人の金を預かる怖さ。【投資顧問会社編】 その4

続きます。

つまり、当時でさえ株価が高くなり過ぎだと思ってました。当時の日経平均株価の適正価格は精々9000円程度と考えてましたので、これは続けられないと思いましたね(私の予想は外れ、日経平均価格はは39000円前後まで行きましたが・・・)。

そして絶対神と信じたKMさんのご神託が外れた。外れたと言うよりそれ以上の魔物が現れた気がしました。
私のKMさんへの信頼も一気に薄れました。

今まで書いて来てピンときたかたがいらっしゃるかも知れませんが、私のKMさんへの思いは信仰そのものでした。

「宗教の怖さ。【オウム真理教編】」で書きましたが、私とオウム信者ってそんなに違わないと思います。か弱い者は強いものに縋りたいだけなのです。

麻原彰晃の予言??は外れたが、麻原は外れた理由を日本政府の妨害とした。

KMさんの予想は株式の持つ魔性に敗れた。魔性の前には人の予想など無意味。誰の責任でもない。株式の持つ独自の魔性は誰もあがらえないと感じました。

それでKMさんへの信仰は消えました。株の前では誰もが素人と言う事です。絶対は無いと思い知らされましたね。

その後、世界長の株は何とか買値付近まで戻し、私も私の客も損をせずに売り抜けました。

しかし、絶対ではない株式を売ると言う仕事に疑問を持ちましたね。

今みたいにネットでの取引が主流ではありませんでしたから、客への営業は「この株、上がりますよ」と言うしかないのです。下がって恨まれても仕方が無いです。

ただ単にディーラー業務に終始するのなら問題は無いのですが、当時はそんな事考えられない時代です。私は「この仕事は成立しない」と思いました。
株に関わるなら、直接株を売る仕事はするまいと思いましたね。

そんな事が有り、私はたった1年で務めていた証券会社を辞めました。辞めるべきでしたから。
この仕事は心を通わせては続けられる仕事ではないと無いと実感し、辞めても全然悔いはありません。辞めて良かったし、辞められて良かったと思いましたね。

その後、私は家業の新聞販売業を手伝っていました。
新聞配達は「やり遂げた」と言う、不思議な充実感があります。証券会社より達成感があり、私には向いているかもと思ったりもしました。

そしてある日、ふとテレビのニュースを見て"えっ"。こんな事あるのか、これは現実かと絶句。

何とKMさんとその助手が殺されていたのです。コンクリート詰めにされて、東京湾に捨てられてです。

私、鳥肌が立ちました。全身の血液が炭酸に様に泡立つ感じがしました。そして今まで証券会社で働いていた事に、改めて恐怖しました。鳥肌が立って、ブルブルブルブルと震えが来ました。あんな恐怖は初めてでしたね。

事件の詳しい真相は判りませんが、多分、ヤクザ関係から金を集め仕手株を買い大損をした。それで落とし前で殺された。

殺された時期はブラックマンデーを経験して数ヵ月後??だったので、多分これ間違い無いと思います。

私は改めて証券会社で働いていた事に恐怖を感じ、卒倒しそうになりました。それだけのショックでした。

ブラックマンデー前の暴落で人のお金を預かる事に恐怖し証券界を去った私は、本当にこの商売、成立しないと思いましたね。

殺された投資顧問会社を経営するKMさんとその助手の方とは、実際に会った事は一度もありません。

でも、半年以上、ほぼ毎日I主任に彼らの電話を取り次いでいたのです。
毎日、電話でですが勿論、挨拶を交わしていた。簡単な世間話もしていました。私に取っては株式の神様として信仰していた方々です。親近感ももっていました。

その人達がヤクザ??に殺された。神だと信じた方々が殺された。株式に巣食う魔物に神と信じた方々が殺されたと感じです。

KMさんは電話での声から30代中頃、その助手は当時の私と同じ20代前半だったと思います。

当たり前ですが、株に関わらなかったら殺される事は無かった筈です。株と言う魔物に取り付かれて殺された。そうとしか思えませんでした。

株は魔物です。当然、お金も魔物です。日本経済は魔物が動かしていると言えます。少なからず誰もがその魔物に関わって生きています。人は株や金で魔物にもなるし、魔物に殺される事もある。これは恐怖です。

私は思いました。人は誰も魔物を支配する事は出来無いと。支配しようとすれば魔物に祟られる、巣食われる。人のスケールでは、魔物に出来るだけ関わらない方が幸せだと思いました。

まっ、今の私の様に関わらな過ぎも問題ですが(お金が欲しーい)、出来れば左右されないで生きていくべきだと思います。

現代では中々難しい問題だとは思いますが、のめり込むべきではないと思います。金よりも株よりも命の方が大切ですので・・・・・・。


ではでは。