりまして申込者が10名おりました。ここからも何名か採用になっておりますので、それらを合わせまして、先ほど40名の採用予定に対しまして申込者130名という説明をさせていだきました。

○  中川委員 最初に申し上げましたように、より安全な県の発注する建設現場をつくっていかなければいけない。そのためには、現地機関もしっかり人を配置していかなければいけないと思いますので、よろしくお願いします。

3,5億円を超える契約の議会承認欠落問題について

     二つ目に、これは確認事項ですけれども、令和元年の公共土木施設災害復旧工事の変更請負契約の締結を追認したということがありました。その後、建設部においては、議会承認の確認入力及び警告メッセージが出るというような改修だとか、それから、会計課においても一定の改善が行われているので、この点について、今後、ヒューマンエラーは原理的には起きない状態になっているというふうに理解していいのか。確認ですけれども教えてください。

○  笠原建設政策課長 昨年度、5億円を超える工事につきまして、議会の承認を得ずに手続を進めてしまったという事例がございました。これにつきましては、昨年度来、御説明させていただいていますように様々な手続、手だてを講じておりまして、各現地機関、それからシステム上でもそのようなことがないようにということで、私ども万全の体制で対応しているつもりでございます。

○  中川委員 よろしくお願いします。

     それから、技術管理室長にお伺いしたいんですが、建設労働者の人員確保だとか建設工事などの品質確保に向けて、建設労働者の処遇改善が必要だという認識は労使共通の課題だというふうに思います。

     処遇改善を進めるために、使用者側の方から、公共工事の安定的な雇用を確保するためには年間を通じた工事発注がなければ、なかなかさっき言われていた週休2日制の導入をする前提になる月給体制ということだってできていかない、そういった声があります。

3,建設現場での週休2日制の導入について

     特に土木工事においては公共事業がその大半を占めているということもありますので、このことについて、先ほども小池清委員の質問に対して週休2日制を進めていくという、その方針は分かるんですけれども、その週休2日制を進めていくためにも、月給体制ができるような工事の発注ということも一つの課題なのかなと私も聞いていて思うんですけれども、その点についての考えをお聞かせください。

○  増澤技術管理室長 今のお話は、恐らくは工事の施工時期等の平準化、こういった観点が非常に必要ではないかと思っています。施工時期等の平準化というと、当然適切な長い工期を取った上でですけれども、毎月毎月常に発注があって、毎月毎月次に竣工する工事があって、そして、毎月毎月稼働している状況が安定的に平準化して続いていく、こういったのが一番の理想ではないかというふうに思っています。

     県では今、週休2日、週休2日と言っていますけれども、週休2日を実現する上で、工期を長く取って、その分の経費を余計に見る取組をしております。そして、平準化の取組といたしましては、債務負担行為を活用して次年度にわたって工期を確保するだとか、あとは発注方法が、例えばフレックス工期契約制度というものもあるんですけれども、工事の開始時期だとか竣工時期が特定されていない、そういった建設工事の発注に当たっては、あらかじめ当該工事の契約日の翌日から一定期間内に受注者が工事開始日を選択できる、業者の都合で選択できる、そういった制度もやっております。

     週休2日という観点も含めて、施工時期等の平準化、常に業務があるような、そういった状況になることも、県としても可能な限り取り組んでいるところでございます。

     以上です。

○  中川委員 今、言われていることは私はほぼ理解しているんですけれども、要は月給制ですね。つまり土日に工事を休んでも、請負契約をしている人たちからすれば、ただ収入が減るだけです。やっぱり月給制を基本にしてかないと、週休2日制の意味というのは生まれてこないというふうに思うんです。

     そういう意味で、やっぱり月給制というのをしっかり前に進めていく。そのためには平準化というのが必要だということだと思うんです。そんな点を改めて、もう聞きませんので、ぜひよろしくお願いします。

4,流域治水について

     今日の主要な課題は、流域治水ということについてお話をしていきたいというふうに思います。この流域治水についての課題は、令和元年の台風18号災害を受けて、大きなスローガンとして県建設部として取り組んでおられています。バッジもつくりました。

     現地調査の中で、例えば遊水地を設ける地域の皆さんに、なかなか理解を得ることが難しいというお話を当該の首長さんからも聞いたところです。私の先輩県議であります竹内久幸さんが今年の2月に亡くなりました。私は弔辞を読む関係で、当時、田中知事の脱ダム宣言後、膠着状態となった中で、流域治水条例を提案したことなどをまとめた竹内さんの本を改めて読み直したわけですけれども、この中で、浅川のことですが、上流域では浅川ダム、中流域では貯水池、下流域で排水機場の整備などを一体として住民が参加する中で方向性を出していくという取組が行われたわけです。

     残念ながら、令和元年台風18号災害でも豊野地区で浸水被害が大きく出てしまったわけですけれども、これには千曲川の越水ということもあったので、一概に浅川だけの流域治水対策が今回の災害でどのような効果があったのかというのは、災害をどれだけ小さくしたのかという効果ということが、見えにくいというか示しにくい側面があるんですけれども、これまでの浅川の対策状況と、その効果及び今後の計画についてお聞かせください。

○  川上河川課長 これまでの対策とこれまでの効果、それから今後の考え方という御質問かと思います。

     まず、これまでの対策ということで、特に浅川の流域についてですけれども、浅川流域については、委員にお示しいただきました長野県治水・利水ダム等検討委員会の委員会条例が定められまして、それによって諮問された河川の一つでございます。その中で、長野県治水・利水ダム等検討委員会から答申をいただいて、ダムによらない河川改修、それから利水案というものも示されたわけですけれども、それらに対して、流域治水といたしましては、ため池の貯留とか、それから水田の貯留、また、森林整備や既存の貯留施設の機能の担保などが原案として策定されまして、これも計画の中に位置づけている浅川総合内水対策協議会の中で、その計画を策定したところでございます。

     その計画の中では、昭和58年の9月台風が一番大きかったということで、その同規模の洪水に対して、宅地部での床上の浸水被害を防止するということを目標に、排水機場の増設、それからこれは内水ではありませんけれども、河川改修とか、そういったものを位置づけてきております。

     その後、平成28年3月には浅川の河川改修が、これは外水のハード対策ですけれども、こちらが完成をいたしました。平成29年には浅川ダム、これも外水対策ですけれども、こちらのダムのほうも完成をいたしました。また、内水対策としては、平成30年6月に浅川第三排水機場という下流の排水機場が完成をしたというところでございます。

     それから効果でございます。その効果については、特に内水の関係についてでございますけれども、第三排水機場が、先ほど申し上げましたように平成30年の6月に完成をいたしましたけれども、この昭和58年の出水、床上浸水があるというものに対して14トンの排水機場が増設されましたので、当時の44トン、これは第一排水機場、第二排水機場を合わせた排水機場の量でございますが、この44トンに対して14トンアップした能力で58トンまで能力が上がったというものでございます。

     ただ、令和元年東日本台風の際には、委員御指摘いただいたとおり、浅川の内水だけではなくて千曲川本線の外水で浸水が起こりましたので、実際の状況の中では効果というものをお示しするのはなかなか難しいという状況がございます。58年9月を想定したシミュレーションの中で、それと同じ形で、千曲川の外水を排除した場合ということを想定したシミュレーションでしかございませんけれども、浸水の面積は約70ヘクタールほどは少なくなったというシミュレーション結果を得ております。現場の状況が外水も含めての浸水がございましたので、目に見える形ということがきちんとできないんですけれども、シミュレーション上はそういう結果を得ているというところでございます。

     それから今後ということですけれども、今後、浅川の内水対策計画と先ほど申し上げましたけれども、これを令和元年東日本台風を契機として、当時、内水対策で計画に位置づけておりました堤防のかさ上げや第四排水機場の増設などについて中期計画でやっていくというものを変更いたしまして、これを早期に着手ということで今現在着手をして、第四排水機場については工事を実施しているという状況でございます。

     以上でございます。

○  中川委員 加えて、さらに浅川の対策というのは長期的にも進められているところもあると思うので、その点もこの後説明してもらえればいいんですが、私は、これからやろうとしている流域治水ということの考え方の基礎には、やっぱり危機管理意識というものに基づいて、この流域治水ということを乗せていかないと、上流部、中流部、下流部のそれぞれの住民の皆さんの災害対策への意識の違い。そして、何で自分のところに遊水地をつくらなければいけないんだ、私のところには直接被害が出ていないではないかみたいなことになりかねないというふうに思います。

     ですから、台風18号災害は、上流から下流までみんな大きな被害があったという認識は持っているわけで、そういう意味で言うと、危機管理意識というものに基づいて、住民参加というものをどうつくっていくのかということが必要だと思うんです。その意味では、私たちこの委員会の所管は建設部と危機管理部ですから、危機管理部との連携ということも私は必要だなと思うんです。

    現在の浅川の流域治水の中で、例えば雨水調整池の追加整備や、ため池を利用した雨水貯留の対策とともに、小中学校などの公共施設や県所有施設に雨水貯留施設を設置するということになっています。ところが、中には避難所として指定されている施設があって、校庭に雨水を貯留するというふうになっているけれども、実際、台風18号災害のときに私が現場を見に行ったときには、豊野西小学校に行ったんです。豊野西小学校の校庭は避難している人たちの車でずっといっぱいです。そこへ雨水を貯留することになっているんです。これはおかしくないですか。

