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こんにちは「中川ひろじ」です。

みんなのお困りごとが私のしごと

20221214農政林務委員会(林務部)

2022-12-17 12:42:20 | 環境・森林

○中川委員 よろしくお願いします。

  最初に、これまでの森林づくり県民税の地域ごとの使い方の状況について教えてください。広く県民から集めているけれども、うちの地区にはお金が落ちてこないじゃないかとか、そういう話はあまり聞かないんですが、どんなふうに使われているか教えてください。

○柳原森林政策課長 森林税に関する地域ごとの状況という御質問でございます。

  私ども毎年事業の実施の成果を取りまとめて、それをメニューごと、かつ地域振興局別の執行額ということでお示しをさせていただいております。現在の第3期も昨年までの状況はお示しをさせていただいております。

  もともと10の広域であっても中の市町村の状況、森林の状況、違いますので、なかなか10の地域振興局が押しなべて均等の額になるというものではございません。

  第3期の状況で見ますと、市町村には森林づくり推進支援金ということで、人口ですとか森林面積に応じた定額の配分がございますので、そういったところは、全体的には、例えば市町村数が多かったり森林面積が多ければ、その地域には推進支援金分というのは少し多めに配分されているというものでございます。

  ほかの事業については、事業の公募ですとか優先順位を勘案して事業を実施してまいりました。例えば里山で防災、減災の部分については、航空測量、レーザー測量で県下全体の危険度を判別し、その中で優先順位をしっかり現地を確認し、市町村が方針をつくって実施をするというような手順を取っておりますので、そういう順位づけを基にやっている事業、あるいは公募でいけば、いろいろな木を使う、そういったものの公募で実施をしているということでありますので、結果的には地域振興局ごとのばらつきが出るものもございます。

  これについては、地域の県民会議というのがございまして、今年私、3か所ぐらい県民会議参加させていただいて意見を聞いてきました。やはり地元の皆さんからすると、こういう横並びの状況というのはかなり気になる部分もあるようで、なぜうちはこういう状況なんだという意見が出たり、じゃ、来年こういう事業を少し事業費を持ってくるためにはどうすればいいんだというような御意見も活発に出ていました。

  地域会議はその森林税を財源として、事業実施の評価だけでなくて、その財源を使ってどう地域の森林のいろいろな事業につなげていくかというところでも、非常に活発な意見が出されていましたので、地域振興局に対する非常に大きな動機づけになっているのかなというふうに思っています。

○中川委員 ありがとうございました。

  9月定例議会でこの森林税の使い方について質問したところ、メールが会派のほうに来ました。一つは、これは直接二重課税じゃないかという話があって、上田に住んでいて、青木村に別荘があるので家屋敷課税がそっちでもかかって、上田市でもと、両方で森林税を取られているということと、それから、森林環境税が始まるので、今の物価高の中で負担感が非常に強いと、というお手紙をもらいました。

  聞くところによると、知事の青木村でのときにもお手紙で出したということを聞いていましたので、その経過、多分これ税務課のあれだとは思いますけれども、一応林務で聞いておかなければいけないかと思いますので、よろしくお願いします。

○柳原森林政策課長 森林税の徴収の関係の御質問でございます。

  今回条例でお願いしています森林税につきましては、県民税の均等割の超過課税方式ということで、個人の方には年500円、法人の方には均等割額5%ということでお願いしています。個人の方に関しては、いわゆる市町村の住民税の均等割に超過課税という形で課税をさせていただいています。

  この制度で、先ほど来、二重課税というお話がありましたけれども、その住民税の均等割というのは、その市町村に住所を有している方と、住所を有していない市町村に例えば家屋敷を持っておられる方についても、この住民税均等割というものが徴税をされております。

  これは、いわゆる家屋敷をお持ちの方も、例えば道路とか防犯とか消防とか、いろいろな行政サービス、社会的費用がかかりますので、そういったものを負担していただくという観点で御負担をいただいているものでございまして、昔からそこがもう同じ県の税金であって、その県内に住所地以外のところに家屋敷を持っている場合に、その均等割がかかるということは二重課税ではないかということで訴訟になった例もございます。

  ただ、判決としては、やはり住所以外に家屋敷を持っておられる方は、余計多くの行政サービスを受けているという点と、個人の均等割自体が低額なので、租税負担の均等にも配慮されている、あるいは賦課徴税事務の簡素化、確実な徴税という観点で、そういうことは有用ですよという判例で出ております。

