こんにちは「中川ひろじ」です。

みんなのお困りごとが私のしごと

20211203 長野県議会11月定例会一般質問 新型コロナ禍の生活困窮者支援について(産業労働部関係)

2021-12-06 16:16:04 | 雇用労働・産業

(1)正規雇用への就労支援について

【中川】次に、昨年6月県議会私の一般質問で、失業者の雇用の受け皿づくりについて産業労働部長から「経済活動の本格的な回復が見られるまでの間は、雇用情勢の推移に十分注意を払うことが必要ですが、現在、人手不足分野もあることから、業種や職種によるミスマッチの解消や、訓練による人材育成の充実等により、一人でも多くの皆様を良質な雇用に結びつけられるよう支援に努める」と答弁がありました。良質な雇用、つまり正規雇用の職場への就労支援ということですが、どのような具体的な取り組みが行われ、どのような成果が得られているのか、また課題があるとすれば何か産業労働部長にお伺いします。

【産業労働部長】正規雇用の職場への就労支援の取り組みと成果・課題についてでございます。正規雇用の促進については県内14のハローワークによる職業案内に加え、県のジョブサポや正社員チャレンジ事業による求職者の実情に沿ったキャリアコンサルティングとマッチング支援を行っているところでございます。昨年8月のジョブサポ立ち上げから本年10月末までの累計で2,100件の求人開拓を行い、1,984人の求職申込みのうち722名の方が就職に至っております。このうち258名の方が正規雇用であり、失業者の雇用対策として一定の成果があったものと受け止めております。他方で業種によっては求職者の希望と求人のミスマッチが顕在化してきており、特に建設業・製造業、福祉・介護事業、農林業などの分野では人手不足の状態が長く続いております。このため、こうした分野の事業者に対しては職場環境改善アドバイザーによる労働環境改善のサポートを、求職者に対しては資格取得などのキャリア形成支援を進め、ミスマッチの解消を図っていきたいと考えております。

 

(2)「就労の壁」の課題について

【中川】これまで特例貸付の延長などが行われてきていますが、国も生活困窮者も貸付に依存する状態になっているのではないかとマイサポの担当者も心配をしていますが、いかに生活を立て直すかが根本的な解決の道です。かつての失業対策事業のように公共事業を切り出すことや、雇用促進住宅が必要なのではないかという意見をお聞きします。また、昨年度スタートした「緊急就労支援事業」は、2か月以上雇用した事業主には賃金の一部を助成している制度で、「直接雇用型」と「体験研修型」があります。マイサポの担当者からは「事業者から人手不足でハローワークに求人を出し続けているが応募がなかったが人材が確保でき、なおかつ生活困窮者を支える地域貢献ができたと感謝された」と評価の高い事業となっているようです。

以下はマイサポでの相談内容から「就労の壁」となる特徴的な課題として次のような事例があります。

〇「この仕事以外はしたことがない」という食堂や居酒屋、スナック、一人親方個人事業主と言われる皆さんの新たな就労の場をどうしていくのか。

〇低年金で働き口がない高齢者も相談に訪れています。マイサポ長野市では、およそ1年間の緊急小口資金の申請者1,250人中60代以上が25%を占めています。「年金が少ないので再々雇用で働いているが契約更新にならなかった」「80歳だが、せめて医療費分だけでもと働いていたが仕事が無くなった」と、高齢者の貧困も顕在化しています。生涯現役と言いながら、65歳を過ぎた高齢者にとって就労の壁が高い現実をどうしていくのか。

〇女性・ひとり親の方の相談は松本でも長野でも増えています。雇用形態がパート等の非正規雇用が多く、有休などもなく休業イコール減収、学校が休業の時は「預かってくれる人がなく休むしかない」「自分が感染したら子どもはどうなるのか」といった「孤立」を感じさせる方も多くいるようです。

以上のような「就労の壁」があるのが現実です。こうした課題を踏まえたうえで、

①生活困窮者の生活を立て直すための就労をどのように促進していくお考えか。

②地域の雇用を創出するために、県として仕事をつくることを考えてはどうか。

③緊急就労支援事業を拡大するためにさらに県として支援をしていくお考えはないか。

以上、産業労働部長に聞きします。

【産業労働部長】まず、生活困窮者の生活立て直すための就労の促進についてでございます。子育てや介護のために就労時間に制約のある方や必要なスキルを身につけられないなど、さまざまな事情により就労できない方々にはそれぞれの実情に合わせた就労先の開拓や生活支援が重要と考えております。県といたしましては、ジョブサポや緊急就労支援事業による丁寧なマッチング支援とともに良質な雇用に結びつけられるように、リカレント教育やリスキリングのサポートを行ってまいります。また、先に閣議決定された国の経済対策には500億円規模の労働移動支援事業が位置づけられております。当事業は就労に向けたカウンセリング・トレーニングを実施した上で、派遣期間後に派遣先企業と直接雇用を結ぶことを前提にした紹介予定派遣を活用するなど、きめ細かな伴走型の支援を行うことで早期の再就職を目指す仕組みと聞いております。こうしたコロナ禍での国の支援策も連携しながら、雇用の創出に繋げてまいりたいと考えております。

