平成29年5月4日
首相発言要旨
安倍晋三首相(自民党総裁)が寄せたビデオメッセージでの発言要旨は次の通り。
https://youtu.be/uuG_jPNUrlA
【改憲の決意】
憲法改正は自民党の立党以来の党是だ。結党者の悲願だが、憲法はたった一字も変わることなく、施行70年の節目を迎えた。憲法を改正するか否かは、最終的には国民投票によって国民が決めるものだが、改憲発議は国会にしかできない。国会議員は大きな責任をかみしめるべきだ。
次なる70年に向かって、日本がどういう国を目指すのか。少子高齢化、人口減少、経済再生、安全保障環境の悪化など、わが国が直面する困難な課題に対し、真正面から立ち向かい、未来への責任を果たさなければならない。
憲法は国の未来、理想の姿を語るものだ。
国会議員が具体的な議論を始めなければならない時期に来ている。
自民党も歴史的使命を果たす決意がある。
【2020年施行】
かつて1964年の東京五輪を目指し、日本は大きく生まれ変わった。
その際に得た自信が、先進国へと急成長を遂げる原動力となった。
東京五輪・パラリンピックが開催される2020年も日本人の大きな目標だ。
新しく生まれ変わった日本がしっかり動きだす年だ。
20年を、新しい憲法が施行される年にしたい。
【憲法9条】
24時間365日、領土、領海、領空、日本人の命を守り抜く任務を果たしている自衛隊に対し、国民の信頼は9割を超えている。私たちの世代のうちに、自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置付け、違憲かもしれないとの議論が生まれる余地をなくすべきだ。
9条の平和主義の理念は、未来に向けて堅持しなければならない。
(戦争放棄の)1項、(戦力不保持の)2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込むという考え方が国民的な議論に値する。
【教育無償化】
国の未来の姿を議論する際、教育は極めて重要なテーマだ。
70年前、現行憲法下で制度化された小中学校9年間の義務教育制度、普通教育の無償化は戦後の発展の大きな原動力となった。
高等教育を全ての国民に真に開かれたものにしなければならない。
憲法記念日の各党談話
憲法記念日に当たり、各党は3日付で談話などを発表した。
▽自民党(党声明)
わが国を取り巻く情勢は大きく変化した。
憲法施行70年という節目を契機に、新しい時代の理想の姿を描き、改正に向けた道筋を鮮明に示すことは国民各層の願いだ。
衆参両院の憲法審査会などで議論を深め、各党と連携を図りながら論議を加速させる。
改正への理解促進と幅広い合意形成に向けた活動を、これまで以上に党を挙げて取り組む。
▽民進党(蓮舫代表談話)戦後の日本は、国民が憲法と手を携えて歩みを進めることで自由と民主主義、平和と繁栄を築き上げてきた。
今、憲法は大きな危機にひんしている。
安倍晋三首相は年々、憲法改悪への野心をあらわにし、数の力で達成することもいとわない姿勢さえのぞかせている。
次期衆院選は安倍政権の暴走を止める機会にしなければならない。
▽公明党(党アピール)憲法も法規範である以上、新しい時代に対応した改正があってしかるべきだ。
施行当時に想定されなかった課題が出てきているなら、しっかり議論したい。
公明党は3原則を堅持しながら、必要となる新たな条項を付け加える「加憲」の立場だ。できるだけ多くの政党によって合意を形成し、国民の理解を得ながら進めなければならない。
▽共産党(小池晃書記局長談話)憲法には9条という世界で最も進んだ恒久平和主義や、豊かで先駆的な人権条項も盛り込まれている。
全条項を守り、憲法を生かす政治を実現する。
日本を「戦争する国」にするための安倍政権の危険な改憲策動に断固反対し、安倍改憲を阻止するため国民と力を合わせる。
次期衆院選で「改憲勢力3分の2体制」を打破する。
▽日本維新の会(松井一郎代表談話)憲法制定当時に想定していなかった種々の問題が生じている。
現行憲法で対応しきれない場合は、必要な範囲で変えていくべきだ。
発議に向けて、わが党の改正原案への理解を求め、各党の意見に虚心坦懐耳を傾けて真摯に協議を行う。憲法が国民にとってより身近なものとなるよう、国民と共に努力していく。
▽自由党(小沢一郎共同代表談話)安倍政権は憲法を戦後の「押し付け」だとして、肯定的な評価を与えないばかりか、安全保障法制の強行採決に見られたように憲法をないがしろにする政治姿勢を続けている。
徹底的に対抗していきたい。
▽社民党(党声明)第2次世界大戦の反省と教訓から生まれた憲法は、人類の英知を結晶させた共有の財産だ。
地方自治の拡充や教育無償化など「お試し改憲」は認められない。
戦後日本の礎である憲法を安倍政権の意のままに変えさせない。
▽日本のこころ(中山恭子代表談話)歴史や伝統を踏まえ「国の主権と独立を守る」と明記した憲法草案を発表した。
現憲法の良い面は採用しつつ、新たな情勢への対応が必要だ。
草案を自主憲法制定への一助としてほしい。