SPユニットを作るのは大変な費用と技術と時間がかかります。ユニットまで作る事は出来ませんが、ユニットの組合せで自作のSPシステムを作る事は出来ます。SPメーカーでも自社でユニットを作らない処が結構あります。
さて、自分で「SPシステムを作る」(アセンブル)場合、どんなサウンドを目指すのか?でユニット選びが大きく変わります。BGM程度の音を目指すのであれば、使えるユニットは沢山あります。「生演奏」の再現を目指すのであれば、相当に優秀なユニット出ないと目標にはおぼつかないでしょう。
自分の場合、「生演奏」の雰囲気を再現させる為に色々なメーカーのSPシステムやユニットの音を聴いて周りました。若い時からの積み重ねです。「音変換効率の良い」高能率のSPユニットでないと「生演奏の雰囲気」は出難いと判断しました。そうして選んだのがJBLの#375です。ハーツフィールドやパラゴン、オリンパス等の1960年以前のJBL社のフラッグシップ機に採用されていたユニットです。
18才頃、JBLのスタジオマスターL-200のサウンドのエネルギー感に満ちたサウンドに一変に取りつかれました。その頃の色々なメーカーのSPシステムも聴きましたが、エネルギー感でJBLのSPが大変に気に入りました。ただその頃は財力も部屋も持っていませんでしたので、L-100を購入して我慢していました。その後、#4343を購入してしばらく落ち着いていたのですが、年齢も50才を越えますと、自分の寿命を考える様になります。「あと何年ステレオを楽しめるだろうか?」生きているうちに満足な音で楽しみたいと考える様になりました。少なくとも60才までには作り上げて、後の余生は音楽を楽しむ・・・と云う風に考えていました。現実的にほぼその計画に近い状況になって来ています。
話がそれましたが、「生演奏の雰囲気」を持ったSPシステムを作り上げる為に、低域はコーン型のユニットしか有りませんが、(出来れば低域もコンプレッションドライバーにしたい希望はある)中・高音はコンプレッションドライバーが有ります。ドーム型、コーン型では質感と音数が伴いきれません。そこで、基本ラインとしてJBLのユニットで3ウェイを組みました。1セットだけでは「まぐれ」の可能性も有りますので、3セットを同時に組み上げました。中域は#375、高域はLE85+#2405に決定。#075も使って見ましたが、私の好みは#2405でした。
ここまでは誰でもやっている事です。40年前くらいはこの程度のアセンブルは誰でもやっていました。私も初めはそれで良かったのですが、聴いていると「ふん詰まり」を感じる様になり、それで少しづつユニットに手を入れる様になりました。現在では自分仕様のユニットにして高性能化させて使っています。質感や音数が別物くらいに違います。同じユニットでも再現する世界が大幅に違います。ユニットも同じ型番で有っても、時系列的に「コストカット」されている様で、「初期型」に近づく程癖のないユニットになる様です。
自分でやってみなければわからない世界です。でもこれくらいの知識が出来ないとオーディオは面白くない。