こんにちは「中川ひろじ」です。

みんなのお困りごとが私のしごと

20230627 6月定例会一般質問その3 精神障がい者への支援について

2023-07-10 19:27:48 | 長野県議会

3,精神障がい者への支援について

【中川】次に、精神障がい者への支援についてお伺いします。

この春の県議選の候補者の皆さんのところへ、精神障害者を支援する会からアンケートが送られてきました。会派で、直接お話をお聞きしましたので、その点について質問をいたします。

 精神障がい者への福祉医療は、現在通院のみとなっていますが入院まで拡大するとともに、福祉医療について住んでいる市町村によって差があることは好ましくないので、国が財政措置などを通じ支援を行うよう全国知事会などを通じて強く要請してほしいと思うが知事にお伺いします。

【知事】精神障がい者福祉医療に関するご質問であります。

精神障がいに関する県の福祉医療制度についても順次対象の拡大、充実に努めておりまして、令和3年には精神2級の方の通院対象を全診療科に拡大したところであります。

 引き続き、障がいがある方の状況を十分把握し、支援のあり方を実施主体の市町村とともに検討してまいりたいと考えているところです。

 また、子ども医療費助成の際も申し上げましたが、多くの自治体で実施しているにもかかわらず、自治体ごとに助成対象や助成内容にばらつきがある状態は必ずしも好ましいとは言えないため、今月12日、長野県として全国的な制度が創設されるよう、国に対し要望したところです。

 全国知事会からも同様の要望を実施しており、今後も引き続き国に対して働きかけていく所存です。

【中川】また、精神保健福祉法の改正により、令和6年4月から自治体の相談支援体制の対象が見直され、精神障がい者のほか精神保健に課題を抱える者が対象になります。県は、市町村が行う精神保健に関し、市町村への必要な支援を行うよう努めることとなりますが、県としてどのように対応をしていくのか、これは健康福祉部長にお伺いします。

【健康福祉部長】精神保健に課題を抱える方への相談支援体制についてでございます。

ご指摘いただきましたとおり、法改正がございまして、市町村が実施している精神保健に関する相談支援の対象に、「日常生活を営む上での精神保健に関する課題を抱える者」が加えられたところです。

具体的な対象者は、省令によって国から示されることになっておりますが、これまで市町村が相談対応してきたケースでは、例えば、生活困窮、自殺の懸念、虐待など、精神保健に関係の深い様々な課題を抱えておられることも多く、こうした方を含めて、市町村を中心として包括的な対応を行うことが期待されるところでございます。

県といたしましては、市町村の人材育成を支援するため、精神疾患やメンタルヘルスに関する職員向け研修の実施のほか、精神保健福祉センターや保健福祉事務所等による、専門性を活かした技術指導援助、困難ケースへの助言等を通じまして、市町村への支援を行ってまいります。以上でございます。

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20230627 6月定例会一般質問その2 移動・旅行などにおける障がい者への支援について

2023-07-10 19:23:38 | 長野県議会

2,移動・旅行などにおける障がい者への支援について

【中川】次に、移動旅行などにおける障がい者への支援についてお伺いします。

5月1日の信濃毎日新聞の建設標に松本市在住で78歳の女性の方からこんな投稿がありました。

「先日、上田市の無言館へ行った。私は度々の手術の後遺症で腸閉塞、過活動膀胱の持病がある。つまり頻繁にトイレに行きたくなるのだ。今回は電車を利用したが、篠ノ井から30分に1本のしなの鉄道はトイレがあるのは新型車両だけ。上田から1時間に1本の別所線は電車の中にない。困った。出たとこ勝負だと思いながら出かけたが、しなの鉄道の千曲でトイレに行く羽目になり、次の電車を30分待つ。これでは障がい者や病気がある高齢者、子ども連れの家族は利用しづらい。ちなみに松本から上田行のバスにトイレの有無を聞いたらないとのこと。公共交通の議論は本数だけでなく、トイレの整備もぜひ視野に入れてもらいたいものだ」

というものです。たまたま知り合いということもあり、後日ご本人からお話を聞きました。「病気持ちの後期高齢者の私は、変形性膝関節症もあり、電車やバスでの移動は本当に大変。高齢者の事故が多く免許返納が言われながら、公共交通の電車やバスで外出したくても、トイレ無し、乗り換え3分の電車に乗ろうとすれば、エレベーターはホームの端っこで間に合わなかった。バスには長距離しかトイレがついていない。こんな現状では、車無しの高齢者、障がい者、子連れの家族は、遠出はままならない。と訴えたかったのです。JR東海の長野・名古屋間の特急のトイレに和式があるのにはビックリ。一部には洋式がありましたが、足の悪い私は洋式トイレの車両を探さなくてはなりません。洋式トイレの推進だけでなく、駅ホームのエレベーターの位置や、乗り換え時間など、総合的に考えて頂きたい」とのことです。

そこで、お伺いします。障がい者の方や持病をお持ちの方などが、買い物や旅行などをストレスなく行えるために、バスや電車などの公共交通機関や商業施設などでの、トイレの設置状況やバリアフリーの状況が共有できるポータルサイトを市町村や交通観光業者と連携して県として整備する必要があると考えるがいかがでしょうか。多部局にわたる課題であるので知事にお伺いします。

【知事】バリアフリーの状況が共有できるポータルサイトを構築する必要があるのではないかというご質問であります。

障がい者共生条例を作らせていただきました。障がいのある方が、安心して気軽に外出できる環境をつくることは、誰にでも居場所と出番がある社会を作るという総合計画の趣旨も踏まえれば、極めて重要なことだと思っています。

これまで観光・交通案内アプリの「信州ナビ」で、観光施設あるいは公共施設の障がい者用駐車場あるいは多目的トイレ、こうしたバリアフリー情報をピクトグラム表示して情報提供させていただいているところであります。ただ、一部の施設等については、信州ナビに情報登録されていないという状況があります。

ご指摘の点は、私も大変重要なことだと思っています。今、デジタル化が進む中で、地図情報にいろいろな情報を書き込むことも、かつてに比べると非常に容易に行うことが可能になってきている状況がありますので、改めて市町村あるいは関係の皆さま方と連携して、誰もがこうしたバリアフリー情報に簡単にアクセスできる方法について検討していきたいと考えております。

【中川】また、この方は、バッグに赤地に白の十字とハートマークのいわゆる「ヘルプマーク」をつけています。ヘルプマークについては、これまで本会議で知事も普及について言及しているところです。しかし、なかなか普及していない現実があるようですが、動画サイトなどでしらべてみると、例えば私の母校である松本美須々ケ丘高校放送部がPR動画をつくっていたりして、比較的若い人には浸透しているようです。逆に、私たち大人の方が知らない人が多いのかもしれません。

障がい者の方から「ヘルプマークを付けていても気づいてもらえない」という声に応えるために、ヘルプマークの「存在」や「意味」を、交通事業者をはじめ、より多くの方々に知ってもらう必要があると考えますが、県してどのような取組を行っているか健康福祉部長にお伺いします。

【健康福祉部長】まず、ヘルプマークの普及についてのご質問でございます。

本県では、平成30年7月からご希望される方に配付を開始しております。ヘルプマークの普及を図るために、出前講座、あるいは各種イベントにおける啓発活動などの他公共交通機関薬剤師会のご協力のもと、800車両の優先席や各薬局にステッカーやポスター等の掲示をしていただくなど様々な取組をしてまいりました。

また民間による主体的な取組を促進するため、2人の個人の方と3つの団体をヘルプマークディレクターに委嘱をいたしまして、地域密着型の活動を進めていただいているところでございます。

利用者の方々からは、外出先で必要な配慮を受けられて助かったなどのお声をいただいているところでございまして、現状でも有効に機能していると思っておりますけれども、知らない方もいらっしゃるということでございまして、効果を高めていくためには、ご指摘のとおりさらに認知度を上げていくことが必要であると考えております。

県民の皆様がヘルプマークの意味を理解し、マークを付けている方が困っているときは、声をかけるなど、思いやりのある行動をとっていただけるよう、引き続き、あらゆる機会を活用して普及啓発に取り組んでまいります。

 

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20230627 6月定例会一般質問その1 性的マイノリティの方々への諸施策の推進について

2023-07-10 19:19:58 | 長野県議会

1,性的マイノリティの方々への諸施策の推進について

【中川】最初に、性的マイノリティの方々への諸施策の推進についてお伺いします。

 県は、「長野県パートナーシップ届出制度」を8月に施行することとしています。私の友人でゲイの方から次のようにこの制度についてご意見をいただきましたので少し長くなりますが紹介します。

「先ず、長野県パートナーシップ届出制度を制定して頂いたことに感謝申し上げます。県立医療機関等に限定されるとはいえ、面会と医療同意が出来るようになるのは画期的だと感じています。何故なら、知人のゲイはパートナーが救急搬送された際に病室に入れず、死に目に会えなかったという辛い経験をしているからです。

しかし一方で、県内約16万人と推定される性的マイノリティには、本制度の届出要件を満たさない者が大勢います。また、そもそも本制度では解決できない困難にも性的マイノリティは日々直面しています。

例えば、参議院常任委員会調査室・特別調査室は「LGBTの現状と課題」において、LGBT法連合会が公表している「性的マイノリティが社会で直面する困難リスト」を①子供・教育、②就労、③医療、④公共サービス・社会保障の4つのカテゴリーに分けて紹介し、「LGBTが様々な生活領域における困難に直面していることが分かる」と結論づけています。

