恥かしいぃーーーーーーーーっ。
東京地下鉄の通路で突然その男が大声で叫んだ。私は驚いた。やっぱりこの人、狂っているのだなと。
その男の名はH。アントニオ猪木とフランケンシュタインを足して二で割った感じのルックス。ポマードべったりのオールバック。不気味。身長は177センチ位、体重は100キロオーバー。動作は鈍い。渾名はケムール人。
九州・福岡出身。当時35~36歳。建設系の業界紙の全国版・建設素材パートの面長だった。
当時、私は29歳。そしてその建設業界紙に転職したて。当初はHの部下だったが、Hの様子がおかしい。まともとは思えない。しかも新聞の知識がない。新聞の専門用語を知らない。素人なのか。
確かHは東京外国語大学卒。勉強は出来るのだと思う。大手出版社へ勤務していたし。
その後独立して編集プロダクションを仲間たちと経営。大借金をぶっこいて倒産。そしてこの建設新聞社に就職したそうだ。
正直、Hからは編集者、編集記者の香がしない。知識が何も無い。編集プロダクションの経営は広い分野の知識と取引先編集者とのコミニケーション力、そして営業力が必要なのにこの人には何も無い。色々指示をしてくるが頓珍漢な発言ばかり。これでよく編集プロダクションを経営していたと思う。
例えば「売上が伸長する」とした私の文章にイチャモンをつける。「売り上げが背伸びするのか」と言って。
「えっ、売上が伸長するって言いませんか」と私。
「そんなの聞いたことが無い」とH。
「株関係の業界紙や日本経済新聞でしょっちゅう使われていますよ。ほらここに」と日経新聞で記載されている「伸長」の字を示す私。
「うちは建設関係の新聞だから伸長なんて言葉は使うべきではない」とH。
「建設業界だって売上とか業績があるでしょ。一般紙だって使っているのにどうしてそんな風に決めるのですか。新聞では普通に使いますよ」と私。
黙り込むH。
要は自分がリーダーシップを取る立場にあるが全然新聞を知らない。それを認めたくない。だから変に自分の優位性を示したがる。でも矛盾しているから当然敗れる。ボロボロになり打ちひしがれる。それの繰り返し。トラブルばかりの人だった。
特に同じパートで業界紙の経験がある41歳女性記者とは対立してばかり。最後にはその女性記者が上司に掛け合い、仕事に支障をきたすとして素材パートの面長を解任させた。
Hは恨み骨髄でその女性記者を何時も睨みつけているし、女性記者は無視続ける。最後にはHを無視して、その女性記者と私で素材パートの面割をする様に。
そうなるとHは挙動不審です。ふてぶてしく不貞腐れていたり、泣き出しそうに顔を真っ赤にしたり。居たたまれなかったなぁー、私。
Hは殆ど仕事をしない。取材にも行かない。しょうがないから私、ニュースリリースのリライトのしまくりでしたよ。毎日、一面の7割以上は私が書いていました。マシンガンの様に。
そのくせHは企業が足を持つ取材旅行には行きたがる。私の割り当ての旅行も取り上げようとする。兎に角、自分中心で考える。自分の事しか考えない呆れた人物でした。
続く。