リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

2002年春,手紙 (4)

2004年12月18日 19時36分02秒 | 随想
 しかし2002年の春、私は思い切ってホプキンソン・スミス氏に手紙を書いた。私は教えてもらうなら、スミス氏以外にはないと前から決めていたのだ。彼のすばらしい表現力,圧倒的に広いレパートリーは何者をも追随を許さなかった。さらに彼の教えた沢山の弟子達がすでに中堅の素晴らしい奏者になっている事実は,彼が優秀な教師でもあることを示していた。手紙には、79年にあったときのこと、自分がどれだけリュートを愛しがんばってきたかをしたため、一緒に勉強するなら彼をおいて誰もいないということを切々と訴えた。何事も潮時というものがあったのかもしれない。子供もそろそろひとり立ちするころだし、ローンも終わりつつある。学校の退職金もそこそこはもらえるころだろう。すべてがタイミングを合わせたかのように、2週間後にスミス氏から返事が届いた。