こんにちは「中川ひろじ」です。

みんなのお困りごとが私のしごと

20200801 県農政部との意見交換会

2020-08-02 18:38:36 | 食・農業

 

長野県農政部との意見交換会

1、冒頭あいさつ(中川) 

 日頃、長野県農政の発展と県民のいのちと暮らしを守るためご尽力をいただいていますことに敬意を表します。

 近年、日本の農業をめぐる情勢が大きく変わろうとしています。大きくはTPP11や日欧EPAの発効により、農業もグローバリズムの中にあります。長野県農業もその影響を受けざるを得ません。

2018年主要穀物種子法が廃止され、これまで日本の食料を守ってきた公共品種の育成を裏付ける法律が無くなりました。しかし、長野県は、これまでのコメ・ムギ・ダイズにソバや伝統野菜を加えて、種子を守る条例をつくりました。国の農業競争力強化支援法で、公共品種の知見を民間事業者に提供することとなっていますが、長野県は「県民益にならない提供は行わない」と明言しています。

 第201通常国会に提案された種苗法の改正案では、これまで「登録品種は自家増殖ができる」から、「自家増殖するためには許諾が必要」と変わります。長野県においては、許諾料の設定など農家の負担増にならない取組を切望します。

 現在、気候変動の危機とともに、新型コロナウイルスによる人類への危機が叫ばれています。食糧自給率が4割を切る日本で、海外から食料や種子が入ってこない恐れさえあると言われていますが、今こそ、日本の農業を元気にするチャンスと受け止める必要があるのではないでしょうか。

 食料自給率をあげていくこと、地産地消を拡大していくこと、持続可能な開発目標(SDGs)への農業分野での貢献、環境にやさしいエシカル消費の推進、有機農業の拡大などの政策を展開していくためにも多様な種子を守る仕組みが必要だと考えます。

 気候非常事態宣言を行った長野県として、より環境への負荷を低減できる有機農業の推進拡大に取り組むことは、県内農産物のブランド化の推進にもつながります。また、農福連携や未来を担う子どもたちに、持続可能な環境や社会を残すために、「作り手の思いに触れること」、「自然や環境に優しい社会づくり」など、食育を通じて子どもたちに「生きる力」を育むことが長野県農政にも求められていると思います。

有機農業を拡大するためには、指導する人を育成することは大変重要なことです。これまで様々な取り組みを行ってきている長野県有機農業研究会の皆さんや有機農業や自然農業の研究機関とも力をあわせて担い手の拡大に取り組みましょう。

 同時に、有機農産物の消費を拡大することが必要です。長野県営業局では都内の有名料理店のシェフに有機野菜の畑を見てもらっています。県内でも、レストランや料理店で有機農産物を使った料理を提供している店が増えてきています。今後、「学校給食有機の日」の取組や、有機農産物だけでつくるACE弁当など、消費者需要の喚起も力をあわせていきましょう。

 「有機はオシャレ」「有機はもうかる」を合言葉に、私たちは県農政部と力を合わせていきたいと考えています。

 以上の点を踏まえ、「種苗法の改正について」「有機農業の推進について」意見交換をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

■参加団体・参加者

NAGANO農と食の会

子どもの食・農を守る会伊那谷

松川町

ずくだせ農場

いのちをつなぐ里山の会

上田農と食の会

OBUSE食と農の未来会議

社会福祉法人くりのみ園                        

北アルプスいのちと食の会

長野県有機農業研究会

食とみどり水を守る県民会議

 

 

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20200630 農政委員会 種苗法改正について

2020-07-07 21:01:14 | 食・農業

■種苗法改正案は国会で継続審議に

 第201国会に上程された「種苗法の改正案」は、継続審議となりましたが、法改正の目的や課題、長野県農政における影響などについて6月定例県議会農政委員会で質疑を行いました。

