いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

あれから1年。 one year after that

2017-08-12 20:12:46 | 日記
 1年前の今頃は9月からのチューリップ45周年メモリアルコンサートの開催が決まって、丁度リハーサルの頃だったのではないのか。まだ亡くなった安部俊幸さんを除く4人のメンバーでやるのかサポートメンバーを入れてやるのか正式な発表のない中での準備だった。

 個人的には4人のメンバーで安部俊幸さんのリードギターを姫野達也さんが担当することでもコンサートは十分可能で、そうなることを望んでいた。
 ビートルズは4人だし、ビートルズの音楽に刺激、影響、傾倒して結成されたチューリップはひとり多い5人だが、ビートルズ同様ライブバンドとして活動してきたチューリップのメンバーは演奏能力、技術も高く、それだけにパラドックス(paradox)として安部俊幸さんのテイストは出せなくても、しかしバンド音楽としては4人で十分こなせるメンバーだ。

 財津和夫さんはピアノ、キーボードにもいち早く取り組んで、ビートルズ音楽とは違って(ポール・マッカートニーさんも音楽人生後半はピアノで幅の広い音楽をつくりあげた)ピアノのコード、音域の広い音楽を目指して5人のチューリップ・サウンドとして日本のそれまでにないあたらしい音楽シーンをけん引してきた。

 4人になればギターがリードとリズムセクションが必要でキーボードが使えなくなり、キーボードを使えばギターが手薄になるという問題はあった。
 それでもチューリップの音を45年前のフロンティアな音づくり、精神に立ち返ってあたらしいチューリップ・サウンドをつくりあげることに好奇心旺盛な財津和夫さんが楽しみながら取り組むことも考えていたので、5人のチューリップ・サウンドとはまた違った簡素(simple)ではあるけるど、荒々しく、個性の強い財津和夫さんが目指したビートルズの初期の音源に近いスタンスで安部俊幸さんのいないチューリップ・サウンドを表現するのもいい、おもしろいと考えていた。

 昨年9月から始まったチューリップ45周年メモリアルコンサートは、黒を基調としたシックなステージングでまるでミュージカルのウエストサイド物語を思わせる雰囲気で、ステージ中央にツインドラムが置かれていた。
 安部俊幸さんのポジションにはパーカッション群がセットされていて、そこは丁度昨年夏に見たアース・ウインド・アンド・ファイアーコンサートのセットに似ていた。

 アース・ウインド・アンド・ファイアーもリーダーのモーリス・ホワイトを病気で失って追悼コンサートでもあった。チューリップとよく似たバンド経歴(70年代初頭結成)、音楽志向(宇宙サウンド:セプテンバーという同名のそれぞれの代表曲もある)を持っていた。

 チューリップ45周年コンサートはギター、キーボード、ドラムスにサポートメンバーを入れたもので、財津和夫さんはコンサンートでレコーディング当時の音源を忠実に再現するためのものであると語っている。

 チューリップ45周年コンサートは歌、コラース、演奏のうまさ、発声の高さ、楽曲の斬新さと財津和夫さんを中心としたチューリップ・サウンドの音楽性の高さを示すもので、コンサート前半のセットリストに物足りなさはあったが全体として観衆、ホールを圧倒する力強さが伝わってくるものだった。

 それから9か月後の今年6月下旬に財津和夫さんが思わぬ体調不良で入院し、その後の名古屋、大阪、東京、福岡コンサートは中止となったが、1年前の当時では思いもしない結末であった。財津和夫さんがいつから病気に苦しめられてコンサートを続けてきたのかは知る由もないパフォーマンスであった。

 財津和夫さんはその後退院して体力回復に努めているとみられるが、順調にいけば来年にも残り中止した4公演のコンサートの厚いリセットが行われると思われる。
 財津和夫さんはこれまでの言動からも責任感の非常に強い、極めて社会人として高い常識人であり、このままでは終わらない。
 

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