(1)米国が岸田首相を4月に国賓待遇で招待する意図、計算は何なのか。当初は3月に訪米が予定されていたが麻生副総理が事前調整で訪米してその後に岸田首相の4月国賓待遇での訪米が発表された。岸田内閣支持率が10%台に低迷して、9月には党総裁選を控えて立候補もわからない岸田首相を国賓待遇で迎え入れる米国だ。
(2)岸田首相としては能登地震復旧、自民党裏金、盛山文科相旧統一教会関与問題を抱えて通常国会で対応に追われて、来年度予算案の年度内審議、成立もあり、この時期での訪米など考えられない事態であり、意図、計算がわからない。
3月が4月に延びたのは今回の通常国会が異例続きで岸田首相、自民党が裏金問題で野党の厳しい追及を受けて調査公表に迫られて政治資金規正法の改正を今国会中に実施すると表明しており、来年度予算案審議成立もタイトな日程になっている国会事情がある。
(3)ところが空けた3月に岸田首相は訪米前の日韓打ち合わせ名目で訪韓を加えて、3月に韓国で開催される米大リーグの大谷、山本選手のドジャースの開幕試合を韓国尹大統領と観戦する(報道)といわれる。この時期にこんな政治日程が国民、被災地から理解されると思っているのか不思議だ。
(4)野党も能登地震復旧のために政府の来年度予算案を年度内に審議、成立させることは考えなければならず、一方で自民党裏金問題解明など国会問題を厳しく追及することは国民の求めるところでもあり手を緩めることはできないジレンマはある。
岸田首相としては年度内に来年度予算案成立に集中して、4月に訪米を先送りしたと考えられる。
(5)今年の岸田首相の国賓待遇での訪米は以前からの約束、予定なのかはわからないが、すでに韓国尹大統領が去年に国賓待遇で訪米しており、米国としてはアジア戦略の日米韓同盟関係国として重要な日本の岸田首相の国賓待遇による訪米は韓国との比較外交としても早い段階で実施したい意向はあるのかもしれない。時期としては9月に党総裁選を控えてこの時期になるとは考えられるが適切ではない。
(6)日米関係では辺野古移設工事の政府による代執行に米軍オスプレイ事故では批判も受けて、米国としては日米同盟関係の役割重要性を示したい考えもあるといえる。11月の米大統領予備選も本番を迎えてバイデン大統領の指導力発揮の選挙戦略、戦術も考えられてこの時期での岸田首相の訪米が選ばれたともいえるが、岸田首相にとってはこの時期での国賓待遇での訪米の意図、計算はみえてこない。