次に、県として仕事を創ることについての考えはないかとお尋ねでございます。かつてリーマンショックの時の有効求人倍率は全国が0.42、本県が0.39まで低下し、その際に実施されました緊急雇用創出基金事業は短期的な雇用効果をもたらしたものの、期間終了により再就職をしなければならないという課題もございました。現在10月の有効求人倍率は全国が1.15倍、本県が1.39倍となるなど持ち直しの傾向にあります。こうした雇用情勢も踏まえますと可能な限り求職と求人のミスマッチを解消し安定した雇用に結びつけることが望ましいと考えております。

 最後に、緊急就労支援事業を拡大支援にする考えはないかとのお尋ねでございます。当事業は昨年6月の制度開始以降累計で280件の実績がございました。マイサポの相談員のマッチング支援によってこれまで未経験だった農業や福祉分野に就労する事例や、過去のスキルを生かして再就職に至ったご高齢の方もいらっしゃいます。今後の事業の継続・拡大につきましてはコロナ禍の状況も踏まえつつ寄り添った支援が出来るよう関係機関等の皆さまと検討してまいります。以上でございます。

 

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20211203 長野県議会11月定例一般質問 新型コロナ禍の生活困窮者支援について(健康福祉部関係)

2021-12-06 16:13:41 | 長野県議会

(1)コロナ対策各支援金の状況について

【中川】コロナ禍でマイサポへの相談が増えています。マイサポ松本の相談件数は、2019年1,258件でしたが、2020年3,274件で2019年の約2.6倍となり、2021年10月までで2,502件で現在までのところ2020年を上回るペースです。

マイサポ長野市の相談件数も、2019年7,288件、2020年14,909件とおよそ2倍になっています。

相談者の内訳としては、飲食店経営者や一人親方などの個人事業主、観光ガイド・タクシー・代行・観光バス運転手、接待を伴う飲食業関係、外国籍労働者等が増えています。

マイサポ松本における主な相談内容は、家賃の支払い・ローンの支払い相談42%、雇止めによる収入減・生活の相談が33%、この二つを合わせて全体の相談件数の75%になります。

そこで、まず質問ですが総合支援資金、緊急小口資金、住居確保給付金、生活困窮者自立支援金の支給件数と支給額の状況はどうなっているのかお伺いします。

【健康福祉部長】まずコロナ対策として実施されております各支援策の支給状況でございます。本年10月までの県全体の実績を申し上げますと、まず生活福祉金特例貸付は令和2年3月から開始されており、累計で緊急小口資金が1万995件、17億2111万5千円。総合支援資金が1万3310件、65億3253万2千円でございます。次に、住居確保給付金は特例措置が令和2年4月に開始されておりますが、累計で決定件数が2236件、支給済み額が1億9854万8千円でございます。生活困窮者自立支援金は本年4月から開始されておりますが、累計で決定件数が445件、支給済み額6740万円となっております。

 

(2)休業手当受給中の生活支援について

【中川】9月議会で非正規雇用労働者に休業手当が出ないことについて指摘をさせていただきましたが、休業手当が出たとしても、所得が低い場合は生活を支える水準に達していないという課題があります。このような課題に対して、福祉的な面からはどう支援していくのか。

【健康福祉部長】次に、休業手当受給中の生活支援についてのご質問がございました。令和2年度賃金構造基本統計調査によりますと、非正規雇用労働者の平均賃金は月額約21万円でございます。1ヶ月休業した場合に支払われる休業手当は約10万円強という方が多いのではないかと思っております。世帯の状況にもよりますけども生活を維持する上で厳しい状況であるという風に考えられます。収入が減少しお困りの世帯に対する福祉側の支援といたしましては、緊急小口資金等の特例貸付を活用することなどにより復職までの間に生活を維持していただいたり、あるいは希望される場合には転職を含めて自立した生活に向けての支援を受けていただくことが可能でございます。また、一定以下の収入資産の場合には生活保護による最低限の生活費が国民の権利として保障されておりますので、ためらわずにご相談いただくよう周知を引き続き図ってまいりたいと考えております。

 

(3)制度があっても制度にたどり着けない課題について

【中川】次のような「制度があってもたどり着けない」課題についてどのような対策が必要でしょうか。

〇外国人労働者も相談に来ていますが、外国語での案内が少なく支援にたどり着くまでに時間がかかるという課題。

〇支援制度の周知については、長野県は相談窓口チラシを、民生委員を含めた各支援期間のほか、スーパー、ドラッグストア、鉄道各駅などに配布・配置するとともに、SNSを積極的に活用し、幅広い周知・情報発信に取り組まれています。それでも制度にたどり着けない方への周知方法として、学校を通じて相談窓口チラシを配布するなど、さらに工夫が必要ではないか。