     それで調べました。そうしたら、これが結構あるんです。貯留する施設のうち、古里小学校、柳原小学校、東北中学校、長沼小学校、豊野西小学校、これらはみんな避難場所になっているんです。そこへ雨水を貯留するということになると、これはやっぱり避難に非常に大きな問題が出ると。これは現場を見て誰でもそう思うと思うんです。

     そういう意味で言うと、やはり危機管理部としっかり連携をして、この点については早急に見直しを図る必要があると思いますが、いかがですか。

○  川上河川課長 今、流域治水の中で進めております様々なところでの流域の貯留の関係で、例えば地下に流域の水を集めて地下貯留をするもの、それからグラウンドで貯留をするもの、グラウンドで貯留する中でも、集めたものを周りから側溝を使って集めるものもあれば、委員に御指摘いただいているようにグラウンドそのものを貯留に使う、深さが出るものもございます。

     今、御指摘いただいた部分については、この例でいただきましたのは長野市の例かと思いますけれども、長野市のほうにも意見をちょっと聞いてみたいというふうに考えております。学校によって、グラウンドの位置とかそういうものも違ってくるかなというところもございますので、長野市のほうにまた御意見をいただいていきたいというふうに思っております。

     また、そのほか先ほど委員から御指摘をいただいた追加のところというふうにお話がございました。追加でというのは、雨水調整池とかため池を利用したものというものも、浅川総合内水計画の変更の中では、長野市、それから県も連携して、そういったものも進めていきたいというふうに考えております。

○  中川委員 流域治水を進めていくということは、これは本当に大事なことだし、そこに住民参加ということが私はポイントかなと思うんです。そういう意味で、この件に関して改めて危機管理意識に基づいた住民参加の流域治水ということについて、その必要性について、建設部長の御認識をお伺いします。

○  新田建設部長 ありがとうございます。今言ったそういった問題意識は非常に重要なことだと認識していまして、河道の改修だけではもう対応できないような、そういった状況に来ていると。地球温暖化ということで、気温の2度上昇という影響はもう確実に来るだろうというIPCCなどにおいての見解を踏まえると、これから確実に川の流量は増えてくるし、降雨の量も増えてくる。災害の頻度も2倍ぐらいになるだろうというような予測がある中で、ありとあらゆる手段を講じてそれに向き合っていく、適応策を講じていく必要があるということを県としても強く認識しておるところでございます。

     そういった意味で、上下流で意識の違いがあると、こういったことは遊水地事業を進めていく上でも、被災を直接受けていないところの住民の方々にもいろいろ御協力いただかなければいけないような状況もあると思います。こういったことを理解いただくためには、やはり被災が起きた箇所だけで対応するということではなくて、日頃から流域治水という考え方そのものを、もっとしっかりプロモーションしていかなければいけないだろうと思っておりまして、それは、治水事業を進めるときに初めてそういった説明をするだけではなくて、あらゆるチャンネルを通じて、子供の教育から、社会人に対してもですし、いろいろな場面でしっかり流域治水とはこういう考え方なんだということを伝えていかなければいけないなというふうに認識しております。

     ただ、気象予測という予測の世界と、実際に川の場合だと計画高水流量という、どのぐらいの水をそこで流すのかということについて専門的な部分もあると思いますので、丁寧に分かりやすくその概念を伝えていく努力を、今後もしっかり継続していきたいというふうに考えております。

     以上でございます。

○  中川委員 下伊那のこの前の大雨の災害があったときに、400ミリの雨が降った。一体この400ミリの雨は何年確率の雨だと聞いたら調べてくれて、これは500年以上の確率の雨だというふうに建設事務所長が計算してくれたんです。でも、500年に一度の雨が場所を変えながらもう毎年降っているわけです。そういう意味で言うと、危機管理を住民の皆さんと一緒にしながら、その上で流域治水を進めていかなければいけないなということを強く感じています。

5,県営住宅について

     すみません。今ので終われば格好いいところですが、ちょっと県民の皆さんからも要望があるので一つだけ公営住宅室長にお伺いしたいんですが、県営住宅のシックハウス症候群対策だとか、畳の防カビ剤などへの過敏症ということがあって、そういう対策はどうなっているんですかという問いがあったものですからお聞きしますけれども、よろしくお願いします。

○  樋口公営住宅室長 公営住宅につきましては、様々な方々の入居を想定しております。一般的には経済的な関係ですとか、なかなか今までの住戸にいられない方みたいなところの観点が多うございますので、ある程度多くの方が対応できるような形では進めております。

     一方で、今の畳のシックハウスとかの関係につきましては、現在シックハウスや過敏症につきましても、シックハウスでおうちにいられないという方を受け入れるために県営住宅の役割もあります。今ある住宅が全てそういったことに対応できるということはちょっと言い過ぎにはなりますのでそこまでは申しませんけれども、そういう観点で整備をしていったりすることも必要で、行っているところもございます。

     ただ、住宅そのものが全ての方に、どんな方でも必ず受け入れてお住まい続けられるといいますか、適応できるようにするにはなかなか厳しいので、場合によっては、お住まいになっているんですがちょっと合わないというような方々もどうしてもいらっしゃるということも事実かとは思っております。

     対策としましては、多くの方が入居できるような形では、様々な面で、制度的な面ですとか整備的な面を進めているということではございます。

     以上です。

○  中川委員 現在、県営住宅の入居時の契約書には、退去時に畳やふすまなどを全て替えるということに、大体そうなっているようです。一般的には、故意に損傷させたとか、故意に汚したとか、こういう場合に限って元の状態に復旧することが退去時に求められると思うんです。経年劣化の修繕費用については賃料に含まれるというのが一般的な考え方だと思いますけれども、県の見解はいかがですか。

○  樋口公営住宅室長 退去時の入居者負担のお話でございますけれども、基本的には、県の条例におきまして県が修繕すべきものということをまず大きく決めてはございます。その考え方につきましては、委員さんがおっしゃったような経年劣化というものは当然施設の設置者のほうで直すということですが、畳とかふすまにつきましては使用劣化と。入居者の方がお使いになった上で劣化するものというふうに整理をしておりますので、畳につきましては退去時には、基本的にといいますか原則替えていただくということをお願いをしてございます。それにつきましても、入居の際にこういうことが必要となりますという御説明をさせていただいて、御了解を得ているものと思っております。

     あと、室内の清掃という面とかにつきましても、よくありますのが、どうしても台所関係ですと油等の汚れとか、そういったものがひどうございます。そこも当然使用劣化という判断で、台所につきましては替えるということではなくて、きちんときれいにしていただくというようなこともお願いはしているということです。

     公営住宅につきましては、家賃につきましては所得の絡みもありまして非常に民間に比べてお安くという設定を当然国の中でしているんですけれども、退去時に修繕をお願いする箇所につきましては、退去時にいろいろお金がかかって大変だという声も正直聞こえてはきますけれども、残念ながら公営住宅だからお安く畳が入れられるとか、お安くふすまが替えられるとか、そういったものではないと思っています。通常の家賃に比べて退去時に少しかかるという御認識をお持ちになってしまうきらいがありますので、きちんとそこら辺も、入居の際には説明をするということが必要かというふうに認識をしております。

     以上です。

○  中川委員 最後の質問になりますけれども、先ほど説明の中で訴訟の話がありました。僕は、今、室長が言われたようなことを相談を受けるわけです。要は、退去時の費用が払えないので、なかなか退去ができないみたいな相談を受けているんです。

     例えば先ほどの訴訟の中身で言うと、中身的にはそういうことなのかどうかというのは分かる程度で説明してもらえばいいですが、勝手に出ていってしまったんです。でも、それは退去費用が払えないから勝手に出ていってしまって、結果として今訴訟になっているのかどうかという点の確認と、退去時の費用が払えないのでなかなか退去ができないという事態を、室長は今、把握をしているというふうに言われたので、入居時に説明をするというふうに言っていますけれども、入居してから何十年とたっている方たちで、なかなか難しいところだなと思います。これは対策を求めるのはちょっと難しいんですか。一応お聞きします。

○  樋口公営住宅室長 今回の訴訟の案件につきましては、委員さんのところには退去の際にいろいろとお金もかかるからというようなことで、そういった退去費用がかかるので退去しないというような御相談もあるかというふうにお話があったんですけれども、一般的には、あくまでも一般的にですけれども、お家賃の滞納がまずございます。お家賃の滞納につきましては、当然、公平性の観点から納めていただくように働きかけもいろいろしているところでございますけれども、なかなかお家賃の滞納の解消が思うようにいかないと。

     私どもも、例えば3か月分のお家賃の滞納が発生した場合に、公営住宅法上では明渡し請求という法律上の権限行使というものができるような規定がございますけれども、さすがにその規定どおり、家賃が払えないから出ていってくださいというようなことをしていることは一切ございません。

     県のほうでも、法律上3か月以上滞納した場合にはもう明渡し請求の対象になる方でも、いろいろお話を聞きながら、家賃のほうをしっかり、すぐに解消できなくても分納で少しずつ入れていただくとか、お話をさせていただきながら、県の内規としましては、8か月以上の滞納がどうしても残ってしまっていたりとか、お家賃で金額がかなりの額になっている方々は、お話を聞きながら、福祉関係の施策が必要であれば、そういったところにも当然つなぐということをしてはございます。

