(1)昨年、坂本龍一さんが亡くなり、今、小澤征爾さんが亡くなって、心の中で「一つの時代」が確実に終わりを告げて、迎えたことを実感する。
もちろん、現世には「魔法の黄色い靴」、「心の旅」、「青春の影」、「虹とスニーカーの頃」、「サボテンの花」はあり、我々が伝えていかなければならないものはあるが、もう次の「新しい時代」に向けて向き合い、目指していくしかない。
(2)経済思想専門の学者で「人新世の『資本論』」を発表した斎藤幸平さん(37)に期待は感じる。人類の共有財産としての「コモン」思想「社会インフラや自然環境など誰もが生きるために必要とする『コモン』を共有財産として大事にする」(新聞インタビュー)思想だ。
あたらしい理論、思想ではなく、再定義してカオス(chaos)の時代に国家、社会、国民に問いかける社会思想だ。
(3)斎藤幸平さんはいろんな論者と対話、本を出版して多様な発言、発信をしており、「新しい時代」の担い手として時代をつくる期待はある。
(4)小澤征爾さんで印象に残っているのは、かなり以前に擦り切れんばかりのクラシックの分厚いスコアを手に取材に応じた姿だ。納得するまで何度も何度も何度も読み解く、解釈する姿が目に見える。そう言っていたと思う。
(5)クラシック音楽一筋の人生で、まだそういう時代でもない時に「ひとり」クラシックの本場の欧米に出かけて日本人とか国際人との領域を超えた「世界人(cosmopolitan)」指揮者として支持され絶大な評価を受けてきた。
(6)夏には毎年松本市での「小澤征爾音楽塾」で子どもから若い後進の育成指導にあたってきた。この中から必ず「新しい時代」をつくりだす、担う音楽家、指揮者、人材が出てくるものと期待する。
(7)小澤征爾さんはいつも「外(海外)に出なきゃダメだ」〔( )内は本ブログ注〕と言ってきて、そういうことが普通の時代をつくり出して、残して、「88」才、ダブル「無限大」のまま去っていった。小澤征爾さんが音楽以外のものとかかわっていたのを見たことがない。