(1)岸田内閣支持率が14%に低下するものもある中、次の首相にふさわしい自民党議員の世論調査で石破茂元幹事長が25%と麻生発言で注目の2位の上川陽子外相の12%をダブルスコアーで上回る1位となった。昨年あたりの同調査では石破議員は党内基盤が弱いせいもあり下位に沈んでいたが徐々に名前が取り上げられてきて今回1位になった。
(2)石破議員は派閥に属さずに自らの少数政治グループで活動して、災害国として防災を担当する省庁の設置を主張していることもあり時期柄国民支持を集めたともいえる。石破議員といえばかっては自民党保守派内に根強くある核保有論者であり、国防政策にも強く防衛相を担当したこともあり、安倍第一次政権では党幹事長として一時安倍首相の信任も厚かった。
(3)こうした政治経歴、経験を見れば自民党の保守本流派にいてもおかしくない存在であるものが、今は党内基盤は弱く弱小政治グループを率いて離脱者もいて今回の派閥解消で自らの政治グループを解散した。
石破議員で印象的なのは、当時の安倍自民党野党を支える党幹事長として全国の選挙応援、支援にあたって夜行寝台列車を乗り継いで昼夜を問わず全国の重要選挙区を回って支持を集め、当時の民主党政権から自民党が政権を取り戻す大勝に導いた姿(選挙報道番組)だ。
(4)その後は安倍首相とは距離を置いて地道で成果がすぐには出ない地方創生担当相をまかせられ政治力を発揮することがなくなり、政権、党中枢から排除される道を進むことになる。そうした政治経歴、経験が今どきの自民党的でないとしてかえって国民的人気、支持を集める効果ともなって、岸田政権、党基盤の支持率低下と反比例する石破議員の国民支持率の比較高い評価となってあらわれている。
(5)それは首相候補として国民人気の高い河野太郎デジタル相と似たところがあるが、河野議員はマイカ騒動でみられるように国家、政治、政策判断が欠けて個人主義が強く見られて党内からは何をやるのかわからない警戒感があるのに比べ、石破議員の方は政治批判をするのにも直接的ではなく政治論、政策論として論じる融通性があり、押しつけがましいところはあまりみられない。
(6)それが政治的個性力、強さ、存在感がみられないともいえて、政治思想的には保守本流にありながら政権、党中枢から遠ざかっている要因であり不足している部分だ。一方で対照的に国民支持率は比較高く、窮地にある自民党としては国民支持率の低い岸田首相に代わるつなぎの暫定的政権として石破議員を起用する(`いしばし'を渡るーcross a stonebridge)方法論もあるだろう。