ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

「アウト・ロー」 コウノコウジ

2008-02-08 15:01:56 | 
自分で言うのもなんだが、これだけ本や漫画を読んでいると、出だしの展開だけで、ある程度その後が予測がつく作品は珍しくない。

それは致し方ないことでもある。やはり世の中には、王道というか定番といっていい道筋があるものだ。あまりに奇をてらった物語は、むしろ説得力に欠ける。ただ、マンネリに陥らないためには、物語の展開に技巧を凝らす必要がある。

表題の漫画は、週刊ヤング・マガジンに連載されていた。同業者からも嫌われるほどのやり手の青年ヤクザである主人公が、やりすぎて破門され、どん底に落とされる。復帰の条件として突きつけられたのは、組長の孫が投手を務める少年野球チームを日本一にすること。

こんな出だしで始まった漫画だけに、その後の展開が読めてしまい、私としては興味を失し、見過ごしていた漫画でもある。駄目チームを再建して、勝利を重ねる場面なんぞ、完全に読み飛ばしていた。ところが、物語が終盤に差し鰍ゥると、事態は急変する。昨今流行(いいのか?)の児童虐待が物語を急転させる。

ほうっ!と意外な展開に目を見張るが、その後の展開も予想できた。できたけど・・・目を離せなくなった。こんな展開なら、素直にのせられてもいいと思った。概ね、予想の範囲内で終わったが、失望することはなかった。

私は体罰には否定的ではないが、児童虐待はべつものだと思う。悪いことをしたら罰せられることを教える意味での体罰と異なり、虐待は概ねそれをする側の嗜虐性を満足させることが目的だ。自らの歪んだ性癖を、か弱い子供を使って満足させる卑劣な行為だ。

私は児童虐待の経験はないし、みたこともない。ただ、弱いものをいたぶることで悦楽を感じる嗜虐性の強い人間なら、過去に何人か知っている。断言します、こいつら口で言っても絶対直らない。口先で反省の素振りはみせても、同じ事を何度となく繰り返します。

だからこそ、この漫画のストーリー展開に納得できたのです。暴力は万能ではなく、むしろ拡散し反復する性向があるのはたしかですが、戦うべき時に戦わないのは、むしろ卑怯であり却って物事を悪くさせるものです。暴力を賛美する気はありませんが、必要悪だと信じています。

人間が人間である限り、暴力はなくならないし、必要悪であり続けるでしょう。目をつぶってはいけないと思います。
コメント
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