  押しなべて今回森林税に関しては、これまで3期15年やってまいりましたが、当初からこの住民税均等割、超過課税方式で実施をしておりまして、これは先ほど来の社会的費用の部分とかぶりますが、森林においてもその住所地以外のところに家屋敷をお持ちの方については、例えば水源涵養ですとか県道の保全ですとか、例えば保険機能、そういった森林の広域的機能の恵みを受けていただいているという観点でこういう徴税方式を行っているというものでございます。

  この制度当初の段階ではいろいろな税目を検討した経過がございます。例えば自動車税に課税するという形ですとか、あるいは法定外の目的税でやる場合と、いろいろな議論がされました。ただ、やはり徴税コストですとか初期費用という観点で、これが一番ベストだということで制度を今実施してきた経過がございまして、長野県を含むこういった森林税として超過課税で税を徴収しています37の府県に関しては、全く皆さん同じ手法でやっているというものでございます。

○中川委員 それと、環境譲与税の関係。

○柳原森林政策課長 失礼いたしました。

  森林環境譲与税、今市町村に対して譲与されているのは森林環境譲与税で、令和6年から森林環境税ということで国民の皆さんに徴収が始まります。これは1,000円徴収が始まりますが、これは今の地方税法の枠組みではなくて、新たに国税として森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律というのができていますので、住所地にあるところの方にお一人1,000円という形で徴税が開始されますので、これはこの森林税のような家屋敷云々ということではなくて、住所地のところに1,000円課されるというものでございます。

  負担感云々というお話もございました。確かに今回森林税を継続をお願いするに当たって、いろいろな説明会の中でも、我々森林環境譲与税で使う部分と森林税で使う部分、しっかりと市町村とすみ分け、役割分担をしっかり決めて実施をしていくということで御説明をさせていただいていますが、なかなかやはり森林自体手つかずで、どちらかというと少しやはり手を入れない森林たくさんございますので、そういった財源として森林税であり、森林環境税を原資とする森林環境税をしっかり使っていかなければいけない時代を迎えていますので、そういった財源でしっかりと整備をしていきたいというふうに思っております。

○中川委員 ごめんなさい、ちょっと違うな。

  今、防衛費の増の問題で、復興税の所得への課税のことについて議論がされていますけれども、環境譲与税は、復興税の均等割課税がこれで令和6年からなくなるので、それに代わって環境譲与税を入れるというふうに私は説明を聞いていますが、いかがですか。

○柳原森林政策課長 もともとの復興税については、いろいろ所得割に復興税の税率を掛けて徴収している部分もございますが、今地方税として県と市町村に対して500円ずつ実施をしているものは、時限的に令和5年まで500円ずつ徴収しています。

  それが終了し、令和6年から森林環境税という形で税が開始になりますので、御負担いただく分については必ずしもそこは根拠法が違いますので、全くオーバーラップはしませんけれども、その個人の方が復興税として1,000円負担していたものが終了し、森林環境税としての1,000円が始まるという説明をしてきていると思います。

○中川委員 そうした説明も必要かなというふうに思います。

  さて、次はもう少し踏み込んだ質問をしますが、県民の皆さんから再造林に当たって様々な環境への配慮などについて質問があって、今日の説明の中でもガイドラインをつくるという話がありました。このガイドラインの、具体的にこういうことを課題としてガイドラインをつくっていくというようなところについて、もう少し説明をください。

○千代信州の木活用課長 今検討を進めております主伐・再造林のガイドラインについての御質問でございます。

  どのような課題の下にということなんでありますけれども、まず再造林をしっかりするには、その場所なり、その前の主伐、伐採の行為が適切に行われているかどうかということが非常に重要でありまして、その上で適切な再造林ということになるわけですけれども、問題意識としましては、間伐ではなくて一面、一団の森林が伐採してなくなりますので、法律上しっかり定められている手続とか施業の制限というものがありますので、こういったものを遵守しているかどうかというふうなところが一つ重要になってまいります。

  それから、その上で、景観ですとか防災上の観点も踏まえながら、林地が適切に保たれているか、荒れるような形の作業になっていないかというふうなことで、そういった意味で現地に適した作業をいかに行うかということが重要になってくるわけであります。

  さらには、伐採のときに発生した枝葉とか、搬出して売れないもの、こういったものが適切に谷とか谷筋とかそういったところに堆積していないか、しっかり整理されているかというようなことも重要であります。

  こういったところをしっかり分かりやすくまとめて、事業をする皆さんにガイドラインとして示したいというふうに考えております。

  具体的には、事業体の皆さん、切る皆さんが配慮すべき項目、事項等を一つ一つしっかりチェックして評価できるというふうな内容のものを作成してまいりたいというふうに考えているところでございます。

