(1)今の世界政治情勢は「Gゼロ」時代とも評されて、米国の覇権国家としての地位の低下に中国の存在の高まりが接近して世界地図の混迷を深めている現状をあらわしている。中国では異例の習体制の3期目を迎えて側近といわれる外相が就任数か月で消息が伝えられなくなり、その後解任されて急きょ前外相の王毅国務委員が再登板することになった。
(2)続いて今度は国防相が同様に就任わずかで消息が伝えられなくなり、国防相不在のまま過ぎてしばらくして国防相の解任が伝えられてこちらは後任も決まらないままだった。習近平1強時代で習主席一人がいれば何でも対応できるという習絶対体制の余裕なのか、東シナ海では中国の海域、領域主権拡大で近隣国との摩擦が起きており、中国が軍事圧力を強める台湾情勢も米国が懸念を示している中での中国の外交、軍事のトップ不在という異常事態だ。
(3)米国ではオースティン国防長官がガン治療手術で緊急入院しながらバイデン大統領に報告せずにバイデン大統領が知らない間、国防長官の不在がしばらく続いたことになる。米国もウクライナ戦争にイスラエルとハマスの戦闘に直面し、台湾情勢でも中国の軍事挑発が続いており何が起きるかわからない国際情勢でのことだ。
(4)「Gゼロ」時代を象徴する米中の「軋み(きしみ)」であり、尖閣領域、台湾海峡問題で日本も影響を受ける可能性のある事態でのことだ。
日本は元日の能登地震発生、被害拡大に自民党派閥パーティ券裏金問題、派閥解消を受けて、通常国会が開催されて岸田首相の施政方針演説の前に異例の予算委員会集中審議が優先されるという不測の事態の中で、通常の逆順で行われた国会代表質問では直前にあった麻生副総理の上川外相を評した「そんなに美しい方とは言わない」(報道)発言に対して岸田首相が見解を求められるという場面があった。
(5)能登地震に裏金問題という重大案件がある中でジェンダーイコール時代とはいえ時間を割いて国会質問することなのか、他の場面でもいいのではないのか、岸田首相もこれに「年令や容姿をやゆ」する発言を慎むべきは当然のことだと答弁するなど能登地震被災地からは国会は復旧、支援対策に危機意識をもって結束して取り組んでほしいと言いたいところではないか。
(6)米ソ冷戦時代に戻れとは言わないが、思想、信条を超えての国際協調時代の中で国家の果たすべき責任の自覚、履行がズレて歪んでいる「軋み(きしみ)」時代だ。早く修正しなければならない。