     一般的に明渡し請求で訴訟までというふうになったときは、ある程度、次のお住まいというものが御自分なりの今までの収入の範疇で、公営住宅でなくても確保できるだろうという見込みが多少ある方ですとか、払わないのが当たり前だと逆に開き直ってずっといらっしゃる方とか、今回のように、退去時の手続とか諸費用が払えないということよりは滞納が先なので、そこで無断でいなくなってしまっている方というのは多々おります。

     私が先ほどの説明で申し上げましたのも、滞納ではなくて普通に退去するときに思ったよりかかってしまった、こんなにかかるんだねという声の意味で、退去されるときに少しそういったお話をいただくという方々のお声はそれなりに現地のほうを通じて聞こえてきますので、しっかり御説明なり御納得いただくということが、退去時の費用につきましては必要かなと思っているところでございます。

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20230830 危機管理建設委員会閉会中審査(土尻川関係)

2023-08-30 08:29:46 | 長野県議会

危機管理建設委員会会議録

(8月30日 閉会中委員会)

1,被災された皆さんへの損害賠償の進捗状況について

○  中川委員 それでは、私のほうからもお願いいたします。

     まず最初に、被災された皆さんと施工業者の間で進められている損害賠償の手続などについて、県として今どんなふうに捉えているのか。進められているというふうに思いますけれども、どんなふうに進められているか教えてください。

○  川上河川課長 現在、被災された方々に被災の内容について確認をさせていただく作業をしているところでございまして、各家が、まだ片づけに時間がかかっているとかいろいろとございますので、統一してできているわけではないですけれども、そういった形で被災の状況を進めていただいて、その内容によって保険会社のほうでお支払いできる、損害賠償できる額を決めさせていただくというような形で進めているところでございます。

○  中川委員 おおよそどんなスパンで、被災された皆さんにそういった補償がされるというふうに見込まれているか、分かりますか。

○ 川上河川課長 今、御説明した内容を確認させていただいてから、出していただいてから大体1か月ぐらいの期間が必要ですけれども、その1か月で内容を精査させていただいた後に、その内容について、今度は地元の被災された方にお示しするということになりますが、そのお示しした内容に御了承いただければ、その後、1週間から10日ぐらいでお支払いできるのが一般的だというふうに聞いております。

○  中川委員 可能な限り早く、やはり被災された皆さんの復旧ができるように、県としてどこまでできるか知らないですけれども、努力をしていただければというふうに思います。

2,過去に出水期の工事で同様の災害はあったか

     それから、過去に同様のこうした災害というものはあったでしょうか。つまり県の発注する事業で、結果として住宅に浸水するなどの被害が及ぶといった工事というのは、例えばここ何年かの過去を遡って経験はあったでしょうか。

○  川上河川課長 記憶で申し上げて申し訳ないんですけれども、過去、この土尻川のように、仮設が撤去できなかったためにあふれてしまったとか、そういったものについては記憶がございませんが、出水期の河川で工事中に溢水があった箇所はたしかあったかと思います。それは、今回のような仮設道路を撤去できなかったというような案件ではなかったと記憶しております。

3,土尻川災害の時系列について

○  中川委員 そうすると、少しやはりその当日の状況を改めて確認をさせてもらいたいんですが、今、小池清委員の質問の中に、6月2日にも出水して、6月9日にも出水した。この2回の出水のときには仮設は撤去されたんでしょうか。

○  川上河川課長 撤去されたのは6月2日の日に撤去されておりまして、6月9日の日は出水があったんですけれども、それほど大きな出水ではなかったということでございましたので、撤去はしていないと思っております。

○  中川委員 そうすると、6月2日には出水したけれども撤去できた。9日は出水したけれども撤去しなくて済んだ。今回の雨の様子を見て、撤去をする必要がないというふうに事業者は判断をしたという経過ですけれども、そういうことでしょうか。

○  川上河川課長 はい。6月2日の日に撤去を実際にして、問題なく撤去ができたということからしっかり撤去できるというので、9日の日はそれほど大きな出水ではなかったので撤去まで至らなかったということかと思っております。

3,仮設撤去の判断について

○  中川委員 今後の対策の中にも関わる話ですが、その仮設の撤去の判断をする材料について、事業者は、例えば予想降雨量だとか、あるいは何かそういったものを材料にして撤去の判断をしているんでしょうか。何を判断して、この撤去をするとかしないとかというその判断の分かれ目みたいなところについて、基準は何かあるんですか。

○  川上河川課長 今回の場合ですけれども、受注者のほうでは、出水による危険が予想される場合には事前に撤去するというふうにしておりまして、事前に危険が予想される場合という中には、例えば気象情報、それから天気予報等ありますけれども、それらを踏まえて撤去するというふうにしているという状況でございました。

○  中川委員 ちょっとよく分からないんですが、6月2日には撤去したわけですね。そのときの判断は何をもって判断をして撤去をするとしたか。6月9日は何をもって撤去の必要はないとして判断したか。そして今回も判断をしなかった。その基準というものがあるのかないのか教えてください。

○  川上河川課長 委員御指摘のとおり、やはりそこの部分を明確にすることが今後の再発防止策につながるというふうに私どもは考えておりまして、資料5のほうで先ほど御説明したんですけれども、出水期の安全対策の基本的な考え方というものを今後検討して、それらの考え方をしっかり受注者の皆さんに理解していただいて、今後の仮設計画を立てていただくことが重要ではないかというふうに思っております。

     現地のほうに、この建設委員の皆さんに行っていただいた中でも、現場のほうで数字を持っている現場もあったというふうに御指摘をいただいているかと思いますけれども、そういったものの考え方、そういうものをしっかり持って、より確実に撤去できるというものを、しっかり体制を取っていただけるようなものを、これから考えていかなければならないのではないかというふうに考えております。

4,施工計画について

○  中川委員 次に、施工計画というものをについて御説明をいただきたいんですが、そもそも素人なので教えてほしいんですけれども、こういった土木工事をするときの施工計画ということについては、先ほど説明されたのは、最終的に県がこの施工計画を認めるというふうに最後に何か言われたような気がしたんですけれども、この施工計画というのは、全体の工事の中の位置づけはどういうことになっているんですか。

○  川上河川課長 資料2の施工計画のところを御覧いただきますと、発注者と事業者の関係の中では、受注者は施工計画を、これは当初ですけれども、工事の着手前に提出をするということになっていまして、発注者はそれを受理するという形になっております。

○ 中川委員 今回の土尻川で言うと、当然その施工計画が出されて、県としては受理をしているということだと思いますけれども、その施工計画の中に、今回の仮設工事というものは当然入っていったという理解でいいですか。

○  川上河川課長 はい。そのとおりでございます。

○  中川委員 その場合に、流下能力がきちんと確保されているということを県としては確認をされているんですか。

○  川上河川課長 まず、出水期、非出水期のお話ですけれども、ここの施工計画の中では、一番初めの当初計画によりますと、護岸工のほうは非出水期と出水期の非出水期のほうである程度出来上がるというような工程表が提出されておりましたので、その時点では、施工計画上は非出水期にある程度、要するにもし残ったとしても上から、上からというのは先ほど御説明したような、そういう状況にできるものというふうに提出されておりました。

     その後、非出水期まで仮設工事が残るということが分かった段階で、施工業者さんと発注者のほうで、出水により危険が予想される場合にはそれを撤去してください、要するに全断面を取ってくださいねということを確認をしたということでございます。

○  中川委員 施工計画に変更があったという理解でいいですか。

○  川上河川課長 変更施工計画書は4月24日に提出されておりますけれども、そのときにはまだ新しい工程は出ておりませんでした。

○  中川委員 そうすると、出水期に工事がかかることが分かった。それで、本来、施工計画の変更が出されるべきだけれども、4月の時点で変更の届けが出されたけれども、その中には仮設の撤去というようなことは入っていなかったという理解ですか。

○  川上河川課長 出水により危険が予想される場合に撤去をするというふうに、発注者、受注者双方で確認をしたのは1回目の施工計画書が出た後でございますので、その時点ではなくて、その後に確認をしたというものでございます。

○  中川委員 1回目の変更届は、さっき4月幾日と言いましたけれども、その後ということは、いつ確認しているんですか。

○  川上河川課長 4月27日でございます。

○  中川委員 最終的に、出水期まで工事が延びます、万が一出水したときには仮設を撤去するという施工計画の変更について、4月27日に確認したという事実関係でいいですか。

○  川上河川課長 はい。そのとおりでございます。

5,契約書について

○  中川委員 それでは、私も素人で契約書がなかなか読み切れないので、ちょっとこれも教えていただきたいんですが、契約書の別紙「その他の工作物に関する工事(土木工事等)の場合」の工程ごとの作業内容及び解体方法の中に、仮設について、この黒くしてあるほうが「無」で、白くなっているのが「有」ですが、これは仮設についてありなのかなしなのか、これだけちょっと教えてください。

○  川上河川課長 黒塗りの塗ってあるほうが該当しているというものでございます。

○  中川委員 それから、契約書の総則の第3条の工程表というものは、一般に公にされているものとして理解していいですか。

○  川上河川課長 この第3条については、契約締結後に発注者に提出するもので、どの工事においても提出しているものでございます。

○  寺沢委員長 中川委員、すみません。申合せの時間を大分オーバーしていますので、一旦まとめてください。

○  中川委員 分かりました。

     最後にもう一点だけ教えてください。契約書の第9条の監督員ですが、この監督員というのは県の職員なのか。そして、この仮設工事を含む施工計画のチェックというのは監督員の仕事に含まれるのか。一般論でいいですが教えてください。