  以上です。

○中川委員 ぜひ、皆伐ということで防災上の面で心配する県民の声がたくさんありますので、そこが、いろいろな施業の仕方があるので、そこをしっかりガイドラインの中で示すことが必要だというふうに思いますし、もう一個は、皆伐してそこに太陽光パネルがつくられたら困るなみたいな話もあるので、ぜひこれは林地開発許可申請、今森林法の改正などについても議論がされていますので、適正に行われるようにお願いしたいというふうに思います。

  それから、もう一つは、次に、松枯れ対策協議会で行ってきた皆伐の天然更新というのをやってきていて、私の地元でもその事業を使ってやってきたんですが、天然更新なものですから、なかなか集中豪雨とか来ると山が荒れてしまうんです、どうしても。だから、私はここもやはりこの森林税を使っての再造林の対象にしたらどうかなと思うんですが、そのお考えはどうでしょうか。

○中島森林づくり推進課長 松枯れ地の皆伐、天然更新時の再造林の補助の適用についての問いでございますが、通常松枯れ対策で、いわゆる森林税ではなくて国庫補助事業で自主転換を行っているところにつきましては、皆伐施業と同じになりまして、皆伐、あとはその後の植栽まで補助金で手当てをさせていただいているといった事業がございますけれども、委員おっしゃっているのは、それ以外に被害地を皆伐して天然更新に委ねるというところのことだと思いますけれども、こういった場合につきましても、今御審議いただいている次期森林税において、10分の10の再造林の対象になる場合があると思います。

  全てが対象になるかどうかはちょっとそれぞれの状況によるかと思いますので、そこのところはしっかりと現地機関等と御相談いただいて、対象になるかどうかの確認をしていただければと思います。

○中川委員 よろしくお願いします。

  次に、これは前回も質問しましたけれども、防災・減災の間伐に必要な1,500ヘクタールというのが、数字上の話ではなくて具体的な林地、こういうところがやはりやらなければいけないんだよというのを示さないと、数字だけの話ではなかなか県民は納得できないという質問をしましたが、その点についてもう一度お聞かせください。

○中島森林づくり推進課長 9月定例会のときにも委員から同様の御質問をいただきまして、1,500ヘクタールの数字的な根拠について説明させていただいたわけでございますけれども、そういった部分につきまして、今後GISデータ化等を今準備を進めておりまして、実績と今後対象とする予定地といったものをホームページ上で公表する準備を今進めているところでございます。

  いずれにしましても、この1,500ヘクタールを含みます4,300というもともとの数字につきましては、前回の繰り返しになりますけれども、リモート技術でまず対象箇所を抽出し、そこについては、必要な箇所について市町村と地域振興局で現地調査をしております。

  それを受けて、今度は市町村が里山整備方針というものを策定しております。これは全市町村策定しておりますけれども、これがみんなで支える里山整備事業、この防災・減災の間伐を進めるための事業でございますけれども、そこで設定しておりますこの里山整備方針、これが、これを設けた、方針を立てた森林について森林税を当てるという決まりになっておりますので、そこのところでその中から優先順位をつけた場所について、そこの4,300ないし1,500ヘクタールといった数値が出ているものでございます。

  いずれにしましても、今年度中にはホームページ上で地図データのような形で表示させていただきたいというふうに考えております。

○中川委員 現在では明確になっていないけれども、今年度中には県民の目に見えるようにするというふうに理解をしました。

  時間がありませんので、私、税金を入れていくためには、森林の公益性、公共性というのを高めていく必要があるというふうに思うんです。

  昭和30年代の木材は、調べてもらったので、私のほうで言ってしまいますけれども、杉でいえば1立米3万6,000円くらいで取引されていたのが、今1万円でしか取引されていない。当時のお金で取引されていれば、それは子供を学校に出すというのはできた。結局そういうことができていない理由は、やはりそれは外国産材を輸入しているからだというふうに思うんです。

  本来的には木材を売ったお金で川上から川下まで回るということが理想で、これはもう佐々木先生からも言われていましたけれども、資本投下した人件費だとか機械などの生産手段に係る費用だとか、あるいは今回の再造林する費用だとかが回収できていない現実ということが問題なわけです。

  本来なら投下資本を回収することができる木材価格にして、輸入材には相当の関税をかけるべきだというふうに私なんかは思うんですけれども、しかし、WTOだったかTPPでそれができない。なので、国の政策として路網整備や機械導入などに税金を投入してきているわけです。

  森林の公益的機能だとか、例えば二酸化炭素の吸収源だとか湛水能力による防災・減災などに、そういう意味で言えば着目して、環境譲与税とか我々のこの県民税だとか、こういったものが税金に投入をしていく理由にしてきているわけです。ですので、森林整備というのは、よりやはり公益性だとか公共性を高めていく必要があるんじゃないかなということを強く思うんです。