〇また、特例貸付の申請書類は簡素化されていますが、それでも自力で記入できる方は少ないことや、厚生労働省のホームページから申請書類をダウンロードすることはできますし、YOUTUBEで申請書類の書き方を見ることもできます。しかし、そもそもパソコンを持っていない、スマホの電話料も支払えない状態ではアクセスさえできないという課題。

 これらは、マイサポの相談員からの問題提起です。

【健康福祉部長】それから、自力で支援制度にたどり着けない方がいらっしゃるのではないかというご質問でございます。マイサポではまず外国人の相談に対しては県多文化共生相談センターのご協力をいただきまして、電話での多言語通訳による対応を行っております。また、書類の記載がなかなか難しいという方、例えば高齢の方など含めまして相談者に寄り添いながら様式への記入方法を含めて丁寧に対応させていただいているところでございます。県民の周知についてはご質問の中にもございました通り、昨年来チラシの配布のほか県ホームページ・ツイッター等SNSの活用、知事の記者会見での情報発信などさまざまな場面で、あるいはさまざまな方法でお困りの方に支援が届くよう努めて参りましたが、相談窓口になかなか辿り着けない方もいらっしゃることを想定して、そういう方に届くように一層の周知を行っていくことが必要であると考えております。その観点から、学校を通じたチラシ配布のご提案をいただきました。確実に情報を届けるというご主旨はよく分かるところでございますが、反面世帯が生活困窮の状態にあるということは非常にセンシティブな問題でございまして、教育現場の受け止めも含めて慎重な検討が必要であると考えております。いずれにいたしましても、引き続きさまざまな工夫をしながら支援が必要な方が確実に支援に繋がるよう取り組んでまいります。

 

(4)居住支援について

【中川】次に、住宅支援についてです。住み込み派遣で仕事が無くなると同時に住まいも失うという緊急性を伴う相談は松本で2020年51件ありました。2009年のリーマンショックの時よりは少なめのようですが、住まいへの支援は食べることと同様に極めて大切です。①緊急避難的な住宅支援を行うNPOへの支援はできないか、②転居費用への支援ができないか。

【健康福祉部長】居住支援を行う団体への支援としては国の制度として住宅セーフティネット法に基づき、都道府県が指定する団体に補助する居住支援法人制度がございます。ほかにも長野県民未来ベースを活用した資金調達など民間助成金の活用が考えられることろでございます。現在、県独自の補助制度はございませんが、生活困窮者の自立に向けて生活の基盤である住居は不可欠なものでございます。居住支援を行う民間団体が活動しやすくなるようマイサポ等の支援機関との連携づくりや活用可能な情報提供などの支援を行ってまいります。

また、転居費用の支援についてのご提案でございます。収入減少世帯にとって家賃は生活を圧迫する大きな要素でございまして、家賃の低い住宅に住み替えることは生活の立て直しのための手段として有効でございます。転居費用については生活福祉資金の貸付対象となっておりますが、収入や債務保証等一定の要件もございますので、ご提案も含めて支援関係機関の意見も伺いながらさまざまな方法を検討してまいります。

 

(5)重層的支援体制整備事業について

【中川】最後に、ひきこもり対策についてもお伺いします。マイサポへの相談者のうち、これまで上位にあった「高齢者と子ども世帯」は、順位としては低くなっていますが、問題が解決しているわけではありません。今後、8050問題として顕在化してくると思われます。

 国は、ひきこもり対策を含めて重層的支援体制整備事業を行い、今年度は長野県内では飯田市が実施をしています。高齢者福祉や障がい者福祉の対象とならない相談などを受けることや、当事者の家族の相談を受けることなどが行われています。

 ここで求められている課題は大きく三つあります。一つは、支援を必要としている方への接触をどう図るのか、相談する場所があることをどう認識してもらうのか、行政の手がなかなか届かない場合、地域との関係をどう結んでいくことができるのかといった課題です。

 今後、全市町村で重層的支援体制整備を行っていくことになると思いますが、県としてどのような考えで整備していくのか。

【健康福祉部長】重層的支援体制整備事業は令和2年の社会福祉法改正により、複合的で複雑な課題を抱える住民の相談に対して市町村全体で包括的に支援する体制を構築するための事業として位置づけられたものでございます。県内では今年度飯田市が事業に着手しておりまして、専任職員を配置するとともに市役所内に福祉まるごと相談窓口を設置してさまざまな相談に対応できる体制を構築しておられます。これまでの縦割りの窓口では捉えきれなかった引きこもりの相談に対応するなど、一定の成果が出ているものと伺っております。地域住民や地域のさまざまな主体が連携して支え合う社会の実現に向けて、県といたしましては相談支援や他機関との協働を担う人材の育成・県民への周知理解の促進を図るフォーラムの開催などによりまして市町村が行う包括的な支援体制の整備の取り組みを支援してまいります。

 以上でございます。

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