■種苗法の改正法案の概要

種苗法は花やキノコなどを含むすべての農作物での新品種を育成した人の知的財産権を守るための法律です。新品種を開発した人(個人・企業)はその品種登録を行い、農水省に受理されると25年(果樹など永年性作物は30年)の間、「育成者権」という知的財産権が認められ、独占的な販売ができるようになります。

これまで、日本で開発されたブドウやイチゴなどの優良品種が海外に流出し、産地化される事例があり、国内生産者にとっては海外輸出の機会を失ったことになります。このため国では、より実効的に新品種を保護するため法改正を行うこととしています。

具体的には、新たに登録された品種=「登録品種」については、自家増殖を許諾制にするとともに育成者が栽培することのできる地域や国を指定することができるようにしました。許諾を得ずに栽培したり、無断で国外に持ち出した場合は処罰されます。

■委員会での質疑概要

Q1.長野県の開発品種で海外流出したものはありますか。県の登録品種で海外登録されている品種はありますか。この法改正だけで海外流出を止めることができますか。

A.これまで明確に海外流出したと公表したものはありません。ぶどうの「クイーンルージュ」については、中国と韓国で品種登録出願しています。海外流出の防止については、種苗法の改正だけではなく、植物検疫等との連携なども必要と考えています。

 

Q2.新品種の開発に要した費用や期間はどのくらいかかりますか?

A.果樹の新品種開発には、10年から15年かかります。県の新品種開発や技術開発のための試験研究全体の事業費は年間4億円程度の予算です。

 

Q3.これまで種苗法のもとでは、「農業者であれば登録品種は自家増殖できる」規定となっていました。この法の下で生産者にとって都合の悪いことはありましたか?

A.自家増殖を繰り返すと、品種の持つ形質の劣化等の生産への影響が懸念されます。

 

Q4.「登録品種は自家増殖できる」と定めてあった法第21条2項が削除されることで、原則自家増殖ができなくなるのですか?

A.自家増殖を禁止したものではなく、「登録品種」について自家増殖するためには許諾が必要となる

ことを定めようするものです。また、伝統野菜などの在来種や「コシヒカリ」や「シナノスイート」など品種登録期間が過ぎた品種=「一般品種」については、これまでどおり自家増殖ができます。

 

Q5.県が定めている「許諾実施料」とは何ですか?

A.県が育成した新品種を利用するための使用料です。

 

Q6.許諾実施料は、どのように設定 されていますか?

A.主要作物・イチゴ・きのこ・飼料作物の種苗等は1%、果樹の苗木は県内30円、県外150円、野菜の種子は県内1%、県外5%となっています。

 

Q7.主な許諾実施料収入は?

A.シナノゴールドなどのりんごでは260万円、ファイバースノウなどの麦類で260万円、なつっこなどの桃で100万円程度となっています。

 

Q8.登録品種の生産者はどれほど自家増殖をしていますか?

A.品目によって事情が異なりますが、病害や形質の変異等の観点から、毎年種子を購入いただいております。

 

Q9.もし、法改正された場合、どの程度の許諾料が発生すると見込まれますか?

A.今後の課題であり現時点で金額を見込むことはできません。今後、育成者権と農家負担の両面から検討を進めていきたいと考えています。

 

Q10.主要穀物や小規模農家については許諾料を取らなくてもいい判断を都道府県で、できるような法の修正を国に求めるべきではないでしょうか。

A.国への修正の要請については、様々な意見がある中で農家や関係者の意見もお聞きするとともに、国からも説明を受けてどのように対応するか今後考えてまいります。

 

Q11.法改正の中で、第8条「職務育成品種」とは何ですか?

A.職員が職務で品種を育成した場合に、その権利を組織が継承する品種のことです。

 

Q12.登録品種以外のいわゆる一般品種の種子を守るという観点から、一般品種の特性の記録、種子の保存、農家が一般品種を自家増殖含めてできる権利を保障する法律が必要ではありませんか?