また、過去を振り返れば、90年代は、日本精神神経学会が「同性への性指向それ自体を精神障害とみなさない」との見解を明らかにし、広辞苑が「同性愛は異常性欲である」という記述を改め、1991年東京都が同性愛者への宿泊施設「府中青年の家」の利用を拒否した裁判では原告が勝訴しました。こうした社会に変化の兆しが見えながらも、しかしゲイに対する暴力や嫌がらせが止むことはなく、その後も同性同士の宿泊を拒否する旅館業法違反に対し相次いで行政指導がなされ、2000年の新木場殺人事件ではゲイの男性がヘイトクライムによって撲殺され、2015年の一橋大学アウティング事件ではゲイの大学院生が自ら命を断っています。勿論、性的マイノリティに対する暴力や嫌がらせはゲイに対してだけでなく、また事件にならなかった事案は数えきれないほどあるのは、先のLGBT法連合会が公表しているとおりです。

このように、性的マイノリティが直面する問題は、教育、医療、保健、福祉、労働、警察、マスメディア等と多岐に渡ります。また、LGBTQも其々が異なりますし、未成年期を含む各ライフステージによって抱える困難さも異なります。知事におかれましては、今回の長野県パートナーシップ届出制度制定に止まることなく、更なる対策の充実と県職員の研修および民間への協力要請等ご尽力くださいますようお願い申し上げます。その際、各当事者の声に広く耳を傾けてくださいますよう併せてお願い申し上げます」以上です。

そこで、お伺いします。性的マイノリティの方々には様々な課題があり、この度創設される「長野県パートナーシップ届出制度」で全てが解決するわけではありません。性的マイノリティに関する諸施策を実施するにあたっては、性的マイノリティの方々の思いや困難さを知ることから始める必要があります。県として今後どのように諸施策を進めていくのか知事にお伺いします。

【知事】まず性的マイノリティの方々の思いや困難さを知ることから始めて今後どう施策を進めていくのかというご質問であります。ご質問のとおり当事者の声を頂戴しましたけれども、当事者の皆さんの思い、お考えというのはしっかりお伺いしていくことが重要だと思っています。

今回、パートナーシップ届出制度の制定に至った最初のきっかけもランチミーティングでこの性的マイノリティの皆様方と意見交換させていただいたところが実質的なスタートだと思っています。ランチミーティングをきっかけとして県の公文書の性別欄の見直しを行いました。また、性的指向、性自認に係る庁内連絡会議を設置して、職員向けのガイドラインを作らせていただいて、研修等を行ってきました。また政策会議の幹部研修にも当事者の方にお越しをいただいて、お話を伺いました。

こうしたことをこれまでも行ってきておりますが、今回パートナーシップ届出制度を制定させていただきましたけれども、ここから更に取組を深めていくことが必要だと思っています。

性的マイノリティの方々が自分らしく生きることができる社会を作っていくためには、私達県職員も含めて多くの皆様方の性の多様性に対する理解を広げていくことが大変重要だと思っています。

そういう意味で、今回の制度を県の取組に反映させるだけではなくて、市町村あるいは民間の皆さんにもこのパートナーシップ制度の意義・意味をしっかりご理解いただいた上で、活用していっていただきたいと思いますし、また性の多様性についての啓発活動についても一層進めていきたいと考えております。

また県としても様々な機会を通じて今後とも当事者の皆さんの声をお聞きしたいと思っています。そうしたことを踏まえつつ、必要な施策の更なる充実を検討していきたいと思っています。

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「長野県議会 本会議中継(令和5年6月27日 一般質問⑦ 中川博司議員)」

2023-07-04 11:59:26 | 長野県議会

長野県議会一般質問6月27日
①性的マイノリティーの方々への諸施策の推進について
②移動・旅行などにおける障がい者への支援について
③精神障がい者への支援について
④地域と調和した太陽光発電設備の促進に関する条例について

「長野県議会 本会議中継(令和5年6月27日 一般質問⑦ 中川博司議員)」

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20230308 2月定例会林務部審査

2023-03-08 21:47:13 | 長野県議会

○中川委員 私からは、松枯れ対策を中心に質問させていただきます。

  まず、直近の松枯れの現状について、少し説明をお願いします。

○中島森林づくり推進課長 直近の松枯れの状況につきましてお答えさせていただきます。

  まず、平成25年度において、被害量が過去最大の約7万9,000立方メートルという記録をしております。その後、減少傾向となっておりまして、令和2年度には約6万4,000、令和3年度は5万1,000立方というふうになっております。依然として全国では1番の被害量でございます。

○中川委員 地域的な状況もお願いします。

○中島森林づくり推進課長 地域的には、直近では松本エリア、令和3年度の被害量で2万2,000で最も多くなっておりまして、続いて多いのが上田エリア9,100、長野が6,300、多いところではこの3地域でございます。松本エリアが、やはり突出して多いという状況にございます。

○中川委員 松本、上田はよく話題にもなるのであれですが、次は長野なんですね。長野はどこら辺の山が松枯れになっていますか。

○中島森林づくり推進課長 やはり、長野市が一番エリアが広いので、長野市の被害量が3,000立方となっておりますけれども、続いて多いのが坂城町になっております。これが1,300ほどです。

○中川委員 ありがとうございました。

  それで、松枯れ対策は、ずっといろんな研究をしてきました。その中で、空中散布だとか、それから地上散布、そしてまた樹幹注入、様々な対策が行われてきてはいるんですが、なかなかその対策が追いつかないで、山全体が枯れて、手がつけられない状況になっていくというのを目の当たりにしてきているだけにですね、何とかならないのかというのは率直な気持ちです。この間の最近の松枯れ防除等の研究の成果などがあれば教えてください。

○中島森林づくり推進課長 松くい虫の防除対策ではございますけれども、過去にはキツツキの繁殖を促す研究とか、キツツキによりましてザイセンチュウを媒介するカミキリムシを捕食するというような研究も過去にはあったわけですけれども、効果的な防除にはつながっていないというのが実情でございます。

  最近は、やはり全国的に、全国レベルで見ても松くい虫被害というのは減ってきている状況がある中で、なかなか新しい研究というものが、知見が増えてきていないという状況にございます。

  長野県においては、ちょっとまだ共同研究機関との関係もあり、詳細はちょっと説明できない部分がございますけれども、新たにカミキリムシを直接駆除する方法の研究に林業総合センターと共同で取り組んでいるという状況にございます。

○中川委員 そうなんですよ。なかなかいい方法がないのと、東北の研究機関からもですね。今のところ、我々の近くでいえば石川県が一生懸命やってくれていて、その研究成果についても我々も共用しているところなんですが、こういう時代なので、ゲノム解析みたいなことが進んでいけばいいなと思っているのは、マツノザイセンチュウは外来種で入ってきて、松を枯らすもとになっているんですが、ニセマツノザイセンチュウに対して松は抵抗を示さないんですよね。だから、それが、ゲノム解析して、何が一体原因になって松が枯れるのかという最終的なところが分かってこないと、なかなか対策が打てないというのが現状かなと思います。新たにカミキリムシへの対策ということを研究されているということでありますので、早くそれが効果が出るようなものになってくればいいなと思いますが。

  松本の里山で上金井という場所があるんですが、山全部、もう松枯れで枯れてしまっているんですね。そこで、林業総合センターの育林部のほうで樹幹注入による試験が行われています。その研究の状況については、御存じでしたらお願いします。

○中島森林づくり推進課長 今、御質問ありました松本市上金井のアカマツ林において、林業総合センターが対象区を幾つか設けまして、樹幹注入との比較をしている試験が、研究がございます。その研究の状況でございますけれども、アカマツを100本ずつ対象にしていまして、樹幹注入をしたエリアでの枯損木が一番低いという結果が出ております。樹幹注入をしたから全く枯れないということではないという結果になっております。

○中川委員 概略そういうことなんですが、例えばどういうことかというと、樹幹注入をした松100本ここにありますと、それから地がきをしただけの100本の松がありますと、それから全く処理をしていない100本の松がありますと。これを比べた場合に、4年間で、樹幹注入した地域では100本のうち44本が枯れました。地がきをしたところは68本が枯れました。無処理のところは71本枯れました。こういう結果が出ています。

  そのうちに、枯れた松のうちにマツノザイセンチュウがどの程度いたかというところの研究もされていまして、例えば樹幹注入した44本の枯れた松のうちにマツノザイセンチュウがいたのは45.5%、20本なんです。だから、100本のうち20本にセンチュウがいたという結果なんです。もちろんこれ、樹幹注入したからそうなっているんですね。一方で、無処理のところでいえば、100本の松のうち71本が枯れて、そのうちセンチュウが入っていた本数は60本、それなりに樹幹注入の効果が認められるという試験の結果が出ています。

  ただ、これ樹幹注入ですから、山中これ樹幹注入するというわけにいかないんですよね。やっぱり、例えば松本城の松を残すために樹幹注入するとか、そういうことは当然やらなきゃいけない、やっていることなんですが、なかなか、例えばマツタケが出る松に限って樹幹注入をするというの、これは誰も教えたがらないのでできないということがあって、なかなか難しい、樹幹注入でこれを対策するというのは難しい。松本市長の臥雲さんも、何とか樹幹注入でというふうに最初は思ったんですが、これはやっぱりやり切れないなという状況になっているのが現実です。現状の松枯れ対策について、県としてどのように考えているか、少し御紹介ください。

○中島森林づくり推進課長 松枯れ対策について御質問いただきました。

  委員、今御質問いただいたとおり、なかなか、絶対これで収まるという有効な手段が今ないわけでございますけれども、その中でも、県も市町村もですが、限られた予算の中で被害拡大を極力防ぐような効果的な方法を取るようにしておるところでございますけれども、今まで被害が少なかった標高800メートル以上の地域でも被害が増えつつあるという部分もございまして、そういったところへも対策が必要になってきていると、地球温暖化の影響等もあるかと思うんですけれども。

  こういった状況を踏まえまして、令和3年度に県内の被害状況が一目で分かるような松くい虫被害レベルマップというものを作成しておりまして、こういったツールを使って市町村の職員にも活用方法等、研修を行ったりしておりまして、このマップ、毎年データを更新するんですが、それによりまして、効果を発揮できるところを主体に駆除するというような対策を進めておるところでございます。

