(1)陸上自衛隊の幕僚副長(委員長)ら「航空事故調査委員会」の幹部ら十数人が、9日に靖国神社を参拝していたことが報じられた。年頭航空安全祈願という名目で実施計画を作成して公用車を使って靖国参拝したとされる。
(2)何かキナ臭いにおいがする。米軍のオスプレイ(自衛隊も導入)、海保航空機の航空事故を受けて航空安全を祈願したのかもしれないが、ナゼ中国などが歴史的関心をよせる「靖国神社」なのかわからないし、自衛隊は能登地震で被災地で被災者探索など日夜救援事業を続けている中での幕僚副長ら幹部の靖国参拝は時宜をわきまえない思想的な背景がにじんでみえるものだ。
(3)自衛隊には宗教施設に部隊で参拝することは事務次官通達に違反する可能性がある(報道)として、防衛省が調査を始めた。防衛省では組織改革によりともに防衛相を支える背広組(事務官)に対して制服組(自衛官)の数、存在が大きくなり、従来の省内での立場、力関係が逆転しているといわれて、今回の事務次官通達を無視しての自衛隊幕僚副長ら幹部の靖国参拝は防衛省内の力関係の変化があらわれた行動だ。
(4)防衛省、自衛隊のシビリアンコントロールが利いていない危惧も感じるものだ。自衛隊では複数の男性隊員による女性隊員へのセクハラ行為が訴訟に持ち込まれて有罪判決を受け、実射場での訓練生による上官銃撃事件も起きて揺らいでおり、隊内規律が守られていない、欠如している不安、不信、実態があきらかになっている。
(5)自衛隊は国防、防衛主体として機密性が高く、外部からは中を閉ざす実力組織として実態がわからない不安は国民にはある。一方で災害緊急時での救援、復旧部隊としての役割、国民の評価は高く、自衛隊が実力部隊でありながら国民から一定の存在評価を受けているものだ。
(6)安倍元首相が改憲で第9条に自衛隊を明記しようと意欲を示した要因だ。冒頭の陸上自衛隊幹部の靖国参拝は、強い保守思想政治の自衛隊支持の背景を感じさせる行動がみられて注意、関心が必要だ。