  先ほど来、熊本や鹿児島の視察をしてきたというお話が出ていますけれども、熊本の製材の皆さんは、最初は協同組合でみんな集約して大きい協同組合をつくって、それが製材会社に今なっていて、私のほうから常務理事の方に質問をしました。長野県で需要がちゃんとないと木を出すというのも大変じゃないですかというふうに質問をしたら、逆に、安定的な供給があってこそ安定的な需要があるんだというふうに言われて、ちょっと目からうろこ的なことがありました。

  そういう意味で言うと、将来的には、森林組合は広域化してきていますし、販売も木材センターが協同組合化されています。製材も、それは長野県の特性はあるんだけれども、税金を投入する以上は、一定の公益性、公共性を持つという意味で言えば、集約化ということも念頭に、頭に置いていかなければいけない時代になっているんじゃないかなと思います。その点が一点、お聞かせください。

○栩秋県産材利用推進室長 まず、ちょっと一点御訂正ちょっとお願いしたいと思います。

  今の木材価格の変遷ということでございますけれども、昭和30年代、県の統計が始まったのが昭和45年からということでございまして、昭和30年代は全国の国の統計のほうを参考にいたしますと、全国平均では1万円から2万円台ということで、まだ市場が安定していなかった中でこういった推移をしておりました。その後、40年代に入って2万円台から3万円台に上昇し、委員の御指摘のありました3万6,460円というのが昭和55年にピークを迎えるという形になっております。その後、下落傾向に転じているというような状況がございまして、まず一点、そのことについてでございます。

  その上で、県内の製材工場の集約化等というふうな御提案ございました。確かに製材工場が支援を受けて製材施設等の近代化等を図るという意味では、県産材の利用の担い手としての責務というのが当然発生しているというふうに考えておりますので、当然我々として施設整備をした製材工場等においては、そういった意識を高めて取り組んでいただきたいということを考えております。

  その上で、製材工場間の連携の体制づくりということでは、先ほど池田委員の御質問にも部長からもお答えしましたように、私どもとしては、まずは既存の製材工場、既に900社あったものが100社に減っているという現状の中で、いかにこの100社をしっかりと生かしていくかという観点で、水平の連携であるとか垂直の連携といった形での体制づくりというのをまずしっかりとつくっていきたいというふうに考えておりまして、この中で、今ありましたような需要をしっかり確保する中で、山元の生産体制というのも強化しながら、安定した供給ということに結びつけていきたいというふうに考えております。

  以上でございます。

○中川委員 最後にですが、これも9月議会の中で部長に質問しましたけれども、議会棟の前に県有林の木がある。200年後の県財政を展望して県有林がつくられてきたというお話をして、それに対して部長から、ゼロカーボンや生物の多様性の保持など、公益的機能も加わっているという認識が示されました。

  本当に極端なことを言えば、山を持っていても儲からないという状況があるので、いっそのこと国が買い取って、3桁国道や国定公園のように県が管理するというような、まさに公共というものにしたほうが税金は使いやすいのかなというようなことも考えないわけでもありません。

  改めて部長のほうから、県民の皆様から貴重な税金をいただいて山を整備していくその意義について御所見をお聞かせいただいて、私の質問を終わります。

○吉沢林務部長 ただいま公益的な観点からの税を活用させていただいた森林づくりについての意義等について御質問いただきました。

  9月の委員会のときにも委員から御指摘、御質問いただきまして、県有林の機能、関係ですけれども、その際に、今お話のありました公益的機能の維持、かつては県道保全であったり、あるいは水源涵養であったり、そこに加わって、近年では二酸化炭素吸収であったり生物多様性といったお話もさせていただきました。

  そうしたことから、今回森林づくり県民税に関する条例の改正案を提出させていただいており、また、委員からお話のありました基本方針の中でも、ただいま申し上げた長期的にそういった望ましい姿を実現するために、今私どもが県民の皆様から御協力をいただいて取り組まなければいけない取組、今お話のあった再造林であるとか、あるいは防災・減災のための里山の整備、あるいはそういったものを支えるための林業人材の確保、育成、それから、木や緑により多くの県民の皆さんが親しむことができる里山づくりといった、そういった大切な取組に活用させていただきたい旨を、これまで基本方針案の説明で県民説明会等で皆様にも説明をさせていただいてまいりました。