○  川上河川課長 監督員は県の職員でございまして、監督員とそれから主任監督とに契約額によって分かれます。監督員は施工計画書と、それから協議等について、発注者と受注者で協議を交わすときにその内容を確認して協議をしたり、また、受理をしたりするところでございます。

 

6,契約書 臨機の措置について

○  寺沢委員長 引き続き質疑を行います。委員各位から質疑等がありましたら順次御発言願います。

○  中川委員 一つだけお願いします。契約書の中の第27条の臨機の措置というのがございます。この臨機の措置という契約の中身、この臨機の措置とは、どういう場合にここの臨機の措置ということが行われなければならないのか、原則的な話をまずお聞かせください。

○  小松建設部次長 取りあえずお答えをさせていただきたいと思います。あまりこの条項が使われることはないんですけれども、例えば、道路改良の工事でのり面の手当をしていたときに、全く予知せずにのり面が動き始めてしまったというようなときに、当然、第三者被害であったり道路に対する被害が起きないような措置というのは、その状況を見て現場でも判断をしてやっていかなければいけないと思うんです。

     その場合に、「あらかじめ監督員の意見を聴かなければならない。ただし、緊急やむを得ない事情があるときは、この限りではない」ということなので、例えば監督員にこういう対応をしますけれどもいいですかと確認できる場合もあるでしょうし、それすらできなくて現場で判断しなければいけない場合もあると思いますので、やむを得ない場合は監督員の了解を得なくても現場の判断でやっていただくことも可能だということを明記しているのではないかと考えております。

○  中川委員 そうすると、例えば今回のような雨が降ったときへの対応としての臨機の措置という意味ではないということでいいですか。

○  川上河川課長 今回の場合は、仮設物を大雨で危険が生じるおそれがあるという場合には撤去するというふうに決まっておりますので、臨機の措置ではなくて、その考えに基づいてやっていただくものと考えております。

7,監督員との連絡体制について

○  中川委員 契約上のこの臨機の措置に対応するものではないということは分かりました。監督員は、今回の災害の中で、この雨に対する判断だとか、それから業者との連絡だとか、あるいは業者からどうしたらいいですかとか、そういう事実関係はあったでしょうか。監督員との間に、この雨が降った際にいろんな情報交換はあったんでしょうか。

○  川上河川課長 そこのところは今、把握しておりません。申し訳ありません。

○  中川委員 今回の土尻川の検証から、また災害のない安全な工事をしていく上で、そうしたところもきちんとやっぱり把握しておく必要があると思いますので、できれば後で資料を提供してください。

     以上です。

 

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20230810 宮城県上工下水一体官民連携運営事業についての調査

2023-08-11 06:46:25 | 長野県議会

■水道法改正されコンセッション方式の運営が導入された宮城県

2018年12月に水道法が改正された。これはTPP関連法であり、海外資本に日本の水市場を売り渡すのも野になるのではないかと心配されていた。全国的には浜松市の下水道事業の一部を2019年4月からコンセッション方式で運営を開始した。コンセッション方式とは、施設の所有権を自治体に残したまま、運営を民間事業者に長期間委託する事業方式のことをいう。水道法改正の議論の中では、フランスのパリやスペインのバルセロナなど先行して水道事業の民営化が行われたが、水道料金の値上げや安全の確保などを理由として再公営化する動きがでている中で、民営化は問題ありと言われてきた。そうした中で、宮城県がなぜ全国に先駆けて水道事業のコンセッションに踏み切ったのだろうか。

■水道事業の環境悪化から広域連携へ

宮城県に限らず水道事業を取り巻く環境は厳しい。水道事業は自治体の固有事業であるが独立採算制をとる企業会計だ。水道料金収入で人件費や施設費、修繕費などを賄っている。人口減少と共に水需要が減少し水道料金収入が減る一方で、老朽管の更新や耐震化などにかかる費用は今後も増加していく。

国は水道法の改正の中で令和4年度末までに都道府県に「広域連携推進計画」をつくるよう指示、現状の経営状況の分析をはじめ広域連携に向けた議論が始まった。環境部が担当するが、県企業局が用水や末端給水をもつ県では、企業局が関係する市町村によびかけ広域連携に向けた協議が行われている。長野県内でも、県が末端給水を行っている長野市、千曲市、上田市、坂城町と連携協議が精力的に行われている。さらに用水供給している松本市、塩尻市、山形村との協議も始まる。

広域連携推進計画の中では、県企業局が関わっていない自治体水道事業についても連携の在り方が盛り込まれているが具体化は未知数だ。すでに広域連携をしている佐久市水道事業団や上伊那水道事業組合などが、さらに周辺の自治体との連携拡大に向けて議論を行う方向性は示されているが、多くの自治体は実際はこの連携計画から取り残されていく可能性がある。【課題①】

■宮城県、県企業局が関わる事業をコンセッション方式へ

水道法の改正の目的は、大きくは広域連携の推進と官民連携の推進である。宮城県の場合、広域連携の推進は環境部ですすめ、県企業局が関わる上下水道事業や工業用水事業を先行して官民連携を進めている。つまり、宮城県のコンセッション方式の導入は広域連携とは関係がない。【課題①】

コンセッション方式導入以前から、県企業局の水道用水供給事業、公共用水供給事業、流域下水道事業は指定管理により民間委託されていた。

大崎広域水道用水供給事業と仙台北部工業用水道事業は、「水ing」

仙南・仙塩広域水道用水供給事業は、「ウォーターエージェンシー」

仙塩工業用水事業と仙台圏工業用水道事業は、「水ing]

仙塩流域下水道事業は、「みやぎ流域下水道施設管理運営共同事業体」

阿武隈川下流流域下水道事業は、「水ing」

鳴瀬川流域下水道事業と吉田川流域下水道事業は、「みやぎ流域下水道施設管理運営共同事業体」

この他、今回のコンセッションの対象となっていない企業局の事業が三つある。北上川下流流域下水道事業、迫川流域下水道事業、北上川下流東部流域下水道事業である。理由は、「水道事業と一体運営の効果が最も高いと判断」したと説明がされている。【課題②】

■民間の力を十分に活かせていないからコンセッションへ

県企業局の説明では、これまでの民間委託とコンセッションを比較している。

①契約期間が最長で4~5年で従業員の雇用が不安定、人材育成が困難⇒20年間の契約で雇用の安定と人材育成、技術の継承・革新が可能に

②事業ごとに委託しているのでスケールメリットを発揮しがたい⇒スケールメリットの発言効果が拡大

③仕様発注方式⇒性能発注方式に変えることで、ITの活用により自動化・人員削減、最適最新ソフトの導入、長期一括調達による薬品を安く購入

これまでの業務内容のうち、コンセッションで役割が変わるものは、「薬品・資材の調達」「設備の補修・更新工事」が民間に移動するだけで、「事業全体の総合的管理・モニタリング」「水質検査」「管路の維持管理、管路建物の更新工事」は、引き続き県企業局が運営する。【課題②】

県企業局は、コンセッション方式導入により、20年間で約247億円の総事業費が削減できると説明している。

■企業の選定

2024年4月事業開始に向けた、受注企業の選定作業は2年前の2020年3月に募集要項が公表され公募が開始された。第一次審査で参加資格を得た3つの企業グループが「競争的対話」を経て、それぞれの企業グループの「事業方針・実施体制」「水質管理・運転管理・保守点検」30点、「改築修繕」44点、「セルフモニタリング・危機管理・事業継続措置」34点、「地域貢献」10点などに加えて「運営権者提案額」40点で第2次審査が行われた。

応募した企業グループは以下の通り

A JFEエンジニアリング・東北電力・三菱商事・明電舎・水ing・ウォーターエージェンシー・NJS・DBJグループ

B みやぎアクアイノベーション(前田建設・スエズウォーターサービス他7社)

C メタウォーターグループ(メタウォーター・ヴェオリア他8社)

第2次審査の結果、Cのメタウォーターグループが第1位優先交渉権者、Bのみやぎアクアイノベーションが第2位次点交渉権者となった。

メタウォーターグループによると県が期待したコスト削減247億円を超える、337億円のコスト削減が提案された。内容は、ICT導入や業務の効率化による組織体制の最適化により▲167億円、新技術導入による消費電力の軽減・抑制により▲48億円、設備の長寿命化で▲348億円、修繕費+101億円となっている。

結果、これまで指定管理で受注してきた水ingやウォーターエージェンシーからメタウォーター・ヴェオリアグループへ変わった。【課題③】

■みずむすびビジョン

メタウォーターグループが県に示した提案書が「みずむすびビジョンである」。このグループはSPC(特別目的会社)と呼ばれ、出資比率は以下のとおりである。

メタウォーター㈱ 34.5% 経営管理、改築・修繕業務

メタウォーターサービス㈱ 0.5% 維持管理業務

ヴェオリア・ジェネッツ㈱ 34.0% 維持管理業務

オリックス㈱ 15.0% 財務管理業務

㈱日立製作所 8.0% 改築・修繕業務

㈱日水コン 3.0% 計画・設計業務

㈱橋本店  2.0% 維持管理業務(土木・建築)

㈱復建技術コンサルタント 1.0% 計画・設計・検査業務

産電工業㈱ 1.0% 改築・修繕業務

東急建設㈱ 1.0% 維持管理業務(土木・建築) 

