令和4年3月22日 22:38
東電・東北電、停電ひとまず回避
23日も節電要請検討―火力停止、気温低下で需給逼迫警報
経済産業省は22日夜、東京電力ホールディングスと東北電力の管内について、同日夜に広域で停電する恐れは解消したと発表した。
火力発電所の停止や気温低下で電力需給が逼迫(ひっぱく)したものの、政府が要請した節電などが奏功した。
しかし、両管内に出した「電力需給逼迫警報」は解除しておらず、23日も両管内での節電要請を検討する。
22日午後以降、節電が進んだほか、午後7時台には東電管内で475万キロワットの節電効果が生じたという。
枯渇が懸念されていた揚水発電の余力も一定程度確保できたが、「当初見込みに達していないので、
予断を許さない状況だ」(担当者)という。
地震の影響で東電と中部電力が出資する発電事業会社JERAの広野火力発電所(福島県広野町)など東電、東北電エリアで火力発電所6基の停止は続いている。
ほかの発電所のトラブルや一段の気温低下で再び停電の懸念が生じかねず、特に東電管内では綱渡りの状況が続きそうだ。
令和4年3月22日
東京電力管内などでさらに5%の節電を午後3時から8時の間、要請
萩生田光一経済産業相は22日午後、緊急に記者会見し、電力需給ひっ迫のため東京電力管内などでさらに5%の節電を午後3時から8時の間、要請すると発表した。
萩生田経産相は「このままでは広範囲の停電を行わざるを得ない状況が近づいている」と語った。
福島沖地震による火力発電所停止に加え、悪天候で太陽光発電が稼働しない一方、気温低下による暖房需要拡大などで、
3月下旬としては異例の電力需給ひっ迫状態となっていることを踏まえ、政府は「電力需給ひっ迫警報」を発出している。
萩生田経産相によるとこれまでの節電効果は150万キロワットにとどまっており、
目標としている水準を200万キロワット─300万キロワット下回っている。
政府として、製造業や百貨店、スーパー、コンビニなど産業界への協力要請に加え、各家庭や職場でも節電するよう呼びかけている。
福島沖地震における停電
地震 大規模停電 “発電所の停止で需給バランス崩れたか”
宮城県と福島県で震度6強の揺れを観測した今回の地震では、東北をはじめ、関東でも大規模な停電が起きました。
電力システムに詳しい専門家は
「震源に近い発電所が地震によって運転を停止し、電力の需要と供給のバランスが大きく崩れたことが原因だとみられる」と指摘し、
今後もこうした停電は起きうるとして備えの必要性を指摘しています。
今回の停電について電力システムに詳しい東京電機大学の加藤政一教授は、震源に近い福島県などにある火力発電所が揺れを感知して運転を止めたため、
供給される電気の量が急激に減り、需要と供給のバランスが大きく崩れたことが原因だとみています。
電力の需要と供給のバランスが崩れると、ふだんは一定に保たれている電気の「周波数」が大きく下がり、
発電設備の蒸気タービンの回転数が大きく変化し、損傷するおそれもあるということです。
こうした設備の損傷を防ぐため、需給バランスを一定に保とうと震源から離れた発電所も運転を停止するため、
今回のように停電が広い範囲に及ぶことがありうるということです。
加藤教授によりますと、北海道で4年前に起きた地震では、需要と供給のバランスが崩れたうえ、このバランスをとるための十分な対策がとれず、
道内全域がブラックアウトする事態になったということです。
加藤教授は「被害を最小限に食い止める措置だったといえ、今後も規模の大きな地震が起きた場合は離れた場所でも停電は起きうる」と指摘したうえで、
「切れた電線や倒れた電柱など危険な場所には近づかないようにするとともに電気の復旧に伴って発生する『通電火災』にも十分注意してほしい。
懐中電灯や予備の電池、モバイルバッテリーなどの備えを確認してほしい」と話していました。