(1)能登地震による被害で能登地方が今直面しているのが、若い人、仕事を持つ人は「能登」を離れて、高令者は「能登」を離れられないという二重構造だ。病院では同じく被災した看護師の退職希望者が多く、同じく自治体職員は被災住民への支援、復旧業務の過重労働で心身ともに「倒れてしまう」(報道)と追い込まれている。
(2)都道府県からの応援、派遣職員はいるが受け入れ側の準備、体制に限界があり、地元自治体職員の負担は大きい。もう少し頑張れば全国からの応援、派遣職員、ボランティアの生活受け入れ体制も余裕が出てきて地元復旧支援者にも余裕、力は出てくるのだろうが、若い人、仕事を持つ人が「この」地で将来託して暮らしていけるのか、希望、期待、望み、夢がもてるのかの「現実」問題もあるのだろう。
(3)かって能登地方を回った時に輪島塗伝統工房に「若い」男女職人が多く従事していて、能登伝統文化の伝承、継承に大きな力、希望、期待、夢を持ったことがあり、今回の能登地震の大きな被害の中でもこういった「若い人」たちが中心となって復旧、支援、復興を担ってくれるものと思ったが、「現実」はそうは思いどおりにはならない。
(4)いわれているように能登地震被災地、能登半島の地形が大きく影響している。三方を海に囲まれて周囲から多方面に陸路を使って避難、救援、支援することがむずかしく、陸路は1か所に限られて避難にも復旧にも支援にも渋滞、遅れ、困難がみられて、苦労している。
これは能登地方の災害復旧、経済、文化、生活の復活にも大きな問題であり、若い人、仕事を持つには将来に展望、期待、望み、夢がなかなか見いだせない、持てないものとなって、冒頭のように能登を離れる選択につながっていると考える。
(5)もっと時間をかけて、時間とともに「能登」が復旧、復興、復活に向かえば若い人、仕事を持つ人も戻れるものであり、伝統文化、工芸技術、食文化、観光事業で優れた地域でもあり、企業の本社機能も多くあり、政府、自治体も「災害に強い『能登』」をつくり上げて復活、復興につなげてほしいものだ。若い人、仕事を持つ人が戻ってこれる「絶対条件」だ。