  御指摘の財産所有の在り方等につきましては課題として受け止めをさせていただきたいと思いますけれども、私ども公益的な機能を持つ森林を守り育て、また、そうした観点から貴重な税金を活用させていただいて森林整備を進めさせていただく、こういった重要性を県民の皆様と改めて共有をし、御理解をいただくことが非常に大事だと考えていますし、そういった観点から、税を活用させていただくことになった場合のそういった効果をより県民の皆さんに実感をしていただいて、そうした県民の皆様の期待に応えるような取組をしっかりと進めさせていただくことが大事だと考えておりますので、そうした観点で今回提案させていただいております。

  以上でございます。

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20221213農政林務委員会(農政部)

2022-12-17 12:38:04 | 食・農業

○中川委員 おはようございます。よろしくお願いします。

  まず、農業試験場などで、圃場や動植物の管理を行ってきた特別業託職員が退職をして、詳細な圃場や動植物の特性の維持管理が難しくなっているようです。結果として、試験研究業務の継続性や研究水準の維持が難しくなるのではないかと思われます。圃場や家畜等の管理を行う職員は的確な管理技術と再現性が要求されるので、技術の伝承という観点からも、今のままでは非常に困難かなという意見が現場から届いていますが、農政部としての認識をお伺いします。

○塩川農業政策課長 委員の御意見といたしましては、試験場等の圃場管理等の問題でございますが、現在は試験場等の圃場管理ですとか家畜飼育の業務につきましては、会計年度任用職員ということで任用を行っております。会計年度任用職員というのは5年を1期間として任用するということもございまして、5年間では短いんではないかとか、あるいはやっぱり試験場のほうで技術だとか資格がないと、大型の機械を扱う免許が必要だったりということで、なかなか安定的に確保することが難しいだろうというような課題は十分にお聞きしておりまして、農政部のほうでも共有をしているところでございます。

  人材の安定的な確保、技術の知識の継承などの課題というのは十分に認識しているところでございますので、今後も試験場のほうの実態をよくお聞きした上で、人事課とも相談しながら最善の対応を考えていきたいと考えております。

○中川委員 この件は、会計年度任用職員の問題、一般質問でも触れましたけれども、ぜひ継続、技術がしっかり継承されるように、農政部としても努力してほしいと思います。

  次に、畜産農家への支援の強化についてお伺いします。

  最近、私の地元で、70頭ほど飼っていた酪農家です。60年以上やってきた農家が、9月でしたけれども、廃業しました。私の住む地区内でも、かつては20頭以下の小規模な畜産農家がかなりありましたけれども、これで1件もなくなりました。

  県内の畜産農家の推移と、肉用牛、乳用牛、豚、鶏の飼育家畜数の推移がどうなっているのか、それからまた輸入粗飼料の支援が今回出ていますけれども、輸入粗飼料のこの間の価格の推移や牛1頭当たりの粗飼料の平均的な使用量、年間の粗飼料の価格高騰による1頭当たりの経費の増加分、そして今回の酪農粗飼料価格高騰緊急対策事業補助金及び国の国産粗飼料利用拡大緊急酪農対策事業により、牛1頭当たり合わせて1万5,000円ということになるのかなと思いますが、一応確認の意味で教えてください。

  それから、酪農家にとっては、子牛の雄というのが生まれたときには、それを売って一定の副収入となるわけですけれども、この値段もかなり落ちてきていて、経営が厳しくなってきている面があるとお聞きしました。子牛の雄の引き取り価格の推移と、それから廃用牛の価格も値段が下がってきているというふうにお聞きしました。この取引価格の推移について教えてください。

○吉田園芸畜産課長 畜産関係の質問を幾つかいただきました。

  私のほうからは、餌関係以外のところをお答えさせていただいて、餌関係のところは対策室長に答えていただくようにします。

  まず、畜産農家数の推移でございますけれども、最新の令和4年度11月時点で、現在畜産農家は687件でございます。これは、前年対比で94%ということで、減少傾向にございます。これは農家数も減少していて、畜産に限らずというところでございます。

  それから、飼養頭数でございますけれども、乳用牛が1万4,400、肉用牛が2万900、それから豚が5万6,000、それから採卵鶏の鶏が54万5,000羽、肉用ブロイラーが67万、都合、長野県全部の家畜数は130万頭羽ということにございます。

  これらの畜種ごとの推移でございますけれども、酪農、いわゆる乳用牛と肉用牛のところは大体100から102%で横ばいで推移をしてございますが、豚とそのほかの鶏関係は減少傾向にあるということでございます。

  それから、ぬれ子、ホルスタインが子供を産んで生まれる子牛でございますけれども、大変この価格が取引上、低価格になってございます。前年対比で22%ですから、通常平均で1頭当たり10万で売られたものが、今現在2万1,000円ということで、ちょっと大変今までにない、かつてない下落ということでございます。

