空飛ぶ自動車。 the car flies in the sky

　(1)いよいよ空飛ぶ自動車（the car flies in the sky）も海外で試作され、手塚治虫の世界が現実なものとなりそうな未来社会到来だ。
　自動運転車は公道での実験走行が実施されているが、米国では公道での実験走行で自動運転車が歩行者をはねて死亡させるという事故も起きて（報道）、実験走行は中止された。

　(2)自動運転車というのはＩＴ産業が先行して自動車産業に参入するために開発されたものだが、これからの高年令者社会の移動手段として有効なものと世界が競って開発競争を繰り広げている。日本でも場所を限定して公道を使った自動運転車の実験走行が行われている。

　(3)ＡＩを使った実験では何重もの「円」が重なった図形を見せると「回転」していると判断するという分析結果が報道されている。人間も同様図形をジッと見つめるとクルクル回転するように錯覚することがあるが、ＡＩもそう判断するという結果だった。

　自動運転車も高度なＩＴ，ＡＩを駆使しての前後周囲をデータ観察、感知、分析、判断して運転、停止、スタートを持続するものだが、それでも冒頭例のように歩行者を誤認識して停止せずにはねてしまうことが起きた。

　(4)ＩＴ，ＡＩ機能の安全性は高いといわれるが、公道走行で起こりうるあらゆる事象についてまだまだ安全対応ができていない現実もはっきりした。
　自動運転車はまだ実験走行の段階なので、権利関係、資格などの法律上の整備はできていないが、事故責任については運転しない搭乗者ではなく同所有者に責任を負わせることが考えられている。
　事故責任が所有者なのか製造者なのかの構造的な論議は残っており、多角的な法整備が必要だ。

　(5)トラック業界や公共交通機関ではドライバー不足、過剰運転業務が社会問題化して、将来的に自動運転車の導入も視野にある。
　しかし前述図形判断例のようにＩＴ，ＡＩ機能の安全性誤認識、誤判断性に解決すべき根本問題もあり、自動運転車の機能の有利性、有効性、特性ばかりに関心が行き開発を急ぐばかりでは社会生活の恒常的、普遍的移動手段として存在し、安心して活用できるのか多様に広汎に考えてみなければならない。

　(6)手塚治虫の世界は超未来図（surrealism）としては夢物語であったが、現実的社会でとなると空を自動車が飛ぶ世界というのは人間生活、社会にとってどうなのか、危険との隣り合わせであり安心して暮らせるリスクも破格的に高くなる世界でもある。

　今でも上空の航空機、ヘリから物体が落下してくる危険社会を実感しており、人間生活にとってどこまでが必要な進化で現実として受け入れられる範囲なのか考えてみることは必要だ。