続きです。
そして今度は私と加〇君が対戦。ハッキリ言って私は秒殺されると思っておりました。自分よりも二周り以上大きな大〇君を投げる加○君に勝てる訳が無い。それは私だけではなく、加〇君も大〇君も思っていた筈。見所は私がどこまで食い下がれるか。意地を見せられるかどうかです。
「はっけよい、のこった」。大〇君の掛け合いで勝負はスタート。
加〇君は大〇君の時とは違って、私の突進を体で受け止めます。私の方が背は小さかったので、動き回る必要がないと思ったのでしょう。
しかし、私はビックリしました。加○君の体が軽いのです。全然力が入っていない感じです。「おかしい」とは思いましたが、火の玉の加〇君です。私は全力で揺さぶり投げを打ったら、簡単に加○君は投げられたのです。
私は「何で」と驚きました。大〇君も「おおっー」と声をあげ驚きの表情。加〇君も赤ら顔のビックリした表情で「やるじゃないかぁー」と驚嘆の声を上げてました。
私は「やったぁー、勝ったぁー、うれしいっー」と言う思いが込み上げましたが、すぐさま何故勝てたのか疑問に思いました。
私は当時から既に新聞配達を自転車に乗ってしていたので、筋力が付いたのか。
いや、それだったら大〇君も投げられた筈。だったら何故、加〇君に勝てたのだ。加〇君は大〇君との対戦で疲れていたのか。
いや、あのタフな加〇君があの程度で疲れる筈はない。もしかしたら私に自信をつけさせる為に態と負けたのでは。加○君ならそれだけの配慮も出来る子だったので、もしかしたらそうなのかもと思っておりました。
そして相撲はお開き。帰宅し夏休みに。
そして夏休みも終わり最初の登校日。私は愕然としました。加〇君が亡くなっていたのです。病名は急性の白血病。小学3年生ですから病の進行が早かったのでしょう。発病してすぐに亡くなった様です。たった9年の人生でした。
私は何も考えられず、暫くはボーっとしてました。加○君が亡くなるなんて信じられないし、納得も出来ない。そんな訳は無いとずっーとずっーとずっーと頭の中は真っ白です。
そしてふと最後にあった日の相撲を思い出しました。加○君は私に実力で負けた訳でも、態と負けた訳でもない。あの時も白血病が進行していた。体がしんどかったのだと。
体がしんどくても家族には言えない。自分は余計な子供だから我慢していた。私と相撲を取っていた時も体が辛かった。それでも相撲を続けたのだと気が付きました。気が付いてやっと涙がこぼれました。
誰にも甘えられずに頑張らなければ生きていけない加○君のたった9年の人生を思うと、涙が止まらなくなりました。
それ以来、私は誰とも相撲を取るのを止めました。私もまた加○君に無理をさせた人間ですから。それが寿命を少しでも縮めた可能性があるのです。怖くて相撲なんか取れません。罪悪感で一杯になりました。
考えてみたら加〇君とは知り合って4ヶ月の付き合いでした。それでも私に投げられて顔を真っ赤にして驚いていたあの表情が、未だに目に浮かびます。
加〇君は玩具も買って貰えず、金色の変わった螺子を何故か「メーシー」と名付け、大切にしていた。その程度のものに喜びを感じて生きていた。そして早く結婚して家から出るのが夢と言ってました。
加〇君は私にだけ好きな子を告白してました。結婚したいとも。その事を好きだった子に伝えた事だけが、私の出来る精一杯の恩返しでした。
神は優れた人物は夭折させると言います。だから熊とか犬とか動物の名前を付けたり、捨松とか凡太とか劣った名前を付け、神に目を付けられない様にする風習があります。
私の亡くなった従兄弟もそうですが、優しく清廉で強い人間ほど長く生きられない様な気がします。
加〇君も神に連れて行かれたと思っております。理不尽であり不条理ですが、善でもなく悪でもない。長くとも短くとも関係ない。死ぬまでが人生か。死ぬ事が人生なのか。もう、何がどうなのか全然分かりません。
その分からない事を探る為に生きているのが人生なのかも知れない。今の所、そう考えていますが、どうなのでしょうね。死ぬまでに答えを得られれば良いのですが・・・・・・。
続く。