実質、メタウォーターとヴェオリア・ジェネッツとの合弁会社といえる。みずむすびビジョンでは、「水質管理体制」「施設の維持管理体制」「災害・事故時の対応」「情報公開とモニタリング機能の確保」「地域貢献」「事業の安定性」「任意事業」などが書き込まれている。

■事業開始後のモニタリング体制

事業開始後、適正な運営が行われているか、県の「要求水準を安定的に充足することを確認するための監視」であるモニタリングが、運営会社によるセルフモニタリング、県によるモニタリング、経営審査会によるモニタリングの3段階で行わることになっている。

また、みやぎ型管理運営方式はPFI事業であるため、県の予算・決算から抜けるため、監査の対象外となる【課題④】。そのため、財務状況や水質のモニタリング等、事業の運営状況を定期的に県議会に報告する県条例がつくられている。

運営権者の情報公開は、県情報公開条例に趣旨に沿った取り扱いを行うことになっている。【課題⑤】

■2023年度決算およびセルフモニタリングの結果

このSPC(特別目的会社)は、「みずむすびマネジメントみやぎ株式会社」として、完全子会社の「みずむすびサービスみやぎ株式会社」が運営主体となっている。

2023年7月31日に発表された「令和4年度業務報告書」では、「事業計画に示した利益水準を上回る経営成績に着地」「年間を通して必要な投資を見極め抑制的な経営に努めたこと、事業初年度において厚めに手当てしていた予備費の一部を使わなかったこと、大きな費用が必要となる突発修繕が発生しなかったこと、そして雨天時浸入水の影響とみられる要因で下水道事業において想定以上に処理量が増加し売上が伸びたこと等に起因」「一方で、12 月には仙南・仙塩広域水道用水供給事業において、要求水準で定められた水質を逸脱する事案も発生しており、安定的な事業運営における課題がいくつか残りました」と報告されている。

(1)人員体制 実施体制(人数)は 269 名を基本とし、さらに運転管理の早期安定化と従事者の早期習熟を進める目的で、計画外となりましたが、適宜株主等からの熟練度の高い応援人員を追加的に配置(令和 5 年 3 月 31 日時点で 10 名)して対応。【課題③】

(2)収支実績 令和 4 年度売上高は、6,816 百万円、経常利益 518 百万円、当期純利益 359 百万円

(3)株主配当 本年度の当期純利益は 359 百万円となったものの、利益剰余金は依然として▲170 百万円であるため、令和 5 年度において当社の株主への配当を行わない。
また、株式会社みずむすびサービスみやぎにおいては利益剰余金が 401 百万円となり一定の配当が可能な水準にはあるものの、昨今の電力費等の上昇の影響で、令和 5 年度の経営環境が大きく悪化することが想定されることから、当面は株主への配当を行わない。

(4)役員報酬 代表取締役社長のみに17,343 千円を代表取締役社長の派遣元であるメタウォーター株式会社へ支払っている。

(5)改善モニタリング委員会の議論  「地域に根差した会社となるための取組」「緊急時における地元企業との連携」「民間が担うことに対する理解促進と情報発信」「下水道資源の肥料利用に関する取組」などが議論された。

(6)地域貢献 設計工事などの地元発注率は金額ベースで14%、みずむすびサービスみやぎからの発注は24%だった。地域人材雇用率は89.6%。

■コンセッション方式導入の課題

(1)みやぎ型上工下水一体官民連携運営事業は、これまで県企業局が運営してきた事業のみをコンセッションほうしきを導入したもので、水道法改正の目的の一つである広域連携とは関係がない。広域連携については、環境部が進めている。

(2)そもそもの狙いが、宮城県全体の広域連携とは離れて、これまで県企業局が指定管理で運営してきたものをコンセッション方式に切り替えたに過ぎない。したがって、県企業局が運営している他の3つの流域下水道事業が含まれないことも含めて、受注する企業にとって利益が出る部分だけを請け負うということになり、県としての県民益の公平なサービス提供になっているとはいえない。

 利益の出ない、「管路管理」が県企業局が引き続き運営する意味はあるのか。市町村に売る水道の安全確保においても、浄水場での問題か、途中の管路の問題か、責任の所在が直ちに判明できない。

(3)これまでの指定管理が4~5年、コンセッション方式が20年の契約期間である。今回のコンセッション方式導入で、これまでの企業から他の企業に変わったことで、「現場のノウハウ」が引き継げず、人員を増やして対応せざるを得なかった。20年後に、同様の問題が出てくるので、新たな企業が契約をすることは逆に難しくなる。

(4)みやぎ型管理運営方式はPFI事業であるため、県の予算・決算から抜けるため、監査の対象外となる。そのため、財務状況や水質のモニタリング等、事業の運営状況を定期的に県議会に報告する県条例がつくられているが、何をどのように県議会に報告されるのかはこれからである。

(5)運営権者の情報公開は、県情報公開条例に趣旨に沿った取り扱いを行うことになっているが、2022年7月28日市民団体からみずむすびマネジメントみやぎへの質問への回答のうち、「本社および事業所ごとの親会社からの出向者と新規採用者の内訳」「新規採用者のうち昨年度まで同じ業務に従事していた社員数の事業所ごとの内訳」「当社配備予定の社員数に加配して事業がスタートしていると聞くが、加配の事業所ごとの内訳と理由(のうち具体的な人数)」「個別の社員の勤務先」「浄水場および浄化センターのシフト体制、1勤務あたりの人数の事業ごとの内訳」については、「公開しておりません」と回答している。これらが、県情報公開条例の趣旨に基づくものなのか確認が必用。

以上

 

 

 

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20230705 危機管理建設委員会

2023-08-04 11:28:51 | 長野県議会

○ 中川委員 新型コロナの関係で、一つ、二つお願いします。

   政府の分科会のほうで、第9波の可能性ということが言われているわけです。ただ、2類から5類に変更になったということで、国民というか、県民の皆さんの感じ方も少し変わってきているので、実際、流行しているということが過小評価されてしまっていて、検査も受けに行く人が少ないという結果として、私の周りでもはやっているということがあるものですから、これはどういうふうに情報を発出をして、備えるべきを備えさせるのか、これは結構難しいところだなというふうに思うのですね。

   単に5類だからといって、今までと同じような、インフルエンザと同じような対応ということではなくて、やはりコロナという新しいものが、今まで2類だったけれども5類になったということの中で、今までの感じ方も、定点というのもなかなか直接、これは危ないなというふうに感じにくいところもあるので、そんな点を含めて、県の対策室としてどんな対応を考えているのかというところが1点。

   それから、二つ目は、これはコロナ対策室になるのかどうか、ちょっとよく分からないのですが、入院調整も病院間でやるようになっているのですが、どこかに集中して、入院が偏っている場合に、やはり行政がそこに関与して調整する必要があるのではないかな。その二つ、お願いします。

○ 髙野新型コロナウイルス感染症対策室長 コロナの感染状況についての把握の方法が変わったことについて、住民の皆さんとどのように共有していくべきかというお尋ねと、それから、入院調整のお話という、二つの御質問を頂戴いたしました。

   まず1点目のことにつきましては、委員の御指摘のとおり、5月8日から従前の全数把握から定点の把握に移行しております。県民の皆様からもマスメディアの皆様からも、従前より少し分かりづらくなったというようなお話は確かに頂戴をしております。

   そういうこともあるものですから、季節性インフルエンザで行われているような定点把握でございますので、同じような国で行われている注意報、警報、そういった仕組みを早期に構築していただけないかということを、健康福祉部を通じて国に対して要請をしているところでございます。

   また、入院調整につきましては、委員御指摘のとおり、場合によっては、保健所、行政が関与する必要も想定しているところでございます。病床の逼迫が見られた場合等につきましては、引き続きそういう可能性もあるということで対応していく予定でおります。

   以上でございます。

○ 中川委員 思うに、やはり新型コロナがゆえに、もう少し伝わりやすいことを考えていくということは必要だなということを改めて、国に要望しているのであれば、具体的にやってもらわないといけないと思いますので、さらによろしくお願いします。

   それから、防災ヘリの関係でいいですかね。私、県警からも資料をもらっているのですが、県警のヘリと防災ヘリとの連携というのはどうなっているのか。これは情報として知りたいのですけれども、例えばうちの総合防災ヘリが点検中だった場合と、それから、県警のヘリが同じタイミングで点検に入るとか、そういうことがあるのかどうか。その場合にもし出動が必要になった場合には、他県の県警なり、防災ヘリへの依頼をしているのかということ。そういう意味でいえば、他県の防災ヘリとの連携状況というのはどうなっているのか、少し教えてください。

○ 小野消防課長 今、防災ヘリ、山火事であったりとか、それから、山岳救助の関係でもし重なってしまった場合、どのような連携を取っているかというような御質問かと思います。

   まず県警のほうからでございますが、県警のほうとの関係で、点検がどうしても1年に1回、約3か月ほどあるのですけれども、その時期については打ち合わせまして、時期をずらしてやっているところでございます。ですので、山岳救助、県警のほうに一報、救助の要請が入ったときに、もし飛べないときは、うちのほうに、防災ヘリのほうに来まして、それで飛んでいって、代わりに救助するというような連携は随時取らせていただいております。

   それから、他県との関係でございますが、他県とは協定を結んでおりまして、群馬ですとか、埼玉、それから富山、岐阜だったかな、近県とありまして、やはりそこも法定点検というのがありますので、その都度、時期をやはり年間の計画を立てておりまして、重ならないようにしまして、やっているところでございます。

