いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

日中アグリーメントの足かせ。 fetters by the agreement between japan and china

2014-11-10 19:39:20 | 日記
 (1)日中首脳会談が今日午後に開かれた。公開された冒頭の映像ではとても国を代表するもの同士、「客人」をもてなす応対とは思えない白々しいものだった。
 首脳会談のあと共同のステートメント(statement)、アグリーメント(agreement)が発表されるのが通例だが、首脳会談の前にアグリーメント(合意文書)が発表されるという異例の首脳会談となった。

 あたらしい両国首脳が就任して2年半近くも会って話をするということがなかった歴史認識(安倍首相の靖国参拝)、尖閣領有権問題で対立したままの日中関係が続いている。
 安倍首相は条件のない日中対話、首脳会談を望んできたので、今回の首脳会談前のアグリーメント発表は日本側が中国に譲歩を示しての首脳会談開催にこぎつけたということだ。

 (2)アグリーメントは、1 安倍首相が第1次内閣時に呼びかけた戦略的互恵関係の継続的発展、2 歴史を直視し、政治的困難の克服、3 領有権問題で両国は異なる見解を有し、対話と協議を通じて危機管理メカニズムを構築、4 政治、外交、安保対話を徐々に再開の4項目(報道)になっている。

 具体的表現は避けているが中国側の日本に対する従来の主張をおおむね取り入れたもので、早速中国外相も日本側の誠意ある実行を求めるよう要請してみせた。

 (3)日中関係改善は日本側の対応次第という中国の認識(首脳会談は日本側からの要請で開催と表明)を合意文書にして示したものだ。
 両国が首脳会談の前提条件として合意文書に残したことによって、日本側のこれからの対応、対話を縛る可能性が大きい。

 北京でのAPEC開催で議長国の中国の習近平国家主席としては、「客人」としての日本の安倍首相と会うことは名目が立ち、もっとフランクに対話をする環境は整っていたと思われるが、異例の首脳会談前(条件付き)の合意文書に残して新首脳同士のはじめての首脳会談に持ち込んだことは、今後もこれに対する日本側の誠意ある対応を強く求め、注視する立場を鮮明にしたものだ。

 (4)合意文書で具体的表現は避けたが、そもそも条件なしの対話を望んだ安倍首相の意向に反して中国の主張が取り入れられており、中国はこれまでの主張に添った日本側の対応、履行を事あるごとに主張し、履行しなければ約束違反と批判の矛先(ほこさき)を日本に向けるだろう。

 今日開催の日中首脳会談(25分間ー報道)で具体的な政治課題に踏み込むことはなく、今後継続して両首脳が会って対話を重ねるには合意文書中身の日本側の履行を条件にして迫るはずだ。

 (5)首脳会談前の合意文書という「重荷」を背負った日本側、安倍首相としては、とにかく日中両首脳が会って対話をするという実績以外にメリットを見い出せないもので、今後の日中関係改善の具体的な足かせ(fetters by the agreement between japan and china)にもなるものだ。

 経済協力、共同開発プラント(plant)事業の再開、小笠原近海の中国船のサンゴ違法操業への中国側の指導、対応をからめながら、とりあえずより対等(equality)な関係に戻しての日中関係改善を模索する努力が必要だ。

 (6)まずは日中経済協力関係の改善を目指し、歴史認識、尖閣領有権問題の解決には歴史と同じように時間を要するだろう。
 今回のはじめての安倍、習首脳会談は首脳会談前の合意文書の取り交わしが足かせになってこれからの対話の継続性の障害となり、なかなか日中関係改善の成果へつなげるものとはならない可能性がある。

 中国側が合意文書中身の履行を日本に迫りながら、「政治、外交、安保対話を徐々に再開」(合意文書)する日中関係の模索が続くだろう。

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宇宙基本計画の浪費。 wastefulness of cosmos fundamental scheme

2014-11-09 14:57:07 | 日記
 (1)宇宙開発はかっての米ソが月に人間を送り込む計画を争った宇宙開発競争に代表されるように宇宙科学技術開発が目的のように装っているが、現実はそれ以上に非公開のうちに打ち上げられる軍事衛星が主流の世界であることはよく知られている。
 近年も経済成長著しい中国が宇宙開発競争に参加して、宇宙からのミサイル誘導発射技術の保有の懸念が米国をはじめ西側諸国では警戒話題となった。