○中川委員 今の現状でいうと、全ての山にお金をかけるというところにならない現実があって、先端地域を中心に防除などを行いながら、被害の拡大を防ぐという手だてを取っているんですね。

  私の住んでいる松本市岡田地区でも松枯れ対策協議会をつくって、そして事業体の皆さんに頼んで更新伐、あるいは天然更新にするなりして対策をやってきていますが、問題は、先端地域にはそういう事業化ができるので手を出すことができる。しかし、もう山中枯れてしまって、生きている松がないので、切ってもお金にならない山になってしまった。そうするとこれ、手出しができない、今の松枯れ対策の事業で。

  これ何とかしなければ、枯れた松がどんどんどんどん倒れて、大風吹くたびに倒れて、これはこの後質問しますけれども、鹿柵を壊したりだとか、あるいは民家に突っ込んでくるとか、様々被害が現にあるし、山腹崩壊の危険もあるわけですよね。ここへの対策というのが、保安林だったらまだ計画的にやれるんですけれども、保安林じゃない山については全く手出しができない。今の県に限りませんが、国も含めて、何の手だてもできないのが現状だというのが私の認識ですが、御見解をお願いします。

○中島森林づくり推進課長 激害地が増えている中でのそういったところの対策についてでございますけれども、枯れてしまった木が、確かに民家ですとか道路ですとか、そういったところに影響を及ぼす場合がございますので、そういったところは市町村等でも優先的に対応していただいているところでございますが、現在、枯損木の活用につきましては、枯損木の利活用事業という事業がございますので、そういったところで切って搬出して、最後は木質バイオマスのほうに持っていっていただくというような支援もしているところでございます。

  あとは、松くい虫の対策としまして、被害の先端地域に限らず、アカマツ林の施業指針を基本としまして、枯損木や衰弱木などの搬出を、先ほどの枯損木利活用事業を活用するなどして搬出を支援することとしているところでございます。

  また、間伐などの整備が必要な場合については、信州の森林づくり事業により支援をしているというところでございます。

○中川委員 課長分かっていて答弁していると思うので、私も言いにくいところはあるんですけれども、枯損木利活用事業も、事業体がこれはお金になるなと思わなければ手を出さない、もう枯れて、乾燥し切っちゃっているのは持っていったって、ぽっと燃えて終わりですよね。そういう山になってしまっているんですね、特に松本の東山は。そこの山をどう緑の山に再生していくかと考えたときには、その事業がないんですよ。

  この前も言いましたけれども、この前言ったのは、松枯れ対策協議会として、天然更新を目指して切った山は、森林づくり県民税を入れて再造林をしていくという方法もあるんじゃないんですかという提案をした。だけれども、今回、今日言っているのは、そういう手を入れられずに、もう全面山が松枯れでどうにもならなくなってしまっている、そういう山も木を片づけて、まず枯れた松を片づけて、緑の山にしていくのに森林づくり県民税を使う道を開くべきではないかというのが私の提案です。

  その前に、農政部でもちょっと質問させてもらったので、そして現場でも一緒に見てもらっているので、鳥獣被害防護柵、いわゆる鹿柵の被害ですね。枯れた松がその防護柵に倒れ込んで、そして鹿がまた外へ出ていくという状況になっていて、この鹿柵そのものは農政部の予算で補修をしています。鹿柵そのものの国の補助事業の中には、長寿命化の交付金の対象の中に長寿命化の予算は組まれていないので、ちょっとこれ中山間地域のを使ったりとか、市町村が買って、そして防護柵を補修をする。その市町村が買ったお金については、特別交付税で8割措置するというようなやり方で、防護柵についてはそんなやり方がされているんですが、そもそもその防護柵を倒してしまう枯れた松への対応というのは遅れているんですよね。

  結果的に、鹿柵が、民家へ枯れた松が飛び込んでいくのを防ぐ役割をしている。山の中で玉切りした松が落ちてこないように止めてあるんですけれども、その止めてある木が枯れちゃうと落ちてくるわけですよ。落ちてきて、それを鹿柵が止めてくれているって、何のための防護柵かよく分からないんですが、ちょっとね、これはあまりにも何とかしないとまずいなと。

  保安林指定しておけば、それはもちろん治山事業としてやるんですけれども、全てのそういう枯れた松枯れの山を保安林に指定して、それから事業やるといったって、そもそもの予算の規模とかあって、順番もあるし、直ちに手がつかないという状況があるんですよね。そういうことを考えた場合に、やはり先ほど申し上げたように、何らかの手だてが、松枯れの山を緑の山に再生していこうと、こういう方向、方針が必要なんじゃないか、新たな方針が必要なんじゃないか。それは、今日明日にというわけにいかないかもしれないけれども、しかし、これ何とか手をつけていかなきゃいけない課題だと思いますが、御認識をお伺いします。

○中島森林づくり推進課長 鹿の獣害防護柵等が松枯れの木により被害を受けているというお話でもありまして、大変なかなか松くいの対策が追いついていない部分があるのではということでございますけれども、確かにそういった部分について、直接被害を及ぼすであろう枯損木を、ピンポイントで対応するという事業設計はちょっとされておりませんので、直接の対応は非常になかなか困難なところでございますけれども、民家等に危険を及ぼす場合等あるかと思いますので、そういった部分については、市町村ですとか農政部と連携を取りまして、何らかの対応をしていくことを考えていく必要があると認識しております。

  また、手かずの立ち枯れているアカマツ林の再生ということでございますが、森林税でいっております再造林の部分でどこまで対応できるかという部分は、ちょっとまだ検討する部分はあるかと思いますけれども、基本的には再造林に関する補助事業というのは、従来の信州の森林づくり事業のほうで対応できる部分はありますので、緑を再生する部分についてはそういった事業を充ててやっていっていただくということが肝要かというふうに考えております。以上です。

○中川委員 これまでの事業では、山の主は手を出せないので、今回、森林づくり県民税を10分の10入れて山の再生していきましょうという、そういう方針じゃないですか。だから言っているんですよ。こういう新しい事業が出てこなかったら、しようがないねと言って諦めちゃうけれども、そうじゃなくて、森林づくり県民税を山の再生のために使うと、再造林のために使うというふうに出してきているから、だから、だったら松枯れで枯れた山を緑の山に再生するためにも使っていいんじゃないかということを提案しているんです。御所見を林務部長にお伺いします。

○吉沢林務部長 松枯れ対策の御質問をいただきました。

  私も、委員のように十分松枯れに対する知見はないんですけれども、松本地域に行った際に、御指摘のあった地区を見ますと、山全体の色ももう変わっていて、本当にこれ何とかならないのかなという気持ちにはなります。ただ、今のずうっと御質問でやり取りされてきたように、なかなか難しい問題があるなというふうに、今お聞きして、改めて感じました。

  今の施策は、先ほど担当課長のほうから申し上げましたけれども、恐らく被害レベルの地図を作って、被害の重いところとか、あるいはまだなっていないけれども、そこの周辺の部分から予防的措置となっちゃったところは倒してやって、それでもう枯れちゃったけれども、まだ燃料として使えるようなところは枯損木利用として使えると、そういうことでできることをやってきているんだと思いますけれども、今、委員の御指摘のあった現制度で手のつけられないところの山をどうしていくかというのは非常に難しいけれども、大事な課題だと思いますので、ただ、今時点でその量がどのくらいあって、森林づくり県民税の全体のボリュームでどこができるのかというのも、ちょっと今時点では私十分承知していませんので、非常に重要な御指摘の課題というふうに受け止めさせていただいて、そういった部分の研究も必要に応じてやっていかなければいけないなというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○中川委員 ちょっとしつこく言い過ぎたかもしれませんけれども、でも、本当に枯れた松、昔は私も小学校のときに、東山を写生大会で絵を描いて、緑の山をちゃんと描いた、そういう覚えがあるんです。今は描けないんですよね。そういう意味で、本当にあの松枯れの山を緑の山にする、その方向もぜひ新年度の中で検討いただきたいということを要請いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

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20230306 2月定例会農政部審査

2023-03-06 21:43:58 | 長野県議会

○中川委員 それでは、よろしくお願いします。

  持続可能な畜産という観点から質問させていただきたいというふうに思います。

  化学肥料や配合飼料の価格高騰が続いていて、9月定例会、また11月定例会でもその観点で質問をさせていただきました。最近の価格動向については、資料で御説明があったとおり、化学肥料の関係で言えば1.5倍、それから畜産の配合飼料などがやはり同じように1.5倍で、高止まりで推移しているという報告でありました。この間、国・県が様々支援事業をしているわけですけれども、一つは、化学肥料に関係して、農家から申請して、そして支援をするということになってきていますけれども、この申請状況がどうなっているか、一つ教えてください。

  それから、配合飼料の関係です。これは高止まりした場合は、前回もお聞きしましたけれども、補助事業じゃない、保険のほうがなかなか反映されないということにつながってきていて、県としても国に対して繰り返し制度の変更などについて要請をするという答弁がありました。この点についても今どんな状況なのかということ、それから最後に、最後というか、状況の話ですが、これも前回質問いたしましたけれども、生乳の学乳への価格転嫁をすべきだ、直ちにできない場合は農政部が教育委員会と相談して支援をすべきだというお話をして、農政部長は教育委員会と相談をしてという答弁がありました。現段階でそのお話がどうなったのか、そしてまた来期についてどんな状況なのか、その3点をまずお聞かせください。

○小林農業技術課長 私のほうから、化学肥料の関係の申請状況についてお伝えをいたします。

  今回、長野県につきましては、秋肥と春肥を一本化して申請を受け付けるという形になっておりまして、一本の価格上昇率というのが3月3日に国から示されました。これが1.4倍という数字が使われるという形になりまして、示されておりますので、この示したものを受けて4月1日から受付を開始するという形で、あした臨時総会を開いて正式決定をして、皆さんにお知らせをする予定でございます。

