リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

2002年春,手紙 (6)

2004年12月28日 00時19分47秒 | 随想
あとになって分かったことだが,バゼリアのいう地名は,日本で言うと○○市□□町△△の△△くらいにあたる,ごく狭い地域を表す地名で,観光案内書に出ていないのも道理だった。そのバゼリアから少し行った自動車道の傍らで私たち家族は,スミス氏のコンサート会場まで連れて行ってくれるという車を待った。夏なのに少し小寒い雨がふる夕方の7時すぎだった。コンサートの主催者に連絡を取ったら,バゼリアの教会は古すぎてコンサートに適さないので別の場所にした。ついては,車で送り迎えをするから7時15分にバゼリアの教会を過ぎたところの自動車道で待つようにと言われたからだ。7時10分を過ぎてもまだ車は来ない。もし来なかったら,公共交通機関を乗り継いで行くにはもう遅すぎる。これでコンサートに行けなかったら,悔やんでも悔やみきれないとある種悲壮な想いで待っていたが,まるで定められていたかのように,そうBack to the Futureの一シーンで郵便局の職員が主人公に長年保管しておいた手紙を指定の日時に主人公に届けるシーンがあったが,それと同じようなタイミングでジャスト15分に迎えの車が私たちの前に現れた。