時々オーディオ機器に神経質なくらい「美観」を求める方に出会う。それこそ「キズ一つ許さない」潔癖さを感じます。高価な機器を買って「使い古したくない」と云って、珠にしかアンプの灯を入れない方もいらっしゃいます。モノを大切にする気持ちは大変良く判るのですが、度が過ぎるのか?勘違いをされているのか?と思う時が多々有ります。機械は使ってやらないとコンデンサー類等劣化して行きますし、「良いサウンド」を求めると機器を動かす回数も増えます。動かす回数が多ければキズを付ける確率は格段に上がります。美観と音質には反比例の関係が歴然と有ります。
オーディオ機器(CDP・アンプ・SP・ケーブル等)は、一度使っただけで「中古」になります。その時点で「評価額」は相場的に半分以下になるでしょう。ヤフオクの出品例を見ていますと、使っていたご本人が他界され、ご遺族の方が機器の処分の為に出品されているのを良く見かけます。オーディオ機器は「趣味」の機器ですので、同じ趣味を持たない限り、親から子へその機器達が伝承されて行く事は有りません。
今使っている機器達も自分が居なくなったらどうなるのだろうか?・・・と思う事が有ります。幸い息子には同じ趣味を理解させていますが、彼には彼の好みが有りますし、既に私のメインシステムと同グレードのシステムを持っていますので、私の装置は別に要らない訳で、おそらく処分される運命だと思います。せめて自分が使っている間は「自分好み」のサウンドにして使いたいと思っています。
WEのSPやアンプ等「プレミア」が付いて、現在でも高額で取引されている機器達も有ります。これからどんな機器達にプレミアが付いて行くのでしょう?個人的な推察では、JBLやALTEC・タンノイの古いユニット達にプレミアが付き始めています。JBLのSP系でも既にプレミアが付いているモノが有ります。蜂の巣(HL88)は発売当時¥12万円/個(1970年頃)でしたので、ペアで¥24万円。現在は¥30万円以上出さないと奇麗なモノは手に入りません。
しかし、オーディオの趣味をする方がドンドン減少している現状で、将来的にプレミアが付いて行くかは疑問です。
首題に帰って、「オーディオ装置は遺産には出来ない」と思いますが、処分する時に「オリジナル」で「美品」で有れば、少しはお値段が高く付く可能性は否定しません。自分が死んだ後の事まで考える必要が有るのだろうか?