ＭＶＰ。 Most Valuable Player

　Ｎ．Ｙ．ヤンキース（Yankees）の松井秀喜選手は、かってのＢ．ルース、
Ｍ．マントル、Ｈ．アーロンのホームランバッター全盛の、選りすぐりのスケール
の大きい米大リーグ、メジャーベースボールのパワーゲームに挑戦できる日本人メ
ジャーリーガー（major leaguer）として期待していた。

　米大リーグの広い、自由自在の球場、長距離の移動、１６０試合の年間試合数の
高いハードルの中で、チームを勝利に導く勝負強い打撃、チーム（ワーク）優先の
協調性、練習努力で、途中二度の大きなケガを乗り越えて、今年、松井秀喜選手は
ヤンキースで米大リーグ７年目をむかえた。

　春先は、思うような結果も残せず、今年で４年契約の最終年ということ、またケガ
で守備、走塁に負荷も大きく、打撃専門ということもあり、成績に関係なくヤンキース
での契約延長は不可能との情報も流れていた。

　しかし、本来調子の上向く夏場をむかえて、勝負強い打撃が好調を維持して、そ
のまま、地区優勝、リーグ優勝にも貢献して、ワールドシリーズをむかえ、第６戦
で４打数３安打、ホームラン１本のシリーズタイ記録の１試合６打点の活躍で、ヤ
ンキースをワールドチャンピオンに導き、その働きでＭＶＰ（Most Valuable Player）
に輝いた。

　この試合、最も『印象的』だったのは、３打席のいづれも試合の流れを勝利に引
き寄せる決定打を打ちながら、塁上で、ベンチで落ち着いた自然体の表情でいる
松井秀喜選手。
　この『表情』の松井秀喜選手こそが、ＭＶＰのスタンスだった。
　極限での、日本人のすばらしい精神構造（control）を全米、世界にむけて表現
した４時間のドラスティック（drastic）ゲームだった。

　いかに『ニューヨーク（new york）』とはいえ、『名門』ヤンキースの『９年ぶり』の
『ワールドチャンピオン』だ。
　これを決める松井秀喜選手の『突出』した活躍には、『複雑な想い』の人もいた
のかもしれない。

　ニューヨークを愛し、ヤンキースを愛する（インタヴュー）松井秀喜選手だけが
感じる、それへの想いもあったのかもしれないのだ。

　しかし、『ヤンキース（Yankees）』は、松井秀喜選手を『５番』に『起用』し、そして
その『複雑な想い』（もし、あるとしても）をも、完璧に圧倒する松井秀喜選手の
パフォーマンス（performance）だった。

　新しく建て替えられたヤンキース・スタジアムのシチュエーション（situation）、
満員の観客の自由自在楽しむ自然体の反応、フィールドでのメジャーリーガーの
パフォーマンス、すべてが壮大で、息づまる真向勝負のベースボールの原点（native）、
メジャーリーグの「神話」が、息づいていた。

　その夜（日本時間）の日本シリーズが、やけに小さく見えたのは仕方ないが、
松井秀喜選手もそこからスタートしたのだ。