  対象となる肥料は、昨年の6月から今年の5月までに購入した肥料という形になりますので、この春肥が一番影響が大きいと思っておりますので、その肥料に対して助成を出していくという形になってまいります。

○吉田園芸畜産課長 私からは、配合飼料の国の要請の状況のお尋ねでございます。

  議会の答弁にもありましたが、国に対しては、配合飼料が、補塡の算出方法が、直近1年間の逆算で算出されているということがございまして、この直近1年間が高くなってしまうと、その前の2年、3年前のものと比べても高止まりで補塡金額の格差が少なくなるという、そういった算出方法をぜひ見直してほしいということを、昨年度春と秋2回、さらに今年になって2月10日に緊急要請をさせていただきました。その中で、国の担当者のほうのお話を踏まえますと、あの配合飼料の補塡制度自体が、国も当然基金を造成するんですけれども、飼料メーカー、餌のメーカーも基金造成をしていただいているという実情がありまして、今そこのところがやっぱり難点になっているそうでございます。

  ついては、算出方法を直ちに見直すというのには時間がかかる、そういったことで、今回、高止まりはちょっとしているんですけれども、それを補うために緊急補塡という形で、R5年の1月から3月、それから4月以降について、緊急補塡についても前向きに検討していくという答えをいただいているところでございます。

○村山農産物マーケティング室長 私のほうからは、学校給食への牛乳の価格改定の状況ということでお答えをさせていただきたいと思います。

  11月の委員会のときにも若干仕組みを御説明させていただいたところでございますけれども、現在、県内の学校給食を供給する事業者からの学校への供給価格につきましては、毎年国の要綱等に基づいてマーケティング室のほうで入札をしまして、価格を設定しているところでございます。令和4年については、11月に乳業メーカーが、いわゆる資材等生産コストの上昇を勘案して値上げをしたところでございまして、また、さらに令和5年の4月以降もさらなる厳しい状況ということで、生乳の価格を値上げしたことが決定したところでございます。

  農政部としては、4月以降の供給価格の状況を勘案して、さらに生乳価格だけではなくて、学校給食への配達とか、そういったところも燃料費とか値上がりしてきますので、そういったものを全て勘案をさせていただいて、本年1月末に例年より3週間ほど前倒しして、令和5年産の学乳の価格を入札をさせていただいたところでございますけれども、その結果としましては、牛乳1本200ミリリットル当たり、平均価格で令和4年に比較して約5円の値上げとさせていただいたところでございます。

  11月のときのすみません、ちょっと私の答弁もなかなか言葉足らずのところもございましたけれども、いわゆる農家への生乳価格というのは、いわゆる生乳メーカーが値上げということでもう決定して、その分は農家に反映されていたところでございまして、私どもの入札の部分はいわゆる学校給食の供給事業者から学校へのというところの価格になりますので、若干11月から3月までのところは、供給する事業者が少しちょっと負担が増えていたということで御理解をいただければと思います。よろしくお願いします。

  いずれにしましても、教育委員会と常に連携をさせていただきまして、市町村に対しては、秋のうちからこういった状況があるということで、市町村に対してはあらゆる機会を通じて値上げの方向でいくということはずっとアナウンスをさせていただいてきたところでございまして、生乳の値上がりの部分については、今お話ししたとおり、学校給食の経費にも反映をしていくという状況でございます。よろしくお願いします。

○中川委員 ありがとうございました。

  一つ配合飼料の関係ですが、緊急補塡をしていくという方向性が出されているということなんですが、県としても、この間、プラス6,000円で支援をしてきていますので、引き続き、県としての支援も検討してほしいという要望をしておきたいというふうに思います。

  それから、学乳のほうは、もちろん販売価格に転嫁をしないと学乳自体がもたないということはありますから、それは必要なことなんですが、一方で、消費者としての立場もあるものですから、ぜひ教育委員会とも相談していただいて、そこら辺のやはり配慮というのが必要かなと思いますので、これはここで言うことではないんですが、そういう心配もあるなということは申し上げておきたいというふうに思います。

  それで、2月22日に日本経済新聞社が主催しまして、日経のアニマルウェルフェア・シンポジウム2023というのが開催されました。これに松本家畜保健衛生所、宮澤所長も参加をしていまして、化学肥料や配合飼料が高騰する中で、国のみどりの食料戦略システムもあるわけですけれども、長野県も環境に優しい農業や有機農業の取組を拡大しようとしています。畜産においても、国産粗飼料の生産拡大への支援も、今回も提案がされているところです。

  今、畜産農家だけではなくて、消費者も含めて、新型コロナ以降、様々な不安というのが広がっているなと思うんですね。今回の問題でいえば、輸入飼料に強く依存する畜産が将来も本当に大丈夫なんだろうかだとか、家畜が利用できる食品工業残渣などが焼却処分されてもったいないよねだとか、あるいは、家畜の餌に入れられているんですが、抗菌性物質の利用によって人に対する堆積が出現するんじゃないかという心配もあったり、医薬品などの開発がいつまで病原体の進化に追いついていけるのか、家畜の介入によって遺伝的多様性が失われて多くの家畜に感受性を持つ病原体が発現しないのかというような、様々な不安があります。これらの不安というのは、実は今に始まったわけではなくて、2001年にBSE、牛海綿状脳症が国内で発生をして、そのときに長野県は全国に先駆けてトレーサビリティーを導入したり、それから継続してBSEの検査、これもずっとやってきたという体制を取ってきた県です。

  これらの経験から、2007年2月に、長野県松本家畜保健衛生所が、家畜にも人にも優しい信州コンフォート畜産認定基準というのを発表していることを知りました。この発表文の冒頭の挨拶の中に、以下のように問題意識が述べられています。農業や化学肥料に依存しない、人にも環境にも優しい有機農産物、放し飼いにより伸び伸びと快適に飼養されている鶏の産んだ卵、そんな農畜産物が消費者の心をつかみ始めている、一方、アメリカ産トウモロコシへの全面的依存畜産はいつまで存続できるのだろうか、輸入穀物による家畜飼養は世界の環境問題に負の影響をもたらすのではないか、こういった懸念がありますと書かれていて、先ほど申し上げましたような現在の新型コロナの中で感じている不安をこの当時からも指摘されています。

  これにより、資源循環型畜産と家畜福祉、いわゆるアニマルウェルフェアの基準が定められたんですね、当時。加えて、抗菌性物質の基準も当初はつくることを考えていたようですが、2016年の薬剤耐性アクションプラン以前のことでもあり、適正に使用すれば生産性が向上し、人の健康被害も生じないということで、日本は世界的にも厳しい基準で国が承認をしているということから、この基準づくりは断念した経過があるのだそうです。

  そこで、2007年に取り組まれた家畜にも人にも優しい信州コンフォート畜産認定基準の中で、食品残渣を飼料原料としている県内飼料製造届出業者が当時8社あったんですね。これが今どうなっているのかということについて、御存じでしたら教えてください。

○青沼家畜防疫対策室長 コンフォート事業についてのお尋ねでございます。

  平成18年に松本家畜保健衛生所が現地提案事業として取り組んだものでございます。対象を松本家畜保健所管内に限りまして、対象の基準を決めて畜産物や生産者を、これは認定といいますか、そういう取組をしているかどうかというのを確認するといった取組でございました。この基準の作成には、当時、アニマルウェルフェア等々先端の知見を持っております日本大学や東北大学の先生も参加していただきまして、先ほど委員が御指摘のとおり、資源循環、それからアニマルウェルフェア、この2本を柱に検討が行われたところです。最終的には平成19年2月に基準の公表を行ったところでございます。

  当時の資料によりますと、食品残渣を飼料原料としている県内の飼料製造届出業者の記載がございますが、これにつきましては、食品残渣を収集いたしまして飼料として製造している事業者、これは5社ございました。豆腐会社のように直接飼料を供給している会社が3社ございまして、この方たちがそれぞれのうどんやそばですとかお菓子、そういったものの余ったものについて、収集、製造して販売をしてきたところでございます。現在、このうち3社の方は事業を撤退いたしまして、5社の方が事業を継続しているといった状況でございます。

○中川委員 その3社、撤退した方たちの理由、ちょっと分かりますか。

○青沼家畜防疫対策室長 誠にすみません、理由については、こちらのほうでは把握はしていない状況です。

○中川委員 資源循環型畜産の推進ということを考えたときに、食品残渣を飼料とすることのほか、家畜のふん尿と食品残渣をメタンガス発酵させてエネルギー源や液肥とする方法などが考えられます。これには先ほど小林委員からも関連した質問があったところですが、食品残渣を飼料とする場合に、やはり安定した供給ができるのかという課題があります。また、堆肥についても、これも先ほど小林技術課長からも答弁がありましたけれども、その安全性についての懸念が残るということが指摘されています。ただ、国のみどりの食料システム戦略などを考えると、環境に優しい農業を展開する地域づくりという観点から、オーガニックビレッジの中で展開するということは望ましい姿じゃないかなというふうに私は思いますので、その点、いかがでしょうか。

○小林農業技術課長 先ほども申し上げたオーガニックビレッジの中で展開するのが望ましいんじゃないかという御質問かと思います。

  有機農業を生産から流通、そして消費、販売まで結びつけていくのは、地域が一体となって一貫とした取組、これを行うのを、市町村が行っていただくんですが、オーガニックビレッジという形で支援をしておるわけでございますけれども、そのうちの生産の部分、堆肥や何かをやはり地域の畜産農家や地域の食品加工会社から出た資源、これを地域の中で耕畜連携で使う、これがやはり一番望ましい姿だなと考えております。それはコスト面、そして環境面から見ても、耕畜連携を地域の中で図ること、これは非常にいいことだと思っております。

