先日修理して2台共返却したが、そのうち1台が、同じ様な現象で動作しなくなったとのこと。
最初(室内では)動作していたが、現場(5℃程度)に持ち込んだところ、少しして動作しなくなったので、温度サイクルを実験してくれて、やはり低温になると動作しなくなるという現象が確実に発生する様なので、送り返してもらい調査することにした。
届いてすぐに電源を入れたが、冷えていた関係か、やはり動作しないので、ドライヤーで温めると動作し、同じ現象が再現した。
そこで、基板を取り出して、どの部品が影響しているか、エアダスターで局部的に冷やすことにした。
(本来は急冷の専用スプレーが有るのだが、高価であり、安価なエアダスターを活用。ガス成分にもよるが大体の製品が、逆さにすると冷気が吹き出して代用出来るので便利に使っている)
すると、電解コンデンサ(10uF/16V)が確実に変化するするので、取り外して同容量のセラミックコンデンサに交換し、急冷とヒートガンによる加熱を繰り返したが動作が停止することが無くなった。
念のため、基板の表裏全てを急冷したが、問題無く動作するので、どうやら不良部品はこれだけの様だ。
チューブ色からするとニチコンのオーディオ用で、一流ブランド品だが。
同じ容量の電解コンデンサがもう1個有ったが、温度による不動作は無し。でも、念のため外してみると、コンデンサ裏側パターンに緑青(ろくしょう)が見られたのでセラミックコンデンサに交換した。
単体をLCRメーターで測定すると、本来は容量を表示するのに、これは抵抗値が表示(1.43kΩ/1kHz)される。アナログテスターでも、通常の同容量コンデンサを測定すると、最終的には無限大となるが、これは500k~1MΩと、無限大に戻らない。デジタルテスターでも1MΩ前後を示す。
交換したセラコンを測定すると、ちゃんと容量表示となる。
更に、単体で温度による変化を見てみると、急冷で300PFを示し、加熱していくと300Ωの抵抗値に変化する。電解液の漏れや劣化が確実の様だ。
この結果から推測すると、リード線と電極間の接続が腐食で不完全になっており、温度収縮で離れたり、+-電極の同時に接触するのではないかと。
今回の障害で、過酷な環境下での経年による電解コンデンサの劣化が多いということをあらためて認識した。
【参考】
wikipedia不良電解コンデンサ問題