   一例を申し上げますと、最近も群馬県が法定点検の3か月に入っているものですから、ここ2週間ほど、山梨県のほうで遭難があって、そこではやはり土日なのですけれども、3回ほど応援に行って救助をして、また戻ってくるというような手当てをしております。

   以上でございます。

○ 中川委員 共同運航というところまではいかないのですが、前にも言ったことがあるのですけれども、近県の皆さんとの連携というのが、人的なことも含めて、何か交流があったほうがいいのかなということを感じていて、最終的に共同運航みたいな形でなっていけばいいのかなというふうには私は思ってはいるのですけれども、引き続き体制の整備、連携というのをきちんとやっていくことが必要かなと思います。

   ただ、出動件数を見ると、例えば令和4年でいうと、県警ヘリの出動件数が130件で、防災ヘリが36件ということで、県警は二つあるということもあるので、こういうときには県警が行っていて、こういうときには防災ヘリが行くという、その基準というか、そういうのはあるのでしょうか。

○ 小野消防課長 どちらが救助に行くかという基準でございますが、その基準というのはありませんで、例えば110番が入れば、まずは県警のほうで動いていく。119番、救助のほうで一報が入れば、防災ヘリのほうで入るというようなことでございまして、その後、先ほど申し上げましたとおり、点検とかで動けない場合は、要請でやっていくというような形、システムになっております。

   以上でございます。

○ 中川委員 引き続き、県警のヘリとの連携をしっかりやっていただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。

   それから、もう一つ、個別避難計画についてなのですが、これは担当は健康福祉部になるのですけれども、市町村長から言われたことで伝えておきたいことがあるのですが、個別避難計画をつくるときに、自治会でつくるわけですよね。そのときに、本来、要支援をして避難をしていく人がいるけれども、それが漏れた場合、一体これは誰の責任になるのかということを、地元の村長さんが弁護士を通じて調べたら、これは計画を立てた自治会の責任者、町会長とか、自治会長とか、そういう人の責任になるのだということで、これは県とか、市町村の責任にならないみたいな回答があったらしいのです。

   これはちょっと大事な問題なものですから、漏れたがゆえに避難をさせることができなかったというようなことが結果としてあって、その責任を問われるようなことにならないようにするというか、そういう保険をつくれというふうに言うのか、ちょっと難しいところはあるのですが、そういう問題意識を持っているので、もしコメントがあれば、お願いします。

○ 渡邉危機管理防災課長 個別避難計画について、もしつくったときに漏れてしまった場合の責任についてのコメントということで、頂戴いたしました。

   個別避難計画については、委員御案内のとおり、各地域でつくっていくわけでございますが、我々としますと、漏れてしまうことがないように、まずつくるのが目的だと思っております。

   実際に個別避難計画は、本会議でも御質問いただきましたけれども、県内の各市町村のほうでも、作成するのに苦慮しているという話は伺っております。

   まず作成のほうを先に申し上げますと、私どもとすると、令和3年、4年から、内閣府の事業などを使ってやっておりますが、今年も意欲のある松川村さん辺りがちょっと手を挙げてくださっていますけれども、そこで個別避難計画の作成とか、実際につくるときにどんな悩みがあるかというのを、実際につくりながら検証しようという取組を始めています。今年は我々もそこに参画をいたしまして、それをできるだけ広域的に、そういう悩みは皆さん同じだと思いますので、広域的に広げていくような、そんな研修、取組をやってまいりたいと思います。

   今、委員もおっしゃいました、漏れてしまったらどうなるとかというところは、正直、申し訳ございませんが、私も、今、明快な答えは持ち得ておりませんけれども、今年、村のほうと一緒につくり上げていく中で、そういった課題というのも実際に取り上げてみながら、実際の現場の課題に即して、またそういったものに対応して取り組んでまいりたいと思います。

   すみません、以上です。

○ 中川委員 そういう課題があるということなので、全国的に研究というか、何か必要なのではないかなというふうに思うので、よろしくお願いします。

   以上です。

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20230703 危機管理建設委員会 建設労働者の処遇改善について

2023-08-04 11:22:39 | 長野県議会

○ 中川委員 それでは、よろしくお願いします。

   最初に説明の中で、小川村の土尻川のことについて後で説明するというふうに言われたのですが、説明を聞き漏らしたかもしれませんけれども、改めてちょっと説明をお願いします。

○ 川上河川課長 小川村で土尻川の浸水被害があったという件の御説明でございます。

   まず一昨日、7月1日土曜日に小川村地籍を含め、県内で降雨がございました。特に小川村近くでは、土曜日の午後に雨が降りまして、そのときに小川村の浄化センターの近くの土尻川で氾濫が起こりまして、6軒の浸水被害がございまして、床上が2軒、床下が4軒という被害があったという状況でございます。

   これについて、この近くで災害復旧工事を実施していたもので、長野建設事務所のほうで復旧工事を行っていたわけですけれども、こちらとの関連もあるということで、こちらについて被害の状況等、それから、原因の分析等を進めているという状況でございます。これについては、この委員会の中で現在の状況等について、また改めて御説明をさせていただきたいというふうに思っております。

○ 中川委員 すみません、私の聞き間違えだったかもしれません。

   それでは、今日は、私、11月に建設現場で働く皆さんの労働条件の改善について一般質問をしました。それになぞるような形で幾つか質問をしたいと思うのですが、趣旨は、一番最後に部長にお伺いしたいのは、建設現場で働く人たちは、長野県内の中小の建設会社が圧倒的に多いわけです。だから、そこをやはり支援する仕組みがないと、なかなか建設現場で働く、現場で最後に働いている人たちのところの労働条件が改善されていかない、結果として人手不足になっていくのではないかというふうに最後に聞きますので、そこにたどり着くまでに少し幾つか質問を積み重ねていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

   まず一つ目は、県の契約条例に基づいて、建設工事において労働賃金の支払いの実態を検証しつつ、適正な労働賃金の支払いを評価する総合評価落札方式というものをこの間、試行してきました。

   2019年の9月の定例会で私がこのことについて質問をした際、当時の建設部長から、なかなかやはり現場では一人一人の確認ができない、ちゃんと賃金が払われているかどうか確認ができていないということから、標準見積書の活用や建設キャリアアップシステムの普及や月給制への移行といった施策を加えた新たな取組を推進するという答弁だったのですね。これは加えた新たな取組を推進するということだというふうに聞いていたのですが、結局、確認なのですが、適正な労賃の支払いを評価する総合評価落札方式の試行は今もやっているのでしょうか。

○ 増澤技術管理室長 2019年、当時の建設部長が回答させていただいたとおりでございますが、なかなか企業からは技能労働者への適正な水準の賃金の支払いが、この制度の中では確認が容易ではないということが課題として、実際、これについては、今この時点で試行はとどまっておりまして、それを踏まえて、標準見積書の活用だとか、CCUSの活用等の新たな取組に移行すると、そういった答弁だったと感じております。

○ 中川委員 その試行をやめたのはいつですか。

○ 増澤技術管理室長 やめたということは言っておりません。試行を令和元年まで続けておりまして、その後は今のところ適用はないといった状況でございます。

○ 中川委員 すみません、そこはもう少し詳しく説明してもらいたいのですが、やめていなくて、適用がないというのは、要は設計労務単価の9割以上を支払う契約相手に1点加点するということをやってきたわけですね。それをもうやっていないというのではなくて、やってはいるということなのですか。

○ 増澤技術管理室長 今、お話しさせていただいたのは、適正な労働賃金の支払いを評価する総合評価落札方式の試行という点につきましては、その時点で確認が容易でないということが課題として、それ以降は、現時点までは実施の件数がないといった状況でございます。

○ 中川委員 それ以降、実施の何と言ったのですか。

○ 増澤技術管理室長 実施した件数はございません。

○ 中川委員 実施した件数がないというのは、要は総合評価落札方式で設計労務単価の9割以上賃金を払うという業者に対して加点をするということを示していないという、そういう意味ですか。それとも示しているけれども、そういうことはないということなのですか。

   もう一回言いますけれども、試行してきた制度自体は設計労務単価の9割以上を支払う会社に対してということを宣誓した会社に対して、総合評価で1点加点しますということをやってきたわけですよね。それが今はやっていないということなのですかということを聞いているのです。

○ 増澤技術管理室長 すみません。制度としては残しているといったことでよろしいでしょうか。

○ 小松建設部次長 今、一生懸命室長がお話ししているのは、総合評価落札方式の制度としては残っているのだけれども、結局、要するに加点するためには、それを確認しないと加点できないのですが、それがなかなか確認ができないので、制度の試行をやめましたという形ではなくて、制度としては残っているのだけれども、実質的にそれを適用した発注ができていないという、そういう解釈をしていただければいいのではないかなと思います。

○ 中川委員 それはちょっと違うと思うのですよ。今までも一応それによって加点をした実績はあるのです。だって、これは宣誓すればいい話なので。設計労務単価の9割以上を払いますというふうに宣誓した企業に対して、1点加点しますよという制度なので、実際にそれが支払われたかどうかというのは、確かに言われたとおりに確認がなかなか難しいというところにつながっているのだけれども、しかし、試行してきた制度自体は設計労務単価の9割以上を支払うということを宣誓した企業に1点加える。なので、これは実績もあるのです。今までそれで加点してきた実績があるのです。違いますか。