  ですので、大きな考え方とすれば、委員御指摘の方向で進めたいわけでございますが、現在、オーガニックビレッジという形で有機という形で進めるには、そういった堆肥まではまだ活用できていないというのが状況でございます。今後、地域の畜産農家やそういうものがあれば、そういったものの取組も含めて検討していくことが大切かと考えておるところでございます。

○中川委員 今そういう話がありましたけれども、例えば、オーガニックビレッジに手を挙げている松川町では堆肥を使っているということもありますので、ぜひそんな点を含めて検討を、前に進めていただきたいというふうに思います。

  長野県畜産試験場で、持続可能な畜産の研究の中で、柿の皮の粉末が牛の消化管内のメタンガスの発生を抑制すると、こういう研究結果が、11月でしたか、9月でしたか、発表がありました。これは信州大学の上野准教授の実験室内の研究で、柿の皮サイレージに含まれているタンニンなどのポリフェノールがメタンガスの発生を抑制するということは分かっていたわけですけれども、実際に牛で柿の皮を給与し、利用したというところが注目点だというふうに思うんですね。柿の皮の粉末を作るということは、何か聞くところによると、特許申請するくらいの技術なんだそうです。県農政部としては、持続可能な畜産業ということについて今後どのように推進していくのか、お聞きします。

○吉田園芸畜産課長 持続可能な畜産業に関するお問合せでございますが、畜産業は、今委員御指摘のとおり、牛のげっぷですとか、いわゆる家畜の肺、ふん尿から出るNOですとか、温暖化を進めてしまう温室効果ガスも排出しているという、環境的にちょっとマイナスの面を持っている産業でございます。ところが一方、人間にとって食料を供給する、たんぱく質を供給するという意味においては、大変重要な産業というふうに捉えております。

  そういったことから、長野県としてはこの畜産業を持続、継続可能な産業にしていくためには、このマイナス面とプラス面、この両方のバランスを取りながら進めていくべきであるというふうに考えてございます。ただ、その際には、やはり畜産農家に過度な負担を強いない状況でこのマイナス面も補っていくような、そういう技術開発が待たれているところでございます。例えば、今の柿の皮のように、牛のげっぷから出るメタンガスを少なくする技術については、国の研究施設においてもメタンガスを抑制するような餌ですとか、あと、メタンガスを出す量を低くするような牛の品種を改良していくですとか、そういった技術の今イノベーションが開発されていますので、長野県の畜産農家にとってあまり負担がないような感じで取り入れられるような技術開発であれば、そこに導入を進めていこうというふうに思います。

  それから、プラス面の部分では、畜産から出る家畜ふん尿というのは、まさに土づくりに大変有用な部分でございますので、長野県の高原野菜ですとか果樹ですとかお米に関しても、土づくりは欠かせないものというふうに考えてございます。今現在、この家畜ふん尿を使いやすくする、ペレット堆肥というふうに加工をするんですけれども、そういった先進的なことも、県内の1か所でJAが取り組んでいることもございます。それから、長野県はキノコの産業が大変全国1位でございます。キノコから出る廃培地も、例えば、エコフィードではないんですが、家畜の餌にできるような、そういった開発の技術もなされているということでございますので、こういったマイナス面とプラス面のそれぞれの技術開発、イノベーションの部分が進んできて、それを導入することによって持続可能な畜産、バランスを取った畜産業を目指していきたいなというふうに考えているところでございます。

○中川委員 一つだけ申し上げておきたいことは、前回も申し上げましたけれども、今本当に畜産業が苦しい状況の中にある。国が様々大規模な投資をして酪農に投資をしたけれども、しかし増え過ぎたので、今度は廃用牛を殺すために13万円の補助金を出すというようなちぐはぐな政策が、私から見れば、そして、酪農をやっている皆さんからしても、一体何なんだというようなことが行われているので、これはとても持続可能な畜産業を目指しているとは言い難いことがあるので、そんな点もぜひ心してやっていかないと、本当にここのところの新聞でも、酪農家の、少し読むと、新聞でいうと、酪農家、減る生乳需要、飼料価格高騰の二重苦、それから、離農加速、酪農戸数6.5%減、そういった記事がずっと続いているわけですよね。なので、ここはしっかり県農政部として取り組んでいただきたいというふうに思います。

  新型コロナの蔓延によって、人、動物、自然の健康を一体的に考えるワンヘルスという考え方が今改めて注目をされています。最近の新聞を読んでいても、鳥インフルが哺乳類にも次々感染をしている、こういう記事も実際出ています。昨年2月の国連の環境総会で、アニマルウェルフェア環境持続的発展の関連に関する決議が採択されていまして、この決議の中で、アニマルウェルフェアが環境問題に対処し、ワンヘルスへのアプローチを推進し、SDGsを達成し得ることを認める、動物の健康と福祉、持続的発展、環境問題は人間の健康と幸福につながっていることを認める、これらの連携をワンヘルスや総合的発想を通して追及することへの要請を認める、アニマルウェルフェアを支える科学的蓄積があることを認めるという決議がされています。

  ヨーロッパでは、アニマルウェルフェアに配慮した畜産でなければ流通しないという状況にまでなってきていますし、アメリカでも、州法ですけれども、鶏のケージフリーや繁殖豚の生涯ストール飼育の禁止が打ち出されてきているところです。東京オリンピックの際には、アスリートの皆さんから日本の選手村でアニマルウェルフェアの観点のケージ飼いの卵は出さないでほしいという要望があったり、母豚を妊娠期間中に担当飼育する個別のおりである妊娠ストールの肉は出さないでほしいという要望があったり、野菜はオーガニックにしてほしいといった要望があって、それに対する配慮が東京オリンピックではされたというふうに聞いています。

  新型コロナ後のインバウンドを考えたときに、外国の観光客の皆さんが求めるものはこうした傾向から明確だというふうに思うので、アニマルウェルフェアに対応した畜産の推進ということがこれまで以上に強く求められてきていると思います。動物の健康を優先した飼育は、動物にポジティブな気持ちを抱かせ、それが免疫力を高め、死亡や疾病を低減し、生産効率を高め、環境にも貢献し、貧困や飢餓からの解放、気候風土に合った品種への重視につながっていくと思われます。ですので、2007年につくられた信州コンフォート畜産認定基準の中で目指された基準は、今で言うアニマルウェルフェアの基準として適用できるものだというふうに思うんです。信州コンフォート畜産認定基準を生かした認証制度をつくって、長野県畜産の付加価値を上げて、まさに稼ぐ農業を目指したらどうかと思いますが、いかがでしょうか。

○青沼家畜防疫対策室長 稼ぐ農業の実現に向けた取組ということで御質問いただきました。

  コンフォート事業につきましては、先ほど申しましたとおり、アニマルウェルフェア、それから資源循環、こういったことがしっかり盛り込まれている基準でございます。このうちアニマルウェルフェアにつきましては、その項目の幾つかが県内の全家畜農家が取り組んでおります飼養衛生管理基準に盛り込まれておりますし、また、県独自に牛の農場を認定する信州あんしん農産物制度、これにアニマルウェルフェアばかりではなく、JGAPなどの考え方も盛り込みながら、一歩進んだ取組をしているといった状況でございます。

  県といたしましては、この既存制度をしっかり充実させなければいけないという考えでございまして、現在、国におきましては、今まで国というのは畜産技術協会が定めましたアニマルウェルフェアの指針がございますが、この普及に努めていたんですが、ようやく今後、国際獣疫事務局、OIEといいますけれども、そこが示す水準を踏まえまして、国のほうで指針を示すといった作業が行われております。

  県といたしましては、農場HACCP、畜産GAP、これらの手法に加えて、アニマルウェルフェアも広く農家に周知いたしまして、畜産農家の皆様それぞれが販売する先の実需者ですとか消費者の皆様の要望に応えられるように、研修会や農場での実践指導など、こういったものに取組を進めてまいりたいと考えておりますし、また、アニマルウェルフェアを盛り込んだ牛以外の畜種についても基準づくりを進めてまいりたいと考えております。

○中川委員 そういったことがやはり持続可能な長野県の畜産につながっていくんだという、やはり将来を見ながらつくっていく必要があるというふうに思います。私は2021年、おととしの9月定例会で、新型コロナウイルスや2009年のパンデミックインフルエンザウイルスが人から家畜やペット、動物園の動物に感染した事例も知られていることから、家畜、野生鳥獣への対策とともに、健康福祉部としても新型コロナを含め、新興感染症対策としてワンヘルスの立場から獣医師との連携を強化しておく必要があるのではないかと、これは健康福祉部長に質問をさせてもらって、部長からは、人、動物、環境の衛生に携わる方たちが連携して取り組むワンヘルスという考え方が世界的に広がってきていると、国においても医学や獣医学といった分野間の連携を推進しているところで、県としても、今後発生し得る新興感染症の予防探知、治療などに効果的に取り組めるよう、国の取組なども踏まえながら、獣医師や関係機関との連携について研究していきたいというふうに答弁があったところです。

  つきましては、農政部が主導して健康福祉部に働きかけて、県庁内にワンヘルス推進に向けた検討会を立ち上げたらどうかと思うんです。実は、これは福岡県では既に条例がつくられていますし、四国でもどこかの県でこの条例がつくられてきているところです。ワンヘルスのアジアの協会の事務局が日本の福岡に今度新たに設置されるということもありまして、ぜひ長野県としてもこの新型コロナを振り返りながら、やはり鳥から獣、そして人間、こう変異をしながら拡大をしてきているのがこのウイルスの状況ですので、人獣共通の感染症ということになっていますので、このワンヘルスの体制をつくっていくということが今後起こり得る新興感染症への対応、対策ということになるというふうに思いますので、ぜひ長野県としても先進的に取り組んでいっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○青沼家畜防疫対策室長 ワンヘルスについてでございます。

