いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

時代はうつろいやすく忘れっぽい。 times change and forget , too

2017-01-06 19:56:02 | 日記
 (1)時代はうつろいやすいし、忘れっぽい(times change and forget,too)。40年はかかるといわれる福島第一原発事故の対策が計画どおりに進まない中で、まして事故原因も究明されない中で東電は20兆円を超えるといわれる事故処理費用を捻出するために新潟柏崎刈羽原発の再稼働に向けて、新潟県庁を訪れて新しく選出された米山知事が会談して協力を申し出た。

 原発事故責任を原発再稼働で賄(まかな)うという短絡的でパラドックス(paradox)な矛盾した論理展開で理解しがたい。

 (2)柏崎刈羽原発については、前泉田知事がこれまでの東電の企業隠ぺい体質に不信感が強く、福島第一原発の事故原因の究明が大前提との立場から再稼働に反対の姿勢が続いていた。

 東電にとっては前泉田知事が昨年の新潟県知事選に出馬せずに、当初は原発再稼働に否定的ではなかった(その後再稼働に慎重な発言に修正し当選した)米山知事の登場で再稼働に期待したのではないのか。
 しかし米山知事も東電の原発再稼働の安全対策に条件付きで反対する意向を示して、知事就任後もなかなか会談の機会を与えられなかった。

 (3)昨日5日の米山知事と東電との初会談では再稼働は福島第一原発の検証なしには認められないとして「数年はかかる」(報道)との早期再稼働に否定的な見解を示した。

 再稼働を将来のベースロード電源に位置付ける政府、経産省も新潟県と東電の間に入って仲裁を模索しているようだが、米山知事になっても新潟県の東電不信は払しょくされていない。
 条件付き容認ということでは前知事のかたくなな東電不信に比べれば再稼働に前向きということもいえる。

 (4)しかし福島第一原発事故対応での東電の情報統制、隠ぺい体質は事故5年経過してから事故当時はなかったとするメルトダウン判断のマニュアルが実は存在していたと発覚したりと、東電が原発事業者として信頼できないふさわしくない企業体質であることを自ら実証してみせた。

 その後の被災、被害住民への賠償補償対応でも東電の対応にはルーティンに固執して個別事情への誠意はなく、ただ企業自己防衛のために柏崎刈羽原発の再稼働を目指す、急ぐという無軌道ぶりが際立った。

 (5)東電のこれまでの数々の不適切対応を勘案すれば、その問題解決を先延ばしして原発再稼働を急げば急ぐほど再稼働は遠のくパラドックスな現実があるだけだ。
 安倍首相、政府はもっと忘れっぽくて、福島第一原発汚染水対策では東電まかせではなく政府が全面に出て対応するといいながら、そんな気配もなく当初の復旧計画は遅れるばかりで、さっさと原発再稼働を将来のベースロード電源の柱として組み入れてしまった無責任行政だ。

 被災者への損害賠償補償問題も事故から6年目を迎える段階で打ち切り、自治体負担方針が示され、また今回自主避難者に対する福島県などの住宅無償提供が3月末で打ち切られるとの報道もあり、政府、東電の原発事故責任、自治体の援助責任が復興もままならない中で見切られるという無責任性だ。

 (6)安倍首相は今でも度々東日本大震災被災、被害地域を訪れているのは復興が道半ばであることを自ら示していることであり、これほどの前代未聞の大震災、原発事故被害を招いた地域の政府、東電、自治体の支援、援助が事故後6年足らずで打ち切られるというのは、安倍首相の行動からも自己矛盾であり、あまりにも時代はうつろいやすく、忘れっぽすぎるのではないのか。

 復興は道半ばで、記憶、記録はあざやかすぎる。

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