 (2)日本も気象衛星、地球上の位置をセンチ単位で正確に把握できる全地球測位システム(GDS)衛星の打ち上げで大容量の情報ネットワーク活用を目指して、また衛星打ち上げのロケット開発で宇宙産業の国際化、商業化を推進する。

 政府は10年間で5兆円規模の事業(報道)として宇宙基本計画(cosmos fundamental scheme)素案をとりまとめた。
 今、宇宙開発を代表する国際宇宙ステーション事業は米国がスペースシャトル運用から手を引き、ロシアが地上と宇宙ステーションの輸送を担う、米国とロシアさらに日本ほかの国際協力のもとに宇宙開発事業が進められている。

 (3)かってのように米ソ冷戦時代の国家的威信をかけた月に人間を送り込む宇宙開発競争を両国が独自に進めるというムダ浪費(wastefulness)は解消されて、地球人が未知の宇宙を目指す宇宙開発事業は国家、地域を超えた国際的協力事業として機能しており、宇宙開発のあるべき姿となっている。

 国際宇宙ステーションには国の違うクルー(crew)が同在して協力して運用されており、今年前半には若田光一さんが日本人としてはじめて船長として指揮をとった。

 (4)宇宙開発事業は国ごとの開発競争ではなく、国際社会が目的を同じく利用データを効率的、効果的、発展的に活用、運用するために一致協力して取り組む全世界的(global)事業であり、新産業革命である。

 気象情報、全地球測位システム、情報ネットワークの活用は国際社会共通、共用の情報機能として、国際社会が相互に開発資金、技術、人員を提供し合って進めるべき事業だ。

 (5)政府は基礎科学技術の継承、持続性(sustainability)を目指すとして日本独自の5兆円規模の宇宙基本計画を策定、推進するが、国際宇宙ステーション事業の同時進行中の事例、米国が独自の宇宙開発事業を見直す動きなどもあり、宇宙開発の国際協力、科学技術開発協力の道を探るべきだ。

 5兆円規模といえば消費税8,10%引き上げ効果にも匹敵するもので、将来の社会保障政策財源への不安を政府が言って国民投資(税負担)、国民生活に過度の負担(物価高)を強いるなら、日本独自の宇宙開発の基本計画は見直しが必要だ。

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川内原発再稼働の不安。 anxiety of reoperation of atomic power plant

2014-11-08 19:38:45 | 日記
 (1)原規委のあたらしい安全基準審査に合格した九電川内(せんだい)原発が地元市、県議会、首長の同意を受けてトントン拍子で再稼働が決定した。
 安倍政権が将来エネルギー基本計画に原発再稼働(reoperation of atomic power plant)の必要性を唱えているが、そのベストミックスを10年先送りして原発再稼働に政府方針を明確にしたわけでもなく、あいまいなまま原規委に原発再稼働安全審査はまかせて原発再稼働の許可は政府、原規委双方が押し付け合うという国の方針が定まらない中でのトントン拍子の九電川内原発再稼働の地元同意だった。

 (2)地元の同意は電力事業者と地元自治体との安全協定に基づくだけのもので(法的規制はない)、九電は立地自治体(薩摩川内市と鹿児島県)にのみ同意を求めて、原発再稼働に懸念を示す周辺30キロ圏内の自治体には対応しなかった。

 青森県大間町の原発建設計画に対しては、海峡を挟んだ函館市長が同原発建設反対を訴えて原告訴訟を起こしている。
 福島第一原発事故は廃炉までが40年以上の時間を要し、事故後3年半を過ぎた現在も帰宅困難地域を残し汚染廃棄物の処分場でも受け入れ調整が難航し、東電の同原発事故対応計画も半年遅れとなり見直しが必要になっている。

 (3)福島第一原発事故対応が計画通りに進まずに、原発立地周辺自治体からは原発再稼働への不安(anxiety of reoperation of atomic power plant)、懸念が示されるなど原発再稼働の信頼性に確固たる解決策(solvability)を示せない中での、さらに原発再稼働がなくても今夏の電力需給に問題はなかった国内社会事情の中での闇雲の九電川内原発再稼働の同意だ。