  全ての感染症につきましては、その約半数近くが、委員御指摘のとおり、人から動物、動物から人といった人獣共通の感染症と言われています。農政部といたしましても、人、それから動物、あと環境、この衛生に携わる方たちが連携して取り組むワンヘルスというのは非常に重要という考えは持ってございます。

  農政部としましては、令和5年度には新たにワンヘルス・アプローチによる薬剤耐性菌対策といたしまして、薬剤耐性菌を獲得しやすい大腸菌につきまして、公共牧場で採材検査を実施しまして、まずは野生動物と家畜との間でワンヘルス上のリスクに関するデータの収集といたしまして、これについて実態を把握する中で、健康福祉部のほうにも情報提供をしながら対策を進めていきたいと考えてございます。

  現在も、農政部関係で申しますと、豚熱や鳥インフルエンザ、こういったものにつきましては、健康福祉部や林務部と連携いたしまして、情報は当然共有いたしますし、実際の防疫に際しては、現場のほうにつきましても健康福祉部のほうで参加していただきまして、連携した取組を行っているというところでございます。

  今後、先ほど委員もおっしゃいましたとおり、健康というのを守るのが大事ですので、健康福祉部や林務や環境部と連携、それから情報共有するのはもちろんなんですが、必要に応じまして議論の場というものは設けていかなきゃいけないというふうに考えてございます。

○中川委員 今回、小林農政部長も退職されるということなんですが、現場にいる松本家畜保健衛生所長の宮澤さんや、畜産試験場長の神田さんも今回退職されるわけですが、私、現場をずっとこの4年間歩く中で、みんな新型コロナの中でもう本当に苦労しながらやってきたなと思うんです。たまたまなんですが、松本の家畜保健衛生所に行ったら、この前も話したかもしれませんけれども、東京都から譲り受けた防護服だとかマスクだとかゴーグルだとかというのが大量にあって、新型コロナでこんなにみんなが困って足りないと言っているときなんだから、これは健康福祉部に融通したらどうなんだということを提案して、結果的に国の予算がついているものについては国に聞かないと分からないというふうに言うので、国会議員を通じて聞いて、それも融通していいよという判断になって、約1万5,000個だったですか、家畜保健衛生所にあった防護服だとかマスクだとかを健康福祉部に融通したということがありました。

  私、こうやって現場の中で頑張っている皆さんが今日までやっぱり積み上げてきたことを、ぜひ今後の県農政部の中で生かしてほしいなというふうに思うので、そんな点、現場を大切にしてほしいということを私のほうから要望して、ちょっと部長に一言いただければと思いますが、いかがですか。

○小林農政部長 委員のほうから御指摘いただいたとおり、ワンヘルス、そしてまたアニマルウェルフェアというような取組、まさに長野県の畜産試験場長、または松本の家畜保健衛生所長でございますけれども、それぞれ日本を代表する取組というような形の中で、自らも学びながら、長野県の現場においてそういった取組を展開してきているところでございます。私としても、そういった部分については評価をしておりまして、そういった取組は県としても進めていくべきところは進めていきますしというふうには考えているところでございます。

  そういう中で、今マスクのお話もありましたけれども、例えば、農政部だけという話ではなくて、健康福祉部や林務部とも、先ほど青沼室長のほうから回答がございましたけれども、長野県庁としてどういった取組をしていくんだという視点の中で、これからもどういった取組をしていくかということについては考えていきたいなというふうに思っております。

  さらに、ワンヘルス、そしてアニマルウェルフェアというような取組の中で、遡ればコンフォート畜産、まさに地元の地域の中で発想して、それをその地域の中で進めていた取組だというふうに理解しておりますので、現場の声も十分に聞きながら、県としてそういった声を生かせる予算や施策に反映していくというようなことも考えながら、長野県農政部の施策を進めてまいりたいと考えておりますので、引き続き、委員の皆様方にも御理解、御協力をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○中川委員 ありがとうございました。

  ちょっと時間があるので、あと一、二点お願いします。

  一つは、鳥獣被害の防護柵についてです。これは松本の東山で松枯れによって枯れた松が鹿柵を倒して、倒しちゃうものですからまた鹿が入ってくるということがあって、現場に農村支援センターと、それから林務課に来てもらってやったんですが、らちがなかなか明かないんですよ。鹿柵のほうは農政部の予算で、それで直すための費用は松本市が費用を出して、そのうち多分8割だったかな、特別交付税で措置がされているという話だったんです。どっちがどっちだという話になるとなかなかこれは進まない話で、もちろんこの後の林務部でも私これは同じ質問をするつもりでいますけれども、農政部としても林務部としっかり連携してこの対策をしっかり取ってもらいたいと思いますが、いかがですか。

○小林農業技術課長 鳥獣の防護柵の設置につきましては、農政部が主体となって、国の交付金を使って整備を進めておるところでございます。令和2年度までに県内約2,000キロを超える整備が、2,084キロですか、国庫事業を使って整備しておるわけでございます。これらの維持管理につきましては、中山間の直接支払のお金を自分たちで地域の皆さんがためて、維持に使ったり、今委員御指摘のようなお金を使って整備をしておるわけでございます。大雨とか大雪とかやむを得ない気象災害とか、そういったものに対する壊れてしまったとか、そういう修繕につきましては、再度国庫補助事業が対象となりますが、松枯れによります倒木、そういったものは、松枯れのほうの管理がきちっとしておれば本来は防護柵は被害を受けなかったという点もございまして、現段階では補助対象にはなってございません。

  そういった面もありますが、委員御指摘のとおり、双方が連絡を取って貴重な電気柵、整備したわけでございますから、それを長寿命化していく必要はあると思いますので、今後国に対しても、県としてこういった施設はやはり一つの基盤整備の事業の一環だというような位置づけの中で、長寿命化について補助対象となるよう、国へは要望してまいりたいと思いますし、林務部とも十分に連携を取る中で、維持管理等に努めてまいりたいと考えておるところでございます。

○中川委員 鹿柵が枯れた松が落ちてきて人家に入るのを防いでいるという、ちょっと大変な状況があるものですから、ぜひよろしくお願いします。

  最後に一つだけ、すみません。長野県有機農業研究会が、ゲノム編集作物を受け取らないでほしいという要望書を県から全77自治体と77の教育委員会に出しました。回答がありまして、77教育委員会のうち72の教育委員会、それから、77自治体のうち69の自治体から回答がありまして、受け取らないとしたのが29自治体、32教育委員会、その他39自治体、39教育委員会、受け取るとしたのはゼロという、そういうのが長野県有機農業研究会のホームページに掲載されていました。

  この間、前にも一度言いましたけれども、まだ安心・安全だということが確立されていない中で言えば、県の遺伝子組み換え作物のガイドライン、この中にやはりゲノム編集のものも入れ込むべきだというふうに私は前に質問をして、答弁は、国の動向を見てという答弁だったんですが、状況に変化はありますか。

○小林農業技術課長 前回お答えしたとおり、国の状況等も踏まえる中で、状況に変化はございませんでして、国の方針が変わらない限り、現段階では県のほうでは前回と同じ回答になります。

○中川委員 現実に自治体、教育委員会、そして県民の中にも不安があるということをしっかり踏まえた対応をしていただきたいということを要請して、終わります。

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20230224 2月定例会一般質問6「新型コロナ対策について」

2023-03-02 22:30:03 | 長野県議会

6,新型コロナウイルス感染症対策について

【中川】知事は、1月19日の記者会見で、2類から5類への移行について「しっかり見直していただくことは重要」と述べています。また、同じ記者会見で、現在も入院患者が多いことや医療、介護の現場が逼迫していることに触れ「ガラッと1日で対応を転換するというのは現実的に不可能。医療費の負担のあり方等も含め、段階的に見直していく方針を示していただきたい」と政府に要望しています。

第8波の中で、知事は「ワクチン接種者は重症化しない割合が、接種者に比べて低い」という説明を行っていますが、私は以下の8項目を課題として考えています。①2類から5類になった際、ワクチンの公的支援の継続、②新型コロナの変異への対応、③科学的な根拠に基づく2類から5類への移行の時期の説明、④見直し後の医療体制、⑤院内感染対策、⑥高リスク者への対策、⑦コロナ後遺症、⑧ワクチン後遺症等への対策などです。

 2類から5類に移行した場合、現行の法律で「何ができなくなり」「何ができるのか」県民に説明をいただくとともに、「段階的な見直し」に何が必要なのか、これまでの長野県内の新型コロナ対策を行ってきた責任者として、お考えをお聞かせください。

【知事】例えば、感染症法に基づく措置として、自宅療養者や濃厚接触者に対する外出制限が出来なくなり、個人や事業者等の自主的な対応に委ねられることになります。また、入院勧告を行ってきておりますが、入院勧告が出来なくなりますので、入院調整のやり方も変わってまいります。また、医療費の公費負担が無くなって、入院費用や治療薬等に自己負担が生じてくる可能性があるということであります。

こうした見直しにより、いわゆる通常医療での対応という形に変わってくるわけですが、私としては、中川議員もご懸念のように、国民や医療現場が混乱しないようにしていくことが必要だと思います。例えば、入院等の病床確保や公費負担等については、激変を緩和するための経過措置が必要であると考えております。

 今後も一定程度の感染者の発生は見込まれるわけでありますので、医療機関あるいは高齢者施設等に対しても支援をしていくということも必要だと思います。

 来月上旬には国から具体的な方針が示される予定であります。県としては、その方針を踏まえて、長野県として何を続けていくのか、何を止めるのか、こうしたことをしっかりお示しさせていただいた上で、5類への移行が円滑に行われるよう、必要な対策を講じてまいります。

【中川】政府に対して、2類かから5類への移行についての県民の不安を伝えていただき、県民の不安を少なくするためにも科学的な知見に基づいた説明を国に求めるべきではないかと思いますが、知事のご所見を伺います。