A.法律をつくるか否かはともかく、品種(種子)については重要な知的財産であり、それを保存保管していくことは重要と考えています。県育成品種や伝統野菜などの品種の保存をしっかりと考えていかなければいけないと思っています。

(表1)令和元年度品目別登録品種の作付面積

品種

 

作付面積ha

作付割合%

 

うるち米

風さやか

1,479

4.6

 

 

天竜乙女

133

0.4

 

酒米

山恵錦

36

0.1

 

大麦

ファイバースノウ

281

51.7

 

 

ホワイトファイバー

189

34.8

 

小麦

ユメセイキ

239

11.2

 

 

ハナマンテン

408

19.2

 

 

ゆめかおり

186

8.7

 

 

ゆめきらり

493

23.2

 

大豆

つぶほまれ

72

3.7

 

 

すずろまん

20

1.0

 

 

すずほまれ

225

11.4

 

そば

信州ひすいそば

90

2.4

 

 

タチアカネ

82

2.2

 

りんご

シナノドルチェ

59

0.8

 

 

シナノリップ

89

1.2

 

 

シナノゴールド

303

4.0

 

ぶどう

ナガノパープル

168

6.7

 

 

クイーンルージュ

76

3

 

もも

なつっこ

109

10.5

 

なし

サザンスイート

21

2.5

 

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20200627 「子どもの食・農を守る伊那谷」学習会

2020-06-27 21:02:46 | 食・農業

飯田市上郷公民館で開催された有機農業に関する学習会に参加した。

新型コロナウイルス対策を行い三密をつくらない形で行われたが60名くらいの参加者だった。

県農政部有機農業プラットフォーム担当の吉田太郎氏から「有機農業、有機の学校給食が必要な理由」について講演を聞いた。欧米では新型コロナ禍で、有機農業の生産を25%を目指すという。国内でも、今治市、いすみ市、京都市、埼玉県小川町などが自治体の政策として積極的に取り組んでいる。

私にも発言の機会をいただき、県議会で有機農業の推進について質問したことなどを報告させていただいた。

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20200604 「日本の種子(たね)を守る会」主催の緊急オンラインミーティング

2020-06-04 21:10:24 | 食・農業

   

日本の種子を守る会の緊急ミーティングがあり参加しました。

今国会での審議が見送られた「種苗法の改正案」について、意見交換が行われました。

SNS上で、特徴的なのは「原則自家採種ができなくなる」という主張に対して、「自家採種ができなくなるというけれど一般品種はできるから問題ない」という対立を煽り立てるような投稿が数多く見受けられることです。

日本の食と農を守るということでは同じ立場の農家や研究者が対立することではない。

今のままでは、「公共品種を守り、在来種も守る」法律がないということである。

あらためて「種子を守る」ことの意味を考えてみようと思う会議だった。

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20200310 「種苗法の改正の慎重審議を求める請願」は不採択

2020-03-10 16:53:04 | 食・農業

長野県議会2月定例会に、松本市のココロクラブさんから「種苗法の一部を改正する法律案の慎重審議を求める」請願が出され、私が紹介議員となっていた件ですが、農政委員会で「不採択」となり、今日の本会議でも不採択が承認されてしまいました。

会派としては、国会審議はこれからであり、県民の皆さんの中には不安や疑念がある以上せめて「継続審査」とすべきとがんばっていただきましたが残念です。

会派の中で私から以下の通り論点を示して議論してきたことは報告させていただきます。

①主要穀物の公共品種を守るために、昨年6月に「長野県主要農作物及び伝統野菜等の種子に関する条例 」が全会一致で成立した。しかし、農業競争力強化支援法により、長野県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者へ提供しなければならず、結果として主要穀物の公共品種を守ることは難しくなる。→長野県としては民間事業者へ公共品種の知見を提供することは考えていない。(県の見解)

