リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

聞き流すだけの英会話教材

2021年10月22日 11時19分42秒 | 日々のこと
ここ2,3日は寒さを感じる日が続いていますが、そんな中大々的に新聞広告が出ていた某英会話教材の販売がひっそりと停止されていたニュースが入ってきました。

この教材は聞き流すだけで英語がわかるようになるとか英会話が出来るようになるという触れ込みで、突っ込みどころ満載の体験者談もいくつか広告に掲載されていました。

曰く、

「映画を見ていたら突然英語がわかるようになった」
「飛行機で内で客室乗務員に英語で飲み物が注文できた」
「孫にすごいねってほめられた」

笑っちゃいますよね、実際。そもそも「英語がわかる」というのは、映画の台詞でポロッと1語だけわかったというのも「英語がわかる」だし、サキ報道官の会見が全てそのまま理解できるのも「英語がわかる」です。

客室乗務員に英語で飲み物の注文できた、というのもその客室乗務員は日本人であったり日本語が堪能だったかも知れません。そもそも英語で飲み物の注文する程度のことにわざわざ英会話教材を買う必要はありません。「コカコーラ」と日本語で言っても英語っぽく言ってもコカコーラを持ってきます。

孫はおじいちゃん、おばあちゃんが好きだし、そもそも英語がわからないでしょうからスゴイっていうに決まっています。あるいは何か買ってほしかったという下心があった可能性もあるし、実はバイリンガルだった孫が忖度をしたのかも知れません。

某教材の広告を見ていると、こういうのって誇大広告じゃね?って感じがしますが、淘汰されて売り上げ減になったか、効果が実はないということが浸透してきたか、当局の摘発を恐れてか何かは知りませんが、販売を停止を停止したのはある意味良かったことかも知れません。

英会話はこの教材がうたっているようなインチキな方法ではできるようになりません。英会話というのも3語程度の文で1,2回返事ができるレベルでも英会話には違いありませんが、そのレベルではあまり役にはたちません。どんな場合でも長めの文も交えて対話が継続できる、というレベルに達するにはそれ相応の努力は必要です。

必要なことは文法と1000語以上の語彙力と耳と口の訓練です。あと多少の社交性も要りますか。文法は学校でならった文法(スクール・グラマー)でもいいし、もっと別のアプローチのものでもいいと思います。1000語の語彙は、機能語(前置詞や代名詞など使い方の理解が必要な語)の大半とあと残りは意味がわかれば使える語の合計です。もちろんそれ以上あれば言うことはないです。1000という数字は私の実感的なもので、特にエビデンスがあるわけではありません。この位覚えればその言語の全体像がわかってくるという感じがします。

ことばは音声ですから英語の音声とそれを口に出して言うこともとても重要です。最近はYouTubeで英語の音声を沢山聞くことができるので活用したいところです。ただ自分の力にあったものでないと効果は薄いです。自力でなんとかわかるレベルというのがリスニングに限らずどんな教材においても重要なポイントです。

いずれにしても多少の努力は必要で聞き流すだけなんて甘い方法はありません。