いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

賃金と生活保護の逆転。 turning phenomenon of wages & livelihood protection

2012-07-26 19:46:20 | 日記
 (1)働いて生活を楽にしたい最低水準生活(standard of minimum life)にとって、働かないで生活保護(livelihood protection)を受けた方が収入が高いという「逆転現象(turning phenomenon)」が04年に指摘されて、08年に是正のための法律改正を行ったが一向に改善に向かわない。

 使用者側にとっては、長引くデフレ、円高不況で企業収益改善に人件費抑制にシフトしており、労働人口構成、社会構造を考慮しないで判定して一律による賃金上積みは経営悪化に直結する問題なだけに余裕のないところだ。
 審議会では、東京、関東地区、大阪の大都市圏中心の最低賃金(minimum wages)と生活保護給付の逆転格差を原則2年以内に解消する方向性を打ち出す(報道)のが精いっぱいというところだ。

 (2)東日本大震災の影響もあって生活保護世帯が140万世帯(200万人)以上と過去最高を記録して、さらに長引く国内のデフレ、円高不況を受けて増え続ける一方だ。
 デフレ、円高不況に雇用不安社会に対して、有効な政策を打ち出さない政府に問題原因があって、なにしろその震災、生活保護社会に追い打ちをかける消費税引き上げに政治生命を懸ける首相だから、こちらも政策プライオウリティ(priority)の逆転現象だから始末が悪い。

 (3)産業界の非正規従業員が35%を占める労働人口構成を助長して、最低賃金水準が生活保護給付を下回るという珍現象を引き起こして、働く意欲、決意、やる気の底上げにブレーキをかけてきた政治の責任は大きい。
 政治の「視点」が見栄(みば)えに偏向して目先ばかりの比較検証、裁量の幅のない狭義の洞察力、展望のない野望政治になり下がってしまった結果の名目上の珍現象社会だ。

 (4)最低賃金保障と生活保護給付の逆転現象是正には、非正規従業員が35%を占める労働人口構成の経済構造の見直しが必要だ。人件費抑制、調整機能のための手段としての変則(非正規)な労働形態が最低賃金水準を押さえて、逆に弱者救済の社会保障整備の高まり、社会理念の中で比較逆転現象が起きている。
 
 (5)生活保護は一時的なものまたは特別なものとして、そこから脱却する環境の整備、社会参画への構造改革が必要だ。
 本当に必要な人のために制度となっているのか、生活保護世帯の増加で対象者の判定、判断に問題のある事例も出て来ており、「社会復帰」の意欲、意思を前提とした生活保護制度でなければならない。
 そういう意味では、生活保護給付の増減(頼る思想)が問題にされる以前に、「社会復帰」思想、同インフラ整備が基本になければならないものだ。

 (6)企業は、安易に経営効率的、時間限定的な非正規従業員に頼るのでなく、持続性のある雇用体系の中で長い労働スパンでの生産効果、収益効果を反映した賃金制度で雇用者の期待、意欲、やる気に代えて応えるべきだ。
 
 最低賃金水準(standard of minimum wages)が一時的にも生活保護給付を下回るには、生活保護からの早期脱却、「社会復帰」思想、同インフラが完全定着した社会構造でなければならない。

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終身雇用制と次世代。 moral employment system & next generation

2012-07-25 19:35:29 | 日記
 (1)かってのGDP世界2位で経済大国として注目を集めた時代の日本の経済力は、国民の教育水準の比較高さ・標準性、勤勉性、協力性、順応性、規律性の高さが生産力、開発力、販売力を維持して高く評価されてきた。
 その中に終身雇用制(moral employment system)もある。就職すると余程のことまた本人の希望でもない限り、生涯その仕事に従事する安定感、習熟性、成熟度が意欲、活力、計画、人生設計に貢献できるメリット(merit)がある制度として、長く日本経済を支えてきた。