②これまでの種苗法の下では「原則自家増殖を認め」て、例外として「自家増殖禁止」として現在387種類が指定され、自家増殖する場合には育成権者の許諾が必要であった。例外が増えてきたので逆に、自家増殖を原則禁止にして、一般品種についてはこれまで通り自家増殖ができる規定に変えた。結果として何が自家増殖できて、何ができないのか分かりにくくなった。→自家増殖原則禁止の方が解り易いと考えている(県の見解)

*たとえば「コシヒカリ」は、登録品種で67種類あるが、これらは法改正によるところの「特性表」で違いを仕分けることができるのか。→たとえば新潟の「コシヒカリ新潟BL1号」は、いもち病に強い品種として新潟県内だけで流通しているものであるので、問題はない(県の見解)

*リンゴの接ぎ木やイチゴの自家増殖はどうするのか?→長野県が登録している品種についてはいくつか方法がある。県内農家には安い許諾料を設定することも一つの方法。イチゴはすでに登録品種を許諾料を払って自家増殖している農家がほとんどだ。(県の見解)

③農業競争力強化支援法の目的は、「官民の総力を挙げた種子・種苗の開発・供給体制を構築 することで、我が国農業の国際競争力を強化し、農業を成長産業にする」ことにあるとしているが、ここでいう「民」は国内企業だけではない。バイエル クロップサイエンス株式会社は、農薬および防疫用薬剤の開発、製造、輸出入および販売を手がけている。2020年日本モンサントの事業を引き継ぎ、「グリホサート耐性ナタネ・ダイズ・トウモロコシ」の開発など、遺伝子組換えの農作物を研究している。今後、こうした遺伝子組換えやゲノム編集された農作物が国内でつくられる可能性がある。ガイドラインで止めきれない。→ゲノムもダメという世論が大きくなれば考える(県の見解)

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20200221 一般質問 卸売市場法の改正について

2020-02-27 21:28:35 | 食・農業

【中川】卸売市場法の一部改正に伴い、11月定例会で「地方卸売市場等に関する条例」が廃止されました。卸売市場は、生鮮食料品などの安定的な供給と食の安心安全を確保してきました。場外取引が増えて県の資料によると、県内卸売市場の取引額は平成27年度で1607億円で、10年間で31億円減少しています。とはいっても、国産青果物の9割が卸売市場を経由し、「これは、量販店や中・外食業者等が、産地を明示した特色ある品揃えや安定的な取引 を求め、市場機能を活用した、生産地との契約取引を指向するためと」と分析しています。

【農政部長】卸売市場法の改正は、食品等の流通が多様化するとともに、交通網の整備と鮮度保持技術の向上により流通が広域化するなか、各卸売市場の実態に応じて創意工夫を生かした取り組みを促進するため、平成30年6月に一部改正され、本年6月に施行されることとなっております。これに伴い、市場における流通規制が緩和されるとともに、市場の開設手続きが許認可制から認定制に変更となるなど、行政の関与も規制緩和の観点から見直されたところです。県としましては、卸売市場は、生鮮食料品等の安定供給等に重要な役割を担っていると認識しており、取引の適正化と流通の円滑化を図ることが重要と考えております。そのため、県は、各卸売市場の開設者に対して、関係法令等に沿って適正かつ健全な市場運営が行われるよう、引き続き指導・監督してまいります。

【中川】各市場に対しては指導ということでいいんですが、県全体の調整も引き続き行っていただくよう要請をいたします。

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20200221 一般質問 有機農業関係知事答弁

2020-02-24 08:35:17 | 食・農業

【中川】知事にお伺いいたします。有機農業には様々な可能性があります。高齢者や妊産婦の食生活の改善。ホットスティ等有機農業体験ツアー。有機嗜好が強い外国人観光客への提供等が考えられます。とくに、学校給食に有機農産物を取入れることは、今治市の例のように地消地産と給食にかかわる費用の経済的な地域循環や食育を進めることにつながると考えられます。有機学校給食の推進に向け、県が旗を振り、「学校給食有機の日」に取り組んでは如何でしょうか。また、5月に開催されるSDGs全国フォーラム・イン長野において、分科会か特別企画でSDGs有機特別フォーラムを開催したらどうかと思いますが、有機農業の推進に向けて今後の政策展開について知事の御所見をお伺いします。