  もう一つ、廃用牛ということで、乳を搾って能力が低くなったものは廃用牛ということで、屠畜とかに回していくわけでございますけれども、その取引価格が、通常で言いますと大体1等当たり16万くらいのところが、今現在1頭当たり13万ぐらいで取引をされていて、18%のダウンということで、餌も高くなってございますけれども、そういった意味で酪農の収益の部分も苦しいところがかいま見られるという状況でございます。

○青沼家畜防疫対策室長 それでは、私のほうからは酪農の飼料関係についてお答えをいたします。

  国の事業でございますが、国産資料の利用の増加などを要件にいたしまして、26か月齢以上の牛について1万円を交付するといった事業になっておりまして、県の事業のほうにつきましては、その国の事業にプラス6,000円、それからそれ以外の牛についても県独自で支援を行うということで今回お願いしているところです。このため、国及び県の今回の支援につきましては、牛1頭当たり、26か月齢以上の経産牛については1万6,000円、それからそれ以外の牛につきましては8,500円といった形の助成になります。

  それから、輸入飼料の関係なんですが、輸入粗飼料につきましては令和3年1月から上昇を続けてございます。令和4年9月現在ですが、1トン当たり6万5,400円となっているところでございまして、前年の同月比ですが157%ということで、実にこの4月以来、ずっと過去最高を更新しているといった状況でございます。

  それから、粗飼料の平均の使用量でございますが、搾乳牛につきましては、これは農家の皆様によっていろいろ違うんですが、大体20キロから30キロを給与というのが通常でございます。今回の価格高騰によりまして、1頭当たりの粗飼料の増加分につきましては、経産牛で約3万2,000円ぐらい、それからそれ以外の育成牛中心ですが、1万7,000円の増加となっているところでございます。

○中川委員 まずお聞きしたいのは、子牛の引取り価格や廃用牛の引取り価格がここまで下がっている原因について、どんなふうに分析されていますか。

○吉田園芸畜産課長 まず、子牛の価格が下落している原因というのは、今のこのぬれ子を売ることによって、それを育てて肉にしていく方たち、肥育なんですけれども、その方たちが、いわゆる和牛の、より売れる方向のものに今傾注をしているところでございます。御案内のとおりインバウンドの少なくなっている中で、牛肉の消費が大変鈍っているということで、その影響がこの子牛価格に来ているということでございます。なので、インバウンドなり観光業界なり、そういったところの回復が見られなければちょっと厳しいというふうに思います。

  廃用牛も同じ原理でございまして、通常ミンチにされて肉として販売されていくものでございますけれども、その価格のところが今、低価格、下落しているということでこの価格になってきていますので、ちょっと経済循環がよくならないと回復が難しいのかなというふうに分析してございます。

○中川委員 それから、粗飼料の価格高騰についての今後についてどんなふうに考えているか。要は、この円安が止まらないとどうにもならないという状況だと思うんですよね。だから、さっきの子牛の引取り価格だとかそういうのもそうだし、この粗飼料の高値でずっと推移していくということもそうなんですが、なかなかこれは本当に厳しい状況が続くなと思うんですが、そこら辺について認識を教えてください。

○青沼家畜防疫対策室長 粗飼料の今後の見通しでございます。

  若干昨日もお答えさせてもらった部分もございますけれども、海上運賃については若干下がってはきております。ですが、やはり為替相場、それから中東諸国、それから中国の買い付けの増加などによりまして、この先も粗飼料の価格高騰が続くという認識では私どもも思っております。

  やはり、昨日サプライチェーンの話も若干いたしましたけれども、県内生産、それから一番飼料を作りやすい北海道や東北、こういったところからの購入、それから国外からの輸入については一定のセーフティーネットを持って確保していくといった、まさしく安全保障的な部分につきましては取り組んでいかなきゃいけないと考えておりますし、県内の飼料増産、これは水田を使った飼料増産が非常に増えておりますが、今現在1,000ヘクタールを超えていますんで、まだここら辺につきましても啓発いたしまして、酪農家の使う粗飼料について確保してまいりたいと考えてございます。

○中川委員 もう少し質問を続けたいと思いますが、中信地区で調べましたら、4件の酪農家が廃業、あるいは廃業を考えているというふうに聞きました。

  それで、愛知県では、もともと食品残渣などを使って牛を飼っていたものを輸入飼料に変えた、その影響が非常に、長野県のように粗飼料を作るという状況がないので、非常に厳しくなっていて、30件が廃業しているという話を聞いています。長野県全体ではどんな状況ですか。

○吉田園芸畜産課長 畜産農家の廃業といいますか、リタイヤですけれども、私どもが持っているデータというのが、家畜保健所で調べている畜産農家台帳というものがございまして、お辞めになって家畜を飼わなくなった場合に報告が来る、そんなものになってございます。

