いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

大使の重要性。 importance of ambassador

2019-04-22 20:17:39 | 日記
 (1)大使(ambassador)の役割は、本国政府の指示、意図を的確に赴任国政府に伝えて自国利益を守るとともに、赴任国の情勢、情報を掌握して自国に伝えて政策、対策に生かすことだ。友好親善につとめることも大事だ。

 (2)当時米国オバマ大統領が任期最後の2期目を迎えてキャロライン・ケネディさんを駐日大使に任命したのは、オバマ大統領の再選をいち早く支持した功績を評価しての論功行賞の意味合いの強いものであった。

 政治経験も十分でない(経歴は申し分ないが)キャロライン・ケネディさんを沖縄基地問題を抱える日本の大使に任命したのは、日本におけるケネディ人気に応える同盟外交というより親善外交という意味合いの強いものとの印象がある。

 (3)キャロライン・ケネディ大使就任パレードは、シンデレラ神話よろしく白馬にひかれた馬車に乗って都内を行進しての(通常の就任大使パレードだったが関心度が違った)もので、相変わらずケネディ人気を象徴したものだった。

 大使就任中に沖縄海兵隊員による県民暴行事件が起きて、女性大使としての観点から適切な対応、判断で日米協調関係を守れたのかといえば、政治的影響力の存在感はとぼしかったように思う。

 (4)女性大使として日本の女性会議、大会への参加も報じられて女性の地位向上に影響力はあったと思うが、米国大使として政治力不足はぬぐえなかった。もちろんその後を引き継いだ現在のハガティ大使もその後オバマ大統領からトランプ大統領に政権が移行して、外交のほとんどをトランプ大統領が独断で仕切る政治の中でこちらの米国大使はほとんどメディアに顔を出すこともなく日本ではあまり知られていない。
かってはライシャワー大使など知日派の政治的影響力のある学者大使もいて日本重視もみられた。

 (5)一方中国は程永華大使が9年余り駐日大使をつとめて、尖閣領有権、歴史認識問題で厳しく対立して政府間協議もないむずかしい時代に、中国政府の意向を伝えて日本人からすればあまりに一方的な主張を押し通す姿勢が印象だった。

 本人は「小学生の頃から日本語を学び、外交官としての日本滞在も通算20年以上」(報道)の知日派大使といわれる。

 (6)9年余りの駐日大使ということで、中国政府の同じアジアをけん引する日本重視の方針のあらわれと受け止められるもので、今回日中関係改善を契機に離任、離日することになった。
 大使というのは前述したように自国(本国)利益を守るために自国政府の意向、指示を的確に赴任国に伝える重要な役割を担うもので、基本的に赴任国に対しては好感をもってとらえられることは少ない大使だが、まして同大使時代は日中首脳会談も開かれずに日中対立が長く続いた不毛の時代でもあったので、その分日本との外交役割、責任は大きかったことが考えられる。

 (7)かって中国の駐日大使をつとめた現在の中国王毅外相の存在もあり、中国の日本への姿勢、対応を知る上でも重要な起用だ。
 ただし日本滞在も長く、知日派でありながら中国の原則論を一方的に主張する姿勢(外相、大使としては当然のことだが)はもう少し柔軟に関係改善に向けて考えられないものかとも思う気の毒な立場でもある。

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