○ 増澤技術管理室長 すみません。これまでやってきた加点の実績については、今、手元に資料がないものですから、確認させていただきたいと思います。申し訳ありません。

○ 中川委員 後でまた資料を出してください。

   私はやはりそのことがきちんと契約審議会の中でも議論がされてきたのかということも確認したいのですね。つまり試行してきた、しかし、実際に現場で賃金が支払われているかどうか確認ができない、そこが課題だと、これは私も理解しています。これは私も理解しています。ただ、そういう経過があるということをちゃんと契約審議会の中でも確認がされてきたのかということについては答えられますか。

○ 増澤技術管理室長 申し訳ございません。今、この件について、契約審議会で確認してきたかというお問いについては、申し訳ありません、その時点での状況が分かりませんので、そのことも踏まえて、また後ほど答えさせていただきたいと思います。

○ 中川委員 それでは、次に行きますけれども、私は全体的に建設産業で働く労働者の賃金が全産業で働く人たちの賃金、年収ベースで比べても上がってきたということが賃金構造基本統計調査などで確認がされているのですけれども、でも、やはり企業規模によって実態が違うし、それから、職種によっても違うというふうに思って調べたことを11月の定例会の中でお話をさせてもらったわけです。大企業から中小企業まで250万円くらいの賃金格差が現実にはあるし、職種別でも建築士ととび工との間では300万円ぐらいの格差があるということを御紹介をいたしました。企業規模あるいは職種によって格差がある、このことについての認識を持っているのかということをまずちょっとお聞きしておきたいと思います。

○ 増澤技術管理室長 企業規模あるいは職種によって格差があるという認識をしております。

○ 中川委員 そういう格差があるので、これは一番最後の質問につながっていくのですけれども、やはり中小の長野県の企業をしっかり支えていかなければいけないというところにこの質問はつながっていきます。

   もう一つは、設計労務単価の上昇と現場で働いている人の年収の伸び率が違うというふうに田中建設部長が答えました。答弁を言うと、令和元年から令和2年にかけて5%程度の上昇が見込まれています。でも、実質の技能労働者の平均年収の伸びは2%程度にとどまっていて乖離が見受けられ、課題があると認識しているという答弁だったのです。

   私もこれはずっと考えているのですけれども、設計労務単価を上げたというふうに言うのだけれども、それが実際に働いている人たちの賃金の改善につながっていかない。これは一体何でなんだろうねと思うのです。私も回答を持っているわけではないのですけれども、どんな考え方をされていますかね。いじめているわけではないからね。

○ 増澤技術管理室長 設計労務単価が実際の労働者の賃金に反映されていないのではないかということかと思います。ある意味これというのは、恐らくは下請の重層化というのもあって、一次下請、二次下請、三次下請、そういったところでやはり下に適切に行くようなことになっていないということが、そういったことにつながっているのではないかというふうに察しております。

○ 中川委員 それで、次に聞いたのは、結局、下請業者から最後に働いている現場の労働者に対して適正な賃金が支払われているかについて把握ができていないというふうに、私の質問と建設部の答弁は続くわけですね。結局、把握ができないというところが、最初に言った総合評価落札方式でも現場に最終的に払われているかどうかが分からないというところで止まってしまっている。止まってきたのですね。その話は今も結局止まってしまっていると思うので、把握ができていないという、なぜ把握ができないのかという点については、この間、いろいろ建設業協会ともいろいろ話をされてきていると思いますけれども、そんな点について何か御所見はありますか。

○ 増澤技術管理室長 これも回答になるかどうかあれですけれども、適正な労働賃金の支払いを評価する総合評価落札方式において、要はなかなか把握することが課題だということを先ほどお話しさせていただきましたけれども、そのときの状況を聞くと、県が出している設計の単価、そういったものが指定工種みたいなものが増えてきて、簡単に言うと、労務費とか、材料費とか、機械経費、こういったものが今、明確に区分できないような工種が増えてきていて、そういった単価で出しているものがだんだん増えてきているということなのですよね。ですから、簡単に言うと、その分のうちのほうが見ているだろうという労務費自体を切り分けることも難しくなってきているというのが、当時、試行として確認することが難しいと至った判断の一つだというふうに思っています。

   ですから、いろんな工種が入り混じった、もう一度申し上げますが、労務費、材料費、機械経費等が区分できないような指定工種で発注したような工種がいろいろ出てきて、企業からも技能労働者に適正な労務費が払われているかについては、指定工種が大分入ってきているので、確認することが難しいとしていたのが当時の考察結果というふうに認識しております。

○ 中川委員 そうすると、標準見積書を使うというのは、いろいろなものが混ざってきている中で、標準見積書を使うことによって適正な賃金が支払われるように促すことにつながっていくのかというところと、ちょっと矛盾というか、ずれがあるような気がするのですが、それは標準見積書を使うことによって、8割ではきちんとどうのこうのという答弁があったのですが、混ざった工事というのは標準見積書は使えないのですか。

○ 増澤技術管理室長 標準見積書自体は、下請の契約額における労務費相当額と法定福利費を明記して出していると。要は簡単にこれで社会保険の未加入対策等にも寄与するものだと認識しておりますので、標準見積書の活用は実際に効果がある取組で、さらにこれは活用を促進すべき内容だというふうに思っております。

○ 中川委員 ただ、現場から言わせると、標準見積書で積み上げ方式でやっていれば、それなりの効果はあるのだろうなという気がするのですが、結局、大枠はこれですというところから、積み上げではなくて、それに合わせてつくっているという指摘があるのも現実なので、ちゃんと積み上げ方式で、今、言ったように社会保険料はどうだとか、賃金がこうだとかという、ちゃんと積み上げ方式で標準見積書がつくられているのかどうか、そこはちょっと確認・点検が必要な課題ではないかなというふうに私は思っています。これは指摘だけにとどめておきます。

   それから、もう一個、建設キャリアアップシステムについても、何とか労賃改善に向けて必要な取組ということで取り組んできたわけですよね。今、加点制度にも加えてもらっているのですが、令和4年の7月末で2,269社という話だったのですが、全国平均から比べるとまだ低いという、11月の時点では話だったのですが、その後、改善はされているのでしょうか。

○ 増澤技術管理室長 キャリアアップシステムの登録業者数のお問合せかと思います。

   令和4年の7月末時点、委員御指摘のとおり、2,269社でございました。最新の情報は令和5年の5月末時点で2,854社といった状況でございます。これは全建設業者数の大体38%に上ります。改善はしてきておりますが、まだまだ全国平均よりは低いという状況でございます。

   以上です。

○ 中川委員 部長の答弁で、登録が進んでいない原因として、導入費用の負担が考えられるため、原則全ての工事でカードリーダーの設置費用等を設計に織り込む取組を来年度から実施してまいりますということは、本年度なのですね。これは実施されているのでしょうか。

○ 増澤技術管理室長 今年度より原則全ての工事でカードリーダーの設置費用を設計に盛り込む取組を始めました。

   以上です。

○ 中川委員 それはよかった。ありがとうございます。一番の肝心な点は、キャリアアップシステムにキャリアに応じた目標賃金だとか、どういう言い方がいいのかちょっとよく分からないのですが、下限と言うと下に張りついてしまうし、キャリアに応じた標準賃金というのが、このぐらいのキャリアを積んできた人にはこれだけの賃金が払われて当然ですよねというような、そういうものがひもづけされていかないと、やはりキャリアアップシステムを入れました、けれども賃金は改善されませんということになりかねないのです。これは全国の状況とも兼ね合いがあるのですけれども、そんな点、国土交通省か何かでそんな議論がされているかどうか、御存じでしたら教えてください。

○ 増澤技術管理室長 キャリアアップシステムのレベル別年収の話かと思います。先月ですけれども、国のほうで、CCUS、建設キャリアアップシステムのレベル別年収の試算を公表しています。これは先ほど委員もお話がございましたけれども、この職種であれば大体幾らぐらい所得があっていいだろうという、そういった目安になるものかと思うのですけれども、こういったものは本当に将来の処遇だとか、キャリアパスを示すものなので、技能労働者の技能だとか、経験に応じた賃金支払いの具体的なイメージにつながって、こういったものが支払いにつながっていくことを期待しているところでございます。

○ 中川委員 やはりせっかく何とか若い人たちに建設現場で働いてもらいたいということで始めた建設キャリアアップシステムなので、それが有効に機能するように、引き続き御努力をいただきたいというふうに思います。

   それから、賃金の実態調査です。今後、調査の具体的な内容や調査方法を含め、検討していくという答弁でした。これの検討状況と、それから、もう一つ、これは今日説明された資料の中にある新年度働きやすい現場環境づくりをしていくというのは、資料19で説明されたことを意味しているのか、その二つ、お願いします。

○ 増澤技術管理室長 まず後者につきましては、資料19で示すとおりのモデル工事の試行ということでございます。

   それから、前者のお問合せの賃金実態調査の検討状況ということでございますけれども、今、10月に実施予定の公共工事(★事業)労務費調査、これの実施に合わせて特定の職種について、例えば末端の下請業者、あるいは一人親方、こういった技能労働者を抽出して、賃金実態の把握をするための調査ができないか、今、検討しているところでございます。

   この調査に先立ちまして、今月でございますけれども、技能労働者が加盟する長野県建設労連の皆さんと県の公共工事における取組だとか、技能労働者の実情について意見交換をしていきたいといったふうに思っております。