そして今度は私と加〇君が対戦。ハッキリ言って私は秒殺されると思っておりました。自分よりも二周り以上大きな大〇君を投げる加○君に勝てる訳が無い。それは私だけではなく、加〇君も大〇君も思っていた筈。見所は私がどこまで食い下がれるか。意地を見せられるかどうかです。
「はっけよい、のこった」。大〇君の掛け合いで勝負はスタート。
加〇君は大〇君の時とは違って、私の突進を体で受け止めます。私の方が背は小さかったので、動き回る必要がないと思ったのでしょう。
しかし、私はビックリしました。加○君の体が軽いのです。全然力が入っていない感じです。「おかしい」とは思いましたが、火の玉の加〇君です。私は全力で揺さぶり投げを打ったら、簡単に加○君は投げられたのです。
私は「何で」と驚きました。大〇君も「おおっー」と声をあげ驚きの表情。加〇君も赤ら顔のビックリした表情で「やるじゃないかぁー」と驚嘆の声を上げてました。
私は「やったぁー、勝ったぁー、うれしいっー」と言う思いが込み上げましたが、すぐさま何故勝てたのか疑問に思いました。
私は当時から既に新聞配達を自転車に乗ってしていたので、筋力が付いたのか。
いや、それだったら大〇君も投げられた筈。だったら何故、加〇君に勝てたのだ。加〇君は大〇君との対戦で疲れていたのか。
いや、あのタフな加〇君があの程度で疲れる筈はない。もしかしたら私に自信をつけさせる為に態と負けたのでは。加○君ならそれだけの配慮も出来る子だったので、もしかしたらそうなのかもと思っておりました。
そして相撲はお開き。帰宅し夏休みに。
そして夏休みも終わり最初の登校日。私は愕然としました。加〇君が亡くなっていたのです。病名は急性の白血病。小学3年生ですから病の進行が早かったのでしょう。発病してすぐに亡くなった様です。たった9年の人生でした。
私は何も考えられず、暫くはボーっとしてました。加○君が亡くなるなんて信じられないし、納得も出来ない。そんな訳は無いとずっーとずっーとずっーと頭の中は真っ白です。
そしてふと最後にあった日の相撲を思い出しました。加○君は私に実力で負けた訳でも、態と負けた訳でもない。あの時も白血病が進行していた。体がしんどかったのだと。
体がしんどくても家族には言えない。自分は余計な子供だから我慢していた。私と相撲を取っていた時も体が辛かった。それでも相撲を続けたのだと気が付きました。気が付いてやっと涙がこぼれました。
誰にも甘えられずに頑張らなければ生きていけない加○君のたった9年の人生を思うと、涙が止まらなくなりました。
それ以来、私は誰とも相撲を取るのを止めました。私もまた加○君に無理をさせた人間ですから。それが寿命を少しでも縮めた可能性があるのです。怖くて相撲なんか取れません。罪悪感で一杯になりました。
考えてみたら加〇君とは知り合って4ヶ月の付き合いでした。それでも私に投げられて顔を真っ赤にして驚いていたあの表情が、未だに目に浮かびます。
加〇君は玩具も買って貰えず、金色の変わった螺子を何故か「メーシー」と名付け、大切にしていた。その程度のものに喜びを感じて生きていた。そして早く結婚して家から出るのが夢と言ってました。
加〇君は私にだけ好きな子を告白してました。結婚したいとも。その事を好きだった子に伝えた事だけが、私の出来る精一杯の恩返しでした。
神は優れた人物は夭折させると言います。だから熊とか犬とか動物の名前を付けたり、捨松とか凡太とか劣った名前を付け、神に目を付けられない様にする風習があります。
私の亡くなった従兄弟もそうですが、優しく清廉で強い人間ほど長く生きられない様な気がします。
加〇君も神に連れて行かれたと思っております。理不尽であり不条理ですが、善でもなく悪でもない。長くとも短くとも関係ない。死ぬまでが人生か。死ぬ事が人生なのか。もう、何がどうなのか全然分かりません。
その分からない事を探る為に生きているのが人生なのかも知れない。今の所、そう考えていますが、どうなのでしょうね。死ぬまでに答えを得られれば良いのですが・・・・・・。
続く。
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