評判が高かっただけに、失望を禁じえなかった。
食べ物に関する書物である以上、私の評価の観点は胃袋にある。味覚である舌よりも、胃袋の感性を優先するのが私のチャーム・ポイントだ。私の食欲を刺激する本こそが、良い本であるはずだ。
ところが、いきなり残飯はないだろう。一気に食欲は減退して、私の期待は萎まざる得なかった。こんなはずではなかった。私は世界の美味しい食文化を紹介する記事を期待していたのだ。
しかし、新聞記者出身である辺見氏の視点は違う。食に座標を置いて、世界各地の社会に鋭い視線を向ける。東欧の炭鉱労働者と食事をともしに、スラム街に生きる下層民の食事を通して、世界各地の歪んだ社会の姿を描き出した。
体当たりで、世界中の現場に飛び込み、その場で食事を共にして、社会の実情を捉える辺見氏の手法が絶賛されたのも、ある意味当然だと思う。優れたルポタージュであることは私も認める。
ただ、てっきし美味しい食事の紹介かと勘違いした私の失望は満たされない。食いしん坊が意地を張っているだけだと思うが、日頃銀座界隈の高級レストランで、接待を受けているマスコミの連中を散見するので、ついつい期待してしまった。
いや、真面目な話、出世したマスコミ関係者って、ビックリするぐらいの美食家がけっこう多い。接待慣れして、舌が肥えているのだと思う。だから、美味しい食事の紹介かと期待に胸を膨らませていた。
私のおっちょこちょいであることは認めるが、食事を楽しみと捉えているがゆえに、ついつい失望した次第。あまりに真面目すぎるのも問題だわさ。
食べ物に関する書物である以上、私の評価の観点は胃袋にある。味覚である舌よりも、胃袋の感性を優先するのが私のチャーム・ポイントだ。私の食欲を刺激する本こそが、良い本であるはずだ。
ところが、いきなり残飯はないだろう。一気に食欲は減退して、私の期待は萎まざる得なかった。こんなはずではなかった。私は世界の美味しい食文化を紹介する記事を期待していたのだ。
しかし、新聞記者出身である辺見氏の視点は違う。食に座標を置いて、世界各地の社会に鋭い視線を向ける。東欧の炭鉱労働者と食事をともしに、スラム街に生きる下層民の食事を通して、世界各地の歪んだ社会の姿を描き出した。
体当たりで、世界中の現場に飛び込み、その場で食事を共にして、社会の実情を捉える辺見氏の手法が絶賛されたのも、ある意味当然だと思う。優れたルポタージュであることは私も認める。
ただ、てっきし美味しい食事の紹介かと勘違いした私の失望は満たされない。食いしん坊が意地を張っているだけだと思うが、日頃銀座界隈の高級レストランで、接待を受けているマスコミの連中を散見するので、ついつい期待してしまった。
いや、真面目な話、出世したマスコミ関係者って、ビックリするぐらいの美食家がけっこう多い。接待慣れして、舌が肥えているのだと思う。だから、美味しい食事の紹介かと期待に胸を膨らませていた。
私のおっちょこちょいであることは認めるが、食事を楽しみと捉えているがゆえに、ついつい失望した次第。あまりに真面目すぎるのも問題だわさ。