 貿易技術立国の日本では人材、人間力は高い社会資本として、生涯を通して育て、向上、配置して企業力の基本財産として高度経済成長を支えてきた。

 (2)その後、情報化社会、経済のグローバル化時代を迎えて産業も2次産業中心の長大重厚型から3次産業、情報産業中心に変化して、生涯同一企業精神性から欧米型の適材適所、個性能力、専門性活用型の労働形態も多く取り入れられるようになって、今や非正規社員が35%を占める日本の産業人口構成だ。

 しかしそれは企業生産効率化のピース(piece)としての労働力だけでなく、日本も高度経済成長期を過ぎて反動としての安定不況時代の経済成長鈍化の中で、人件費抑制策、調整機能対策として採用されてきたものだ。

 (3)しかし、世界経済は08年の米国リーマン・ショック以降、世界同時不況、異常な円高が恒常化して現在も欧州財政金融危機が回復の方向性もなくて、円高ドル・ユーロ安、株価低迷が世界経済に暗い影を落としている。

 欧米型の労働形態が注目されていた頃にも、米国では日本の「終身雇用制」が注目を集めたことがある。トヨタほか日本の自動車産業、製造業が米国社会に進出してイニシアチブ(initiative)をとっていた頃で、高い安定性、習熟性、成熟度が企業活力に貢献すると見直されたものだ。

 (4)そういう日本独自の労働形態が国内外の長引く金融不安、デフレ、円高不況の中で、さらに韓国、中国などアジア新興国の経済成長、開発力の影響をモロに受けた家電業界を中心に企業生き残りのために軒並み大規模な人員削減(restructuring)を発表して、またアジア新興国企業とのM&A、資本提携協力関係に活路を求めている。

 手っとり早い企業収益改善(人件費抑制リストラ)の方法でしか企業存続がむずかしい現実だ。欧米ではワークシェアリング(work sharing)で雇用確保優先の動きもある。
 生産部門の海外拠点化、外国人採用も合わせて日本の終身雇用制からのやむを得ぬ撤退だ。

 (5)日本企業の特に創業経営者には終身雇用制にこだわりもあって、人員整理には敗北感も強い。また今の時代にあっても一線企業内には労働者の企業への愛着も強いデータもある〔シャープでは経営者の「人員整理よりは会社解散を選ぶ」に多数の社員から会社存続のために自主退職の申し出があった(報道)〕。

 日本は世代の二極化、格差問題もあるが、次世代を見据えた「持続性」のある雇用形態について企業も労働者も責任ある判断、行動が大切な現在だ。
 雇用不安に効果的な政策を打ち出さない政治の貧困が問題だ。

 

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原発事故調査の背景。 background of a.p.p accident investigation

2012-07-24 19:37:28 | 日記
 (1)問題があるから事故は起きる。起こり得る問題をすべては把握することなど不可能だから、事故は必ず起こり得る。だから「間違っても安全(fail safe)」の事故対策が必要なのだ。
 東電は、福島第1原発において、東日本大震災前にすでに15m規模の巨大津波の可能性を予測していながら、周辺住民に不安を助長するとして安全対策から意図的に削除していたことがわかっている。

 問題を把握していながら、必ず起きる事故への安全対策からその問題を除去していては、起こり得るべくして起きた福島原発事故であった。これを「想定外」の事故として片付けようとしたのが東電の企業体質であった。
 政府事故調査委員会(委員長)からは「しっかり見なければならないものを見ようとしなかった」趣旨の責任論が指摘された。

 (2)福島第1原発事故調査報告書(report of atomic power plant accident investigation)が出揃った。当時の首相が任命した政府事故調査検証委員会に、これでは政府寄りの偏向報告になると国会が立ち上げた事故調査委員会、財団法人の民間事故調査委員会に東電の事故調査委員会だ。

 福島第1原発事故の実態、原因究明は、いまだ放射線量が高く危険で核心部分への立ち入りが出来ないので依然不明のままだが、外郭部分の政府、事業者の対応については情報システムの活用、代替機能の安全設計、指揮系統の整備、技術力、判断力など基本部分での準備不足による起こるべきして起きた原発事故であることがはっきりした。
 これに「うそ」と「改ざん」の歴史の電力、原発事業者の国民をあざむく情報操作体質、企業体質が原発事故を招いて、対応の不備、拡大につながったことはあきらかだった。

