これまで、「シララカムイ 岩の神」、「シラッキカムイ 家の中の神、守り神」、「シランパカムイ 地上の木、加工した木の神」に付いて書いてきましたが、申し訳ない、東北・北海道には、まだ白い神がいます。
江戸時代の国学者・菅江真澄が表した書・「月の出羽路」によると、「松前に白神の浦あり。磯山をしら神山といふ。いにしへのこの山の石室の内に斎グ御神也。今はその石室なし。あるとき漁人此の山に入りしかば、かの石の神殿の顕れたり。急ぎ麓に下りて、浦人をあまたいざなひ、ふたたび山にはいりしかど、さらに其神の石室なかりし也。をりとしてかの神殿を見る人あり。奇異こと也。」とあります。
うーん、昔の言葉の言い回しは難しいですが、「是れ世にいふ白神、おしら神也といへり」の文章から判断して、白神は福島県と岩手県の民話に残され、宮城県にもその風習が残されている「オシラサマ」のことでしょう。
カムイで考えると、上記の文章に「石室」が頻繁に出て来ますので、岩の神・「シララカムイ」がまず考えられます。
そして「石室」は「石による空間」、つまり住まいであり、家なので、家の神であり、守り神である「シラッキカムイ」にも繋がりますね。
更に歴史が降れば、人の家は石室から木造の家となりますので、地上の木、加工した木の神・「シランパカムイ」もそれに加わると思います。
この「オシラサマ」に付いて書くと本が一冊出来そうなくらい伝承がありますが、簡単に言うと「お雛様」のルーツのように思えます。
オシラサマとして男女二体の人形を飾るのですが、その中には人の男女の他に、鶏と馬の顔のオシラサマもあります。
これは何も意味しているのか考え中ですが、鶏と馬に関係している神様であることは間違いないでしょうね。
そう考えると、それに該当する神様の名前が浮ば無いこともないです。
また、オシラサマと言うと蚕を思い出しますが、蚕の色も白です。蚕で得られる絹もまた白色です。
オシラサマの人形の骨組みは桑の木ですので、木の信仰は当然考えられます。桑の木と蚕により絹を得られるということは、絹もまた木の神の恵であり、木の神への信仰に繋がることなります。
つまり白神であり、木の神であるオシラサマは、或る意味、地上に存在する全てのものに関わる神であると思います。
更に青森県・恐山の「イタコ」もオシラサマ信仰です。
神功皇后や多分、卑弥呼もそうだと思うのですが、神が巫女に憑依してご神託を申す訳でありすが、「イタコ」もまた神が憑依し、神の言葉を話します。その神はオシラサマだとされています。
こうい言った神道のご神託の習わしは、オシラサマにその源流があるように思えます。
では、このオシラサマはどのような神様なのか。カムイで考えると木の神「シランパカムイ」が一番近いと言えますが、、「シララカムイ」、「シラッキカムイ」と三神一体の神のであると私は考えます。。
では日本神話に登場する神としたら誰なのか。
これは多少、眉唾な話と感じる人もお出ででしょうが、青森県在住の霊能力者である木村藤子氏に語りかける神は「天照大神」だそうです。
「天照大神」を祀る神社では「神宮大麻」を施しますが、大麻もまた植物であり木の神への信仰が伺われます。
そのことから考えて、本来の「天照大神」と「豊受大神」にその幻影が見られるのではないでしょうか。
「天照大神」、「豊受大神」からも遡れると思いますが、流石に長くなりますので、今回はこの辺で筆を置きたいと思います。
ではでは。