中学校教員生活を捨ててヨーロッパ音楽留学を決意し、結果的にバーゼルで学ぶことになったのも、この街との最初の出会いが布石になっていたような感じもする。とはいうもののバーゼルに来たいからバーゼル・スコカントルムを選んだのではなく、まったく逆でリュートの先生を選んだら、彼がたまたまバーゼル・スコラ・カントルムで教えていたということだ。私の現在の師、ホプキンソン・スミス氏はスコラ・カントルムでもう30年近く教えているリュート界の巨星だ。実は1979年に私は一度バーゼルにやってきて、彼のレッスンを受けている。この頃のことは後述するが、私は彼にこの79年の訪問のときにとった懐かしい写真と自分の演奏のCD-Rを添えて彼に手紙を書いた。