【阿部知事】有機農業の推進についてご質問をいただきました。有機農業は環境と調和した持続可能な農業の推進、あるいは、SDGs目標達成の観点からも重要な取組みであると考えております。有機農業を進めるにあたっては、新規就農者の確保、技術の向上、販路の拡大等様々な課題もありますけれども、是非、これは推進していかなければいけないと思います。

来年度は昨年の8月に設立した県の有機農業推進プラットフォームの活動を本格化させ、生産・流通・消費・行政等様々な分野の皆様と連携して施策を展開したいと考えております。学校給食への有機農産物の活用につきましては、現段階では一部の町村で取組みが始まっているという段階であります。生産量の確保等課題はございますが、私も大切な取組みであると考えておりますので、課題解決に向け、まずは市町村と連携してモデル的な取組みを広げて行きたいと考えております。また、SDGs全国フォーラム・イン長野につきましては全国から多数の来場者が見込まれることから、本県における有機農業の取組みを全国に発信する場を設けるよう検討してまいりたいと考えております。以上です。

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20200221 有機農業関係の質問への答弁 項目別(農政部長・健康福祉部長)

2020-02-24 08:14:17 | 食・農業

【中川】有機農業の推進についてお伺いします。9月定例議会で知事から「有機農業の推進に向け、積極的に取り組んでいく」との答弁をいただきました。

 いま世界では有機農産物は大きな市場になりつつあります。アメリカでは5兆5000億円、EUでは4兆1000億円、中国でも9000億円の取引があると報道されております。

 この2月17日、農林水産省は「SDGs生物多様性シンポジウム、未来をつくる食農ビジネス」を開催し、長野県立大学がサテライト会場となっていて、私も参加しましたが、学生を含めて100人の方が聴講をいたしました。ちょっと音声が悪くて聞き取れないところもありましたが、花粉媒介昆虫や土壌生物等、食料と農業における生物多様性は、食料安全保障だけでなく、持続可能な開発目標の達成において不可決であるが、生物多様性は遺伝子、タネ、生態系といずれのレベルでも減少を続けており、食料安全保障と持続可能な社会の実現が危ぶまれていることや有機農業は化学的に合成された肥料や農薬を使用しないことや有機物の施用による土づくりを行うことから、生物多様性を保全するとともに、農地等への炭素貯留を促進すること等が報告されておりました。生物多様性の観点からも有機農業の推進が必要だと思われます。

 また、2月4日に、県会議員や市町村議員ら50人以上が参加して、「信州オーガニック議員連盟」が結成されました。規約では世界的な課題であるSDGs、持続可能な開発目標の達成と市民の健康長寿及び子どもたちの健やかな成長を願い、豊かな長野県の自然環境のもとで育てられ、遺伝子操作技術や化学物質等を用いない安全な農産物や食品を安心して食べることができる環境の実現を目指して、ゆるやかなネットワークを構成し、政策提言と社会的な活動を推進することをもって、市民の生活向上と地域の持続的な発展に寄与することを目的とすること等が確認されました。

 マスコミ各社でも取りあげられ、日本農業新聞で、当日講演された愛媛県今治市の取組みについても報道されていました。今治市においては食と農のまちづくり条例が作られ、地産地消の推進、食育の推進、有機農業の推進を行ってきました。現在、給食の米はぜんぶ地元の特別栽培米を使っています。パン用小麦も米国産から地元産に切り替えを進め、小麦の作付けは現在23haとなり、給食用パンで今治産小麦の使用割合は80%に達しているということです。

豆腐も米国産から今治市産と特別栽培ダイズに切り換えました。地産地消と食の安全意識が地域に浸透し、地場産食材の給食を食べて育った世代は地元産を重視して購入するように変わって来ているということです。スーパーで今治市産の特別栽培、有機栽培の野菜コーナーができたり、地産地消をアピールするホテルや食堂が増えたりする等、生産と消費の経済的好循環を産んでいるとのお話でした。

