リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

プラットホームの高さ

2006年07月20日 12時42分13秒 | 日々のこと
「バンテリンは効きます」なんて広告が目に入る某駅ホームです。効くにきまってるじゃん、薬だから。どう効くかが問題なんだよなぁ、なんて例のごとく巧みな興和新薬の宣伝コピーに目がいってしまいます。向こう側のホームに目をやると、古い煉瓦のホームに上乗せしたあとが見えます。

煉瓦の部分はひょっとして明治の頃に作った駅のホームの高さかも知れません。地層のようにだんだん積み重なってきたのがわかります。現代日本の駅のホームの高さは、列車のフロアとツライチになっているのがほぼ常識ですが、昔はそうではなかったんですね。そういや思い出しましたが、40年くらい前まだSLが近所を走っていた頃、SLの客車は確かステップを上がって行きました。

ヨーロッパの列車はまだよっこらしょっとステップをあがる式です。ホームは日本と比べてかなり低いわけです。それでもここ何年かでずいぶんとかさ上げされました。昔は2,30cm程度しか高さがなく、向こうのホームへはそのまま歩いて行くことができました。でもそれではさすがに危険だと言うことで地下道を造ったみたいです。たぶんそのときにもうちょっとかさ上げした感じです。今でもどの駅にもホームを歩いてわたるな、式の表示があります。

リュート製作家のモーリスの家に行くとき降りる駅、シャテル・サン・ドゥニにも同様の看板が立っていますが、ここは田舎なので、昔の低いホームのままです。従って地下道もありません。でも向こう側に行くには、線路を渡るしか方法がないので、みんな看板を横目に(というか無視してますが)線路を渡っていきます。だいたい1時間に1本来るかこないかの列車には(しかも超スロー)ふつうそんなにはねられることもないでしょう。

ヨーロッパの駅のホームはだんだん高くなってきてそのうち、日本と同じように車両のフロアとツライチにまでなるかもしれませんね。そういや昔あまりなかった跨線橋も造られるところも出てきました。で、跨線橋にはいろんなお店があったりして、なんか日本式ですね。列車中の車内アナウンスもスイスではローカル列車にもありました。あるといっても結構ぶっきらぼうな言い方ですが、でもちゃんと聞こえるように「次の停車は~駅です」くらいは言うようになってきたみたいです。

昔、カブレの人は、「ヨーロッパは個が確立されていて全て自己責任。列車も静かにアナウンスなしで出発して、停車駅には静粛に到着。到着駅を知らないのは個の責任だよ」なんて言って不親切なヨーロッパ式を妙な理屈をつけて礼賛していましたが、そりゃヨーロッパ人だって、到着駅をちょっとアナウンスしてくれた方が便利に決まってますよね。

日本は顧客サービスに関してほんとにいろいろ工夫するお国柄ですね。少なくともスイスの鉄道サービスに関しては結果的に日本式に近づいているわけですから、自分たちの国のことを悪く言うのはバチがあたります。全然大したことないことでも、8000km以上離れたところから見ているとよく見えるだけなんですよ。