1回目から交流を続けてきたいわき市内にある楢葉町高久第9応急仮設住宅。今はだれも住んでいない。
現地活動交流、40年にわたり原発反対運動の先頭に立ってきた石丸小四郎さん。膨大な資料をもとに丁寧に説明をしてくれた。詳細は後日アップされる動画に譲ることとしてまとめの部分を文字お越ししておく。
全体を通したまとめ
①7年8か月たっての現状は「放射性廃棄物」が際限なく増えていることである。しかも雨水と地下水を制御できなければ益々増大するばかりである。
②「約130万トンの汚染水」ALPS等7系統で使った「セシウム吸着物質」、同「除染スラッジ」がセシウム137、ストロンチウム90がそれぞれ50京㏃と気の遠くなるような放射線量である。「使用済み燃料」を取り出しても持っていき場所がない。デブリも880トンである。約40万㎥の瓦礫類も10年後には77万トンになる。「これを県民・国民はどう見ているのか?」と不思議になる。
③近年、最大の争点は「トリチウムの海洋放出」であろう。東電は「国の判断を待って」と言っている。国は「海洋投棄以外考えていないように見える」。これをやられたら「常磐モノ」と言われる上質な海産物は壊滅的影響を受けるであろうし、各国は日本の魚介類の輸入はストップとなろう。”原発は海殺し”そのもである。そればかりではない。世界の海に影響を与えるであろう。
続いて、2012年12月に起こした「福島原発避難者訴訟」について、「相双の会」国分富夫さんからの報告。訴訟は、ふる里損失慰謝料2000万円、現状の慰謝料月10万円と不動産・財物の賠償では生活再建は不可能であると訴えた。3月22日の判決では被害事実は認定したものの、原発事故を生じさせた経緯・東電の故意過失責任を軽視する内容で、若干の慰謝料の上乗せを認めたに過ぎない。
次に、フクシマ原発労働者相談センターの相談事例について、狩野光昭代表からお話。相談事例は労働条件に関わるものでは①賃金及び割増賃金未払い、②特殊勤務手当不払い、③待機中の賃金未払い、④解雇予告手当の不払い、⑤社会保険未加入、⑥文書ではない雇用契約、⑦求人票と作業内容が異なる、⑧放射線管理手帳の返還、⑨外国人実習生が福島第一原発や除染労働に従事、労災保険関係では①過労性疾患による労災認定、②パワハラによる労災認定、③白血病での労災認定と安全配慮義務違反など。
このうち東電福島第一原発で倒れ急死した車両整備士猪狩忠明さんが過労死として労災認定された件について、当の奥さんから報告がされた。2017年10月26日午後急死。妻が死亡した夫と行き会えたのはようやく午後6時40分だが、東電はその一時間前に「作業とは関係ない」と記者会見がされ、会社からも「労災ではない」と説明を受けたことに疑問を感じた。会社から提供されたタイムカードの記録から、死亡直前の1か月で122時間の時間外労働、死亡6か月の平均が110時間を超えていたことが判明し労災認定となった。会社は、命が奪われているのに、お見舞いの言葉もなく、何の責任も取ろうとしない。過労死させた下請け会社、車両整備工場の業務を請け負った元請会社や東京電力の責任を問うたたかいにしていく決意が語られた。
次に、「いわきの初期被爆を追及するママの会」「いわき母笑みネットワーク」代表の千葉由美さんから、今年3月20日に原子力規制委員会が発表したモニタリングポスト撤去に対して、「モニタリングポストの継続配置を求める市民の会」を立ち上げ、原子力規制委員会への申し入れ、各自治体や自治体議会への要請を行い、問題であることを表面化させてきた報告がされた。3月ごろ見直し案が出される見通しだが予断を許さない状況だ。