そこで、農政部長に有機農業で関連してご質問をいたします。まず、新年度予算における有機農業推進の取組み方針をお伺いいたします。

【農政部長】新年度予算における有機農業の推進の取組み方針についてでございます。有機農業の推進につきましては、生産拡大、関係者のネットワークの強化、有機農業への理解の醸成の大きく三本の柱で取組みを進めているところであります。このため、新年度予算におきましては、生産拡大に向けては新規就農者の定着や技術向上のための講座の開催、ネットワークの強化に向けては、有機農業専任担当者による生産、流通、消費のマッチング活動、理解醸成に向けては全県的な研修会の開催やホームページでの情報発信を強化して参ります。さらに、様々な分野での多くの皆様と連携をし、有機農業を推進していくため、昨年設置いたしました県有機農業プラットフォームを核とした取組みを本格化させ、有機農業の定着推進を図って参ります。

 

【中川】農林水産省は本国会に種苗法の一部を改正する法律案を提出すると伺っております。種苗法の改正は苗やタネの育成者の権利を定め、登録品種の海外流出を防ぐことが目的とされています。一方で、「これまで行われて来た自家採種や自家増殖が制限されるのではないか」という農家の皆さんの不安もお聞きいたしました。農政部として種苗法の改正についての見解をお聞かせください。

【農政部長】種苗法の改正についてでございます。農林水産省は優良品種の海外流出を防止するため、品種登録の出願地、栽培地を国内等に限定できることや登録品種の自家増殖を許諾制とすること、また、在来種や品種登録されたことがない品種、いわゆる一般品種については従来通り農家の自家増殖を制限しない方針と報道されております。このうち、品種登録の出願地、栽培地を限定できるということにつきましては、本県が育成したオリジナル品種の海外流出を防止し、知的財産権の強化につながるものと考えております。また、登録品種の自家増殖を許諾制とすることにつきましては、種苗の入手が困難になる等、農業者の営農に支障が生じない内容となることが必要と考えておりまして法改正に向けた国の動向を注視し情報収集に努めて参ります。

 

【中川】種子条例を作る際に、県民の皆さんから寄せられた意見の中にあった「遺伝子組み換え農産物の不安」について、県は「遺伝子組み換え作物のガイドラインを作る」としてきました。現在の作業の進捗状況はどうなっているのか。お聞きします。また、県民の皆さんからは、遺伝子組み換えとともにゲノム編集についても不安の声がありました。国はゲノム編集は有機JASに含めないとしています。したがって、遺伝子組み換え作物についてのガイドラインは、ゲノム編集についても記載すべきと思うが如何でしょうか。

【農政部長】遺伝子組換え農産物のガイドラインについてでございます。ガイドラインの作成につきましては昨年の11月からこの2月にかけまして農業者の代表、農業関係団体、消費者団体等にガイドラインのたたき台についてその内容をご説明し、ご意見をいただきました。現在、これらのご意見をもとにガイドライン案の内容を検討しているところであります。ゲノム編集技術につきましては、従来の育種技術と同様の技術であり、活用を進めるべきとの意見がある一方、消費者の理解や不安解消が不十分との意見もあり、県内におけるガイドラインのたたき台の説明会におきましても、同様に両方の意見があったところであります。今回策定するガイドラインは、長野県の主要農作物及び伝統的種子に関する条例の4月施行にあわせまして、遺伝子組み換え作物と一般作物との交雑・混入を防止することが目的であり、現在ではゲノム編集について記載しない方向で検討しているところであります。なお、ゲノム編集技術について今後も議論の動向を重視しまして、状況の変化が生じた場合には、それに応じてガイドラインへの反映をしてまいります。