 原規委が世界一の安全基準審査だと言ってみてもかっての崩壊した原発「安全神話」をくつがえすものではなく、経済界、電力事業者の安定した経済経営活動の要請に応えるだけのまったく不安定な根拠に基づく急いだ川内原発再稼働シナリオだ。

 (4)政府の確固たる将来エネルギー政策の見直し策定もなく、国民の合意もなく、どれもこれもがあいまいなままの出たとこ勝負の手順を急いだ結果だ。
 国の重要政策、将来エネルギー政策としての原発問題が確固たる政策根拠もないままに、原規委と電力事業者と立地自治体の三位一体だけでトントン拍子に再稼働を推進するというこれは異常事態というべき現象だ。
 法治国会の理念に反して、国民主権としては理解しがたいものだ。

 (5)原発立地周辺自治体の不安、懸念は関係自治体市長原告による訴訟中であり、結論(結審)を急ぐとともに政府、東電を含めて原発事故対応の確固たる責任ある解決策を示して、国民に理解を求めて合意形成のうえでの原発再稼働を考えることでなければ社会、国民意識に受け入れ難い「断絶」を招くことにもなる。

 それは原発立地自治体と周辺自治体、都市と地方の「隔絶」であり(separated)、安倍政権が掲げる地方創生にも影響を及ぼすインバランス(imbalance)になるだろう。

 

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主婦インターンシップ制。 internship of wife labor

2014-11-07 19:53:01 | 日記
 (1)女性の活躍する社会を成長戦略の柱のひとつに掲げる安倍政権は、多様な労働形態や残業代ゼロ、賃金の成果主義、待機児童ゼロ、女性管理職登用30%などで労働環境の改善をはかっている。

 男性よりも人口比率が高く長寿の女性の社会参画は社会の活性化、成長には欠かすことのできない重要要素であり、少子高年令化社会の対応と同じように取り組みが随分と遅れていた。

 (2)女性の社会参画推進にあたってのシンメトリー(symmetry)の男性社会の協力、変革は相対性原理(the theory of relativity)として必要要素であり、男性の育児休暇、労働時間の定時制、残業代ゼロ推進で女性の働きやすい労働環境の条件整備も考えられて進められている。

 政府の進める女性の活躍する社会は、女性管理職30%実現目標に代表されるように条件整備優先で押しつけがましいものであり、与えられ押しつけられた女性の活躍では女性の社会推進力にはならないのはいうまでもない。

 (3)女性が自ら働く意欲を持ち、現状社会を打開する意思と努力、能力を持って目的を達成することこそが大切だ。
 女性管理職30%実現目標のお膳立てではなく、存在感で必要性で勝ち取ることが社会活性化、成長につながるダイナミズム(dynamism)となるのだ。

 政府の取り組みが遅いと書いたが、いまどき女性の活躍する社会が重要政策として取り上げられ条件整備に動くなどとは政治の怠慢でしかない。

 (4)憲法は男女同権、平等思想が保障されて男女共同参画社会は随分前から唱えられて、就職採用条件でも男女差別撤廃が定着しながら企業を含めた社会、ついでに政治ではなかなか守られることがなかった。

 それは必ずしも男性社会にばかり責任があったというものでもなく、女性の中にも強い意欲、意思、自主、自立精神性が不足していた部分もあった。

 (5)多様な労働形態を模索する中で派遣法改正案が今臨時国会で審議中だ。これまで期限(3年)を切って派遣労働が可能であったものを恒久的に派遣労働を認めようというものだ。派遣労働者の身分を保障しようという一方で正社員化への道を閉ざすものとして与野党が攻防し合う審議だ。

 労働形態は正社員化からパート、アルバイト、派遣、フリーターが60%を占めるまでに変化している社会だ。

 (6)さらに在宅就労制や短時間制、組み合わせ制、再雇用制と多様な労働形態が検討されている。その中に「主婦インターンシップ(internship of wife labor)」制がある。
 学生のインターンシップはすでに定着しているが、経産省が進める「主婦インターンシップ」は「仕事への復帰を望む主婦が中小企業で実習をし、最長3か月の実習費は国がもつ」(報道)もので50%近くが再就職(同)を果たしている。

 (7)「主婦(house wife)」というのもどうかと思うが、インターンシップ制は幅広く女性力を受け入れる労働形態としては意欲、興味、関心に応えるもので、労働形態理念としては意義のあるものだ。
 増え続ける生活保護者の再就職対策としても活用できる。

 

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米国政治の地殻変動。 change of the earth crust in the politics of u.s.