 (3)さらに問題は、この事故調査検証報告を国民の安全、生命、生活、財産、権利を守るために今後の原発行政にどう判断し、取り入れていくのかの重要なアプローチ(approach)があるが、この前に政府はすでに大飯原発の再稼働を決定して本格的電力供給を開始している現実だ。

 すべての事故調査検証委員会、活動そのものがすでに時宜(じぎ)を失した完全に浮いた存在として焦点を失った、持っていく行き場のないものとなっている印象だ。
 パラドックス(paradox)として事故調査検証報告(の存在)が、大飯原発再稼働の時期尚早を証明することになった。

 (4)東日本大震災では復興構想会議が震災3か月後の発足で、政府事故調査検証委員会の5月発足と合わせて政府の震災復興復旧対応の遅れが指摘されていた。その結果としての震災現場、被災地、行政、政策とのその後のミスマッチ現象だ。

 将来の電力構成についての三者択一方式の国民ヒアリングも、福島第1原発事故調査検証報告の出揃う前からの問題整理、原因調査報告の国民周知もない中での拙速な実施で、整合性、公正性を欠く政府行政の有り様だ。

 (5)事故調査検証報告を生かしての「間違っても安全(fail safe)」の対策に行き着いての原発行政だ。そうでなければ、脱原発の道しかない。

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署名の目的外使用。 use besides the aim of signature

2012-07-23 20:01:46 | 日記
 (1)法治国家(governing state by law)日本で法律に違反しなければ何をやってもかまわないかと言われれば、それは当然違うということになる。
 道義的な問題もあれば、信頼、信義則の問題、社会通念上の問題、生き方、信念の問題もあるし、悪法と言われてまた現実に不適応で遵守することが履行者を苦しめる場合もあり、見直し、改正されることもよくあるからだ。

 名古屋市で11年2月に実施した市議会解散請求(recall)成立で集めた署名(簿)が、その後選挙目的で関係立候補者側にコピーされて提供されていた流用事例で、市議会が同署名受任者からの目的外使用(use besides the aim of signature)拒否の請願を受けて、リコールを主導した市長が代表の減税日本と自民党県議団が対立している。

 (2)減税日本側は選挙活動は個人情報保護法の適用除外だとして、署名簿を選挙目的で使用することは違法ではなく、リコールも選挙も市政改革活動として一貫したものだとして目的共有の正当性を主張している。
 一方、請願者はリコール活動に賛成してその目的のため署名したもので、その他(選挙も含めて)の目的で使用することを了解、了承したものではないとして、これを受けて自民党県議団が市長、減税日本の対応に反発している。

 (3)リコール活動の際に署名簿を「市政改革活動の目的に限定して管理する」と明記していたことが、今回の目的外使用拒否の①請願者と法的に問題はないとする②減税日本とで解釈(拡大)の違いが混迷を招いている。
 ①請願者はリコール成立活動に賛成して署名したので、それ以外に「勝手」に利用されるのは目的外使用だとし、②減税日本は法律を盾に選挙を含めて市政改革活動に利用して使用することは目的外使用の違法なものではないと主張している。

 (4)署名協力者からすればリコール成立活動のための署名運動(campaign to obtain signature)であって、個人情報(氏名、住所)の提供はそれに限定利用されることと認識するのはごく一般的な解釈、理解だ。
 これが署名依頼者と賛成者(協力者)のごく普通の信義則であって、法律論を盾に違反しないから「勝手」に提供、流用するなどとは、賛成者(協力者)への意思を尊重しない道義的配慮、信義則を著しく欠く行動だ。

 (5)仮に他の政治活動にも利用する意図があるなら、署名前に具体的な表現で了承、確認をとるのが良識、前提だ。
 当初、減税日本(市長)は署名簿流出はないとして調査すると言っているので、その他の政治活動(市政改革活動)に利用することなど考えていなかったことはあきらかだ。
 署名簿の選挙目的の流用があきらかとなって、後出しでのこじつけ解釈、理由付けで法律的解釈適用問題以前のリコール署名の協力者に対する信頼、情報管理責任を裏切る行為だ。

