いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

「夢」の仕分け。  divided dreaming

2009-11-27 19:52:59 | 日記
 事業仕分けも、今日が最終日。年内予算編成に向けて(越年の恐れ)、あとがな
い。予算要求概算額が95兆円になり、税収入は40兆円を割り込むことが確実
で、国債発行(借金)が50兆円の大台に乗ってもまだ収支均衡がとれない財務状
況。

 そこで、今年の事業仕分けのメイン・フォースは、事業内容の中からムダを抽出
して、とにかく削減して、その不足分の財源にあてることだった。
 中・長期的な事業見通しはさておいて、短期的な「結果主義」を基準として識
別、選別した結果、当然のように当事者間のみのバトルでは、論点がかみ合わなか
った。今年の特殊事情でもある。
 今後、1年の事業仕分けの「成果」を追跡検証して、次年度以降(5年スパンは
必要)の事業仕分けで、事業内容の精度をより高めていくことが、精度の高い効果
的な予算運営には必要だ。

 事業仕分けは、「夢」の仕分けでもある。「夢」は、希望であり、期待であり、
願望であり、それだけでは「型」のないもの。それを「型」として実現する可能
性、そのプロセス、効果(費用対効果)について検証して、実現効果性を判定す
る。

本来的な事業仕分けの意義からすれば、科学技術、防衛、国土のような中、長期
的な長い効果スパンのものと、環境、福祉、文化のような短期的な効果スパンのも
のとは、区分して対応するのが通常だ。ここを、今年は一括して短期の結果主義の
基準でバッサリ識別したので、ほとんどの利害関係者と軋轢(あつれき)を生んで
いる。
 総じて、利害関係者の理念の中から、対象としている原資が、スポンサー国民の
負担(税金)だ、という認識が伝わってこないこと。

 社会状況は、今、デフレ経済で、冬のボーナスは15%カット、生活保護世帯は
急増し、20万人もが仕事もなく年末を迎える。スポンサー国民の「生活状況」も
考える必要がある。
 そこで、3つ、事業仕分けで印象的なこと。

(1)科学技術関連予算での事業仕分けで、有識者グループから事業内容の選別に
専門性、先見性がないという指摘。当事者同士の仕分けバトルで、第三者的立場の
スタンスがない問題点ではある。
 ところが、政府は、こともあろうに、この有識者グループの独善的な指摘に対し
て、すばやく(翌日)このグループと直接話し合いを持つ。どういう話し合いにな
ったのか不明だが、事業仕分けに聖域(sanctuary)をもうけない政治主導に疑念
を持たせる行動だった。

 仮に注文により聖域を認めることになれば、従来の既得権益政治と同じで、事業
仕分けの信頼性を損なう。有識者グループの高い専門性を「笠に着る」圧力団体的
なポーズは、どこか不釣り合いで、ふさわしくなかった。科学技術は、経費だけで
はない高い専門能力による開発があるのではないか。

(2)スポーツ関連予算の仕分けで、「これだけつぎ込んでもメダルにならない競技
がある」(報道)意見がでた。スポーツは「夢」を魅せる文化だ。到底一般人では
及ばない高いスキルの極限でのプレーに感動を受け、夢を見る。

 「つぎ込んでも費用対効果(メダル価値)がない」という、次元の違うレベルで
比較論議をしては、本来の価値観は見えない。「人間力」を評価しないということ
になれば、「人間力」による事業仕分けの価値を、自ら否定するパラドックス
(paradox)を演じている。

(3)防衛省関連予算。銃器の弾丸費用で、高い国内製品ではなく、訓練では安い
外国製品を使用して効率化をはかるとの仕分け評価。
 国防意識の自覚、安全技術力の向上の中で、外国製品を使っての効率化だけ
の訓練が、国民の安全を守るモチベーションを維持できるのか。

 銃器の輸出、戦争(戦闘)の助長をまるで肯定するかのような判断だ。価格の高
い国内製品の価格設定の適正化に努めることが先決だ。

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