  その中で、長野県全体で1年ごとにその畜産農家数がどの程度減ったかというのを直近3年くらいで見てみますと、年間で約33件の方がリタイヤされていると。この主な要因は、大体四つございます。一番最大のものが高齢化でございます。それから、二つ目がいわゆる経営主の病気であったり、家族労働力が病気や介護で足りなくなった場合、それが二つ目です。それから、三つ目は後継者がいなくて継承できない、それから四つ目が資金繰りが難しくなってきているという、そんな理由がございます。

  そんな中で、今愛知県のお話もありましたけれども、ここのところ餌が高騰してきて、先ほど言った資金繰りが困難になってきている農家が見られるというふうに家畜保健所のほうからも相談があるという状況でございます。

○中川委員 実は、冒頭申し上げました地元の畜産農家は、辞めることができた農家なんですよね、変な言い方ですけれども。つまり、えらい借金もなくて、辞めることができた農家という側面があるんです。

  松本で大規模にやっている農家のお話をちょっと紹介しますけれども、160頭飼育している酪農家さんに聞いてきました。自分で45町歩の粗飼料を作っているんですが、これで全体の大体6割、4割は購入しているそうです。それで、購入粗飼料の価格の高騰で、実際に自分の月の手取りが二、三万まで落ち込んでいて、今までの蓄えを食い潰しているというのが現実だそうです。乳価が10円引き上げられましたけれども、実はこれも昨日お話ありましたけれども、牛乳や乳製品がだぶついているので、上がっているとはいえ、収入の回復に結びついていないという現実があるそうです。このままではさらに廃業する農家が増えるんではないかというふうに言われていて、これはさっきの現状、粗飼料の価格のところや子牛などや廃用牛の取引のことを聞いても、かなり厳しいですよね、これね、正直言って。

  廃用牛、さっき13万という話が出ましたけれども、聞くところによると、3,000円でしか引取りがなかったとか、要らないとか、取引そのものが止まっちゃっているという話も中にはあるそうです。そうなってくると、副収入もない、餌代だけは高くなっていく、そういう状況になっているという大変厳しい現実だというのは、私は話を聞いていて思ったわけです。

  そういう中で出てきているのは、国が廃用牛に15万円を出す事業を3月から考えているというふうに聞きましたけれども、これがちょっとよく分からないんで、もし御存じなら教えてください。

○吉田園芸畜産課長 国の新しい経済対策の中で出された酪農経営改善緊急対策事業というもので、予算額で50億円のものでございます。この事業の目的は、乳価を上げることによって、乳製品、牛乳ですとかヨーグルトですとかそういったものの販売量が鈍ってくるのではないかなという予測の下、生乳と使うほうのギャップを薄めるために出た事業でございます。

  それは、すなわち生乳の生産量を絞っていくと。いわゆる生産調整でございます。国のほうは、いわゆる国の三大乳業メーカーとも相談しながら、年間大体今現在ですと762万トンくらい全国で生産されているんですけれども、それを5%程度、約35万トンの生乳の生産を減少させようと。そのためには、先ほど出ている廃用牛、いわゆる能力がだんだんどうしても下がってくるので、そういったものをちょっと早期にリタイヤさせた場合について、1頭15万の奨励金を酪農家に交付するといった、そういった事業でございます。

○中川委員 この後の質問とも関連するんですが、国は畜産クラスターなどをやりながら応援をしてきた。だけれども、せっかく育ててきた牛をそうやって廃用にしなければいけないという、何とも切ない状況があるなと私は思うんですね。

  そこでお聞きしますが、畜産クラスター関連事業は、これまで長野県でどのくらいの農家が利用してきたのか教えてください。

○吉田園芸畜産課長 畜産クラスター事業は、地域を挙げて畜産農家を守る協議会をつくって、その協議会でオーケーになった計画の中で、機械であったり牛舎であったり、そのハード施設を支援するという事業でございます。

  実は、平成27年から創設をされまして、これまで昨年の令和3年度までに長野県では504件の農家が活用していただいて、事業費で約59億、補助金でいいますと約27億の事業が活用されて、この数というのは全国的に見ても、内地の中では大変高い数字かなというふうに分析してございます。

○中川委員 そこで要望です。

  一つは、畜産クラスター関連事業の返済ですね、これをぜひ猶予する制度を国に要望してほしいです。これをやってほしい。ちょっとね、本当にもたないですよ、このままいくと。それから、もう一つは、学校給食用の牛乳が全体の生乳の10%程度を占めているわけです。これは4月の契約だもんですから、乳価の改定価格が反映されていません。これまで県が学校給食費の値上がり分について補助をしている、そういう制度をやってきて補正予算を組んでいるわけですから、学校給食用の牛乳の契約価格と乳価との価格差を補助する制度を農政部からちゃんと要請をしてほしいと思いますが、いかがですか。

