(1)天皇が国民統合の象徴となったのは、戦前の政治に利用されて奉(まつ)られて戦争に突き進んだ反省(ないしは米国の戦前回帰の懸念)からの産物だった。
現在は象徴天皇として政治にかかわらずに内閣の助言と補佐のもとに国事行為を行う。
しかし内閣の助言と補佐のもとというのがけっこう政治が天皇を利用することにつながっている。政治権力者、首相の理念、思想によって天皇を政治的に利用することは十分ありえる。
(2)外国訪問は訪問国との政治的友好関係の橋渡しにもなって、たとえば第2次世界大戦で欧米連合国軍と戦火をまみえた東南アジア諸国の犠牲者訪問は、首相が慰霊に訪れれば戦争責任、補償問題も浮上するため容易ではないが、天皇が慰霊訪問するということになれば追悼の深い意味も込めて国際友好改善につなげることもできる。
天皇の国事行為が政権の意向によって極めて政治的配慮の濃いものになるという内閣の助言と補佐ということだ。
(3)現天皇の東南アジア戦争慰霊訪問の場合は天皇の個人的な想いが強いといわれているが、内閣の助言と補佐によるものであれば政治的な色合いの濃い外国訪問ということにもなる。
安倍首相は保守主義思想、理念が強く、天皇制も万世一系男子にこだわりが強いといわれている。多分に安倍首相の考えに近く、支えるといわれる日本会議も、神社神道を背景に憲法改正、自主憲法を目指して氏子を動員しての国民的合意形成を進めているといわれている。
(4)これそのものは信仰の自由、思想信条、表現の自由から問題は少ないが、憲法改正、自主憲法の制定を目指すとなるとその内容も含めて政教分離の原則、さらには安倍首相のように天皇は男子しか望まないという思想、理念になれば天皇の政治的利用(political utilization of tenno)にもつながる懸念はある。
(5)現在検討中の天皇の退位問題も、政府は現天皇だけの特例として特別法で対応する意向のようだが、法案その中に天皇の退位意思は取り込まない方針だといわれる。
天皇は昨年8月に生前退位表明について将来にわたっての制度としての退位を念頭においたものとみられて、しかし天皇の意思を尊重することは憲法上の天皇の立場に問題が生じるとして政府はこれを特別法にも書き込まないといわれている。
天皇が国民統合の象徴として戦前の神格化された権力としての天皇とは一線を画して象徴、人間天皇といわれているのだから、政治的意味合いがないものについては天皇の意思、考えも尊重することがあっていいだろう。人間天皇なのだからだ。
(6)天皇の退位については現天皇、前天皇との役割区分がむずかしく政治的利用につながるとの問題も指摘されているが、そもそも憲法上の天皇は政治に関与せずに権力を有する立場になくて、国民統合の象徴がたとえ「2人」いても何も問題はない。
それぞれの分野に卓越した象徴は現在して、それぞれに尊敬、信頼、支持を受けている。
現天皇の立場、役割と前天皇のそれとの区別がはっきりしていれば権力のともなわない象徴概念として問題はない。むしろそういうことをとらえて、天皇の意思をあえて法案に書き込まないなどという政治的思想、理念の問題として利用されることの方が問題だ。
現在は象徴天皇として政治にかかわらずに内閣の助言と補佐のもとに国事行為を行う。
しかし内閣の助言と補佐のもとというのがけっこう政治が天皇を利用することにつながっている。政治権力者、首相の理念、思想によって天皇を政治的に利用することは十分ありえる。
(2)外国訪問は訪問国との政治的友好関係の橋渡しにもなって、たとえば第2次世界大戦で欧米連合国軍と戦火をまみえた東南アジア諸国の犠牲者訪問は、首相が慰霊に訪れれば戦争責任、補償問題も浮上するため容易ではないが、天皇が慰霊訪問するということになれば追悼の深い意味も込めて国際友好改善につなげることもできる。
天皇の国事行為が政権の意向によって極めて政治的配慮の濃いものになるという内閣の助言と補佐ということだ。
(3)現天皇の東南アジア戦争慰霊訪問の場合は天皇の個人的な想いが強いといわれているが、内閣の助言と補佐によるものであれば政治的な色合いの濃い外国訪問ということにもなる。
安倍首相は保守主義思想、理念が強く、天皇制も万世一系男子にこだわりが強いといわれている。多分に安倍首相の考えに近く、支えるといわれる日本会議も、神社神道を背景に憲法改正、自主憲法を目指して氏子を動員しての国民的合意形成を進めているといわれている。
(4)これそのものは信仰の自由、思想信条、表現の自由から問題は少ないが、憲法改正、自主憲法の制定を目指すとなるとその内容も含めて政教分離の原則、さらには安倍首相のように天皇は男子しか望まないという思想、理念になれば天皇の政治的利用(political utilization of tenno)にもつながる懸念はある。
(5)現在検討中の天皇の退位問題も、政府は現天皇だけの特例として特別法で対応する意向のようだが、法案その中に天皇の退位意思は取り込まない方針だといわれる。
天皇は昨年8月に生前退位表明について将来にわたっての制度としての退位を念頭においたものとみられて、しかし天皇の意思を尊重することは憲法上の天皇の立場に問題が生じるとして政府はこれを特別法にも書き込まないといわれている。
天皇が国民統合の象徴として戦前の神格化された権力としての天皇とは一線を画して象徴、人間天皇といわれているのだから、政治的意味合いがないものについては天皇の意思、考えも尊重することがあっていいだろう。人間天皇なのだからだ。
(6)天皇の退位については現天皇、前天皇との役割区分がむずかしく政治的利用につながるとの問題も指摘されているが、そもそも憲法上の天皇は政治に関与せずに権力を有する立場になくて、国民統合の象徴がたとえ「2人」いても何も問題はない。
それぞれの分野に卓越した象徴は現在して、それぞれに尊敬、信頼、支持を受けている。
現天皇の立場、役割と前天皇のそれとの区別がはっきりしていれば権力のともなわない象徴概念として問題はない。むしろそういうことをとらえて、天皇の意思をあえて法案に書き込まないなどという政治的思想、理念の問題として利用されることの方が問題だ。