【知事】次に、科学的な知見に基づいた説明を国に求めるべきと考えるがいかがか、ということで、まったくご指摘のとおりだと思います。国が一番全国の情報を持っており、専門的な知見も有しておりますので、この感染症はよくわからないので不安・心配という側面もかなり強いわけでありますし、正しい対応を、我々都道府県であったり、国民・県民の皆様が行っていく上でも、正確なエビデンスに基づく情報提供は非常に重要だと思っています。

こうした点は、これまでの全国知事会議でも私の方から発言しておりますし、知事会からの提言でもそういった主旨を踏まえた内容になっております。まだ5類への移行とはいえ、新型コロナウイルス感染症が完全に無くなってしまうわけではありませんので、引き続き国に対しては、こうした科学的知見に基づくエビデンスをしっかり示しながら、対応してもらうよう求めていきたいと考えております。

【中川】2月15日長野労働局発表の令和4年労働災害発生状況の概要を見ると、休業4日以上の死傷者数は2002年以降で最多の2294人です。これには、新型コロナり患者の数は含まれず、新型コロナり患による労働災害は別に2835人います。内訳について長野労働局労働基準部健康安全課に問い合わせたところ、医療保健業務で42%、社会福祉施設で48%ということでした。医療や社会福祉施設での新型コロナり患による労働災害を減らすことは、引き続き課題であると思われます。

このような現場を支援する感染管理認定看護師の県内医療機関における配置状況と、長野県看護大学での感染管理認定看護師の養成状況について健康福祉部長に伺います。

【健康福祉部長】感染管理認定看護師につきましては、現在県内に76名おりますが、その中で所属先が公表されているのが60名、また医療機関に勤務している方は57名、41医療機関となっております。

感染力の強いオミクロン株の流行によりまして、医療・福祉の現場における集団感染事例が多くなっておりますが、新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生した医療機関や福祉施設に対しては、その要請に基づきまして、施設内の感染対策等を支援するために、県看護協会と連携して感染管理認定看護師等の派遣を行っております。令和2年12月の事業開始以降、これまでに延べ176施設への派遣を実施したところでございます。

また、長野県看護大学におきましては、平成23年度から28年度にかけて感染管理認定看護師教育課程を設け、99名の養成を行った経緯がございますが、新型コロナをはじめとした様々な感染症に対応できる看護師の増加を図るため、今年度より再び開講しておりまして、25名が受講しております。来年度も引き続き、専門知識と技術を持った看護師の養成に取り組んでまいります。

【中川】2月に発表された「長野県子ども子育て家庭の生活実態調査」については、今後様々な観点で分析が必要であると思いますが、その中で、新型コロナウイルス感染拡大による影響についても調査が行われています。「学校の授業が分からないと感じること」について、「増えた」と回答した割合は、一般家庭では19.6%であったのに対し、周辺家庭では27.4%、困窮家庭では35.6%となっています。このような実態がありますが、教育委員会はどのように対策を考えているのか教育長に伺います。

【教育長】本調査は、知事部局において、子育て家庭の生活実態を把握し、今後の子育て支援策の参考とするために、平成29年度以来、5年ぶりに実施した調査であり、新型コロナウイルス感染症の拡大により、議員ご指摘のような変化があったと承知しております。

学校においては、家庭の経済状況によらず、すべての児童生徒の学力を保障するよう努めることが大切であると認識しておりまして、県内では、日常の授業改善に加え、平日の放課後や長期休業中に、教員や地域ボランティア等による補習学習の支援を行い、すべての児童生徒の学力向上に資する取組を進めております。

しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大により、調査時点では、このようなきめ細かな取組が思うようにできない状況にあったと承知しております。

そのような中で、各校では、一人一人の学習の定着状況に応じた学習プリントやインターネット上の学習ドリル等を用意し、子供達が取り組んだ課題を丁寧に添削するなどの取組を行っておりました。

また、県教育委員会でも、1人1台端末を活用し、生徒がインターネットを介して4000を超える問題に取り組み、自動採点も可能な学習システムを、中学2年生を対象に提供したところでございます。

今後は、アフターコロナを見据えて、各校で実施していた補習授業の取組の充実や、インターネットを介した学習システムの拡大等により、子供達一人一人の学力の保障に引き続き努めてまいります。

 

【中川】今回の質問について、担当課の皆さんとやり取りする中で、私自身が感じたことですが、沖縄連携協定については、産業・観光と歴史・文化の関係、教員の働き方改革と不登校支援の拡充、交通政策はまちづくり、CO2の削減や渋滞対策など、そもそも総合政策であること、新型コロナはいわずもがな様々な分野への影響があるわけです。

 新総合5ヵ年計画が目指す姿を、県民の皆様との対話と共創、県民参加で創り出していくためには、県庁内において部局横断で「対話と共創」が求められているのではいかと感じたことを申し上げ一切の質問といたします。

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20230224 2月定例会一般質問5「交通政策について」

2023-03-02 22:28:43 | 長野県議会

5,交通政策について

【中川】新型コロナ禍において、仕事を休めないエッセンシャルワーカーの一つとして交通労働者の存在があります。バスは動かさなくてはならないが、乗客が少なく運行すれば、しただけ赤字となりますが、休業するわけにはいかないので雇用調整助成金も使えません。まさに地域公共交通は交通労働者の犠牲の上になりたっていると言えます。こうした状況の中で、年間賃金が100万円以上減り、将来への展望をもてず辞めていく運転手が後を絶たず、人手不足にもなっています。国は、バス・ハイタク・トラックの職場環境の改善の促進に向けた「運転者職場環境良好度認証制度」を導入していますが取得率は僅かです。今後、コロナ終息後の公共交通を担う肝心の労働者を確保するための支援策を講じるべきと考えますがいかがでしょうか。

【企画振興部長】バスやタクシーなど地域公共交通では、コロナ禍で離職者が多くなり、今後の運行に十分対応できないことが懸念されるなど、担い手の確保は深刻な課題であると認識しております。

県では、バスの運転手不足に対応するため「運輸事業振興助成補助金」により、県バス協会を通じて、バス事業者に二種免許の取得に要する経費を助成しているところです。

また、タクシーの運転手不足に対しましては、県タクシー協会に対する補助制度により二種免許の取得や新規運転手確保に向けた広報活動を支援しております。

この他、交通事業者に対し、産業労働部が実施しております「Jobサポ」事業における就業相談会を御案内し、複数のバス事業者に参加いただいたところです。

今後とも事業者の意見をお伺いしながら、人材不足の解消に向けて必要な事業に取り組んでまいります。

【中川】県は交通政策局をあらたにつくり、知事提案説明では「広域・高速交通ネットワークの充実」「日常生活を支える移動手段の確保などに力を注ぐ」「路線バスのキャッシュレス化」「乗り合いバス車両の貸与によるバス路線の運行を支える」としています。

 国は、「地域公共交通再構築事業」や「都市・地域交通戦略推進事業」など、社会資本整備総合交付金や補助金を準備しています。これらの支援を受けるためには「地域公共交通計画」や、「立地適正化計画その他まちづくり・観光計画」などに中長期的な鉄道・バス路線の必要なネットワークを位置付けることが求められます。これまで長野県内では、地域公共交通計画は38の自治体が、立地適正化計画は18の自治体が策定し、更に4つの自治体が策定を予定していると聞いています。

建設部と連携しながら、市町村が国の社会資本整備総合交付金や補助金を活用することへの支援や、都市間輸送など10圏域を超える課題の解決など長野県が事業主体となり、より積極的な交通政策を打ち出すことが必要と考えますがいかがでしょうか。

【企画振興部長】交通政策局では、交通に関する政策を総合的・一体的に推進することを目指しており、庁内の関係部局はもちろんのこと、市町村や民間事業者など幅広い関係者と連携しながら政策を進める方針です。

まちづくりと公共交通は密接に関係するものであることから、建設部はじめ、関係部局ともしっかり連携して市町村の取組を積極的に支援してまいります。

また、圏域を越える広域的な移動の課題に対しては、県として、地域間幹線バス路線への運行欠損費の補助や県有バスの貸与等への支援ですとか、地域鉄道への設備更新補助や車両更新に対する支援など、これまでも様々取り組んでまいりました。

今後は、県内各都市を結ぶ高速路線バスについて運行への関与のあり方を研究するなど、引き続き県として主体的に取り組んでまいります。

【中川】JRの赤字ローカル線への対応について、国は「鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会」を開催し提言をまとめました。長野県としての、現段階での対応をどう考えていますか。

【企画振興部長】国土交通省の検討会では、昨年の夏、利用者の著しい減少等を背景に危機的な状況にある線区について、その在り方を検討するため、鉄道事業者又は自治体からの要請に基づき、国が協議会を設置することが提言をされました。

これを受け、国では、2月10日に関連法案が閣議決定され、今国会に提出されたところと承知をしております。

本県では、JRの路線ごとに沿線自治体や経済団体で組織される協議会が設立されており、関係者が連携し、鉄道の利用促進と利便性の向上に向けて取り組んでおります。

県としては、JR各社と日頃から十分な意思疎通を図るとともに、沿線一丸となって鉄道の活性化に取り組むことが、まずは重要と考えており、国に協議会の設置を要請することは考えておりません。

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20230224 2月定例会一般質問4「不登校支援について」

2023-03-02 22:27:25 | 長野県議会

4,不登校支援について

【中川】松本市では、自立支援教員を全校に配置し、不登校対策を行っていますが、大規模校では不登校の子どもが40人いるところもあり自立支援教員が足りません。県が市内5校に配置している加配がいるところでは余裕をもって対応ができています。不登校の子どもたちへの対応は一人ひとりへの対応が必要であり、「学校での人の配置と不登校の子どもが安心して過ごせる場所」の確保が課題です。県の「人と場所」への支援は拡充できないでしょうか。