   以上です。

○ 中川委員 ちょっと細かい点まで踏み込んで、別に室長をいじめているわけではないので、それは勘弁してください。

   冒頭から言っているように、やはり若い人たちに建設現場で働いてもらいたい。それはやはり議会でどんなに議論しても、知事がどんなに立派な計画を立てても、現場で働く人がいなくなってしまえば、まさに絵に描いた餅になるわけです。ですので、きちんとやはり現場で働く人たちのところまで賃金が支払われるということが必要だということが原則と、併せて、これは一番最初に申し上げて、最後に部長に聞くのですが、やはり長野県の中で支えているのは、元請は労働者を持っていないのですよね。労働者を持っているのは、やはり中小、下請の会社なのですよ。中小、下請の建設会社をしっかり支える仕組みをつくっていかなければ、結果として働く人たちのところに賃金が回っていかないということになりかねない、というか、なっているのだと思うのです。

   それで、例えば先ほど説明いただいた、誰もが働きやすい現場環境づくりモデル工事の試行ということをやるわけですよね。でも、この試行の中で、例えば現場通路の改善だとか、女性専用更衣室をつくったとか、こういったことをやるには、これだってみんなお金がかかるわけですよね。だったら、こういうところへちゃんと支援をするというような仕組みをつくらないと、結果、やはりこれも絵に描いた餅になっていってしまうのではないかというふうに思うのですよね。

   そんなことも含めて、部長に、長野県で働く人、現場を支えるために、現場の皆さんの賃金改善や人手不足の解消をしていくために、県建設部としての思いなり、決意なり、お話をお伺いして、私の質問を終わります。

○ 田中建設部長 長野県の建設業を支えていただいている中小企業の人材確保の観点での私の所見、決意をというお話をいただきました。

   まずはここ5年、10年近く、一生懸命建設部というか、発注者側で取り組んできたのは、とにかくダンピング対策をして、必要な建設工事に必要な費用を払うということにかなりの力を注視してまいりました。ダンピング対策をして、設計労務単価を上げて、必要な資機材等もしっかりと見て、必要な発注をするということで、まず建設会社というものに必要なお金を渡して、本来払うべきものの原資をしっかりと確保する。それを一丁目一番地で取り組んできて、そこについては、落札率を見ていただいても分かるとおり、成果を上げてきたと、そこは認識しております。

   その一方、中川委員からお話があるとおり、それが実際に働いている中小企業の技術者だったり、技能者に払われているかという観点については、十分にそこまでたどり着いていないということがデータからも示されていますし、そこが大きな課題というのは、県の発注者側としても十分に認識していますし、そこは国のほうにおいても、非常に難しい問題で、次はそこがターゲットだということは明確に中で宣言して取り組んでいるところになっております。

   先ほどありました標準見積書、頑張って民民の下請のところの会社同士の契約については、しっかりと確認するという行為はしてきたとは思うのですけれども、中小の会社から実際に資材を支払うお金だったり、各技術者に支払われた賃金のところまで、そこまで今、確認する手段がなかなか実際はないというところで、会社ベースの請負、下請の重層構造の中でのやり取りのところの調査にとどまっていたというふうには認識しております。

   その中で、国のほうで、まずはキャリアアップシステムというものを導入して、しかも、レベル別の年収まで出すことで、本来技術者として期待される年収のところはこうだということは、逆のほうからも攻めていますので、あとは中小企業の会社の経営者側と実際に技術者に払われる、そこのギャップを埋めていくところ、そこに力を投資していこうと、そこは国の動きも見ながら、県としてもしっかり取り組んでいきたいポイントだと思っております。

   いずれにしても、災害対応であったり、長野県のインフラ整備を管理するためには、建設業界、特に中小企業の皆様、特に担い手の確保がなければ進まないというのは、総合5か年計画でもしっかり位置づけていますし、建設部の主要施策として常に私もお話しさせていただいている点ですので、中小企業の現場で働いている人にしっかり必要なお金が回って、いわゆる新4Kと言われているもの、きれいで、休日が取れて、給与が多くて、格好いいという言葉がうたい文句だけで終わらないように、一つ一つ積み重ねて取り組んでまいりたいと思います。

   以上でございます。

○ 寺沢委員長 中川委員に確認いたします。先ほどの資料要求については、個人としての資料要求でよろしいでしょうか。それとも委員会として資料要求したいということでよろしいでしょうか。

○ 中川委員 委員会として資料請求していいですか。

○ 寺沢委員長 では、ただいま中川委員から資料の要求がありましたが、これを委員会として資料要求するに御異議ありませんか。よろしいですか。

     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○ 寺沢委員長 御異議ありませんので、採用を決定いたしました。それでは、明日の委員会に提出できるよう、取り計らいを願います。

(1:35:59)

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20230627 6月定例会一般質問その4 地域と調和した太陽光発電設備を促進するための条例について

2023-07-10 19:29:28 | 長野県議会

4,地域と調和した太陽光発電設備を促進するための条例について

【中川】次に、知事提案説明にもありました「地域と調和した再生可能エネルギー事業の推進に関する条例」について質問をします。この条例は現在環境審議会の専門委員会で検討が行われていると承知しています。

 これまで、県内市町村が再生可能エネルギー推進に向けて条例をつくり対応をしてきているところですが、とくに森林における太陽光発電施設においては地域住民とのトラブルや市町村条例さえも踏みにじって開発をする事業者もいて、県としての対応を求める声があったところです。そこで3点お伺いします。

 あらためて今回の「地域と調和した再生可能エネルギー事業の推進に関する条例」制定の目的についてお伺いします。

【環境部長】2050ゼロカーボンの達成に向けては、再生可能エネルギーの更なる生産拡大が不可欠であり、特に本県が高いポテンシャルを有する太陽光発電の拡大を進めていくことが必要となります。

 一方で、地上設置型の太陽光発電事業は、防災面や環境・景観面等への懸念から、地域住民等と事業者との間で揉め事になる事例もあり、適正な普及を図る観点から一定のルールが必要です。 

 このため、本県では、平成28年に「太陽光発電を適正に推進するための市町村対応マニュアル」を策定し、市町村の条例制定を支援してまいりましたが、条例を有しない市町村も未だ46団体あるところでございます。

 加えて、今後は、固定価格買取制度、いわゆるFIT制度によらない事業の拡大が見込まれ、法律・条例違反時の買取認定の取消しといった抑止力が望めないことから、こうした事業にも対応できる実効性のあるルールが必要となってきております。

 これらの課題に対応し、地上設置型の太陽光発電事業を、地域と調和した形で普及させていくために、条例を制定するものでございます。

【中川】改正地球温暖化対策推進法に基づき、市町村は促進区域を設定することができることとなりました。県は、昨年促進区域から地域森林計画対象森林や優良農地を除外する基準を示したところです。今回の条例も、地域森林計画対象森林区域、土砂災害特別警戒区域、土砂三法区域を特定区域にして「県の許可制」とすることや、10kwh以上の太陽光発電施設はすべて「届出」を必要とする方向で議論が行われています。

規制をかける区域はしっかり規制をかける一方で、推進に向けて市町村の促進区域設定への支援、その際に環境や景観への配慮、住民合意の形成などについて、県としてどのように進めていくのかお伺いします。

【環境部長】本県では、昨年4月の促進区域制度の開始に合わせまして、「市町村が行う区域設定に関する基準」を全国に先駆けて策定し、これを受けて箕輪町が全国で初めて区域設定を行ったところでございます。

 加えて、環境省と連携した市町村向け研修会の開催や、収益納付型補助金の拡充により、促進区域を増やす取組を進めているところでございます。

 一方、現在、条例について検討いただいている県環境審議会の専門委員会においては、促進区域内の事業であっても、適切に住民との合意形成手続などが行われるよう、条例を適用すべきとの意見があったところです。

 今後、こうしたご意見を踏まえつつ、環境や景観への配慮、住民との合意形成といった手続が適切に担保されるよう制度設計を進めるとともに、促進区域の増加に向けた取組を併せて進め、再生可能エネルギーの普及拡大に繋げてまいります。

【中川】以前、再生可能エネルギーの推進は公共事業で行うべきと申し上げました。国の脱炭素先行地域選定により、たとえば直近で選定された生坂村では、太陽光発電、水力発電、ペレットストーブの導入などを計画しています。

 県の制度では、発電事業者向けの事業について、収益納付型補助金による初期費用の負担を軽減する支援策がありますが、個人向けの屋根置き太陽光発電設備や蓄電池の設置についても、初期費用ゼロの事業を始めるべきと思うがいかがでしょうか、以上環境部長にお伺いします。

【環境部長】現在、県では、個人住宅への太陽光発電設備や蓄電池等の設置について、「既存住宅エネルギー自立化補助金」や、共同購入事業としての「グループパワーチョイス」により、設置費用の負担軽減を図っておりますが、初期費用がネックとなり、導入に踏み切れない方も多くいると承知しております。

 このため、「初期費用ゼロ円モデル」は、今後の普及拡大に有益な手法の一つと考えておりますが、発電量の変動リスクや設備の損壊等のリスクなどから、長期・安定的に採算性を確保し、事業を運営する面での難しさなどもあります。

 このため、産・学・官・金などの多様な主体と連携しながら、費用対効果を含む事業課題を整理し、本県に相応しい形での事業構築に向けた検討を進めてまいります。

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