【中川】国は2022年2月から9月まで、保育士・幼稚園教諭、放課後児童支援員、社会的擁護従事者、福祉・介護職員等の処遇改善事業として、月額9000円の賃金引き上げの補助金を出すこととしました。
私は、女性が働き続けられる条件という観点から保育士の確保と処遇改善について質問をいたします。
国はもとより長野県においても女性の活躍を推進しています。女性が働き続けるためには、結婚、出産、子育てなど多くののハードルがあります。一方生涯働き続けることで、老後の年金を得ることができます。厚生年金の受給額平均は、男性の平均が16万6863円に対して女性は10万2708円です。女性受給者の45%が5~10万円です。女性の場合は会社員として厚生年金に加入していた期間が男性より少ないことの結果です。
女性の貧困の原因は、非正規雇用割合が男性に比較して高いことや、年齢に応じて賃金が上がりにくいことだと言われています。学校を卒業して正規の雇用についても、結婚、出産を機に非正規雇用となるケースが依然として多いわけです。
女性が働き続けることができるように保育所が利用されるわけですが、産休明け、育休明けで保育所に子どもを入れようと思っても、希望する保育所の定員がいっぱいで入れないことや、兄弟が別々の保育所への通所を余儀なくされるなどの現状があります。結果として、育休を早めに切り上げ4月から保育所に出すご家庭もあります。
ある民間保育所では、産休明け、育休明けの月を予定として受け付け、年間を通じて保育の受け入れをしています。これだとお母さんは安心して産休、育休がとれます。この態勢を維持するために保育所では、受け入れる人数に応じて保育士を確保する必要があります。
こうした例を紹介するまでもなく、保育士の不足は顕著です。国は消費税引き上げにより確保した0.7兆円で3歳児の職員配置基準をそれまでの20:1から15:1にした保育所に加算措置をしました。しかし、保育士の人員不足を理由として半数以上の保育所が20:1のままとなっています。加えて、0.3兆円の追加の恒久財源を確保して1歳児6:1から5:1へ、4歳児・5歳児30:1から25:1へ改善するとしてきましたが、依然として財源が確保されず実施されていません。加算措置ではなく、そもそもの最低配置基準の見直しをすべきです。
こうした保育士不足の現状を踏まえて5点質問をいたします。
保育士の処遇の改善は依然として進んでいないと思いますが県としての認識をあらためてお伺いします。
【子ども若者局長】保育士の賃金水準につきましては、処遇改善等加算の創設などにより、近年徐々に上昇してきており、賃金構造基本統計調査によりますと、保育士の年収は令和元年に364万円であったものが、令和3年には383万円となっております。
しかしながら、平均賃金を全産業と比べた場合、これは平均年齢や勤続年数が異なるため、単純には比較はできないと考えてはおりますが、月収換算で約9万円低い状況でございます。
本年2月から実施されております3%程度、月額9000円の処遇改善措置を加味しましても、依然として低い状況にあります。
地域の保育ニーズに応える観点、職員がやりがいを持って働き続けられるようにするという観点からは、さらなる処遇改善が必要であると認識をしております。
【中川】保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業の県内の私立・公立別に申請状況はどうであったのか。また、申請がされなかった理由をどのようにとらえていますか。
【子ども若者局長】保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業につきましては、県内では672施設のうち563施設において申請があり、内訳といたしましては、公立の約77%の323施設、また私立の約96%の240施設において、当該事業による処遇改善が実施されてきております。
また、申請されなかった理由について市町村に確認をいたしましたところ、私立施設からは「申請に係る事務手続きが煩雑である」ということ、また、公立施設からは「保育士と同じ給料表を用いている他の職種との公平性が保たれなくなるため」といったことが主な理由として挙げられてきております。
このため、公立施設におきましては、非正規職員への処遇改善に対して活用され、正規職員に対して実施したのは6市町村に留まっている状況でございます。
【中川】処遇改善について、10月以降、私立では公定価格の改正、公立では地方交付税措置されているところですが、保育士の処遇改善に向けて県としての取り組みはどうしていくのか。
【子ども若者局長】保育人材確保のための方策として処遇改善は重要でございます。
今後、保育の実施主体である市町村に対して、県内では県内で正規職員の処遇改善を行った市町村の対応事例等の情報提供を通じて、公定価格上の新たな処遇改善等加算のさらなる活用というものを働きかけるとともに、国に対しても、さらなる処遇改善や申請手続きの簡素化というものを働きかけてまいりたいと考えております。
加えまして、必要な保育士がしっかり確保され、それに応じた運営費補助が行われるよう、公定価格の算定基礎となる配置基準の見直しについても国に対して要望してまいります。
また、従来から平均経験年数や技能等に応じて給付されている処遇改善等加算のうち一部の加算につきましては、県が実施又は指定するキャリアアップ研修の修了が要件となっていることから、引き続き、オンライン等の活用など受講しやすい研修機会の確保と充実を図り、多くの保育士が処遇改善加算の対象となるよう支援をしてまいります。
【中川】県は、0歳児への年度途中の入所を支援しているところですが、さらに拡大してはいかがでしょうか。
【子ども若者局長】県におきましては0歳児クラスにおきまして、保護者の育児休業明けに伴う年度途中入所に備えて、年度当初から事前に保育士を国基準以上に配置する場合や、手厚い保育が必要な1歳児クラスにおいて、国基準以上の保育士を配置する場合に、県単独補助事業により支援を行っておるところで、多くの市町村においてご活用いただいているところでございます。
今後も本事業を継続させていくことにより、安心安全な低年齢児保育に向けた体制確保に取り組む市町村に対して、支援を行ってまいりたいと考えております。
【中川】女性の働き続けられる条件と保育の質を確保するためにも、保育士の養成数を増やしていく必要があると思いますが県としての考えはありますか。
【子ども若者局長】女性の就業率向上に対応するとともに、質の高い多様な保育を提供する観点から保育士の確保が非常に重要であると考えております。
県といたしましては、保育士資格の取得を目指す者への支援として、返還免除型の保育士修学資金の貸付を行っており、県内の高等学校等にも制度の案内をお送りし、保育士の成り手の掘り起こしというものを図っております。
加えまして、保育士人材バンクを設置いたしまして、潜在保育士の就職支援に取り組んでおるところで、保育施設等の就職マッチングや復職セミナーの開催、就職準備金や未満児の保育料貸付などを行い、保育の新たな担い手確保にも取り組んでいるところでございます。
保育士の養成、確保に向けた更なる方策につきましては、本年10月の「県と市町村との協議の場」で合意をして設置することとなりました「専門職員の共同確保に向けたプロジェクトチーム」において、今後市町村とともに改めて検討してまいりたいと考えております。
【中川】保育士の養成については、そもそもの養成数を増やすということが必要だと思いますので、専門学校などへの要請ということもぜひ検討をいただきたいと思います。