【教育長】不登校の子どもが自分らしく学び、自分らしく生きることができるよう、関係者が連携し多様な学びの機会を保障していくことは大変重要であると考えております。

このため、県教育委員会では、市町村教育委員会や学校現場からの要望をもとに、国の加配定数を活用しながら、不登校支援や生徒指導のための加配教員、子どもと親の相談員などを配置しています。

また、多くの学校では校内相談室等の名称で、不登校の子どもたちが安心できる居場所を設置しておりますが、一人一人に合った学びを支援する校内サポートルームの設置など、先進的な取組を行っている一部の学校には、教員の配置なども行っているところです。

現行以上の教職員の配置については、国の定数改善が必要となることから、引き続き国に対し要望するとともに、校内サポートルーム等の多様な学びの場での支援については、他の学校にも波及するよう、今年度作成している「不登校児童生徒の学びのサポートガイド“はばたき”(vol.2)」を活用し、周知を図っていきたいと考えております。

【中川】家庭や子どもの状況を確認するスクリーニングシートを活用することで、不登校の子どもの傾向をつかみ早期の支援ができると考えられますが、いかがでしょうか。以上教育長に伺います。

【教育長】県教育委員会では、これまで、研修会等において、児童生徒の学校生活の様子や家庭の状況等について、共通の項目で客観的に確認できるスクリーニングシートの有効性を周知してきており、県内の小中学校において、その活用が広がりつつあると承知しております。

実際に活用している市町村教育委員会に、その有効性を伺ったところ、教職員の経験や知識に左右されることなく、支援を必要とする子どもの早期発見、早期対応が期待できるツールであり、とりわけ、児童生徒数が多い大規模校では有効であると評価されています。  

県教育委員会では、引き続き、その活用方法等を全県に周知することにより、一人一人の子どもに寄り添った早期の支援につながるよう努めてまいりたいと考えております。

【中川】松本市内でも、不登校の子どもたちの居場所をNPOなどが運営しています。松本市では、発達に心配のあるお子さんや発達障がいのお子さんと保護者の方を、専門職チームが継続して総合的に支援していく「あるぷキッズ」があります。このあるぷキッズの職員と学校長とが出向き、居場所への参加状況や、生活の様子を聞いて、出席評価を行っています。

また、不登校支援アドバイザーが、年間に小学校3回、中学校は4回まわり、不登校の子どもたちの状況を把握し、スクールソシャルワーカーやスクールカウンセラーにつないだり、その子どもに必要な支援をコーディネートしています。さらに、不登校支援アドバイザーとアルプキッズの職員で、公民館を利用して週一回居場所を提供しています。

 大町市では、不登校への支援の一つとして、不登校の家庭に「居場所」へ通う交通費なども含めて自己負担を無くす事業が行われています。これは、大町市民が対象であり、塩尻市など市外から大町市の「居場所」に通っている家庭は支援の対象外となっている実情があります。

新年度、県は信州型フリースクール認証制度の構築を検討するとしています。世田谷区では公設民営のフリースクールがあり、私も現地を視察してきました。将来的に、公設フリースクールの設置も検討が必要と思います。 

認証フリースクールを考えるとき、市町村で取り組んでいる不登校支援の実態調査を行い、居場所の問題とともに人の関わり方など、総合的に検討する必要があると思いますがいかがでしょうか子ども若者局長に伺います。

【子ども若者局長】来年度行う「信州型フリースクール認証制度」の検討に向けましては、議員ご指摘のとおり、市町村における不登校に関する支援の実態や県内で活動するフリースクールの運営状況について調査し、子どもへの支援内容・支援方法、人員体制、学校・市町村とフリースクールとの相互の関わり方等の実態について把握する必要があると考えております。併せて、フリースクールの運営者や利用児童生徒の保護者からも、必要な支援等に関するご意見を伺う予定でございます。

 認証制度の検討を進めるに当たりましては、これらの実態調査や関係者からのご意見を十分に踏まえるとともに、フリースクールの持つ多様性や自主性、自由な雰囲気を損なうことのないよう十分に配慮した上で、一人一人の子どもの特性や状況に応じた質の高い学びをフリースクールに提供していただくためには何が必要なのか、必要な枠組みや要件について、しっかりと総合的に議論してまいりたいと考えております。

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20230224 2月定例会一般質問3「教員の精神疾患による休職について」

2023-03-02 22:25:36 | 長野県議会

3,教員の精神疾患による休職について

【中川】昨年暮れに、文部科学省の人事行政調査で、2021年度に精神疾患で1ヶ月以上休んだ公立学校の教員が前年度比15.2%増の10,944人となり、はじめて1万人を超えたことが報告されました。長野県内の学校では精神疾患を理由に休職した教員は69人だったといいますが、県内の精神疾患による休職者数の増減の傾向はどうなっていますか。また、精神疾患で休職する原因や背景について、どのように分析していますか。

【教育長】文部科学省の人事行政状況調査では、令和3年度の精神疾患による本県の公立学校教員の休職者数は69人で、全教員に占める割合は0.40%となっており、令和2年度までは、10年以上ほぼ横ばいの状況が続いておりましたが、令和3年度は前年度比15人、0.08%の減少となっております。

休職等に至った原因や背景としては、令和元年度に県教育委員会が実施した調査において「児童生徒への対応」が最も多く、次いで介護、家事・育児の負担などの「個人的な事情」、「職場の人間関係」の順となっております。また、多くは複数の原因や背景を抱えているという結果となっております。

【中川】県教委が行った2022年度1学期と2021度1学期の「教職員の勤務時間等の調査」による比較では、休日勤務時間が3割、持ち帰り仕事時間は5割に減っているとしています。しかし、県教組の組合員へのアンケートと比較すると、6月では、平日時間外勤務は県教委調査で51時間10分、県教組アンケートは52時間52分で県教組のアンケートの方が1時間42分多い。また、休日勤務は県教委5時間1分、県教組16時間32分とこれも県教組の方が11時間31分多い。持ち帰り残業も県教委は1時間34分に対して、県教組では9時間32分と7時間58分の違いがある。

 先生方に聞くと「休日出勤をして部活動を行ったり、持ち帰り残業しても自己申告となっていて全て報告がされていない」、また「休憩時間は勤務時間からはずされているが、実際は休憩できていない」「家庭訪問や外での会議後、直接家に帰った場合はつけていない」などの実態があると聞きました。

 先生方の話から「教職員の勤務時間等の調査」が、実態を反映していないのではないかと思われます。精神疾患による休職者を減らすためには、機械的な調査ではなく実態を正確に把握する調査が必要ではないでしょうか。

【教育長】 議員ご指摘のように、勤務実態の正確な把握は、働き方改革を推進し休職者を減らす取組を進めるために必要であると考えております。

このため本年度より、全ての公立小中学校において校務支援システムやタイムカードなどの活用により、できる限り客観的に勤務時間を管理することとし、県教育委員会において年間を通じた勤務時間が把握できるように取り組んでおります。

さらに、全国的にも例が少ない取組として、自己申告により持ち帰り仕事時間も調査し、家庭などでの勤務状況の把握にも努めております。

引き続き、校長会や市町村教育委員会との連絡会等を通じ、正確に勤務状況を報告するよう依頼するとともに、出張時の勤務時間や取れなかった休憩時間の把握も含め、より実態に即し、かつ、教員に負担のかからないような調査となるよう工夫してまいります。

【中川】2014年に「子どもと向き合う時間を確保するための総合的方策」が示され、超勤時間の量的削減が目指されてきました。2021年の「学校における働き方改革推進のための方策」では、「学校業務の協業化・分業化・外部化・システム化による業務の削減」「家庭・地域・関係機関・企業等との連携・協働体制の構築」「ワーク・エンゲイジメントの高い職場づくりとワーク・ライフ・バランスの実現」を方策として超過勤務を減らすとしていますが、これらの方策は個人の責任に帰結する恐れがあると思われます。学校現場が目指してきた物理的な超過勤務の縮減の具体的な対策はどうなっているのでしょうか。これ以上の業務量を減らすことはできないという認識なのでしょうか。

【教育長】各学校においては、会議の精選や学校行事の見直し、日課の工夫、時間外の留守番電話対応、部活動指針に沿った活動時間の縮減などに取り組むとともに、県教育委員会においても、小学校高学年に対する専科教員の配置を始めとした体制整備などを進め、超過勤務の縮減に努めております。

また、業務量の削減につきましては、2021年に策定した方策に基づいたこうした取組を全県の学校や教育委員会で一層進めていくことにより、更に業務量を削減していきたいと考えております。

【中川】「ワーク・エンゲイジメント」とは、「仕事にエネルギーを注ぎ、仕事から活力を得て活き活きしている状態」という説明ですが、教員個々の精神的な心の持ちように求めているのでしょうか。人員を増やすことにより超勤を減らすことは考えないのですか。

【教育長】「ワーク・エンゲイジメント」は、働きやすい職場環境の整備や教員としての専門性を高めることで、やりがいを感じ、活き活きと働くことができる「心身の健康」を保つものです。

 方策でも示しておりますように、学校における働き方改革の目的は、超過勤務の縮減といった量的な面のみならず、働きやすさや働きがいといった質的な面も含んでおり、ワーク・エンゲイジメントを高めることは、主に質的な面で豊かな教職生活の実現につながるものと考えております。 

教育現場の人員を増やすことは働き方改革を推進する上で有効な施策の一つであると考えており、例えば、先ほど申し上げた小学校高学年に対する専科教員の配置などにより教員にゆとりが生まれるとともに、年々増員している教員業務支援員の配置により、教員が本来の業務に注力できる状況が生まれています。

こうした人員の増員と共に、地域ボランティアなど様々な方の御協力もいただきながら、さらなる超過勤務の縮減をはかってまいります。 

【中川】実態として、過労死ラインである超勤80時間を超えていることの改善を要請します。 

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