ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

「スレイヤーズ」 神坂 一

2008-02-21 12:18:23 | 
小説が漫画化されることは以前から時々あった。最近は漫画の小説化もある。この場合、セカンド・ストーリーが展開されることが多く、ファンには魅力的企画なのだろう。

漫画を読んでいるかのような錯覚に襲われる小説もある。漫画チックな挿絵が多く含まれているせいもあるが、なによりその文体の軽さに驚いた。以前、新井素子を読んだ時にも感じたが、それ以上の軽さだ。

文体が軽いがゆえに、読むスピードが速い。漫画並みのスピードで頁をめくれるから、これは驚くしかない。いくらライト・ノベルだからって、これは特異だと思う。

表題の作は、私が20代の頃に読んだ。長期の病気療養中で、気持ちが弱っていたがゆえに手を出した。その漫画チックなイラスト故に、元気だったら手を出さなかったと思う。時間潰しのつもりだったが、あっというまにハマッてしまった。面白いというより、可笑しいと評すべきだろう。事実、電車の中で読んでいて、あまりの可笑しさに吹き出した思い出あり。あれは恥ずかしかった。

中身は魔法だの、怪物などが出てくる、剣と魔法の物語であり、率直に言って青少年向けだ。ただ、漫画を読むが如く錯覚させられる文体には、大いに驚かされた。多分、作者は漫画やTVアニメを中心に観て育った人だと思うが、あの文章力はどうやって身につけたのか、不思議で仕方がない。

実際、けっこう人気はあったらしく漫画化もされたし、TVアニメにもなったらしい。既に本編は完結しているが、お笑いパートを受け持つ外伝は、今も刊行されている。さすがに、今は読んでいないが、ある意味最もライト・ノベルらしい本なのかもしれない。

再読するか、否か迷ったが、最終巻だけ読んでみた。あっという間に読みきれた。こんなに軽く読める文体の作家には、いまだかつて遭った事がない。その意味で、忘れ難い作品でした。なお、大人が無理に読む本ではないと思います。ですが、本嫌いの子供には向くと思います。こんな作品で、本を読む楽しさを知るのも一興かもしれません。
コメント (2)
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