いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

中国の深い霧。 deep fog in china

2013-02-06 19:45:08 | 日記
 (1)中国は昨年GDP(国内総生産)で日本を抜いて米国に次いで世界第2位の経済大国になった。中国政府が発表する中国全体の名目GDP数値に基づくものだが、中国は85年から全国31の省、直轄市の各地区別GDP数値も発表している。

 これまで一貫して、この省、直轄市の合計GDP数値が中国全体の名目GDP数値を「上回り」続けている(報道)といわれて、中国の統計の正確性、信頼性に疑問、問題のあることが裏付けられているデータだ。
 たとえば12年の中国全体の名目GDPは約820兆円だが、31省、直轄市の域内GDP合計は約920兆円(報道)という具合で、この超過傾向は年々拡大しているといわれている。

 (2)理由として専門家があげているのが「地域政府の幹部らがGDPの目標達成で業績評価されるため、数字を水増ししていることが主因」と分析している。
 中国の実績競争評価主義による地方組織の名声・権威主義、利権、汚職、利益独占蓄財、抑圧政策の弊害が統計操作に影響している実態だ。

 中国政府の中国全体のより低いGDP数値が比較正確で、より高い地区別GDP合計が統計操作されているというのが信ぴょう性に近い見方なのだろうが、これでは中国政府発表の中国全体の名目GDP数値の根拠も不明という統計実態だ。
 だから中国のGDP世界第2位評価については、生活力の個人所得(personal income)ではまだ日本には及ばないという自覚分析が中国側からもよく使われる。中国の都市と地方は「別もの」という統治が抱える課題、顔ものぞかせる一面だ。

 (3)広大な国土に13億人の国民人口を擁する中国では、有効な統治形態として中央集権一党独裁、計画経済スタイルが必要ということだろうが、当然「限界」もある。

 国際的な情報共有、グローバル化時代全盛の中で、国民の比較文化、欲求、願望、自由への高まりもあり、新興国を代表する経済成長国としての中国の「躍進」がまたその統治上抑圧された国民の比較欲求を相乗的に高める(ネット社会)皮肉な効果ともなっている。

 (4)中国も領有権を主張し出した尖閣諸島問題で、中国艦船がたびたび東シナ海の日本の排他的経済水域(EEZ)内に侵犯をくり返しているが、このうち1月に2回、公海上でということだが中国海軍のフリゲート艦から警戒する日本の海上自衛隊の護衛艦とヘリに対して、約3キロの至近距離からの攻撃用の「火器管制レーダー照射」を受けたことが防衛省の分析結果であきらかとなった。

 「威かく」のための行動(その後、攻撃はなかった)としては、しかし軍事挑発的戦略で極めて悪意的で危険で軽率な行動だった。中国軍としても戦争行為を想定した艦隊編成でもない中での、軍事挑発的行動への「真意」が不明だ。即、ミサイル攻撃が可能な触発軍事行動なだけに軽率だけでは済まされない重要問題だ。

 (5)中国軍内での末端までの統治、規律がはかられているのか、また中国政府と軍との意思疎通、統治、伝達が十分なのか機能精度が疑わしいところでもある。

 中国での日本大使館勤務経験のある軍事専門家の分析では、中国軍内でも上層部と現場での指揮統一が不十分であったり、政府内でも指導部と末端組織では情報共有、伝達が不十分なことはよくあった(インタビュー)と述べている。

 (6)今年2月には安倍連立政権を組む公明党の代表が訪中して習総書記と会談して、戦略的互恵関係構築に向けて首脳同士の話し合いを進めていくことを確認してもいる。

 中国の「統計データの不明瞭」と1、2月のあまりに大きい「政治軍事戦略ギャップ」に中国の抱える統治能力許容量(governance capacity)を超える国内問題の「深刻さ」が象徴されて見える。

 中国は深い霧の中だ(deep fog in china)。

 

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