○吉田園芸畜産課長 私のほうから返済の関係は答えさせていただいて、学乳のところはマーケ室ということでお願いしたいと思います。

  クラスター事業のうち、いわゆる自己負担分がどのようになっているかというと、委員御指摘のとおり、政策金融公庫でスーパーL資金というものがございます。そこの融資制度をお使いになる方がもう9割ほどということでございます。そういった方たちの返済は、当然据置きがあって、機械であれば七、八年、ハードの牛舎であれば三十何年というような、そういった返済期間になってくると思いますけれども、それについて、まさに今畜産の経営が芳しくないということで、実は国のほうが、まずコロナで需給が鈍ったときに、金融機関に対してその返済期間の猶予をしてくださいという通知が発出されてございます。ここのところ、令和4年になって価格高騰ということもありまして、都合2回そういう返済の緩和をしてくださいという通知が出てございます。

  実際、スーパーL資金の管轄の政府金融公庫にお聞きしましたところ、そういう制度はもうよく知っているんですけれども、実は相談が今のところ1件しかないという状況でございます。ちょっと我々もクラスターで活用している農家にこういった制度があるということは、よりもう少し周知しなきゃいけないかなというふうに思ってございますし、国に対してもそうなんですけれども、この返済を猶予するというのは、年数を伸ばしたり、あとは据置き期間を伸ばしたりということになろうかと思いますけれども、そういった現状をもう少しちょっとお聞きしながら、場合によって、必要であれば本当に国のほうに要請をしていきたいなというふうに思います。

○村山農産物マーケティング室長 私からは、学校給食関係の御質問についてお答えしたいと思います。

  委員お話しのとおり、学校給食の牛乳につきましては、学校給食法の施行規則等で毎日提供するということとされておりまして、いわゆる牛乳の安定的な消費拡大に重要な位置づけということで認識しているところでございます。

  現在、学校給食のいわゆる契約価格、いわゆる保護者負担については、毎年国の対策要綱等に基づいて、現在、私ども県のマーケ室で入札によって決定しているというところでございます。これにつきましては、委員お話しのとおり、毎年の契約ということで、年度当初の4月1日から1年間の契約ということでございまして、今回のように期中で改定されたものへの対応については、できないということではございませんけれども、いわゆる当初の契約単価に基づいて全ての学校給食現場で年間の献立ないしを立てているということで、中途での見直しが非常に困難ということもございましたし、あと、全ての学校の合意を得なければいけないということで、今回の乳価の価格改定に合わせた期中の見直しということはできていなかったということになります。

  ただ、毎年の乳価の決定においては、現状の生産費、生産コスト等を反映したものとして設定をしていきますので、令和5年については現状の状況を把握した契約価格ということで進めていく方向でございまして、これについては学校給食現場の担当になります市町村に対しても、来年における学乳の値上げという部分については、教育委員会と連携して早くからアナウンスをして対応するようにお願いしてきたところでございます。

  そのような中、委員からお話のございました学校給食用の牛乳の契約価格と乳価の価格を補填する制度ということでございますけれども、これも委員のほうからお話ございましたけれども、現状、学乳に限らず食材全て値上がりしているというような状況もございまして、学校給食を負担する国の制度として臨時交付金がございまして、これについては今、これも委員のお話ございました県の教育委員会のほうで補正で対応してきたところでございまして、本年度についてはこの交付金が活用できるということで、これも市町村に対して教育委員会と連携してアナウンスしてきたところでございます。

  実際、今後、国への要望については、今の制度上、いろいろなそごがある部分があったりとかそういった部分、必要に応じて必要なことを、国に対しては、教育委員会とも連携を密にして、要望等も検討していければということで考えております。

○中川委員 時間ですので最後にしますが、今の話はやっぱり県として独自にやるべきですよ、これ。農政部長、いかがですか。

○小林農政部長 学校給食における牛乳の取扱いに対して、農政部としてどう取り組んでいくかということでお尋ねがございました。

  確かに学乳については、乳製品の中でも消費量という部分のところを考えれば、学校での消費というのは非常に大きなものだというふうに認識をしております。生産を振興している農政部としましては、生産者の経営がより一層安定していくということを考えれば、消費側の対応も考えていく必要があるんではないかということも考えているところでございますので、今後、教育委員会等ともお話合いをしながら、どういった対応ができるのかということについて検討させていただきたいと思います。

○中川委員 よろしくお願いします。

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