(1)ウクライナ戦争を思想的にみれば、侵攻した露は共産党が野党なのでプーチン党独裁支配国家といえる。プーチン大統領の個人崇拝主義でプーチン大統領の存在が国家統治の基準だ。プーチン大統領は大ソ連邦国家再構築を目指しているといわれて、ウクライナ侵攻もその一環といえる。
(2)露のウクライナ侵攻を巡って米、EU、日など自由主義国、陣営からの露への経済制裁を受けて、世界企業の露からの撤退を招いているが、戦争そのものが露の経済成長を支えている(占領地域でのインフラ投資でGDP上昇)というパラドックス(paradox)ないびつな経済構造で、経済制裁はそれほどリスク影響していないとみられている。
(3)ウクライナ戦争は2年が過ぎて、米、EU内では議会、国民からウクライナ支援増に疑問の声も出始めて支援疲れ、戦争疲れの指摘もある。昨年からウクライナ軍の反転攻勢が開始されて当初は形勢逆転の期待も伝えられたが、次第に武器、銃弾の不足が伝えられてゼレンスキー政権内で大統領と軍総司令官との間で意見の相違が出始めて軍総司令官が解任される事態となり、露軍の反撃を受けてウクライナ軍が後退するという局面を迎えている。
(4)プーチン党支配国家露のウクライナ戦争全面継続の中でウクライナ、米、EUでは結束の乱れが見え始めて、局面は侵攻した露が再び盛り返しているという報道だ。ウクライナはタレント出身のゼレンスキー大統領がパフォーマンスを駆使して露のウクライナ侵攻に批判的な国々に支援を求めて、米、EUから兵器、銃弾供与の支援を受けて露の侵攻に立ち向かっているがこれまで1000万人が家を離れて国外、国内に避難する事態となり、露軍の侵攻攻撃により国内のインフラ、住宅、住民被害は拡大を続けている。
(5)最近は前述したようにウクライナ政権、軍の結束の乱れに、政権内にも汚職、腐敗がはびこり、戦況も見通しの悪さが伝えられている。日本のウクライナ研究学者からは露の侵攻開始にあたって感想を求められ、ああいう大統領を選ぶから戦争を始めるという言葉も聞かれて当初80%近くあったゼレンスキー大統領国民支持率は最近の報道では60%台に低下している。
(6)露のウクライナ侵攻の不条理、理不尽には国際的批判、非難は大きく、国際規律、規範、基準の維持からウクライナへの支援継続の必要性は強調されるが、長引く戦争でウクライナ政権の汚職、腐敗、軍との結束の乱れは他国からの支援の継続にはマイナスであり、ゼレンスキー大統領としてもパフォーマンスだけでなく思想、信条、理念、信念を見せなければならない。
(7)ゼレンスキー大統領にそれができるのか。ああいう大統領を選ぶからと言われない政治力統治力が問われる。