 (6)市長を代表とする減税日本は、当時の市長の人気、支持を背景としていきなり市議会の第1党に進出したが、その後ほとんどが新人の議員の資質、活動力、党内意見疎通に次々と問題が出ている。
 選挙目当て、勢力だけの数合わせの限界を示しており、首長の支持の高さを背景とした地域政党の中身、構成について慎重な検証、責任が問われている。
 国政進出を戦略とする首長が代表の地域政党に共通する課題だ。
 
 

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いじめと文科省。 tease and MEXT

2012-07-22 19:33:55 | 日記
 (1)文科省(MEXT)がいじめ(tease)は必ず存在するという認識、前提のもとに、全国小中学校にアンケート調査を実施して学校現場をサポートするチームを文科省内に設置する対策を文科相が公表した。
 いじめの問題は、古くて新しい教育問題として有効な解決、対策もなく、親、学校・教委、社会が責任を押し付け合う形で深層深い霧の不透明のまま無責任に放置されてきた。

 相当深刻な事態もくり返し発生しながらも、それぞれが因果関係などと責任のなすり合いの自己正当化論で犠牲者にだけ責任を押し付けてきたのだ。
 昨年10月に大津で起きた中学2年生の自殺事件でも、親は学校、加害者(いじめ)を相手に賠償責任の民事裁判を起こし、当初教委は自殺といじめの因果関係はないと主張し(その後ないともいえないと変更)、学校現場は全校生徒への同アンケート調査での重要証言情報を公表せずに型どおりの調査終結で、学校現場でのいじめ実態の事実を隠していた。

 親、学校・教委、社会それぞれに犠牲者のトラブル・サイン(trouble sign)を見過ごして、見逃してきた(あるいはもっと身近な問題として自覚する)責任は大きい。

 (2)初等・中等の義務教育は、国家権力(政府)による教育指針(教育指導要領)を基本として浸透して、一方ではそれに対抗して学校現場での中立性を訴える、実現しようとする思想性(組合運動)も対極として存在する、実は不規則社会性現場でもある。
 
 高等教育研究機関の大学のように自由、自在、多岐、多能、可能性がない分、初等・中等教育の二極化主義は本質を見極められない狭義の教育に対する責任のなすり合い温床、是認の歴史でもあった。
 こういう不幸な教育環境が野放しあるいは強制か拒否かの二極化体質の中で、初期成長期の子どもにも公平とか平等とか協力とか自立とかの精神性を育んでこなかった教育実情がある。

 初等・中等教育には、思想性は完全に排除するかあるいはあらゆる思想性を比較取り入れるかの二者択一しかないが、本来教育は国家権力、一部思想性(専門教育では別)の介入を排除した自由で自在、多岐で多様なものでなければ比較存在意義(考え、比較検証、立証、考証、開発)を失うから、国家権力の介在を拒否するものだ。

 (3)いじめを含めて教育現場の問題は、親(当事者含む)、学校・教委、社会当事者が連携して問題を共有し合同チームで対策することが基本で、当事者としてもっとも身近で現実的問題であり共有利益の解決のためにチームとして責任も共有できる方程式だ。

 親(当事者含む)、学校・教委、社会を連携、合同することもなしに国家権力(文科省)が教育現場指導に介在しても、問題の根本解決にはつながらない。

 (4)大津いじめ自殺事件は警察の捜査介入で一定の教育的抑止効果はあるかもしれないが、本来どちらにせよ犠牲的立場にある子どもへの夏休み中の聞き取り捜査でさらに「子ども」というピースを巻き込むことになった。

 文科省がすべきことがあったとすれば、同事件への警察捜査介入の前に教育指導当事者として利害共通関係者内での問題把握、解決、改善のためにリードし努力することだった。
 昨年10月から9か月、余りに遅い、長い問題放置、責任放棄の不始末で、その結果としての今回の不適応な文科省の対策だ。

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