【中川】ゲノム編集された食品の安全審査とゲノム編集についての表示を国に求めるべきだと思いますが如何でしょうか。これは健康福祉部長にお伺いします。

【健康福祉部長】ゲノム編集技術応用食品の安全性の審査と表示についてでございます。まず、安全性の審査についてでございますが、厚生労働省ではゲノム編集技術は従来から用いられて来た育種技術と同様に手法で作られる食品であることから、食品衛生法に基づく安全性審査は不要としつつ、開発した事業者には当該食品の情報を国に届け出るよう求めているところでございます。また、表示につきましては、消費者庁が当該食品はゲノム編集技術によって得られた変異と従来の育種技術によって得られた変異と科学的に区別することが困難であること等から、食品表示法に基づく表示を義務づけることは妥当ではないというふうにしております。しかしながら、県民の中にはゲノム編集技術応用食品に対する不安の声があることから、国に対しまして意見交換等の場を介しまして、不安解消に務めるよう求めてまいりたいと考えております。

 

【中川】環境保全型農業直接支払い交付金の対象に自然農法が含まれていない理由はなぜでしょうか。環境に最も負荷を与えず持続可能な自然農法を県はどのように支援する考えをもっておりますか。農政部長にお伺いいたします。

【農政部長】環境保全型農業支払い交付金と自然農法についてであります。国の環境保全型農業直接支払い交付金は、環境保全に効果が高い営農活動を支援する制度で、具体的には地球温暖化防止のため、土壌中に堆肥や緑肥を鋤込み、大気中の二酸化炭素を吸収する取組みを行うことが交付の基本条件とされております。一方、自然農法は堆肥や緑肥を含め、肥料を一切施用しない農法であるため、国の交付金の対象とすることを困難としております。有機農業には様々な農法がありますが、県では有機農業推進の基本方針の中で、有機農業実践者の取組みが多様であることから、農業者の自主性を尊重することとしておりまして、農法に関わらず多様な有機農法の取組みを支援しているところであります。今後も様々な農法の有機農業の定着推進につきまして、有機農業を志す幅広い皆様を対象とした、技術・知識を習得するための講座の開催や研修先の紹介、アドバイザーによる技術的助言、農業者のネットワークづくり、販路拡大等を積極的に支援して参ります。

【中川】さて、種苗法の改正については国会審議はこれからです。国は種子法を廃止し、農業競争力強化支援法により都道府県が有する種子生産に関する民間事業者への提供を促進、さらに、種苗法改正で育成者権を強化するということですから、この話の流れは種子のビジネス化の促進ということになるのだと思います。ここに海外事業者が入ってくることも十分に考えられ、遺伝子組み換え種子が入ってくる恐れがあるわけです。国に対して種苗法の改正については慎重な審議を求めるべきだと思います。また、ゲノム編集について有機認証からは排除されているわけですけれども、表示も規制もしないということになれば、どうやって排除することができるのか、という疑問が残ります。やはり国に対してゲノム編集の安全性審査と表示を求めるべきだということを重ねて要請いたしまして一切の質問を終わります。

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20200208 ゲノム編集の今―何が問題か 河田昌東さん講演

2020-02-08 21:19:34 | 食・農業

2月8日伊那市内において遺伝子組換情報室代表の河田昌東(かわだまさはる)さんのお話を聞いた。以下記憶に残った点を記録しておく。

ゲノム編集の仕組み

従来の遺伝子組み換えは、例えば日本が米国やブラジルから大量に輸入している除草剤耐性大豆は、モンサント社が土壌細菌から分離したラウンドアップ耐性遺伝子を大豆遺伝子の中に組み込んだものである。この際に問題なのは、外来遺伝子の挿入場所がランダムであり、培養した細胞のほとんどが宿主大豆の遺伝子を破壊し有害な突然変異となる。その中から目的の除草剤耐性だけを持つ大豆を拾い上げる膨大な手間と時間がかかる。

