(1)露北部自治区当局が露の反体制派指導者のアレクセイ・ナワリヌイ氏(47)が収監先の北極圏にある同刑務所で死亡したと発表した。露大統領選を3月に控えて反体制派指導者として動静が伝えられていた矢先での「突然」の死亡ニュースだ。
EUのミシエル大統領は「EUは、この死の全責任はロシアの現体制にあると考える」と述べ、ウクライナのゼレンスキー大統領は「プーチン大統領に殺されたのは明らかだ」と主張している。
(2)露では先日、一時ウクライナ戦争に従事していた民間軍事会社ワグネルが露政府の対応に不満を示してモスクワに向けて反旗の進軍をして、その後思いとどまりプーチン大統領の下に復帰したワグネル創設者が露国内で小型飛行機で移動中に事故で死亡したニュースが伝えられている。このケースもあまりに出来すぎの飛行機事故でプーチン大統領は哀悼を示して事故への関与を否定してみせているが、関与に疑問も考えられるあまりにの偶然性だった。
(3)露ではあまりの偶然性が平然と伝えられる。英国に逃亡中の露反体制派関係者が「何者」かに毒を盛られて死亡するニュースも伝わっており、露政府秘密組織による犯罪説も根強くある。今回の冒頭の反体制派指導者の刑務所内での死亡ニュースも露大統領選をまじかに控えての突然のことであり、露国内では平然と起こり得る事件のようにもみえる。
(4)ニュースは「矯正施設で散歩後に気分が悪くなり意識を失った」(報道)と自治管区の報道だが、ナワリヌイ氏の広報担当者が現地に弁護士を派遣したとして真相はわからない。
もちろん、散歩中に健康が悪化して急変して不慮の死となったことも否定できずに(露は死因を公表していない)一概にプーチン大統領の指示だったとばかりは決めつけれない。露政府が真相を公表しなければならない。
(5)しかし、国際社会は露プーチン大統領の日ごろの政治行動から政敵への排除、殺害が考えられるものとの認識が強く、今回も露大統領選を3月に控えてのあまりの偶然とはいえないお膳立ての反体制派指導者の「突然」の死亡ニュースで外国政治指導者からも疑問の目を向けられている。
真相究明が求められるが、こういう国(露)が平然と他国を武力で侵攻することが国際社会の注目の中で「正当化」され行われているという「間違い」、「思い違い」に正面から向き合わなければ世界の規律、良識、基準が成り立たない。