2014-11-06 19:48:54 | 日記
 (1)米国が前向きに「change」することを期待したが、米国民の選択は「強い米国」への回帰だった。オバマ大統領2期目の議会中間選挙は民主党オバマ大統領の支持率低下(41%)、不支持率55%の逆転現象のとおり、米国議会上下院ともに共和党が過半数の絶対優位結果となった。

 米国政治は議会、大統領ともに国民の選出によるもので議会の構成が直接大統領の職務権限行使を縛るものではないが、その大統領の国民不支持率も55%と過半数を占めて、結局は議会上下院多数派の共和党の意向抜きには米国政治は立ち行かなくなる非常事態を迎えた。

 (2)日本の議会制民主主義政治の場合は選挙結果による議会構成の多数派優位を反映した首相の交代となるので、国内政治、政策は国民の選択意思が基本的には推進される議会対応となるからわかりやすい。

 米国政治形態(直接民主主義政治)の議会と大統領の2頭政治のやりくりのむずかしさが今回はオバマ大統領の不人気でモロに結果として出た。
 選挙出口調査ではオバマ大統領の不支持率が55%で、しかし民主、共和2大政党の不支持率もともに54%で過半数を占め、2大政党に前回中間選挙で新風を送り込んだ「茶会(tea party)」も支持率32%を不支持率36%が上回り、どれもこれもが国民から否定されて米国国民の「政治不信」が顕著なことがよくわかる。

 (3)今回の議会中間選挙結果も国内政治、政策の争点のない選挙といわれて、民主党オバマ大統領の不人気がよりクローズアップされて「どちらがよりましでないか」の消極的な消去による国民審判となった結果だ。

 冒頭に米国国民は「強い米国」共和党への回帰を選択したと書いたが、今までと違って米国政治が大きな岐路に立っているのは間違いない。
 今までのように民主党大統領がダメなら共和党への揺り戻し、信頼回復という選択手順ではない、国内政治の行き場のない国民の不満が民主党オバマ大統領拒否としての共和党勝利であることが選挙出口調査ではっきりした。

 (4)前回の議会中間選挙での「茶会」の新風台頭が2大政党政治へのアンチテーゼ(anti these)として米国政治の変化と捉えたが、今回は米国政党政治全体への不満、不信が選挙出口調査であきらかだ。

 2大政党制の米国政治への地殻変動(change of the earth crust in the politics of u.s.)がさらに進んでいる現象だ。
 米国政治は今後どこへ向かおうとするのか、敗北民主党オバマ大統領と勝利共和党多数の上下両院議会との関係は米国政治対立を招いて停滞させるのは間違いないだろう。

 (5)米国はGDP世界1位で同2位の中国の2.5倍と圧倒的な経済力を誇り、世界最大の軍事力国家であり、経済、軍事力を背景にした政治力で唯一の覇権国家として国際社会をリードしてきたが、国内失業率は最近まで10%以上と高く(現在5%前半台に回復)、毎年末に議会と対立して予算執行ができずに国債債務不履行(default)に迫られ、国内には紛争地への軍事的関与を拒否するえん戦気分の高まりもあり、経済、軍事力を背景とした国際的影響力にも自制と陰りが見え始めている。

 (6)この間に経済成長の著しい中国をはじめとして新興国の台頭があり、世界の枢軸は先進国G7から新興国を含めたG20へ移行している。

 米国も変わらなければならないのだ。今回の議会中間選挙で国内的にもその地殻変動は動いており、国際的にも協調主義は有効な政治、軍事手段となっている。
 いつまでも「強い米国」ではいられないのだ。

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