これに対し、ゲノム編集は宿主細胞の標的遺伝子を特定し、その遺伝子だけを破壊し、その場所に別の遺伝子を挿入できる技術であり、効率よく遺伝子の改変ができる。

細胞中の遺伝子に変更を加えるためには、さまざまな道具がいる。まずは標的遺伝子を特定し、それを切り取ったり、そこに別の遺伝子を入れ込む「DNA分解酵素」である。そして「DNA分解酵素」を細胞内の核にある遺伝子まで運ぶ「ベクター」と呼ばれるDNAである。このベクターに「DNA分解酵素」をつくる遺伝子DNAを組み込んで細胞を感染させる。感染すると細胞のタンパク質合成能力を借りてDNA分解酵素がつくられ、細胞自身のDNAを分解し、標的の塩基配列を切り取り、あるいは別の遺伝子を挿入する。その後、細胞自身が持つDNA修復酵素によって切断面どうしが再結合・修復されてゲノム編集は終わる。

ゲノム編集の問題点

①DNA分解酵素による塩基配列の誤認が起きる、②細胞一個あたり挿入するゲノム編集酵素の量は、10万~1000万倍使い、これにより標的遺伝子は改変されるが、類似した遺伝子も破壊される、③一個の遺伝子が持つ多様な役割に未解明な部分が多い、④マーカー遺伝子によって抗生物質が効かない体になる

世界に広がる抗生物質耐性菌の脅威と遺伝子組み換え

2019年11月11日ワシントンポスト紙が、「現在アメリカ国では抗生物質耐性菌が蔓延し、年間280万人が感染症患者になり35,000人が死亡している」と報じた。

抗生物質耐性菌の増加の原因

①抗生物質多様の弊害・・・牛や豚、鶏などの家畜は抗生物質漬けとなり、その環境下で細菌は突然変異で抗生物質耐性を獲得する。

②遺伝子組み換え作物の影響・・・ゲノム編集ができた細胞とできなかった細胞を仕分けするため、発光クラゲの発光タンパク質をつくる遺伝子や、細菌の抗生物質耐性遺伝子を使うことによって、ゲノム編集が成功した細胞は暗闇で光り、あるいは培養液に高濃度の抗生物質を入れておけば成功した細胞だけが生き残ることで仕分けをしている。抗生物質耐性遺伝子を持つ農作物を食べた家畜が、体内で分解する際に腸内細菌がこの遺伝子を取り込み抗生物質耐性になる。こうした農作物や家畜物を食べれば人間の腸内細菌も抗生物質耐性になり、感染症の治療に大きな障害を生ずることになる。

また、培養液にラウンドアップを加えると10万倍のスピードで抗生物質耐性菌が発生するということも分かっている。病院や畜産現場で抗生物質使用料を減らしたとしても、世界中の遺伝子組み換え作物栽培現場で抗生物質耐性菌を生み出している可能性があるということだ。

さらに毒物を体外に排出するポンプ機能で、毒物だけではなく抗生物質も排出する結果、複数の抗生物質にも耐性を獲得する多剤耐性菌が登場し打つ手が無くなっているのである。

世界の食糧問題を解決すると称して登場した遺伝子組み換えは、今や世界の健康を脅かす道具になったのである。

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ゼン・ハニーカットさん東京講演会(2019年12月2日@憲政記念館/ 主催:デトックス・プロジェクト・ジャパン他/ 撮影:ユープラン)

2020-02-06 20:13:11 | 食・農業

ゼン・ハニーカットさん東京講演会(2019年12月2日@憲政記念館/ 主催:デトックス・プロジェクト・ジャパン他/ 撮影:ユープラン)

池田町でゼン・ハニーカットさん東京公演の録画を見て、感想を出しあいました。一昨日のオーガニック議員連盟に参加された方も4人ほどいらっしゃいました。オーガニック議連で今治市の安井さんのお話を聞いて「何から始めればいいのか」と質問された方がいましたが、私もそう感じましたが、ゼン・ハニーカットさんの講演を聞いて「あーやれることは結構あるな」と思いました。

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